当然、テレワークは導入して終わりではありません。導入後は、社員向けのルールやツールの導入、セキュリティ対策に注意を払う必要があります。
導入準備は容易ではなく、それなりの工数を取られてしまいますが、テレワークは業務効率改善や従業員満足度向上にも繋がります。テレワークが継続できる環境を構築するためには、導入段階でどれだけ整備できるかが大きく関係します。今回は、導入時に実施しておきたい要素を8つご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
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テレワークとは?注目される背景
まず、テレワークの定義を確認しておきましょう。テレワークは「働く」「 work」と 「遠い」を意味する接頭語 tele- をつけた造語で「オフィスから遠い場所で働く」という意味です。
テレワークとは、具体的にはどのような働き方を指すのか、なぜ今注目されているのかをみていきましょう。
テレワークとはどんな働き方なのか
インターネット技術やツールを活用し、場所に縛られずに働けるのがテレワークの特徴です。
一言でテレワークと言っても様々な分類があります。自宅で働く在宅勤務、移動中や出張先のオフィス、最寄りの飲食店などで働くモバイル勤務、メインオフィスとは別の自社施設で働くサテライトオフィス勤務があります。
企業によってはコワーキングスペースを契約している例もあり、オフィス通勤以外のの選択肢が広がりつつあります。
働き方改革の影響で導入が進む
政府が2017年3月に策定した働き方改革実行計画ではテレワークを推進する方針が示されています。
テレワークが広がれば、居住地や家庭の事情で就労できなかった方も職を得やすくなり、労働力不足の解消に繋がります。制約、子育てや介護などと仕事を両立できるようになると考えています。無駄な移動時間が減り、生産性の向上も期待できるでしょう。
テレワーク導入で期待できる4つの効果
テレワークでは、コミュニケーションが取りづらい、執務環境が悪いなど不便な点もあります。一方で、生産性向上や従業員満足度向上など様々なメリットが得られる場合もあります。
ここではテレワークの導入で得られる以下の代表的な4つの効果をご紹介します。
1. 業務効率アップ・生産性向上
テレワークによって自宅勤務になった場合、通勤時間や顧客や取引先への訪問のための移動時間がなくなることで、その分の時間を他の業務に使えます。また、オフィスから離れ自分一人で作業する時間が増えるため自分で考える自律性が高まるほか、来客や社員からの話しかけなどが少なくなり集中できるというメリットもあります。
2. 採用する人材の多様化と離職防止
勤務地や家庭環境を理由に人材の募集や従業員の勤務の継続が難しくなった場合もテレワークで解決できます。特に女性は出産や子育てのために、働きやすい体制が整っているかどうかが会社選びの選択肢の一つになる場合もあります。
テレワークを導入している企業は、「ワーク・ライフ・バランスを実現しやすい企業」として今後も意欲が高く優秀な人材が集まりやすくなると言えます。また労働者からしても、家庭や住環境の事情で就職を諦めていた企業でテレワークを導入していれば、生活環境を変えずに就職できます。オフィスに勤務する制約がなくなることで会社や職種の選択肢が増えるのです。
3. ワーク・ライフ・バランスの向上
テレワークの導入で通勤時間が減ると、労働時間が同じでも家族とともに過ごす時間や自己啓発や勉強のために使う時間が増えます。相対的にプライベートの満足度が上がる効果が見込めます。
何かの事情で出社ができなかった場合も、勤務時間を調整し在宅で仕事ができれば業務に支障なく働く余地があります。テレワークは従業員満足をあげるきっかけにもなるのです。
4. 事業の継続性の向上
大規模な災害があった際、出社できず通常業務がストップした場合、顧客や事業にまで悪影響を及ぼす場合もあります。テレワーク導入により自宅で働く選択肢があれば、災害時や非常事態時にも業務を継続しやすくなります。
テレワーク導入時におさえたい8ステップ
テレワークには効果やメリットもありますが、導入時にリスクやデメリットも考慮する必要があります。ただ導入することだけを目的とせず、実施後に起こりうることを想定して以下のステップでスムーズな導入ができるよう準備しましょう。
- 評価制度の見直し
