マーケティング担当者とセサミストリートのモンスター、両者の共通点は何でしょうか? 答えは、「Cookieが大好き」ということです。
企業は何年にもわたり、ウェブサイトへの訪問者のトラッキング、ユーザーエクスペリエンスの向上、適切なオーディエンスへの広告表示に役立つデータ収集などにCookieを活用してきました。またCookieは、自社サイトの訪問者がほかにどのようなサイトをチェックしているのかを把握するためにも活用されています。
しかし、Google は2022年までにChromeブラウザーにおけるサードパーティーCookieの段階的な廃止を検討しています。CookieやGoogle の広告トラッキングツールの使われ方が劇的に変わるかもしれません。
サードパーティーCookieの廃止は当初、2020年2月に発表されましたが、Google が「ウェブ横断的に個人を追跡する代替的識別子の構築をしないこと、また広告製品でこれらを使用しないこと」を2021年3月に発表したことで、さらに注目が高まりました。
Google の記事には次のように書かれています。「他社サービスでは、例えば個人のEメールアドレスに基づくPII(Personally Identifiable Information:個人を特定し得る情報)グラフのような、ウェブ横断的に広告トラッキングを行うためのユーザー識別子を提供する可能性がありますが、Google はこれを行いません。このようなソリューションは、プライバシー保護に対する利用者の期待の高まりに応えられないだけでなく、急速な厳格化をみせる規制への順守を困難にするものであり、長期的に持続可能な投資ではないと捉えています。その代わりに、今後Google のウェブ広告製品は、個人の追跡防止と広告主やパブリッシャーにおける成果の実現を両立するプライバシーを保護したAPI(英語)に依拠するようになります」
以下に、サードパーティーCookieの廃止と、トラッキングのセキュリティーに関するGoogle の方針転換に至る経緯を簡単に記します。その後、2022年に近づく中で、マーケティング担当者の観点で留意すべきことをいくつかご紹介します。
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サードパーティーCookie廃止の経緯
このニュースを初めて知ったという方もいらっしゃるかもしれませんが、私たちは2020年から動向を追い続けています。
昨年1月、Google はブログ記事で廃止を発表し、方針の転換に関する背景を初めて示しました。冒頭で紹介した発表文と同様に、Google は廃止について、「さらなるプライバシー保護を求めるユーザーを守るため」と説明しています。
「ユーザーは、透明性や個人データの使用方法に関する選択と制御など、プライバシーの強化を求めています。ウェブのエコシステムが、この高まる要求を満たすように進化しなければならないのは明らかです」と、記事に書かれています。
FirefoxとSafariはすでにサードパーティーCookieを廃止していますが、Google の記事によると、今回の方針変更によってオンライン広告ビジネスが壊滅的な打撃を受けることのないよう、Google は広告主と連携しながら2年間かけて変更を実施するとしています。
ブログ記事には次のように述べられています。「ブラウザの中には、サードパーティのCookieをブロックすることでこの懸念に対応しているものもあります。しかし私たちは、それが意図しない形でユーザーとウェブのエコシステムの両方に悪影響を与える結果になると考えています。広告によってサポートされている多くのウェブサイトのビジネスモデルを過小評価し、Cookieに対して洗練されていないアプローチをとることになれば、フィンガープリンティング(プライバシーの侵害につながる可能性があるCookieに代わる方法)などの不透明な技術の使用が増加し、実際にはユーザーのプライバシーや制御が減少することになります。コミュニティとしての私たちは、それよりもよい方法を実現できるはずです。そして、それを実現しなければなりません」
Chromeは、サードパーティーCookieを廃止する最初のブラウザーではありませんが、利用者数は最大です。2019年後半には、Google Chrome はウェブブラウザー市場で56%を超えるシェア(英語)を獲得していました。また、世界の全ウェブトラフィックの半数以上(英語)を占めています。
出典:Statista(英語)
一方で、2013年からサードパーティーCookieをブロック(英語)しているSafariとFirefoxは、1位との差は大きいですが、それぞれ2位と3位につけています。
2022年までにChrome、Safari、Firefoxのいずれもこの種のデータトラッキングをサポートしなくなるため、DigidayなどのメディアではGoogle による廃止を「サードパーティーCookieの終焉」と呼んでいます。
これからどのような変化が起こるのか?
