システムの開発を依頼するにあたって「RFP」や「RFQ」を発行することがあります。よく似ている用語ですが、作成する目的や役割が異なるため、両者の違いを正確に理解しておくことが大切です。
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今回は、RFPとRFQの作成目的や役割の違い、作成のポイントについてわかりやすく解説します。RFPとRFQの違いに関しても4つの観点からまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
RFPとは
RFP(Request for Proposal)とは「提案依頼書」のことです。RFPの作成目的・役割・作成のポイントを見ていきましょう。
作成目的
RFPは発注側企業の要望を正確に伝え、要望を踏まえた提案をしてもらうために発行します。オーダーメイドでシステム開発を依頼する場合、発注側企業がどのような課題を解決したいと考えているのか、そのためにどういった機能が必要か、予算やスケジュールはどのように想定しているのか、といった点を正確に伝えておかなくてはなりません。これらの情報を示した上で、要望に合った提案を受けるためにRFPを作成します。
役割
RFPは複数の開発会社に向けて発行し、提案書を比較検討した上で発注先を決定するために用いられます。つまり、発注先の選定を円滑に進めることがRFPの果たすべき主な役割です。
どの開発会社に対して正式に発注すべきか適切に判断するには、具体的な提案内容を踏まえて検討する必要があります。よって、RFPには発注側企業が求める要件や要望を漏れなく盛り込んでおくことが重要です。
作成のポイント
RFPは主に下記の3要素を軸に構成されます。
- プロジェクト概要
- 提案を受けたい要件
- 発注先の選定方法
とくに要件については、自社が現状抱えている課題や解決したい問題を示した上で、必要としている機能や性能を正確に伝える必要があります。開発会社が提案書に何を盛り込めばよいのかを伝え、発注側企業との間で認識のずれが生じないように作成することが大切です。
RFQとは
RFQ(Request for Quotation)とは「見積依頼書」のことです。RFQの作成目的・役割・作成のポイントを見ていきましょう。
作成目的
自社が要求する取引条件を伝え、条件にもとづいて見積書を作成してもらうことがRFQを発行する主な目的です。したがって、RFQの送付先は発注が決定している開発会社か、発注先の最終候補として絞り込まれた開発会社となります。
提案書の段階で開発費用の概算を記載してもらうことになるため、提案書に詳細かつ具体的な料金や支払方法などが記載されていれば、あらためてRFQを発行しないこともあり得ます。ただし、費用面の交渉や相談を経て発注することで、より適切な料金を提示してもらえるケースは少なくありません。よって、RFPで選定した開発会社に対して、あらためてRFQを発行するのが望ましいでしょう。
役割
開発会社が費用の見積もりをするにあたって、必要な条件を示すことがRFQの主な役割です。見積もりに抜けや漏れがあった場合、想定外の追加費用が発生するおそれがあります。こうした事態を回避するには、開発に着手する前の段階で費用面の合意を得ておくことが重要です。
また、見積もりに盛り込んでほしい項目を指定することにより、やり取りの回数を最小限に抑えられるというメリットもあります。発注側・受注側双方の負担を軽減するためにも、必要な条件を盛り込んだRFQを作成することが大切です。
作成のポイント
RFQは主に下記の要素を盛り込んで作成します。
- 依頼者情報
- 製品/サービスの仕様
- 数量および単価
- 補償条件
システム開発においては、工程ごとに費用を見積もるケースが少なくありません。よって、見積書とあわせて仕様書の提出を依頼し、仕様書と対応する形で見積もりを提示してもらうのも1つの方法です。
RFPとRFQの4つの違い
RFPとRFQの違いは、下記の3点に集約されます。
- 目的の違い
- 質問項目の違い
- 回答を求める範囲の違い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
目的の違い
RFPの作成目的:開発会社の選定
RFQの作成目的:選定した開発会社への見積もり依頼
RFPは提案そのものを依頼するための文書です。したがって、発注先の候補として挙がった複数の開発会社に対してRFPを発行します。一方、RFQはすでに発注が決定しているか、もしくは開発費用にもとづいて最終的な発注先を決定したい場合に発行するのが一般的です。したがって、次の順序でRFPとRFQを使い分けることになります。
- RFPを発行
- RFPを踏まえて作成された提案書を受領
- 提案書を元に発注先を選定
- 選定した発注先に対してRFQを発行
- RFQを踏まえて作成された見積書を受領
質問項目の違い
RFPにおける質問項目:開発可能なシステムに関する具体的な提案を求める質問
RFQにおける質問項目:価格要件に重点を置いた質問
RFPでは「どのようなシステムを開発できるか」について回答を得るための質問を設定するのに対して、RFQでは「そのシステムを開発するためにいくらかかるのか」について回答してもらうための質問を設けます。前述した目的の違いを踏まえると、重点を置くべき質問の違いがより明確になるでしょう。
回答を求める範囲の違い
RFPで求める回答の範囲:ベンダーの開発能力を判断するために必要な情報
RFQで求める回答の範囲:開発費用を適切に判断するために必要な情報
RFPは発注先を選定することを目的として発行するため、ベンダーが具体的にどのような機能を実装できるのか、どの程度の費用・期間で開発が可能であるかを判断するための回答を求めます。一方、RFQは見積もりを依頼することが目的の文書であることから、費用に重きを置いて回答を求める点が大きな違いです。
RFPとRFQの目的・役割の違いを押さえた上で作成しよう
RFPとRFQでは、開発会社に求めるアウトプットの種類が異なります。どのような回答を得るために発行する文書であるのかを踏まえて作成することにより、求める回答を得られる確度が高まるでしょう。今回紹介したRFP・RFQの作成目的・役割・作成のポイントを押さえた上で、システム開発の依頼を円滑に進めましょう。