- テレワーク導入範囲を決める
- テレワークツールの比較検討
- 社内ルール作成
- セキュリティ対策
- テレワークツールの導入
- 社員への教育
- 環境の整備
それぞれのステップについて詳しく確認してみましょう。
ステップ1. 評価制度の見直し
テレワークでは「勤務状況が分かりにくいため評価しづらい」「コミュニケーションが取りづらいため、パフォーマンスが見えにくい」などの問題が起こりがちです。
テレワークを導入するのであれば、勤務態度や勤勉性ではなく、定量的な成果を評価する制度を構築する必要があります。営業担当者であれば売り上げや受注件数などわかりやすく数値にできますが、その他の従業員でも、できる限り定量的な目標を設定するよう心がけましょう。
ステップ2. テレワーク導入範囲を決める
次に、全社的に導入するのか、まずは一部署のみで導入するのかを決めましょう。最初から全社導入できるのが理想的ですが、まずは導入しやすい部署から試験的に進行していく方がリスクが抑えられるでしょう。
ステップ3. テレワークツールの比較検討
テレワークではオンラインで仕事をするためのツールの導入が必須になります。ビデオ会議ができるツール、チャットツール、進捗間ツールなど、予算や業務の内容に応じて導入を検討しましょう。
ステップ4. 社内ルール作成
テレワークは、勤務する場所が異なるだけで、オフィスで業務を行うのと同じように労働基準法が適用されます。テレワークだと様々な面が従業員の自由になるので、事前にルールを決めておくと良いでしょう。
企業によっては、テレワークへ切り替えたのを機にフレックス制を導入したり、勤務時間をより柔軟にできるよう社内ルールを定めている場合もあります。例えば、コミュニケーションの円滑化のために「定例MTGを実施する」「勤務開始と同時に業務報告をさせる」のように細かいルールがあるとより生産性が上げやすくなります。
ステップ5. セキュリティ対策
社外でパソコンを利用する場合は、特に情報流出には気をつけなければいけません。うちだけは大丈夫だと思うのはやめましょう。社員によるデータの持ち出しやハッキングによる情報漏洩などが起こる可能性はゼロではありません。セキュリティツールの導入や、セキュリティに関するルールの整備など、できる限りの予防策を講じておきましょう。
ステップ6. テレワークツールの導入
次に、テレワークに必要なツールを導入していきましょう。チャットやオンライン会議など、離れた場所でもコミュニケーションが取りやすくなるツールは必須でしょう。また、顧客情報や営業進捗をチームで共有する場合は、CRMやSFAの導入が適しています。請求処理などのバックオフィスにおいても、出社しないで完結させるためのツールが多数登場しています。
ステップ7. 社員への教育
テレワークでは、上司の管理が行き届かないゆえに生産性が低下したり、コミュニケーションが取りづらく、孤立してしまったりなどの問題が出てきます。
スムーズにテレワークを進められるよう、従業員(マネージャー職・現場担当者)に向けて研修を実施する必要があります。
研修例:
- 在宅勤務を行う上で必要なセキュリティ対策について
- テレワーク中のコミュニケーション方法について
- 他社のテレワーク導入成功事例の共有
ステップ8. 環境の整備
テレワークを導入により、自宅の家具の新調や通信環境の整備が必要になる場合があります。
企業によっては、テレワークのための一時金や毎月の手当で補助金を出したり、社内のネットワークに安全にアクセスするVPNを導入して在宅でもオフィス勤務と変わらない状況で業務ができるように配慮している場合もあります。
従業員にも積極的に働きやすい環境を整えてもらうべきですが、企業側も補助金やツールの導入など、今後の生産性向上や従業員満足の向上も目的としておくといいでしょう。
テレワークを継続できるよう、導入は丁寧に進めよう
テレワークの導入により、業務効率化や従業員体験の向上が期待できるほか、勤務地に縛られないゆえに採用市場で有利になれるというメリットもあります。業務における無駄を省き、より良い人材を採用できるようになれば、結果的に顧客に対して提供できる価値も高めることができるでしょう。
テレワーク導入は働き方改革の文脈で語られることが多いのですが、従業員だけでなく、全てのステークホルダーに対して良い影響を与えられます。自社でテレワークを導入する余地があるなら、部分的にスタートしてみても良いでしょう。