プライバシー、データ、広告に関するあらゆる大きな変化と同様に、今回の廃止やGoogle による広告トラッキングの終了がオンラインビジネスのあり方をどのように変えるのか、評論家やメディアによって大々的に報じられています。
しかし、本当に慌てる必要があるのでしょうか?
実際のところ、Google Chrome のプライバシー対策によって、マーケティングおよび広告の市場の一部が大きな影響を受ける可能性はありますが、他の施策はほとんど変わらないと考えられます。
ただ、Web上のユーザーにピンポイントでターゲティングするために、サードパーティーデータや個人データを活用してきた広告主やマーケティング担当者にとって、今回の方針転換は懸念材料になっているかもしれません。
大きな変化が進む一方で、新たな代替策も登場しています。サードパーティーCookieのない世界に向けて準備を整えるため、直近のCookieの廃止について留意すべき5つのことをご紹介します。
Googleのプライバシーに関する方針転換について知っておくべき5つのこと
1. Google は全てのCookieを禁止するわけではない
Cookieを活用したあらゆるマーケティング戦略が間もなく廃止されると受け止めていた方は、ご安心ください。
これまでのところ、Google は自社ブラウザーにおけるサードパーティーCookieの廃止のみを計画していると述べています。自社サイトの訪問者について基本データをトラッキングするファーストパーティーCookieは、引き続き利用できるということです。
実際、Google は2021年の発表の中で、ファーストパーティーの関係構築を「重要」と表現しています。つまり、どのブラウザーにおいても、自社サイトの訪問者から取得したファーストパーティーデータが影響を受けることにはならないのです。
ファーストパーティーCookieとサードパーティーCookieの違いが分かりにくいかもしれません。分類について簡単にご説明しましょう。
ファーストパーティーCookieとは?
ファーストパーティーCookieとは、ウェブサイトの訪問時に既定で訪問者のコンピューター上に発行、保存されるコードのことです。このCookieは多くの場合、ユーザーエクスペリエンスのために使用されます。パスワード、訪問者に関する基本データ、各種設定の保存を担っているからです。
ファーストパーティーCookieを利用することで、ユーザーのウェブサイト訪問中の行動や訪問頻度を把握し、訪問者に対する効果的なマーケティング戦略の策定や自動化に役立つその他の基本的な分析を行うことができます。しかし、自社ドメインと関係のないその他のウェブサイトにおける訪問者の行動については、データを確認できません。
Amazonがどのようにしてユーザーのログイン情報、使用言語、カート内の商品など、ユーザーエクスペリエンスをスムーズにする重要項目を記憶しているのか、不思議に思ったことはありませんか? これはまさに、AmazonがファーストパーティーCookieを利用してこうした基本情報を記憶しているのです。
一方で、CMS(コンテンツ マネジメント システム)でウェブサイトを運営しているマーケティング担当者の方は、ファーストパーティーCookieのデータをトラッキングするアナリティクス(分析)ダッシュボードを利用しているはずです。例えば、一般的にはウェブページのセッション数、訪問中にクリックされたページ数、基本的なブラウザーの種類、地域のデモグラフィック(人口統計学的情報)、さらには訪問者が自社サイトのURLへのリンクをクリックした参照元ウェブサイトなど、基本的な分析結果を確認できます。しかし、このデータからは、訪問者による全てのオンライン行動を把握することはできません。
サードパーティーCookieとは?
