BtoC、BtoBなどのビジネスモデルを問わず、マーケティングに動画を活用する企業が増えてきています。
これまでの動画マーケティングといえばテレビCMが主流であり、莫大な予算をかける必要がありました。
しかし、今やYouTubeといった動画配信プラットフォームの登場により、より安価に動画マーケティングに取り組むことができるようなってきています。
今回は、これから動画マーケティングを始めようとしている方向けに、動画マーケティングの成功事例をご紹介し、成功している企業の共通点を探っていきます。
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動画マーケティングを取り巻く環境
まずは、業種業態を問わず動画マーケティングに取り組む企業が増えている背景を確認しましょう。
1. 動画配信プラットフォームの普及
かつては、マーケティングで動画を活用する場合はテレビCMが主流でした。しかし、YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームが幅広い年代で普及してきたことにより、動画マーケティングを実施できる媒体に広がりが出てきています。
これら動画プラットフォームの場合、比較的コストを抑えた出稿が可能で、より多くの企業に参入できるチャンスがあるのも裾野が広がった要因の1つでしょう。
また、動画配信プラットフォームでは、テレビCMと異なり、視聴時間や動画からの遷移率などを細かく分析することができます。
2. 5Gの登場でさらに動画の需要は伸びる可能性が高い
すでに多くの企業が活用する動画マーケティングですが、5Gの普及で外出先でも大容量の高速通信が可能になれば、さらに利用は促進されるでしょう。これまではWi-Fi環境下での動画視聴が主流でしたが、外出先からスマホでの動画需要も見込まれることで、さらに動画マーケティングの需要は高まっていくと予想できます。
また、容量が大きくなりやすい「インタラクティブ動画」なども、5Gの普及によって取り入れやすくなり、動画マーケティングの可能性がますます広がっていくでしょう。
3. ニューノーマル時代におけるオンライン動画の需要増加
働き方や人々の生活様式が大きく変化した2020年は、イベントやセミナーが一気にオンラインシフトしました。
オンデマンド型のウェビナーは時間と場所の制限がなく、多くの人が気軽に参加できるというメリットがあり、多くの企業で取り組まれるようになりました。
また、対面での営業活動が難しい中、オンライン動画で製品の使用感を説明するなど、マーケティングにおいてもオンライン動画を活用する企業も増えています。
BtoC企業の動画マーケティング成功事例
ここからは、動画マーケティングではどのような成功事例があるのか、まずはBtoC領域から見ていきましょう。
1. 放置少女(スマホアプリ)
スマホアプリゲームの「放置少女」では、女優の橋本環奈さんを起用したCM動画が話題となりました。CM用の動画にかかわらず、YouTube上での再生回数は5,900万回を超えています。(2020/12/07現在)
並行して動画広告も打ち出し、YouTube 動画広告とテレビCMを併せて放映した地域では、テレビCMのみ放映した地域に比べ、46% 低い CPI(1インストールあたりの広告コスト)で新規ユーザーの獲得を実現しています。結果的に、アプリ全体のユーザー数が20%増加する結果となりました。
出典:
● CASE STUDY - アプリ キャンペーン|Google
2. 武田塾
全国にフランチャイズ学習塾「武田塾」を展開する株式会社A.verは、2013年からYouTubeチャンネルをマーケティングの主軸としています。
参考書の解説や受験のテクニックなど、受験生に役立つコンテンツを定期更新しており、2020年12月現在、チャンネル登録者数は8.6万人を超え、総再生回数は9,200万回にものぼっています。
武田塾が製作した動画の特徴として、塾の良さや特徴をアピールするのではなく、「受験生の悩み解決」など、あくまでも受験生やその保護者目線のコンテンツに仕上げている点が挙げられます。結果として、ファンを着実に増やし、知名度の向上に繋がりました。
顧客目線の動画マーケティングを継続した結果、同社の売り上げ規模は2013年の1億円から2017年には30億円まで急成長を遂げました。
出典:
● 武田塾チャンネル|参考書のやり方・大学受験情報|YouTube
● ユーチューブマーケティングの開拓者 「授業しない塾」データ基に動画|日本経済新聞
BtoB企業の動画マーケティング成功事例
