ノーコードとRPAの違いとは?組み合わせるメリットや活用事例も解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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近年、業務を効率化する目的で、ノーコードやRPAを利用する方法が注目されています。ノーコードとは、プログラミング不要でアプリやシステムを開発する手法のことです。一方のRPAは、データ入力や請求書の作成など、主にバックオフィスの定型業務を自動化するツールです。

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    どちらも、プログラミングなどの高度な知識を必要とせずに業務を効率化できる手段であるものの、活用方法が大きく異なるため、違いを正しく理解することが大切です。

    本記事では、ノーコードとRPAの違いや両者を組み合わせて活用する「ノーコード型RPAツール」について詳しく解説します。活用事例や代表的なノーコード型RPAツールもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

    ノーコードとRPAの違い

    次の表は、ノーコードとRPAの違いを定義、目的、活用シーンの視点からまとめたものです。

    ノーコードとRPAの違い

    ノーコードもRPAも、プログラミングなどの高度な知識を必要とせず、業務を効率化する手段という点では共通している一方で、具体的な手法や用途は異なります。ここからは、それぞれの違いを詳しく解説します。
     

    定義の違い

    ノーコードは、プログラミング言語でソースコードを書かずにアプリやシステムを開発できる手法のことです。また、ノーコードでアプリなどを作成するツールを指すこともあります。あらかじめ用意されたパーツやテンプレートをドラッグ&ドロップで必要な場所に配置するだけで、プログラミングの知識がなくてもアプリを開発できます。

    一方、RPA(Robotic Process Automation)は、人間が行う既存の定型業務をロボットを活用して自動化できるツールのことです。ロボットは物理的な機械ではなく、ソフトウェア上で動くプログラムであり、人間の代わりにマウス操作・キーボード入力などの処理を自動で行います。

    →ダウンロード: RPA無料基礎ガイド

     

    目的の違い

    ノーコードでは、ソースコードを記述せずにアプリを開発できるため、専門の開発エンジニアでなくても、容易に開発を行うことが可能です。そのため、主に開発コストの削減や開発期間の短縮を目的として導入されます。特定の業務の自動化や効率化を目的としたツールを開発する場合もノーコードツールが役立ちます。

    一方、RPAツールは、既存の定型業務の自動化に貢献します。人間が行う作業を高速かつミスなくこなせるため、主に業務品質の向上や人手不足の解消を目的として導入されます
     

    活用シーンの違い

    ノーコード型ツールは、業務システムやWebサイト、モバイルアプリなどの開発に活用されています。例えば、営業向けの顧客管理システムを新たに作成し、データの可視化や情報の集約を容易にする活用方法です。

    一方、RPAは、主に既存の定型業務の自動化に活用されています。例えば、請求書や納品書の入出力、勤怠データの入力、メールの自動送信などが可能です。
     

    ノーコードとRPAを組み合わせた「ノーコード型RPA」のメリット

    RPAツールには、開発者向けの高度な知識を必要とするものがある一方で、ノーコードによって専門知識がなくても利用できるものもあります。ここからはノーコードとRPAを組み合わせた「ノーコード型RPAツール」のメリットを解説します。
     

    技術的知識不要でRPAを導入できる

    ノーコード型RPAツールは、プログラミングや高度なIT知識を持たない現場の従業員でも開発を進めることができるのが特徴です。ドラッグ&ドロップなどの基本的な操作で、直感的にフローを作成できます
     

    短期間で業務効率化が実現できる

    従来の開発方法でRPAによる自動化を実現する場合、現場の担当者とエンジニアが協力して要件定義・開発・動作検証を行う必要があったため、コミュニケーションコストがかかり、手戻りが発生することもありました。

    ノーコード型RPAツールでは、現場の担当者が開発を担当できるため、リリースまでの期間を大幅に短縮できます。定型業務の処理の滞りが解消されることで、繁忙期や人材不足の状況下で後続の業務に影響を及ぼすなど、全体の業務遅延につながるリスクを回避可能です。
     

    コスト削減につながる

    ノーコード型RPAツールを導入すれば、RPA開発にあたってエンジニアを採用したり、担当者がプログラミング知識を学習したりする必要がなくなり、結果的なコスト削減につながります。開発期間の短縮やRPAによる業務自動化のために、これまで生じていた人件費を削減することも可能です。
     