サードパーティーCookieとは、ウェブサイト訪問者のコンピューター上に保存されるトラッキングコードで、自社サイトとは別のサイトから発行されたものです。訪問者が自社サイトや別のサイトを訪問すると、サードパーティーCookieがこの情報をトラッキングし、Cookieを発行したサードパーティー企業(広告主など)に送信します。
広告主はサードパーティーCookieのデータを活用することで、自社サイト訪問者のオンライン行動全体を把握できます。例えば、頻繁に訪問するウェブサイト、購入履歴、さまざまなウェブサイトで関心を示したものなどが挙げられます。この詳細なデータから、訪問者の詳しい人物像を浮かび上がらせることができます。こうしたデータがそろえば、リターゲティングリストを作成できるため、過去の訪問者や同じようなウェブプロファイルのユーザーに広告を送信できるようになります。
サードパーティーCookieのデータの仕組みをイメージしてみましょう。Amazonで特定のスマートテレビについて調べているとします。そして数時間後、別のサイトにアクセスすると、調べていた製品についてAmazonの広告が表示されます。Amazonが運営するサイトを開いているのでなければ、この広告はサードパーティーCookieのデータによって表示された可能性が非常に高いと考えられます。
ファーストパーティーCookieは自動的に受け入れられますが、サードパーティーCookieの受け入れについては訪問者に通知しなければなりません。企業が訪問者から取得できるデータが広範になるためです。
結論としては、自社サイトの訪問者を対象に、自社サイト訪問中の行動、設定、基本的なデモグラフィックのみをトラッキングすることが目的なら、おそらく今回の変更によって大きな影響を受けることはないと言えます。
しかしマーケティング担当者として、オンライン広告やポップアップ広告、ピンポイントのターゲティング戦略に広範なデータを活用している場合は、引き続き、今回の廃止に関する最新のニュースをキャッチしながら、廃止が近づくにつれて代替となるファーストパーティー戦略について検討する必要があります。
2. 多くのマーケティング担当者にとってCookieの廃止は織り込み済み
「サードパーティーCookieの終焉」は衝撃的に感じられたかもしれませんが、驚きではありませんでした。
近年、世界各地の政府がデータプライバシーに関する問題を調査し、取り締まりを強化しています。例えば2019年10月に激震が走った事例として、欧州連合(EU)司法裁判所(英語)は、全てのアクセス解析用Cookieに対し、EUのユーザーからウェブサイトへのログイン時に明確に同意を得なければならないとの裁定を下しました。同意を得られない場合、アクセス解析用CookieやウェブトラッキングCookieをウェブサイトからユーザーのブラウザーに発行することはできません。
このGDPRに関する裁定(英語)は、ウェブサイト運営者が暗黙的な同意(つまり、ウェブサイトにCookieバナーが表示されたままユーザーが閲覧を続ける状態)に頼ることができなくなったことを意味します。アクセス解析用CookieやウェブトラッキングCookieをブラウザーに発行する前の時点では、受け入れに対する同意を得られたとみなせないことになります。
自社サイトがGDPR対象地域外で国内ユーザーのみをターゲットにしていた場合、影響はなかったかもしれません。しかし、Cookieに依存しているGoogle アナリティクスの数値が実際よりも低く見え始め、グローバル展開しているウェブサイトのアクセス解析は大きな打撃を受けました。
Google アナリティクスを活用していた世界的な企業は、データ重視のブランドがソフトウェアの問題による影響を受けやすいことを思い知らされました。また、行政による統制やプライバシーに関する規制によって戦略に著しい影響が出る可能性も示されたのです。
2019年8月、Google は「プライバシーサンドボックス」の開発に取り組んでいることを発表しました。この発表時点では完成品はなかったものの、ブログ記事(英語)では、このツールによって、これまでと同程度の量のユーザーデータを取得することなく、マーケティング担当者が引き続き適切なオーディエンスに広告の公開、配信を行えると説明しています。
Chromeエンジニアリング担当ディレクターであるJustin Schuh氏は、Google のブログ記事(英語)で次のように述べています。「私たちは、パーソナライゼーションを安全に実現する環境として、ユーザーのプライバシーも保護するプライバシーサンドボックスについて、暫定的なアイデアを共有し始めました。その中には、引き続きユーザーに関連性の高い広告を表示できるようにする一方で、ユーザー情報を匿名で集約し、非常に多くのユーザー情報をデバイス上に留めることで、ウェブサイトや広告主に共有されるユーザーデータを最小限に抑える新たなアプローチも含まれています。私たちの目標は、プライバシーに対するユーザーの期待にさらに合致した基準を作ることです」
2020年1月のDigidayによるインタビューの中で、データ マネジメント プラットフォームの提供企業、Permutiveのマーケティング担当ディレクターを務めるAmit Kotecha氏が、提案されているサンドボックスの重要な機能について説明しています。
「プライバシーサンドボックスに関してもっとも重要なのは、すべてのユーザーデータをChromeブラウザに移し、そこで処理・保存するというGoogle の提案だ」とKotecha氏は述べています。「つまり、データはユーザーのデバイス内にとどまり、プライバシーに準拠する。これはいまや、やらなければならないことの最低ラインであり、プライバシーの黄金律だ」
プライバシーサンドボックスや、データトラッキングに影響を与えたGDPRに関する裁定を踏まえると、マーケティング担当者の間では、サードパーティーCookieは法規制やテクノロジー企業の方針転換によって廃止になる恐れがあることが明白になっていました。そのため、広告ソフトウェア企業やパブリッシャーは、Google によるCookie廃止の公式発表が出る前から、代替ソリューションについてすでに検討していたのです。
