ほとんどの営業部門やマーケティング部門にとって、両部門の連携は切実なトピックであり、ビジネスを始めた瞬間から避けられない課題です。HubSpotブログではこれまでにも、この2部門を円滑に連携させる方法について何度かご紹介してきました。

多くの企業が営業とマーケティングの連携に取り組んでいますが、ビジネスを成長させ、規模を拡大し、顧客へのサポートを強化するには、カスタマーサービス部門もその取り組みに引き込む必要があります。
営業部門とマーケティング部門は既に連携体制を築けているものの、顧客へのサポートにもっと意識を向けたいという場合、現状とのギャップを埋めてくれるのは「レベニューオペレーション(RevOps」かもしれません。
レベニューオペレーション(RevOps)とは?
Revenue(収益)のオペレーション、つまり営業・マーケティング・カスタマーサービスの各部門を支えるオペレーション機能を調整するための取り組みです。
レベニューオペレーションの目的は、収益向上を担う組織の、目標と業務活動に関する説明責任を果たし、情報共有を確実に行うことです。通常は営業、マーケティング、カスタマーサービスが協力して進めます。この3部門の連携は、B2B企業にとっては特に重要です。ある調査では、B2B企業の78%が安定した収益成長が課題になっていると回答しています。それを解決するカギになるのが、綿密に用意されたレベニューオペレーション戦略です。
まだ新しい概念ですが、先進的な企業を中心に急速に広まっています。LeanDataのRevOpsに関するレポートによると、2018年から2019年の1年間でレベニューオペレーションを採用する企業が55%増加しました。さらに、2018年のForresterの調査では、レベニューオペレーション担当ディレクターという職種が営業ディレクターを68%も上回っています。
レベニューオペレーション部門の目標は、その企業が何を目指しているかによって変わってきますが、成果を測定するための指標としては主に次のものが挙げられます。
- 年間経常収益
- 顧客生涯価値(LTV)
- 顧客回転率
- 営業サイクルの長さ
- 成約率
前述したような取り組みに見覚えがある方は「営業とマーケティングを連携させることとレベニューオペレーションとで何が違うの?」と疑問に思うかもしれません。
両者にはいくつかの違いがあります。詳しく見ていきましょう。
「営業とマーケティング」だけを連携させることが目的ではない
営業とマーケティングの連携は、原則として2つの独立した部門間のコミュニケーションによって成立します。この2部門が、業務を明確に切り分け、オープンかつ頻繁にコミュニケーションを取っていて、互いの活動が相反したり重複したりするのではなく、補完し合えているなら、連携体制が築けているといえるでしょう。
営業とマーケティングが連携すると、組織内のワークフローに相乗効果が生まれ、マーケティングから営業への明確なリードの引き渡しプロセスを構築できるようになります。通常、営業とマーケティングの連携は、両部門のメンバー全員が、セールスイネーブルメント部門やマーケティングオペレーション部門とも力を合わせながら進めていきます。
何かが欠けていることにお気づきでしょうか? LeanDataのRevOpsに関するレポートによると、B2B企業の95%が、顧客のライフサイクルを通してシームレスで一貫性のある良質な体験を提供する能力が収益拡大のカギだと考えています。質の高い顧客体験を創出することが重要になるなら、カスタマーサービスも上記の連携に参加する必要があるはずです。
SiriusDecisionsのRevOpsに関するレポートによると、B2B企業で特に連携が進んでいないのは、セールスイネーブルメントとカスタマーサービスの間、そしてマーケティングオペレーションとカスタマーサービスの間です。この結果からは、顧客満足度を維持するために必要な取り組みが、現状ではすべて実施されているわけではないという実態が垣間見えます。
つまりレベニューオペレーションとは、これらの部門を統括し、部門の壁を超えて効果的なサポートを提供するための取り組みなのです。
画像出典
営業とマーケティングの連携では、顧客の獲得とコンバージョンに必要なコミュニケーションを重視していますが、レベニューオペレーションでは、顧客のライフサイクル全体を最適化して収益性を高めることに重点を置いています。企業の顧客ライフサイクルの価値を最大限に引き出せるよう最適化するためには、レベニューオペレーション戦略の導入が効果的でしょう。
レベニューオペレーション導入状況は?
上述のとおり、レベニューオペレーションはとても新しい概念です。ただ、現時点までの調査結果を見ると、伸び悩みの状態を打破したい企業にとっては有望なアプローチになり得ることが分かります。
現在、多くの企業が採用を進めている段階です。2018年から2019年にかけて、レベニューオペレーションのグループを編成している企業は80%増加しました。
レベニューオペレーション戦略を採用している企業のうち、約29%が部分的な集中管理を行い、約17%が完全な集中管理を実現しています。
導入状況の詳細については、次のデータをご覧ください。
ここまで見てきたように、RevOpsの導入にはさまざまなメリットがありますが、B2B企業がメリットを享受するには、いくつもの課題を克服しなければなりません。
こうした収益拡大を推進するための全社的な体制は「レベニューエンジン」とも呼ばれますが、これが既に確立されている企業では、データの質とアクセス性が十分でなく、一元管理されていないことが、トップクラスの顧客体験の実現を妨げる大きな要因となっています。具体的な成果を挙げるまで多少の手間はかかりますが、レベニューオペレーションを適切に導入すれば、レベニューエンジンを支える全チームのデータの一元化を促進できます。
継続的に収益を向上させたいと考えるB2B企業は、競争力を維持するためにも、レベニューオペレーションの導入を優先して考えるべきでしょう。企業の収益性を最大限に高める方法については、セールスオペレーションの究極ガイドで詳しく説明しています。

