最高に素晴らしい企業文化を持つ海外の広告代理店10社

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戸栗 頌平(とぐり しょうへい)
戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

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クリエーターたちが、リカーキャビネットが置かれたオフィスで仕事をしていたのは、いつの時代の話でしょうか。最近は、広告業界の人と言えば、風変わりな装飾のオフィスで、ラフな格好で仕事をしているイメージかもしれません。

「最高に素晴らしい企業文化」と言われたところで、恐らく彼らは見向きもしないでしょう。彼らが社員の幸せを追求し、創造力と革新性を育成する環境づくりのために考えることと言えば、職場へのペットの同伴を許可する、頻繁にパーティを行う、コンテストで奇抜さを競う、スタッフに好きなだけサーフィンをしてもらう、などだからです。

この記事で紹介するエージェンシーは、「最高に素晴らしい企業文化を持つ広告代理店」のコンテストに応募してきたわけではありません。真にユニークなアプローチで、スタッフに最高の職場を提供しているエージェンシー10社を、私たちが選びました。ちょっと羨ましくなってしまうオフィスを、ぜひご覧ください。

ウェブ制作会社とマーケティング代理店の組織作りガイド

Chandelier Creative

ニューヨーク | ミラノ | 上海 | 北京

クライアントに、ミーティングをボールピットでやりませんかとお誘いすることもあります。そうですね...反応はそれぞれです。

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Chandelier社のスタッフは、アイデアに詰まっても気分転換に外出する必要はありません。オフィスにいたまま好きなだけインスピレーションを得られるからです。ニューヨークのペントハウスにあるオフィスでは、スタッフが思い思いの場所に座って仕事をしています。

紫色のピアノや、幼児向けの古い乗り物が設置され、ネオンライトがそれを美しく照らしています。スタッフがサーフィンを楽しむために用意した、モントークにある居心地の良いSurf Shackでは、建物の外にテントと焚き火台が置かれています。チャイナタウンにあるあまりにもお洒落なスタジオには、アンティークな四柱式ベッドのほか、盆栽やアクアリウムを見ることができます。

創設者兼クリエイティブディレクターであるRichard Christiansen氏は、自宅のマンションにスタッフを集めて頻繁にブレインストーミングを行い、手料理を振る舞います。昨年の12月には、チーム作りのためにスタッフ全員参加でニューヨークのごみ拾い競技を実施しました。その際に作成された「奇行リスト」には、街角の警察官にキスをするという項目も含まれていたそうです。

Red Door Interactive

カリフォルニア州、サンディエゴ

私たちの価値観の中心にあるのは、周囲を決して偏った目で見ないということです。何事もオープンな気持ちで受け入れ、その時間を100%リスペクトする企業カルチャーは、そうした価値観によるものです。

Red DoorではCEOのオフィスの壁をガラス張りにし、ドアを付けないなど、オープンなコミュニケーションを信条としています。また、社内で「大絶賛」に値する同僚を推薦によって選び、四半期ごとの営業利益からボーナスとして支給する表彰制度もあります。

Red Door Interactiveのオフィスは、オープンロフトでレイアウトされており、天井から床まで続くガラス張りの窓からは、サンディエゴのダウンタウンが見渡せます。ビーチで仕事をしたければ、カリフォルニア州カールズバッドにあるオフィスで、デンバーの山々を眺めながら働くことができます。あるいは在宅勤務を希望する社員は、パートタイムでもフルタイムでも、時間や場所を自分で自由に選択してかまいません。

ただし、オンサイトセミナーをいずれか選んで参加することと、1年間の慈善活動を行うこと、サマーゲームのために半日休みを取ることが要求されます。これほどの条件で離職する人がいるとしたら、不思議でたまりません。

BFG

南カリフォルニア、ブラフトン

最上級カシミアのシャツに袖を通している人も、あるいはその腕が見事なタトゥーで埋め尽くされている人も、BFGにとってはみな家族も同然です。私たちのような独立系広告代理店にだけ流れる、小さなエンジンを動かす特別なエネルギーが、スタッフ全員を結び付けているのです。

BFGの企業カルチャーでは、ポジティブなエネルギーと自発性が、そのあらゆる側面から見て取れます。新しく入社したスタッフには、創造力を掻き立てる最初のキャンバスとして、真っ白なスケートボードデックが贈られます。

毎週火曜日にはフードトラックがオフィスに到着し、社内の駐車場では毎回違う面白いレースが行われます。ボーリングのリーグを形成したり、ランチタイムにサーフィンのセッションを行ったり。これらすべてがBFGの色鮮やかな個性を彩っています。