現時点で、Permutiveのようなデータマネジメント企業は、広告主向けに代替ツールを構築することを検討しています。ファーストパーティーCookieの活用を大幅に増やすとともに、Google のプライバシーサンドボックスでの提供が予測されている機能と同様に、匿名性を高めた「セグメント」の単位で訪問者のプロファイルをまとめるツールです。
3. マーケティング担当者の懸念はデータだけではない
ChromeにおけるサードパーティーCookieの排除が一部に不便さをもたらす一方で、マーケティング担当者の多くは、廃止に至ったGoogle の考え方についても懸念を示しています。
Chrome ベースのサードパーティーCookieのデータがなくても、引き続き、Google Chrome のファーストパーティーCookieとプライバシー サンドボックスのツールに基づいてGoogle 広告を活用し、ターゲティングすることは可能です。しかし、サードパーティーデータを必要とする一部の広告ソフトウェアおよびプラットフォームは、Chromeのサポートがなければ大きな打撃を受けることになります。
「この動きは、(理論上は)消費者のプライバシーにとって有益である一方、こうしたCookieを利用して収益を生み出しているほとんどのサードパーティー広告プラットフォームに損害を与える」と、HubSpotの顧客獲得担当ディレクター、Matthew Howells-Barby(英語)は述べています。
「今回の件で私が懸念しているのは、Google がサードパーティーCookieを廃止することにした理由は何か、ということです。エンドユーザーのプライバシーを向上させるためでしょうか。あるいは、広告市場をさらに掌握するためでしょうか。Chrome独自のファーストパーティーCookieの採用を強いることで、結果的に、サードパーティープラットフォームに流れていた資金の多くがGoogle の収益に入ることになると考えられるからです」
こうした懸念を表明しているマーケティング担当者は、Howells-Barby(英語)だけではありません。実際に、全米広告主協会と全米広告業協会は共同声明の中で、Google は広告市場の健全な競争を崩壊させると非難しました。
声明文には次のように記載されています。「ChromeでサードパーティーCookieをブロックするというGoogle の決定は、デジタルビジネス、消費者サービス、技術革新に対し、競争面で大きな影響を与える可能性があります。実現可能な代替策を提供することもなく、現在のインターネット基盤の大部分を実質的に崩壊させる恐れがあるのです。スタートアップや新興企業が生き残るために必須となる広告に供給されるべき、経済の酸素を断つことにもなりかねません」
声明文の後半で両協会はGoogle に対し、効果的かつ有益な手法を広告主が利用できるようになるまで、サードパーティーCookieの「禁止」を延期するよう要請しています。
4. Google はユーザーのトラッキングを完全に停止するわけではない
今後、Google が1人ひとりのユーザーをトラッキングする技術に投資することはないようですが、代替策への投資は継続されます。Google は、プライバシーサンドボックスの開発に加えて、ユーザーを個人ではなくグループでトラッキングするFLoCという技術により、広告面ですでに成果を上げています。
「FLoC(FLoC - 協調機械学習により生成されたコーホート)を使った最新の検証結果では、広告からサードパーティCookieを効果的に排除し、共通の関心対象をもつグループの中に個人を隠す方法を示しました」と、Google は今年3月の発表の中で説明しています。
「Chromeは今月予定している次回のリリースで、オリジントライアルを通じFLoCベースのコーホートの公開テストを行い、第2四半期にはGoogle 広告の広告主を対象としてFLoCベースのコーホートのテストを開始する予定です。また、Chromeについては4月、新たに一般利用者向けにプライバシーサンドボックスに関する初の管理設定を提供します。今後のリリースでは、さらに多くの提案がオリジントライアルの段階に入り、エンドユーザーや業界からのフィードバックを受けながら管理機能を拡張して行くことになります」とも、発表には記載されています。
5. 今回の動きによって広告におけるイノベーションの道が閉ざされることはない
Cookieのうち1種類に対しては厳しい状況に感じられますが、順応性がありスキルが高い企業にとっては必ずしも悪いことではないかもしれません。
今回の動きは確かに懸念を引き起こしていますが、それでも、Google も他のブラウザーもユーザーのプライバシーを守る姿勢を明確にしています。引き続きプライバシーに関する法規制が進む中、行政の方針によって既存のマーケティング手法やプロセスが使えなくなる状況に備えて、影響を受けにくい代替の広告手段を検討する良い機会かもしれません。
なぜなら、革新的な考え方を持つマーケティング担当者は、「特定の技術に依存しすぎていないか」、「現在の戦略が規制対象になったらどうなるか」といった質問を、常に自問すべきだからです。革新的なマーケティング担当者なら、極端なターゲティングや煩わしいポップアップとは一線を画し、多くの人が共感できる賢明な代替策や広告を考え出すことができるでしょう。
ほかにイノベーションが可能な分野としては、データの活用方法が挙げられます。前述のように、データ マネジメント プラットフォーム事業者は、広告主がサードパーティーCookieを最大限に活用する形でデータをトラッキングできるよう、代替ツールの構築を検討しています。組織によってはこうした選択肢が、サードパーティーCookieソリューションには当てはまらなかったり、新たな戦略立案が必要になるかもしれませんが、関連性の高いオーディエンスを把握し、相手に配慮したターゲティングを行うことが可能になるでしょう。
私たちが次にすべきことは?
