マーケティングミックスとは?基本を解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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マーケティングミックスとは、「ターゲットとする市場で目標を達成するために使用する、複数のマーケティング手段を組み合わせる」ことを指します。もともとの考え方は、1940年代後半にアメリカで発表されました。

マーケティングミックスってなに?基本をおさらい

マーケティングミックスは、商品・サービスの開発、キャンペーンの企画立案など、具体的なビジネス戦術・施策を決定・推進する上で非常に重要なプロセスです。

本記事では、マーケティングミックスのビジネスにおける位置付けと、それを活用するためのフレームワークをご紹介します。

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    マーケティングミックスとは

    マーケティングの基本プロセスは、以下の流れで実施されます。

    1. 市場調査・分析
    2. 戦略企画
    3. マーケティングミックス
    4. 施策実施
    5. 管理・効果測定・評価

    マーケティングミックスは「戦略企画」の後のプロセスで必要となる施策です。多くの場合はSTP分析を実施して目標を定めた後、実施する戦術・施策の具体的な内容を検討・決定する際に役立ちます。

    なお、STP分析とは、以下の3つの要素から頭文字を取ったものです。

    • 市場を細分化する(Segmentation)
    • 細分化した市場のどこを狙うか決定する(Targeting)
    • 訴求したい商品・サービスを適切に位置付ける(Positioning)
       

    マーケティングのフレームワークとは

    マーケティングミックスについて語られる際、「フレームワーク」がよく出てきます。代表的なものとしては、1960年代に提唱された「4P」が挙げられるでしょう。フレームワークが構築されたことにより、複雑になりがちなマーケティングの各要素が整理され「見える化」しやすくなりました。

    4Pは、多くの企業のマーケティング施策に取り込まれ、今でも活用されています。しかし、時代が変わり行動様式や価値観が多様化した現在は、「4C」「7P」などさまざまなフレームワークが登場しました。
     

    「4P」と「4C」

    ここでは、フレームワークのなかでも特によく活用される「4P」「4C」について紹介します。
     

    プロダクトのあるべき姿を定義する「4P」

    マーケティングフレームワークとは1

    「4P」は、1960年代にアメリカのマーケティング学者エドモンド・J・マッカーシー(Edmund J. McCarthy)が提唱したフレームワークです。そして、前述した「STP分析」手法を確立し「マーケティングの神様」と呼ばれるフィリップ・コトラー(Philip Kotler)らが広めました。

    4Pには、以下の4つの要素があります。それぞれについて詳しくご紹介します。

    • 製品 (Product)
    • 価格 (Price)
    • 流通 (Place)
    • プロモーション (Promotion)
       

    製品 (Product)

    「製品 (Product)」は、商品・サービスそのものを指します。

    形のある商品であれば、機能や仕様だけでなく、色や形などのデザイン、梱包やパッケージ、付随する製品保証やサポートも含みます。ソフトウェアやオンラインサービスであればUI(ユーザーインターフェース)がここに含まれます。
     

    価格 (Price)

    「価格 (Price)」は、商品・サービスの価格を指します。

    価格が商品・サービスに対して適切かどうかによって、顧客の反応は変わります。そして、それによって売上や利益、今後の販売戦略が変わります。ブランディングも勘案すると必ずしも「安ければよい」というわけではないのが、価格設定の難しいところです。ビジネスとして成立するラインを前提にしたうえで、どのような価格設定であれば顧客に対して最大限の価値を提供できるのかを考えるべきでしょう。
     

    流通 (Place)

    「流通 (Place)」は、商品・サービスを販売・提供するチャネル、場所を指します。オフライン・オンラインそれぞれで流通手段が無数に存在する現在、どこで、どのように自社商品を流通させるかは非常に重要なポイントです。

    販売時期や在庫・配送手段も含まれます。たとえば、形のある商品を店頭販売する場合、百貨店やGMS(大規模小売店)、SM(スーパーマーケット)やCVS(コンビニエンスストア)など、どの小売店で入手可能とするかは商品の印象を決定づける要素になりえます。

