YouTubeショートとは、主に横長の動画を投稿できる通常の動画プラットフォームとは別で、専用のフィードにて縦長の短尺動画を連続視聴するYouTubeのコンテンツです。YouTubeからのおすすめが次々に再生される特徴から、自社チャンネルを知らないユーザーにもコンテンツを届けやすいメリットがあります。
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この記事では、YouTubeショートの活用方法やポイントを、実例とあわせて紹介しています。「ショート動画に興味があるけれど活用方法がわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。
YouTubeショートについて
YouTubeショートとは、冒頭でもご紹介したように、縦長の短尺動画を連続で再生しコンテンツを楽しむYouTubeの機能です。
縦長の短尺動画を楽しむプラットフォームとしては、他にTikTokやInstagramリールがあります。「スワイプして次のおすすめを見る」という体験が同じのため、マーケティングのためにはYouTubeショートとあわせて同時運用するということもあります。
YouTubeショートでは2024年12月現在、「長さが3分までの正方形より縦に長い動画」はショート動画として分類され、専用のショートフィードで視聴可能になります。
YouTubeショートならではの特徴として、YouTubeショートのプラットフォームでライブ配信が可能となっています。ライブ配信に3分の制限はなく、配信後のアーカイブは通常の動画として扱われますが、配信中はショート動画として扱われるためユーザーがスワイプすることで配信に参加することがあります。
企業がYouTubeショートを活用すべき理由
まずは、企業がYouTubeショートを活用すべき理由を見ていきましょう。
チャンネル登録につながりやすい
YouTubeショートは、最長60秒の動画のため視聴のハードルが低いことが特長のひとつです。
ユーザーは長尺動画よりも多くの動画に触れられるため、動画の露出回数を増やす効果が期待できます。動画を視聴したユーザーがチャンネル登録を行うこともあるでしょう。
縦動画でスマートフォン視聴に最適
YouTubeショートは縦長動画のため、スマートフォンで視聴すると画面いっぱいに表示されます。
2018年に動画制作を専門とするモバーシャル株式会社が実施した調査によると、スマートフォンで動画を視聴する20代のうち、「動画をタテ向きのみで視聴する」と回答したユーザーは39.2%でした。
年代が上がるにつれて「タテ向きのみ」の割合は減少しますが、「(タテ向き・ヨコ向き)両方」の回答と合わせると、全世代でおよそ7割が縦画面で動画を視聴しています。つまり、スマートフォンでは横向きの動画でも縦のまま視聴されることが多く、特に若い世代でその傾向が顕著であることがわかります。
YouTubeショートのような縦動画は、スマートフォンを横向きにする手間もなく、気軽に視聴できます。また、縦画面いっぱいに表示されるため、横向きの動画よりも没入感が強いのもメリットといえます。
縦長のYouTubeショートは、スマートフォンでの視聴に最適な形といえます。
尺が短いため通常投稿より手間が少ない
YouTubeショートはスマートフォンのみで撮影・投稿ができるため、気軽に投稿できる点が魅力です。TikTokやInstagram用に制作した動画をYouTubeショートで再利用することもできます。
撮影や動画編集などにかける時間が減り、外部の会社に動画制作を依頼するためのコスト削減にもつながります。
企業のYouTubeショート活用方法と成功事例
企業の主なYouTubeショート活用方法は、次の4つです。
- 業界ノウハウ・専門知識を解説
- 自社商品の使い方や特徴を解説
- 体験を提供
- 社員や会社の紹介
それぞれの概要と、実際の活用事例をご紹介します。
業界ノウハウ・専門知識を解説
業界のプロが持つノウハウや専門知識を提供したり、Q&A形式で日常の疑問に回答したりすることで、視聴者に役立つ情報を発信します。人事・労務系の知識や資産運用、不動産など、専門知識が必要な分野で需要が高いでしょう。
ユーザーが知りたい情報をわかりやすく解説することで、企業やブランドの認知度やチャンネルの信頼性向上につながります。
例1:doda
大手転職サイトdodaが運営する「doda転職応援チャンネル」は、キャリアに関する疑問や転職に役立つ情報を発信するチャンネルです。