    リソースを有効に活用できる

    ノーコード型RPAツールでは、担当者自身が開発を行えるため、IT部門のエンジニアの負担を軽減できます。また、RPA導入によって手作業で行っていた定型業務を自動化できると、担当者に時間的な余裕が生じ、他の業務を行うなど、時間をより有効に活用できます。例えば、顧客対応により時間をかけることで、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
     

    幅広い業務に対応できる

    一般的なRPAは、多様なシステムやアプリと連携でき拡張性が高いのが特徴です。しかし、機能の追加や仕様変更などのカスタマイズには専門知識が必要になることもあります。

    ノーコード型RPAであれば、業務プロセスに変更、追加が必要になった場合も、既存の業務プロセスやシステムを熟知した現場の担当者がニーズに合わせてカスタマイズでき、多様な業務に対応できます
     

    手作業による作業ミスを防止できる

    手作業では起こりがちなミスも、RPAツールで作業を自動化することで防止可能です。たとえ、RPAの設定に不備があったとしても、ノーコードで利用できるツールであれば担当者がすぐに修正できるでしょう。

    作業ミスの発生は、顧客への迷惑や大きな損失につながる可能性もあります。さらに、ミスの修正には手間もコストもかかるため、ノーコード型RPAツールの導入によるミスの削減は顧客満足度の向上やコスト削減の面でもメリットです。
     

    業務フローの改善につながる

    一般的にノーコード型RPAツールを導入する際は、どのような業務を自動化するのかを洗い出し、さらにロボットに指示するためのシナリオを作成する工程が必要です。

    これらの作業は、業務の手順やルールを見直す良いきっかけになります。既存の業務プロセスにおける不要な作業や手順の非効率性を発見でき、業務フローの改善につなげられるでしょう。
     

    ノーコード型のRPAが特に向いている業務

    ノーコード型のRPAが特に向いている業務は、主に次の3つです。

    • 業務フローの変更が多い業務
    • 部門単位の細かい定型業務
    • プロセスが複雑な業務
       

    業務フローの変更が多い業務

    ノーコード型のRPAは、業務フローの変更が多い業務に向いています。プログラミング知識が必要なRPAでは、変更が発生する度にエンジニアに対応を依頼しなければなりません。一方、ノーコード型のRPAでは、業務の担当者にプログラミングの知識がなくても、簡単に設定を変更でき、変更があった際も迅速に対応できます
     

    部門単位の細かい定型業務

    ノーコード型RPAは、細かい定型業務の自動化に適しています。業務担当者が非IT人材であっても、細かな定型業務の自動化に必要なシステムを自分たちで開発できるためです。スピーディーな業務改善を期待でき、エンジニアに依頼せずに部分的な業務の改善から始められるのもメリットです。
     

    プロセスが複雑な業務

    一般的なRPAは、開発用のプログラミング言語を使ってカスタマイズを行うため、高度なITの専門知識が必要です。特に、プロセスが複雑な業務の自動化には、より高度な知識やスキルが不可欠です。

    ノーコード型PRAでは、ドラッグ&ドロップなどのシンプルな操作で誰でも直感的に扱えるため、プロセスが複雑な業務の自動化にも対応できます。例えば、複数のツールをまたぐマーケティングリサーチや顧客対応業務、承認プロセスが複雑な財務・経理・勤怠管理などの自動化にも向いています。
     

    ノーコード型RPAの活用事例

    ここでは、ノーコード型RPAの活用事例をご紹介します。
     

    データ抽出・登録など複数の煩雑な作業を自動化

    旅行会社でノーコード型RPAツールを導入した事例です。同社で課題となっていたのは、顧客リストの抽出・加工や商品の販売登録などを手作業で行うことによる担当者の業務負担です。過去にRPAツールを導入した際は専門的な要素が多く、操作も複雑だったため使いこなせず、社内には浸透しませんでした。

    ノーコード型RPAツールを導入した結果、単純作業を自動化し、クリエイティブな業務に集中できる時間の確保に成功しました。作業の自動化によりミスが減少して業務品質が向上しただけでなく、ルーチン作業の負担軽減で、従業員のストレスも軽減できています

    参考:https://robotango.biz/case/nta/
     

    現場主導で申請書類作成の自動化を推進

    建築事務所でノーコード型RPAツールを導入した事例です。同社では、建築関連の各種申請業務の作業量が非常に多く、人手不足による担当者の工数ひっ迫が課題でした。これらの申請書類は20種類近くあり、申請手順も異なっていました。

