今日では、インターネット上で豊富なマーケティング資料を調達できるため、顧客が購入決定に必要な情報についてセールス担当者に問い合わせる必要はなくなりました。インバウンドセールス担当者は、顧客の背景情報に合わせてセールス活動をパーソナライズすることの必要性を理解しています。
一方で、インバウンド セールス チームは、顧客に合わせてセールス戦略全体を変革しなければいけないことを認識しています。
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インバウンドセールス手法
インバウンドセールス部門は、バイヤージャーニー全体を通じてプロスペクト(潜在見込み客)をサポートするセールスプロセスを開発します。このバイヤージャーニーは、「認識」、「検討」、「決定」という3つの段階に分かれます。
また、インバウンド セールス チームは、4つのアクション(特定する、関係を築く、深く理解する、解決に導く)を実施して、有望なリード(見込み客)を商談へと導き、最終的に顧客へと転換していくサポートをする必要があります。
バイヤージャーニーを中心にセールスプロセスを構築
まずは、既にバイヤージャーニーの最初の段階にいるプロスペクトに優先的に働きかけます。ブログやソーシャルメディアといったオンラインでの会話に参加して、プロスペクトとの信頼関係を築きましょう。その後、プロスペクトの業界、役職、コミュニケーションの好みに合わせてメッセージをパーソナライズすることで、効果的なセールストークを開始します。
アドバイスや思いがけない情報を提供することから始めましょう。プロスペクトが興味を示したら、「深く理解する」モードに移行します。
プロスペクトのスケジュールを把握して、それに合わせてセールスプロセスを調整します。適切な場所、適切なタイミングでプロスペクトに適切な情報を提供するように心がけてください。
これこそがプロスペクトから好感を得るセールスプロセスなのです。
従来のセールス担当者とインバウンドセールス担当者の比較
従来のセールス担当者
- バイヤージャーニーの最初の段階にいるプロスペクトを把握していない
- 型にはまったアプローチ方法を使用し、汎用的なエレベーターピッチで会話を進め、予算に見合った提案をする
- プロスペクトが興味を示した場合に「プレゼンテーション」モードに移行する
- 毎回同じプレゼンテーションを行い、割引を提供することで、プロスペクトが期限内に購入するように促す
インバウンドセールス担当者
- バイヤージャーニーの最初の段階にいるプロスペクトに優先的に働きかける
- オンラインでのプロスペクトの会話に参加し、パーソナライズされたメッセージやアドバイスを伝えて信頼関係を構築する
- プロスペクトが興味を示した場合に「深く理解する」モードに移行する
- プロスペクトごとにプレゼンテーションをパーソナライズし、プロスペクトのスケジュールに合わせてセールスプロセスを調整する
インバウンドセールスの4つのアクション
1)特定する
最初から適切なビジネスチャンスを特定できるかどうかが、ビジネスの成否を決める鍵となります。また、どのような情報を特定する必要があるかを把握していれば、セールス担当者は予測可能で拡張性の高いセールスファネルを作成できます。
2)関係を築く
インバウンドセールス担当者は、リードとの関係を構築し、リードが現在の目標や課題を優先するべきかどうかを判断するサポートをします。リードがその目標や課題に優先的に取り組むと判断した場合には、その時点で有望なリードへと変わります。
3)深く理解する
インバウンドセールス担当者は、有望なリードの目標や課題を深く理解し、それに対応するうえで自社のサービスが適切かどうかを評価します。
4)解決に導く
インバウンドセールス担当者は、自社のソリューションが独自にプロスペクトのニーズに対応できる理由について説明します。
バイヤージャーニーの各段階で実施するアクション
特定する
プロスペクトの大半は、セールス担当者とのやり取りを開始する前に、既にバイヤージャーニーの「認識」段階にあります。インバウンドセールス担当者は、受動的なプロスペクトよりも能動的なプロスペクトに優先的に働きかけます。能動的なプロスペクトとは、最近企業のウェブサイトにアクセスした、フォームに情報を入力した、セールス担当者からのEメールを開封したなど、何らかの積極的な行動を取ったプロスペクトを指します。
調査する。条件に適した顧客に連絡してLinkedInで紹介してもらえるように依頼し、Googleアラートを設定します。
インバウンドのリードや企業にアプローチする。インバウンドのリードとは、ウェブサイトにアクセスして、コンバージョンフォームからコンタクト情報を提供し、理想的な顧客のプロフィールに一致する企業に所属しているリードのことです。
行動に基づいてリードにアプローチする。イベントをトリガーするテクノロジーを活用して、ウェブサイトにアクセスしたり、Eメールを開封したり、価格表のページを閲覧したりしているプロスペクトを把握します。
関係を築く
従来のセールス担当者は、毎回同じ汎用的なエレベーターピッチを含む定型のEメールやボイスメールを使用し、割引を提供することで購買意欲を高めようとします。インバウンドセールス担当者は、会話の中でプロスペクトの背景情報に合わせてパーソナライズされたメッセージを伝えます。この背景情報には、プロスペクトの業界、役職、関心、共通のつながりなどが含まれます。
ペルソナを定義する。アプローチしようとしているプロスペクト固有の視点を理解します。まず、ターゲットとする企業の種類別に市場をセグメント化します。次に、ターゲットとするプロスペクトの種類に応じてペルソナを定義します。
各ペルソナのシーケンスを定義する。各ペルソナにアプローチするために使用する媒体を決定します。そのペルソナへの連絡には電話とEメールのどちらが適していますか? 何回目のアプローチで見込みがないという結論を下しますか?