ショート動画では、現役キャリアアドバイザーが視聴者から寄せられた転職の悩み・疑問に回答したり、転職活動のコツを発信したりしています。
例2:ベルリッツ・ジャパン株式会社
英会話教室や語学スクールを運営するベルリッツ・ジャパン株式会社のYouTubeショートでは、英会話のコツや世界各国の言語表現などの動画が投稿されています。
ストーリーを交えながらビジネスや普段の会話で使える英語表現が紹介されており、ユーザーは動画を楽しみながらスキルアップできます。
自社商品の使い方や特徴を解説
YouTubeショートは、自社商品・サービスの紹介や、ユーザーに役立つ便利な使い方を解説するのにも活用できます。
例えば、食品メーカーなら商品を使ったレシピ、アパレル企業なら自社商品のメンテナンス方法やコーディネートなどを紹介すると良いでしょう。
例1:味の素株式会社
出典:味の素KK公式チャンネル(AJINOMOTO OFFICIAL)|YouTube
味の素KKの公式チャンネルでは、自社商品を使ったレシピがショート動画として投稿されています。
料理をおいしく作るためのコツや火加減などが短時間でわかりやすくまとまっており、テロップが入っているので音声をミュートにしても内容が理解できます。
例2:ライオン株式会社
ライオン公式チャンネルのショート動画では、ライオン製品のプロモーション動画や、製品の活用方法などが紹介されています。
特に自社の洗剤を利用した洗濯方法の解説動画が豊富で、洗剤の使い方や洋服のたたみ方などが動画で詳しく解説されています。
体験を提供
旅行会社やホテル・テーマパーク、不動産会社など、現地ならではの疑似体験を届けるショート動画は、ホテルのルームツアーや旅行先のアクティビティ、不動産の内見などにおすすめです。フルスクリーンで視聴できるため、没入感が高いのがメリットです。
例1:LAKIA不動産
LAKIA不動産は土地や戸建て、賃貸などを扱う不動産会社です。YouTubeショートには賃貸の部屋を案内する動画が投稿されています。
部屋の中を丁寧に案内しているのはもちろん、必要な情報がテロップでわかりやすく補足されています。また、社員が途中でダンスをするなど、最後まで飽きさせない工夫が参考になります。
例2:Disney Parks
ディズニーパーク公式のYouTubeチャンネルです。キャストやディズニーキャラクターにパーク内を案内されているような雰囲気を楽しめるショート動画が多く投稿されています。
また、ハロウィンやクリスマスの準備など、普段は見ることのできないディズニーパークの裏側も公開されており、ワクワク感が楽しめます。
社員や会社の紹介
社員の紹介やオフィスツアーなどの動画も人気です。会社に親しみを持ってもらい、「この人と働いてみたい」「この会社をもっと知りたい」と思ってもらえるような動画を作りましょう。
エンタメ要素のある動画でリーチを広げ、視聴回数を増加させることで効率的にチャンネルの登録者数を増やせます。
例1:トゥモローゲート株式会社
企業ブランディング事業などを展開しているトゥモローゲート株式会社の代表が運営するチャンネルで、代表や社員へのインタビュー、働く姿、オフィスなどが紹介されています。テロップやエフェクトで、最後まで飽きずに視聴できるのが魅力です。
さらに、ショート動画の続きとして通常のYouTube動画のリンクをコメント欄に貼るなど、登録者数を増やすための導線も参考になります。
例2:大京警備保障株式会社
大京警備保障株式会社は、列車見張や交通誘導警備事業を展開する警備会社です。YouTubeショートでは、警備会社の堅いイメージとは異なる、エンタメ性の強い動画が投稿されています。
「明るい職場」「羨ましい」などのコメントがあり、会社を知らないユーザーも親しみを感じられるでしょう。
YouTubeショート動画どう制作する?【撮影・マーケティングのポイント】
ご紹介した事例を参考に、自社ならではのショート動画コンテンツを企画してみましょう。
具体的には、以下の流れでショート動画制作を進めてみてください。
制作の目的を定める
ショート動画をなんのために制作して公開するのか、その目的を定め、チームやプロジェクト内で共有します。YouTubeには通常の動画プラットフォームや広告もあるため、ショートならではのコンテンツを企画したいところです。
通常の動画コンテンツと比べると、ショートでは気軽に見られるエンタメ性が好まれるため、カジュアルな企画やワンポイントアドバイスのような内容が適しています。
また、投稿するショート動画をシリーズで企画するなどして、世界観の統一に努めることも重要です。統一感はチャンネルの特徴につながるだけでなく、チャンネル運用上でも効率化が図れます。
撮影する