    オンラインの場合、大手ECプラットフォームに出店して購入しやすい環境を整備するか、もしくは自社でECサイトを構築してあえて流通を制限し、ブランディングを優先するかなども考える必要があるでしょう。 

    プロモーション (Promotion)

    「プロモーション (Promotion)」は、商品・サービスを認知させて興味関心を喚起し、購入に繋げるための広報宣伝施策を指します。

    4大マスメディア(新聞、出版、ラジオ、テレビ)やインターネットメディアへの広告出稿、プレスリリースの配信だけでなく、店頭POPの制作やキャンペーンの企画・実施もプロモーションに含まれます。

    近年はさまざまなSNSやプラットフォームが台頭し、メディアの多様化が進んでいます。マスメディアであっても、すべての層にアプローチできるわけではなくなりつつあります。自社の見込み客はどのようなメディアに慣れ親しんでいるのかを調査したうえで、ではそのメディアでどのようにアプローチすれば受け入れてもらいやすいのか。まずは対象となる見込み客を理解したうえで、適切なメディアを選定しましょう。
     

    買い手側の視点を整理する「4C」

    マーケティングフレームワークとは2

    「4C」は、1990年代にアメリカの経済学者ロバート・F・ラウターボーン(Robert F. Lauterborn)が提唱したフレームワークです。4Cが生まれた背景には、多様なサービスの登場やソフトウェアの発達などにより「4Pが必ずしもビジネス戦略の決定に適さなくなってきた」という彼の主張があります。

    4Cは、商品・サービスを受ける側、買い手側の視点を軸に設計されている点が特徴的です。

    4Cには、以下の4つの要素があります。それぞれについて詳しくご紹介します。

    • 顧客価値(Customer value)
    • 消費者・顧客が払うコスト (Cost)
    • 消費者・顧客の利便性 (Convenience)
    • 消費者・顧客とのコミュニケーション(Communication)
       

    顧客価値(Customer value)

    「顧客価値(Customer value)」は、商品・サービスに対して顧客が抱く直接的な価値を指します。

    ここでいう価値は、「高い」「安い」「使いやすい」などの価格や機能性だけでなく「おしゃれ」「かわいい」「おいしい」といった主観的・情緒的なものも含まれます。自社の商品・サービスが買い手にとってどんな魅力を持っているのかを理解しましょう。
     

    買い手側が払うコスト (Cost)

    「消費者・顧客が払うコスト (Cost)」は、商品・サービスに対して顧客が払ってもよいと考える負担を指します。ここでいう負担には、金銭的なものだけでなく、時間などさまざまな要素が含まれます。

    例えば、価格が手頃でも、購入までの手続きが複雑で時間がかかる場合、それだ毛のステップを踏んででも入手したいと思ってもらえる商品か(時間というコストをかけてもいいのか)は理解しておくべきでしょう。

     

    買い手側の利便性 (Convenience)

    「買い手側の利便性 (Convenience)」は、商品・サービスの入手性を指します。実店舗やオンラインといったチャネルだけでなく、手元に届くまでの時間や販売期間も含まれます。

    どこでも手軽に入手できるものであれば、買い手が何かの折に「買ってみようか」と考えることもあるでしょう。普段は入手困難な貴重な商品・サービスであれば「高いコストを払ってでも」と思う人が現れる可能性もあります。逆に入手までに面倒な手間がかかるのならば、諦めて他の商品・サービスを選択することになるかもしれません。
     

    買い手側とのコミュニケーション (Communication)

    「買い手側とのコミュニケーション (Communication)」は、 商品・サービスに対して買い手との間で交わされる情報伝達を指します。

    情報伝達は広告や報道など片方向に限ったことではなく、以下のような双方向のコミュニケーションも該当します。

    • 疑問や不明点を電話で受け付け解決するサポートセンター
    • WEBサイトで日々更新・公開されるFAQ(よくある質問)
    • SNSへのテキスト・動画投稿と、それに対する書き込みなどのレスポンス
       