慌てる必要はありません。今はマーケティング担当者、広告主、そしてデータエンジニアも、次の動きを見極めるためのソリューションを積極的に探している段階です。また、SafariとFirefoxが広告をブロックした結果、サードパーティーCookieはすでに弱体化していたため、いずれにしても最強の広告ツールではなくなってしまったと言えます。
マーケティング担当者にとって現時点の最善策は、ビジネスに影響がありそうなサードパーティーCookieやデータプライバシーに関するさまざまな動向について、最新ニュースを把握し続けることです。
自社の広告戦略がサードパーティーデータに依存している場合は、今すぐ代替策の検討を始めましょう。廃止に関するニュースを追い続ける中で、サードパーティーCookieからの効果的な移行に役立つソフトウェアやソリューションを入念に検討することも重要です。
例えば、マーケティング担当者にとってGoogle の方針は懸念されるかもしれませんが、同社のプライバシーサンドボックスはターゲティング広告の有用な代替策になる可能性があります。また、ファーストパーティーデータの活用に役立つ(英語)戦略やソフトウェアについても検討してみてください。マーケティング担当者が今すぐ実施できる戦略の1つは、ウェブ向けの拡張コンバージョン設定により、プライバシーを保護しながら将来も使い続けることが可能なビジネスの測定基盤を築くことです。
ウェブ向けの拡張コンバージョンは、Cookieや個人を追跡する代替的識別子が今後あまり利用できなくなったとしても、今まで以上の正確さでコンバージョンを測定できるコンバージョントラッキング機能です。この機能では測定できるデータ量が増え、全体的に質の高いコンバージョンモデリングが可能となります。
ほかに、コンテンツ連動型広告(英語)など、従来型の戦略の再活用も考えられます。サードパーティーデータでは、特定のプロファイルに合致するユーザーに直接広告を表示できましたが、コンテンツ連動型広告では、広告と共通するキーワードで検索結果の上位に入るウェブサイトにPPC(クリック課金型)広告を配信できます。つまり、スポーツ用の衣料品を販売する企業の場合は、スポーツ系のウェブサイトにPPC広告が表示されることになります。
最後に、将来的に法規制や独占的な施策からなるべく影響を受けないようにするには、Cookie、ターゲットを細かく絞り込んだ広告、膨大な量のデータなどに依存しなくてもオーディエンスにリーチできる、基本的な戦略についてブレインストーミングを実施してください。最新のトラッキングソフトウェアのメリットを引き出しながらも、テクノロジーに振り回されない組織へと進化できるはずです。
HubSpotは現在Google と協力して、ウェブ向けの統合型拡張コンバージョンの開発に取り組んでいるのでご期待ください。
免責事項:このブログ記事は、GDPRなど、EUのデータプライバシー法に従って企業が活用できる法律上の助言ではなく、GDPRについて理解を深めるための背景情報を提供するものです。本情報は、具体的な状況に適用法を照らし合わせて専門家が行う法的助言とは異なります。従って、本情報の解釈または正確性に関するアドバイスについては、ご自身で法律の専門家とご相談いただきますようお願いいたします。
この情報は法律上の助言でも、法律に関する特定の解釈を推奨するものでもありません。