各シーケンス向けのコンテンツを定義する。これらのプロスペクトの大半は、バイヤージャーニーの「認識」段階にあります。そのため、セールス担当者の目標は、製品を売り込むことや、デモを実施することではありません。プロスペクトの問題やビジネスチャンスについて情報を提供することです。
深く理解する
プロスペクトを深く理解するために会話を掘り下げていきます。主導権はセールス担当者にあるものの、プロスペクトは適切な意思決定を下すためにセールス担当者にサポートしてもらっていると感じます。BANTのような従来のクオリフィケーションフレームワークとは異なり、この新しい調査フレームワークはプロスペクトとオープンに共有できます。
まずはプロスペクトの課題に着目する。一般的に、人は進展を妨げるような課題がなければ物事を変えようとはしません。ささいな言葉の違いですが「問題」ではなく「課題」と表現することで、ポジティブな効果をもたらします。
上記の課題と目標を結びつける。プロスペクトの目標について話し合います。「優れたソリューションがなく、目標を達成できないおそれがある」などの現状に対する不満にも耳を傾けましょう。
プロスペクトのスケジュールに合った計画を提案する。自社の製品によってプロスペクトの目標や課題に対応できることを説明します。競合他社には真似できない方法で支援できる独自の戦略があれば理想的です。
予算について話し合う。最後に、プロスペクトが新しい計画を実行するために必要な資金を投資できるかどうかを理解する必要があります。金銭面、時間、人的資源への投資といったあらゆるコストを考慮してください。
解決に導く
インバウンドセールス担当者は、自社のサービスが独自にプロスペクトの背景情報に対応できる理由を説明します。従来のセールス担当者は、汎用的なメッセージを繰り返し、プロスペクト固有のニーズに対するソリューションとして自社の戦略を提案することができません。プロスペクトが知りたいのは、自社の現在の課題を解決するうえで、各機能が具体的にどのように役立つかということです。
インバウンドセールス担当者は、自社のウェブサイトに掲載されている汎用的なメッセージをそのまま伝えるのではなく、プロスペクト固有のニーズに合わせてカスタマイズして伝えるという役目を果たしています。
プロスペクトから得られた情報を要約する。プレゼンテーションの最初に、プロスペクトの現状、課題や目標など、以前の会話から収集した情報を振り返ります。プロスペクトを独自の方法で支援できることを印象付けてください。
目標を達成する方法を提案する。カスタマイズされたプレゼンテーションを作成し、プロスペクトの目標や課題と自社のサービスを結びつけることで、自社のサービスがどのように役立つかを具体的に説明します。
予算、オーソリティ(権威性)、スケジュールを確認する。アカウントを準備してソリューションを実装するまでに必要な期間を考慮して、そこから逆算して契約を締結する時期を決定します。プロスペクトの設定した期限に間に合うスケジュールを提案してください。
新しいセールス手法
インバウンドセールス手法は、見ず知らずの他人が顧客になるまでのバイヤージャーニーのすべての段階と、各段階に対応するセールス担当者のアクションを網羅しています。この新しい手法から、インバウンドセールスが自然に発生するものではなく、セールス担当者自身が実施するものだということがわかります。
セールス担当者は、セールスプロセスをパーソナライズするツールを使用して、適切なリードを見極め、適切な場所、バイヤージャーニーの適切な段階でアピールする必要があります。