    「4P」と「4C」の対比

    「4C」は「4Pはビジネスの現場に適さなくなってきた」として提唱されたフレームワークです。各要素を並べて比較してみましょう。

    4P:商品・サービス提供者側の視点

    4C:買い手側の視点

    製品(Product)

    顧客価値(Customer value)

    価格 (Price)

    消費者・顧客が払うコスト (Cost)

    流通 (Place)

    消費者・顧客の利便性 (Convenience)

    プロモーション (Promotion)

    消費者・顧客とのコミュニケーション (Communication)

    企業・顧客それぞれの視点で設計されているように見受けられますが、どちらのフレームワークも買い手のニーズを軸に設計するべきだという点を忘れてはいけません。買い手は何を求めているのか、自社は、どのような製品であれば買い手のニーズに応えられるのかを念頭に置きながら考えていきましょう。

     

    その他フレームワーク

    「4P」「4C」以外にも、いくつかのマーケティングフレームワークがあります。簡単にご紹介しましょう。
     

    「5P」

    「5P」は、「4P」に1つの要素を追加する派生系です。

    追加要素についてはさまざまな説があるようですが、海外のマーケティング関連記事では、おもにサービス業に従事する店員やコールセンター要員などスタッフのロイヤルティ醸成やスキル向上を念頭に置いた 「人々(People)」と説明することが多いようです。

    • 人々(People)
       

    人々(People)

    ロイヤルティやスキルが高いスタッフがいれば、買い手は気持ち良くサービスを受けて満足することができます。そしてそれはスタッフだけでなく、経営者やチームリーダー、出入り業者など、ビジネスに関係するすべての人々にとっての働きやすさやプロフェッショナルとしての意識向上にも繋がります。
     

    「7P」

    「7P」は1980年代初頭にコトラーが提唱し、4Pに以下の3つの要素を追加したフレームワークです。世の中のビジネスの中心が製造業からサービス業にシフトし始めた時代に合わせたものといわれています。

    • 人・要員(Personnel)
    • プロセス(Process)
    • 物的証拠(Physical evidence)
       

    人・要員(Personnel)

    「人・要員(Personnel)」は、5Pの「人々(People)」と同じ内容です。
     

    プロセス(Process)

    「プロセス(Process)」は、サービスの提供手順と、買い手のニーズに対応するための施策などを指します。例えばホテルならば、チェックイン・チェックアウトの手続きや宿泊客の要望の受け付け対応などがそれに該当します。
     

    物的証拠(Physical evidence)

    「物的証拠(Physical evidence)」は、買い手に安してもらうためのさまざまな要素を指します。例えばレストランならば、清潔な店内、美しい食器、分かりやすいメニュー、おいしい料理などがそれに該当します。
     

     

     

    自社と顧客の接点を生み出すための重要なプロセス

    マーケティングミックスは、「市場調査・分析」「戦略企画」の次に位置する、ビジネス戦略と具体的な戦術・施策を繋げる重要なプロセスです。

    マーケティングミックスのフレームワークには「4P」「4C」などさまざまあります。重要なのは、いずれのフレームワークを利用する場合でも、買い手を中心に考え、各要素を詳細に検討していくべきという点です

    フレームワークの利用に限った話ではありませんが、自社都合を優先し、実際の買い手を無視した机上の空論ができあがってしまうケースも少なくありません。自社や商品・サービスの強みを訴求することばかりに意識を奪われるのではなく、市場のニーズがどうなっているかを常に把握できるよう心がけましょう。

    まずは、顧客の声に耳を傾けること、市場の変化を捉えるために様々なメディアやプラットフォームに自分自身が慣れ親しんでおくことをおすすめします。

     

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