動画マーケティングは、消費者向けビジネス(BtoC)が行うものというイメージを持つ方も多いかもしれません。BtoB企業においても、動画マーケティングは有効な手法なのです。
実際、BtoB企業でどのような成功事例があるのかをご紹介します。
1. freee株式会社
クラウド会計ソフトなどを提供するfreee株式会社も動画マーケティングを活用している企業の1つです。
同社は、スモールビジネスに役立つ情報やプロダクトの使い方に関する説明動画を自社のYouTubeチャンネルで公開しています。
「テレワークで年末調整終わらせたい方へ」といった、ターゲットの課題に訴求するような動画コンテンツを毎週配信することで、更新頻度の高いチャンネルとして認知され、チャンネル登録者数の増加や新規顧客獲得につなげています。
出典:
● クラウド会計ソフト freee(フリー)|YouTube
● 「freeeが取り組むBtoB☓YouTubeマーケティング」ウェビナー実施レポート|Yappli
2. Smart HR
クラウド人事労務ソフトを提供するSmartHRでは、自社YouTubeチャンネルだけでなく、サービスページや広告にも動画を活用しています。
サービスページに動画を掲載することで、ページに訪れた見込み顧客に自社のプロダクトのデモや、どのような課題を解決できるのか効果的に伝えています。また、動画広告ではCPAを40%削減、CTRを200%向上させることに成功しています。
出典:急成長を続ける SmartHR が実践する BtoB SaaS マーケティング戦略|株式会社SmartHR
3. Stock Sun株式会社
コンサルティングを専門とするStock Sun株式会社のYouTubeチャンネルは、同社にとって大きな収益源になっています。
同社のYouTubeチャンネルは開設2ヶ月で22件の問い合わせを獲得。うち7件が受注となり、YouTubeチャンネル経由での売上は7,000万円を超えています。
ターゲットを絞り、所属コンサルタントの知見を活かした有益な動画コンテンツを発信することで、同社に対する信頼を構築し、受注につながっています。
動画マーケティングを成功に導くポイント
動画マーケティングに取り組んでいる企業の全てが、上記のような成功を収めている訳ではありません。むしろ、動画マーケティングを取り入れたものの、思うような効果が出せず撤退してしまっている企業も多く存在します。動画マーケティングを成功させるためには、どのようなポイントを意識する必要があるのでしょうか? 2つのポイントに絞ってお伝えします。
1. 顧客目線で動画を作成する
顧客目線に立つことは、マーケティングの基本です。動画マーケティングで成功している企業の共通点は「顧客の役に立っている」という点です。
特に、顧客の課題を解決するプロダクトやサービスの場合、オリジナリティのある動画コンテンツで惹きつけることはもちろん、顧客が抱える課題に訴求できるコンテンツであることが重要になってきます。
動画制作では、クリエイティブを追求するあまり、「自社が伝えたい情報」にフォーカスしすぎてしまう企業も少なくありません。
マーケティングの一環として動画を作成するのであれば、改めてマーケティングの基礎を振り返り、顧客起点の視点を忘れないようにする必要があります。
2. 長期的な視点で動画マーケティングに取り組む
動画マーケティングはその目新しさや、成功事例が目立っていることから、即効性を期待して導入する企業も多いです。
確かに、動画広告やランディングページの動画によるCVR改善などは、即効性を発揮する場合もありますが、必ずしもすぐに効果が出るとは限りません。
動画マーケティングを成功させるためには、ブログコンテンツ同様に長期的な運用が欠かせません。
長期的な目線で取り組むためには、定量分析が必須になるとともに、単純な視聴回数だけでなく「誰がどれだけ見たか」も把握するべきです。
「顧客目線」の動画マーケティングを
通信網の発達や動画プラットフォームの普及によって、動画マーケティングの有用性は高まっています。
実際にBtoC、BtoB問わず、動画をマーケティングに活用することで認知向上や売り上げ拡大、CPAの削減に成功している企業も存在しています。
これらの成功事例に共通しているのは「顧客目線で動画を制作している」ということです。動画マーケティングもマーケティング手法の一つであり、顧客の目線に立って、定量分析でPDCAを回していくという基本は同じです。目新しい手法であるからこそ、マーケティングの基礎に立ち返り、堅実に成果を上げていきましょう。