また年に一度、BFGで最も輝いているGeek(オタク)が集まってデジタルカンファレンスを行い、ネットワーキングで週末を楽しむ「Geekend」も開催しています。さらに、サヴァンナ芸術工科大学とパートナーシップを結んでローカルのアートコミュニティに関与し、ゲスト講師としていくつかの講義を担当したり、若者にクリエイティブライティングの指導を行うプログラムを行ったりしています。

Grupo Gallegos

カリフォルニア州、ハンティントンビーチ

ゆったりとした空間や、歩き回れるような場所がなければ、スタッフが生まれ持つ才能を最大限に発揮することができません。

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Grupo Gallegosのオフィスは、ハンティントンビーチの桟橋からすぐの古い映画館を改装した建物の中にあります。施設には床がカエデ材でできた立派なバスケットボールコートや、バッティングケージ、卓球台、テーブルサッカーゲームがあり、外のテラスには庭のほかにサーフボードやウェットスーツやビーチクルーザーを収容する専用のスペースまで用意されています。

クリスマスなどの休暇には必ずオフィスを華やかに飾り付け、食べ物を持ち寄ってパーティーが行われます。

また、Grupo Gallegosでは創造力の促進を目的とし、社員が余暇を利用して制作した芸術作品を展示するギャラりーイベントを開催しています。

Saatchi LA

カリフォルニア州、ロサンゼルス

社内で最も大切している言葉は「リスペクト」です。その証拠に、社長室のドアには「Everyone Matters(誰もが大切)」と書かれています。

ビーチから10分の場所に位置するSaatchi LAは、社員が心と体をリフレッシュするための活動を積極的に奨励しています。スポーツジムを利用する社員には、会費やスポーツウェアやその他の、体を動かすために必要な費用として、1年に200ドル近くの補助金が支給されます。

また、自己啓発のための講習を受けたい社員には2,000ドルが支給されるほか、社員をTEDやPop Techなどに送って最新の業界トレンドを学ばせるための資金が、部署ごとに割り当てられます。

Saatchi Blue Teamは、自分たちが環境に優しいエージェンシーになることを目指し、カープールコンテストを行ったり、ペットボトルを無くす活動を行ったりしています。外部に対しては、LGBT(Lesbian、Gay、Bisexual、Transgender)のためのPublicis Groupによるネットワーク、Egaliteに支援を行ったり、Special Olympicsチームを毎年サポートしたり、Operation Teddy Bearで読み書きを教える活動に参加したりしています。

Carmichael Lynch

ミネソタ州、ミネアポリス

私たちのなかにはブロガーもいればTシャツのデザイナーもいます。グルメな人も、熱狂的なスポーツファンも、ランナーも、写真家もいます。そしてその誰もが、仕事とのライフバランスを大切にしています。

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Carmichael Lynchの心臓部とも言うべき場所があるとすれば、オフィスの屋上にあるデッキに違いありません。この17,000平方フィートもあるオフィスの拡張部分では、社員によるRoofstage Pass Concert Seriesが開催されたり、Green Teamと呼ばれるチームがオーガニックガーデンの世話をしたり、夏の夜にはヨガのクラスが開かれたり、近くの野球場でミネソタツインズが試合をするのを眺めるための観客席が用意されたりしています。

聖パトリック祭の日には、社員が勇気を振り絞って寸劇を披露するO'Gong Showを開催し、審査員であるセレブたちが、最も恥ずかしかった出し物を選んで表彰します。

クライアントのブランドへの情熱を育むために、各ブランドの何かをCarmichael Lynchの空間に取り入れています。たとえば社員は同社で所有するスバル車を使用することができます。

昨年、社員たちは低所得世帯の人々に食事を提供したり、日用雑貨品を配ったり、献血をしたり、アースデーの清掃活動その他のプログラムに参加したりと、数々のボランティア活動を行いました。その合計時間は1,000時間を超えます。

Switch

ミズーリ州、セントルイス

リサイクルもすればボランティアもします。NPO組織の役員に就き、地域のスポーツチームを応援し、レストランで食事をし、ファーマーズマーケットで食料品を購入します。そして何よりも、自分たちのコミュニティを支えるために、できることは何でもします。それがSwitchの人々、すなわち「スイッチャー」です。

Switchは一流企業をクライアントに持ち、有能な社員を抱える、セントルイスにある独立系広告代理店です。毎年一度、オフィスを終日クローズして社内イベントを開催します。過去5年間で経営陣が総額3万ドルも投資したというこのイベントでは、チームのキャプテンが社員をドラフトにかけて獲得し、彼らの創造力豊かなスキルを利用して優勝賞品(500ドルのギフトカードや1週間の休暇など)を狙います。