目的を定め、企画が出来上がったら、ショート動画を撮影します。
通常動画を制作する際もスマートフォンでの撮影に特に問題はありませんが、ショート動画だとさらに適しているといえるでしょう。プロのカメラマンによる撮影よりも、スマートフォンで撮った素人感のある映像のほうが企業色を薄め、親しんでもらえる可能性があります。
特にスモールスタートがしたい場合には、スマートフォン一本でも撮影から編集、投稿まで完了できます。もし機材を投資する余裕がある場合は、自立と持ち手の両立ができるミニ三脚がおすすめです。また、音声にこだわると動画のクオリティに一つ差がつきます。
スマートフォンでも動作する小さいガンマイクを使えば、演者の音声をくっきりと集音でき、野外の撮影時に風切り音を消すことも可能です。
YouTubeショートは、ランダムにおすすめされる動画を次々に視聴する仕様から、ユーザーに興味ないと思われたらすぐにスワイプで飛ばされてしまいます。見どころやインパクトの強い映像を最初に持ってこれるように構成を作り、撮影に臨みましょう。
編集する
動画を撮影できたら、必要な編集を行います。YouTubeショートでは例えば、会話の間を詰めるなどの編集でテンポよく見られるようになり、ユーザーに視聴してもらえる可能性が高くなるでしょう。
また、できるだけ字幕を入れることもおすすめです。無音で動画を見ているユーザーにも内容を伝えられるだけでなく、音ありで見ていても字幕があることで理解しやすくなります。
制作会社に依頼する
ここまで、自社でショート動画を制作する際のポイントを解説してきましたが、そのリソースが社内で確保できない場合は制作会社に依頼することもできます。
制作会社は本格的な撮影を得意としていることが多いと思われますが、要望を伝えることで、スマートフォンを使ったカジュアルなショート動画も制作してくれます。
その際には、どのような動画を作りたいかだけでなく、動画を公開することでどんな目的を達成したいのかも伝えるようにしましょう。目的を共有することで、イメージどおりのコンテンツ制作につながります。
YouTubeショート動画の投稿方法
ここでは、YouTubeショート動画を投稿する手順についてご紹介します。
アカウントを作成
まだアカウントを作成していない場合は、ブランドアカウントの作成を行いましょう。ブランドアカウントとは、Gメールアドレスでログインできる個人アカウントとは別に作成できるアカウントのことで、これがいわゆるチャンネルとなります。
ブランドアカウントの作成は簡単で、一度作成したら複数人でログインし、チーム管理することも可能です。
- Google アカウントの作成
- チャンネルを作成
- 各種設定
詳しい手順や設定項目については、以下コラムをご覧ください。
投稿の手順
YouTubeショートの動画は、スマートフォンのYouTubeアプリからアップロードしたり、YouTubeアプリで撮影してすぐにアップロードしたりすることもできます。一方、企業がYouTubeショートを運用する場合、企画に沿って制作し、PCからアップロードすることがほとんどでしょう。
ショート動画を投稿するには、通常の投稿と同じく、YouTube Studioにアクセスして動画のアップロードを行います。
このとき、動画が正方形より縦長で3分以内だった場合、自動的にショート動画として処理されます。生成された動画リンクに「shorts」と入っているのがわかります。
また、YouTubeではショート動画でおすすめに載りやすくするため、説明欄に「#shorts」を入れることを推奨しています。
スマートフォンアプリから投稿する場合は、まずアプリ画面下の「+」をタップします。PCブラウザと同様に、正方形より縦長の3分以内の動画だと自動的にショートとなります。
アプリからアップロードする場合は、アップロード後に編集を加えることもできます。特に「サウンドを追加」はアプリからのみ行える編集で、YouTubeショートでよく使用されている音楽をYouTubeライブラリから追加できます。
アップロード確認画面まで進むと、ショート動画として処理されていることがわかります。
YouTubeショートを活用して多くのユーザーにリーチしよう
YouTubeショートは低コストで多くのユーザーにリーチできる点が大きなメリットで、うまく取り入れている企業も多くあります。ただし、内容の工夫がないとすぐに離脱される可能性もあるでしょう。
まずはYouTubeショートを投稿する目的を明確にし、ユーザーが思わず視聴してしまうような動画を作りましょう。人に拡散したくなるような動画であれば、情報の拡散効果も期待できます。