システム開発を発注する際にはRFP(提案依頼書)を発行し、正式な発注先を検討するための提案書を作成してもらうよう開発会社に依頼します。RFPを作成する意義とは、具体的にどのような点にあるのでしょうか。
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この記事では、RFPを作成する7つの意義についてまとめています。RFPを作成する際の注意点とあわせて見ていきましょう。
RFPを作成する7つの意義
RFPを作成する主な目的は、発注先の候補となる開発会社に提案書の作成を依頼し、正式な発注先を選定することにあります。RFPを作成する主な意義は下記の7点です。
- 必要な要件を正確に伝えられる
- 付加価値の高い提案を受けやすくなる
- 複数社の提案を公正に評価できる
- スケジュールの妥当性を確認できる
- トラブルを未然に防止できる
- 社内調整がしやすくなる
- 自社の現状を見直す機会になる
それぞれ具体的に見ていきましょう。
必要な要件を正確に伝えられる
発注側の要望や求めている要件をRFPにまとめて記載することにより、システムに必要な要件を正確に伝えられます。RFPを受領した開発会社は、どのような機能を実装したシステムを開発するべきか判断でき、発注側企業の要望を的確に反映した提案書を作成しやすくなるでしょう。
必要な要件の伝達を口頭で済ませた場合、認識の食い違いや情報の抜け漏れが発生しかねません。こうした行き違いを防ぐことは、RFPを作成する大きな意義の1つといえます。
付加価値の高い提案を受けやすくなる
必要最小限の要件を満たす提案を受けられるだけでなく、より付加価値の高い提案を受けられる可能性が高まることも、RFPを作成する意義といえます。プロジェクトの目的やゴールが開発会社に共有されることにより、発注側企業の意図を汲んだ良質な提案書を作成しやすくなるからです。
実際、発注側企業には技術面の詳細な知見がないために、自社が求めているソリューションを明確にイメージできないケースも少なくありません。解決したい課題や達成したい目的を共有することで、より最適なソリューションを提案してもらえる可能性があります。
複数社の提案を公正に評価できる
発注先を選定するにあたって、評価基準を統一できることもRFPを作成する意義の1つです。一般的にRFPは複数の開発会社に向けて発行し、各社の提案書を比較検討した上で正式な発注先を決定します。その際、評価基準が明確になっていなければ公正な評価ができません。RFPに記載した要件を満たしているか、予算の範囲内に収まっているかなど、RFPの記載事項がどの程度実現できているかによって、公正な評価をしやすくなります。
スケジュールの妥当性を確認できる
複数の開発会社に同じ条件のもと提案書を作成してもらうことにより、自社が求めているスケジュールの妥当性を判断できるというメリットもあります。仮に無理なスケジュールを要望しているとすれば、どの開発会社からも「開発期間の延長が必要」といった回答が返ってくるでしょう。
複数社からこのような回答があれば、発注側企業は事前に設定したスケジュールの見直しが必要と判断できます。無理のないスケジュールで開発を進められることは、RFPを作成する意義の1つといえるでしょう。
トラブルを未然に防止できる
要望事項や開発の条件を明確に記載することで、トラブルを未然に防げることもRFPを作成する大きな意義といえます。希望する要件や性能に曖昧な点が残った状態で発注した場合、のちのち「言った」「言わない」の問題に発展しかねません。事前に開発会社側と情報を共有し、合意を得ておくことにより、こうしたトラブルを防ぐ効果が期待できます。
社内調整がしやすくなる
RFPは発注側企業における社内調整にも役立ちます。プロジェクトの趣旨や目的を文書で社内共有することにより、予算や開発期間の根拠を明示できるからです。結果として関係部署や経営層の理解を得やすくなり、人員や予算の確保をスムーズに進めやすくなります。このようにRFPは対外的な文書としてだけでなく、社内向けに情報を共有するための文書としても役立ちます。
自社の現状を見直す機会になる
RFPを作成する過程で自社にとって必要な要件を洗い出し、整理できることも大きな意義の1つです。自社が現状抱えている課題が言語化され、解決するべき問題点が明らかになることによって、必要としているシステムの条件が明確になります。
たとえばシステムのリプレイスを検討している場合、そもそも本当にリプレイスが必要なのか、現状のシステムで解決できることはないか、といったことをあらためて協議する意味においても役立つでしょう。
RFPを作成する際の注意点
RFPの意義を十分に活かすには、作成にあたって押さえておきたい注意点がいくつかあります。とくに重要度の高い注意点をまとめました。
RFPを作成する意義を理解した上で作成する
RFPをなぜ作成するのか、その意義や目的を十分に理解した上で作成を進めることが重要です。書式や形式にこだわるあまり、結果として自社の要望が正しく伝わらない文書になってしまうようでは本末転倒といわざるを得ません。RFPを発行することで達成すべき目的やゴールを第一に考え、作成の進め方や文書の体裁などに拘泥することのないよう注意する必要があります。
複数人の意見を参考にする
さまざまな部門・役職の社員にRFPを確認してもらい、意見を求めることも大切です。たとえば、システムを実際に利用する担当者の視点や、管理職の視点から要件や要望事項を確認してもらうことにより、抜けや漏れを防げる可能性があります。システム部門などの担当者が一人でRFPを作成し、そのまま開発会社に提示してしまうことのないよう注意しましょう。
現場の業務フローを考慮する
現場の業務フローを十分に考慮しておくことも重要なポイントの1つです。導入後のシステムを利用する部門の社員にRFPを見てもらい、業務の実態に即した要件になっているか確認してもらいましょう。システムの導入によってかえって業務を進めにくくなったり、導入後の問い合わせが頻発したりするのを防ぐためにも、現場の合意を得ておくことが大切です。
現実的な予算を設定する
RFPに記載する予算は、開発を進める上で現実的な金額に設定する必要があります。設定した予算が少なすぎると、想定している提案を受けられなかったり、求めている機能を十分に実装できなかったりするおそれがあるからです。
過去の開発事例を参照するのはもちろんのことですが、新たに開発するシステムの場合、過去の事例から費用を推測できない可能性があります。費用がイメージしにくい工程があるようなら、事前に開発会社に問い合わせて現実的な予算かどうかを確認しておくとよいでしょう。
追加要求が発生しないようにする
RFPに抜けや漏れがあったことにより、後から要求や要望が追加で発生しないよう十分注意しなければなりません。開発会社は、RFPにもとづいて人員体制やスケジュールを検討し、提案書を作成します。追加要求が発生した場合、開発費用を上乗せせざるを得なくなったり、納期の遅延につながったりすることも十分にあり得るでしょう。必須の要件が抜け・漏れなく記載されているか、何重にも確認を行ってからRFPを提出することが重要です。
RFPの意義を十分に理解した上で作成に取りかかろう
RFPは形式的に作成するものではなく、発注側企業の要望事項を正確に伝えた上で提案書の作成を進めてもらうための重要な文書です。RFPに抜けや漏れがあった場合、希望する条件に合った提案を受けられなかったり、のちのちトラブルに発展したりするおそれがあります。今回紹介したRFPの意義や作成時の注意点を参考に、自社の要望が正しく伝わるRFPを作成しましょう。