またベーコンなどをテーマとしたランチ勉強会やハッピーアワー、卓球のトーナメント、紙飛行機コンテストなども開催しています。

また、Switchは慈善活動にも積極的に参加しており、最近ではハリケーン・サンディーの被災者を支援するために#STLforSandyイニシアチブで寄付を募ったり、セントルイスでのCrime StoppersのPSA(Public Service Announcement)を初めてテレビで放映するために人材やサービスを無償提供したり、Animal Protective Agency of Missouriの活動を支援するために「アグリー・クリスマス・セーター 」をデザインしたりしています。

kbs+

ニューヨーク州、ニューヨーク

冒険好きな発明家や、ガツガツした人、何かをいじくり回すのが好きな人、自発的に行動する人などで、堂々としていて機転が利く人には、この会社は居心地がいいはずです。私たちは広告代理店であると同時にメーカーです。アーティストであると同時にアーキテクトなのです。

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kbs+の社員が誇るのは、「発明家を育てる文化」です。そして彼らはその文化を、起業家精神を誘発するインスピレーションに溢れたオフィスで育んでいます。Test Kitchenと呼ばれる部屋には新しい道具が所狭しと並び、Hyde Spaceにはいくつものペイントブラシやチョークで絵が描ける壁があります。

また、発明を目的とするテックガレージ、Test Labも用意されています。これを見ると、創造力がなければkbs+ではやっていけないことがわかります。

このような企業文化に合わせて、kbs+を前進させるためのユニークなアイデアを、コンペによって社員の中から募集しています。Client Stock Index(取引先持株の指数)と呼ばれるkbs+のインセンティブプログラムでは、クライアントの持ち株の価格が上がると社員に報奨金が支給されますが、このアイデアもコンペから生まれたものです。

kbs+ではオフィス内でインフルエンザの予防接種を受けられたり、マッサージセラピーやヨガのレッスンを受けられるなど、社員の福利厚生に力を入れています。またkbs+に「プラス」の効果をもたらすよう促すことを目的として、期待を超える何かを成し得た社員に「Plus Award」と呼ばれる賞を与えています。

Team One

カリフォルニア州、エル・セグンド

Team Oneの社員の中には、自分のやりたい仕事を求めて他の広告代理店に移ったけれど、Team Oneのカルチャーやクライアントが忘れられず、ブーメランのように戻ってくる人もいます。

Team Oneでは、オフィスの屋根から物を放り投げてもお咎めはありません。Punkin Chunkinのイベントで、社員は屋根からかぼちゃを放り投げてその距離を競います。また、テーマを決めて全フロアでハッピーアワーを開催するのも社員の一番の楽しみです。

Team Oneでは特に素晴らしかった社員を同僚の推薦により選出する「Slash Awards」が行われ、最優秀者には1週間の有給休暇と、休暇をゴージャスに楽しむための5,000ドルが支給されます。

この賞は社員どうしのコラボレーションを改めて促進する目的で考え出されたもので、優勝者が休暇によって何らかのインスピレーションをTeam Oneに持ち帰ってくれることも期待して行われています。

Team Oneの創造力を促進し、また企業の成長も促すために、コミュニティへの参加を増やすためのアイデアをコンペによって競う、「Launch an Idea」と呼ばれるコンテストを開催しています。最優秀賞に選ばれたプロジェクトには、その実現のための資金として最高で25,000ドルが支給されます。

Wexley School For Girls

ワシントン州、シアトル

私たちのオフィスはよく、「素晴らしくクリエイティブだ」と言われますが、心の中では「何だこりゃ」だろうと思います。

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Wexley School For Girlsのオフィスのドアを入ると、まずは巨大なマーリンの像(写真上左)の歓迎を受けることになります。クリエーターたちのデスクが、ミニチュア版の9ホールのゴルフコースに沿って配置され(写真右上)、ホールにつながる通路の先には、中国風のパーティションで仕切られ、ビニール製のローストチキンたちが窓に吊下げられた、チャイニーズレストラン風の部屋(写真右下)があります。

ですが、Wexleyの社員を楽しませているのはそれだけではありません。スポーツジムの会費からスノーボードの道具を買うお金まで、健康を促進する目的なら何にでも使える給付金が社員に支給されます。毎週金曜日には全社をあげてのハッピーアワーが開催され、Wexley Symposiumと呼ばれるランチイベントでは、創造力豊かに議論が交わされます。

利益を社員に配分しているのは、社員全員がWexleyの成長に貢献している証拠でしょう。新入社員は3か月を過ぎたのち、退職すれば3,000ドルを支給するというオファーを受けますが、社員たちの無効になった3,000ドルのチェックが、オフィスの壁一面に誇らしげに貼られています。

ウェブ制作会社とマーケティング代理店の組織作りガイド
編集メモ:この記事は、2012年12月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Tarah Bennerによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

トピック: 広告 企業文化

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