    そこで、操作が容易で定型作業を自動化できるノーコード型RPAツールを導入します。まずは確認申請書の入力の自動化ツールを作成して、手作業で90分かかっていた業務の所要時間を10分程度に短縮し、1か月で100時間の削減に成功しました。今後は、現場主導で申請業務周りの定型業務をさらに自動化する予定です。

    参考:https://robooperator.jp/case/01.html
     

    30以上の定型業務効率化に成功

    食品卸売業でノーコード型RPAツールを導入した事例です。同社では、定型業務が多く、担当者の生産性向上を目指してRPAの導入を検討していました。RPAの操作性やわかりやすさ、アプリの作りやすさを重視し、ノーコード型RPAツールの導入を決定します。

    導入に際しては、社内で操作レクチャー会を実施し、情報システム部の支援体制を構築しました。運用後は、一つの業務で、月に10~20時間の短縮に成功しています。また、高頻度で行う細かい業務から自動化に取り組み、結果として30以上の定型業務の効率化を実現しています

    参考:https://ezavater.com/case/11/
     

    ノーコードで利用可能なRPAツール5選

    ここからは、ノーコードで利用できるRPAツールを5つご紹介します。

    • UiPath StudioX
    • Power Automate
    • RoboTANGO
    • Zapier
    • WinActor
       

    UiPath StudioX

    UiPath StudioX

    出典:UiPath StudioX

    UiPath StudioXは、RPA市場で世界的に高いシェア率を誇るUiPath社が提供するノーコード型RPAツールです。ドラッグ&ドロップのインターフェースや構築されたテンプレートにより、業務担当者が簡単に日常業務を自動化できます。

    Microsoft OfficeやGoogle Workspaceなど、多くのWebアプリとデスクトップアプリを操作でき、自分で作成した自動化ツールを共有することも可能です。60日間の無料トライアルもあります。
     

    Power Automate

    Power Automate

    出典:Power Automate

    Power Automateは、Microsoft社が提供しているノーコード型RPAツールです。Microsoft 365製品と高い親和性を持ち、AIとデジタル及びRPAにより、多くのシステム、Webサイト、デスクトップアプリを自動化できます

    事前に構築されたテンプレートを使用すれば、必要な設定を入力するだけで簡単に自動化ツールを作成できます。無料試用版として、30日間の無料体験が可能です。
     

    RoboTANGO

    RoboTANGO

    出典:RoboTANGO

    RoboTANGOは、スターティアレイズ社が提供する国産のノーコード型RPAツールです。特に、初心者向けに設計されているのが特徴で、録画機能を活用した直感的な操作でRPAロボット作成をできるため、作りやすさや使いやすさで高い評価を受けています。導入前後のサポート体制も整っており、3週間の無料トライアルがあります。
     

    Zapier

    Zapier

    出典:Zapier

    Zapierは、アメリカ企業のZapier Incによって提供されている、高度なワークフローを自動化するノーコード型RPAツールです。7,000以上のアプリと連携可能で、あらかじめ用意されたテンプレートですぐに自動化を作成することができます。

    条件分岐やカスタマイズも容易に行えるため、複雑なワークフローをシンプルな操作で迅速に自動化したい場合に最適です。14日間の無料体験が可能です。
     

    WinActor

    WinActor

    出典:WinActor

    WinActorは、NTTアドバンステクノロジ株式会社が提供している純国産のノーコード型RPAツールです。ドラッグ&ドロップなどの簡単操作で、直感的にシナリオを作成し、作業を自動化できます。

    日本企業特有の条件や業務プロセスに対応したサンプルシナリオが豊富にそろい、RPAツール画面やマニュアル、サポートなども完全日本語対応です。30日間の無料トライアルが可能です。
     

    ノーコード型RPAで業務効率化を促進しよう

    ノーコードはコーディング不要の開発手法で、RPAは定型業務を自動化できるツールです。どちらも業務効率化を実現する手段である一方で、目的や活用方法は異なります。本記事でご紹介した両者の特徴やメリットを理解したうえで、使いこなすことが重要です。

    ノーコードとRPAを組み合わせた「ノーコード型RPA」であれば、現場主導でRPAを開発でき、スピーディーな業務改善につなげられます。また、小規模な開発にも適しているため、部分的な業務の改善から始められるのもメリットです。自社のニーズに合ったノーコード型RPAツールを導入して業務効率化を促進しましょう。

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