API連携とは?|仕組みや実装手順、事例を解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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API連携とは、ソフトウェアやアプリケーションを別のプログラムと接続し、機能の一部を共有する仕組みです。

API連携とは?|仕組みや実装手順、事例を解説

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既存サービスの高度な機能を別のプログラムに実装できるため、開発コストを抑えながらスピーディーな事業展開が実現し、顧客へのより良い価値提供へと繋がっていきます。

現在では、多くの企業がapiを公開、連携させることで、新たなビジネス創出の動きが広がり始めています。

本記事では、API連携の仕組みやデメリット・デメリット、実装手順とともに代表的な活用事例を解説します。

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    API連携とは?

    API連携とは?1

    API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、2つ以上のソフトウェアやアプリケーションを接続し、一部機能を共有する仕組みです。 APIを介して機能を連携することを「API連携」と言います。

    API連携とは?2

    例えば、配車サービスのUberは複数のAPIを連携させビジネスを実現しています。Uberでは、事前登録したクレジットカードから自動決済されるシステムが導入されているため、降車時に料金の支払いをする必要はありません。このスムーズな顧客体験を実現しているのは、PayPalの小会社Braintree提供の決済代行APIです。

    Uberでは、Google の地図サービスなど複数のAPIを連携させることで、顧客にとって使い勝手の良いサービスを実現しているのです。

    このように、API連携によって新たなビジネスの創出が可能になります。
     

    API連携の仕組み

    API連携はリクエスト(要求)とレスポンス(応答)で成立します。リクエストは利用者側が、レスポンスは提供元が行います。API連携のためには、APIの提供元は事前にどのようなリクエストに対してどのようなレスポンスを返すのかルールを設定しなければなりません。利用者はそのルールに則り、 コードを書くことでAPIを連携させることができます。

    API連携の仕組み

    API連携の仕組みは、レストランをイメージすると分かりやすいです。例えばレストランに訪れた顧客は、メニューを確認してから店員を通して注文をします。店員は注文内容をキッチンに伝え、出来上がった料理を顧客のもとに届ける流れです。

    この例では、メニューがAPIの内容となります。店員はユーザーのリクエストをキッチン(提元側)に伝える仲介役「API」です。ユーザーはAPIを通して、リクエストを送信しレスポンスを受信することで、提供元サービスの機能を活用できるようになります。
     

    API連携のメリット

    API連携のメリット

    API連携で得られるメリットは以下の3つです。
     

    サービスの拡張

    API連携とは、他社の技術や資産を利用することです。従来の自前主義の場合、新機能やサービスの開発に多くの工数やコスト、リソースがかかります。しかし、APIを連携させればプログラムの設計や開発、テストを省略して、高度な機能を実装できます。 API連携を通してサービスを拡張すれば、市場においても競争力をさらに高められるでしょう。
     

    開発コストの削減

    多くのAPIは無料で提供されています。有償APIであっても、自社で開発から構築までにかかる費用と比べれば、低コストに抑えられます。
     

    セキュリティ向上による安全な環境の構築

    セキュリティ機能の開発には、相応の技術や期間が必要となります。しかし、信頼性の高い既存サービスのAPIを利用すれば、セキュリティの向上が期待できるでしょう。

    例えば、Google Cloud提供のAPI「Web Risk」を実装すれば、Google が保有する100万件を超えるURLのデータベースをもとに、URLにリスクがあるかどうかを検知できます。スタートアップや中小企業がこのように高度なセキュリティ機能を設計・開発するのは、コストや期間の面で困難ではないでしょうか。API連携によってセキュリティを向上させることで、顧客が安心して使える環境が構築可能となります。
     

    API連携のデメリット

    API連携は魅力的なシステムですが、事前に知っておくべきデメリットが2つあります。以下では、2つのデメリットを解説します。
     

    APIへの依存によるトラブル

    API連携では提供元の仕様に機能を依存するあまり、仕様変更の際にトラブルが生じる可能性があります。例えば、提供先企業の都合でAPIの仕様が変更すると多大な修正コストが発生します。急なトラブルを回避するためにも、API連携を検討する際は、機能面だけではなく以下の非機能面も検証してください。

    • API提供元の信頼性
    • メンテナンスの事前通知の有無とタイミング
    • API提供終了の可能性
    • 仕様変更時のルール
    • 料金体系
    • テスト用APIの有無
       

    サーバートラブルのリスク

    APIは提供元のサーバーを通して提供されます。万が一、提供元のサーバーで不具合が発生すると、利用側では対処ができないリスクが生じます。

    例えば、多くの金融機関ではワンタイムパスワードを認証するためのAPI連携をしています。このとき、API提供元のサーバーで不具合が生じると、ワンタイムパスワードが作動せず、顧客はインターネットバンキング利用できなくなります。API連携においてサーバートラブルによる不具合が発生するリスクは完全には排除できません。事前にこのようなリスクへの対処法を整えておきましょう。
     

    API連携の手順

    API連携の手順

    ここからは、API連携の手順について説明します。
     

    実装する機能を明確にする

    まずはAPIで実装する機能を明確にします。

    API連携の有効な用途は主に2つです。1つ目は、メール配信や機械学習などの汎用的な機能を素早く安価に実装させることです。

    2つ目は、自社では開発難易度が高い機能の実装です。例えば、セキュリティや認証機能は、設計から実装までに膨大な工数およびコストがかかってしまいます。このような場合には、自社での開発よりもAPI連携をする方が有効といえます。

    自社サービスに最適な機能を明確にするためにも、日頃からニュース記事やプレスリリースなどでAPIに関する最新情報に触れておきましょう。
     

    APIの選定と提供元へのユーザー登録

    実装すべき機能が定まれば、連携させるAPIの候補を挙げます。有力な候補を見極める1つの基準として、API提供企業の実績を確認するのが有効です。利用者の少ないAPIだと、突然のサービスの終了や実装や運用が難しいなどのリスクがあります。

    一方で、実績のある企業が提供するAPIは活用事例も多く実装時の参考となります。また、ユーザーコミュニティがある場合は、実装後の運用の円滑化に役立つでしょう。

    候補の中から実装するAPIが決まれば、提供元にユーザー登録しましょう。
     

    APIキーとシークレットキー取得

    APIを使用する際は、事前にAPIキーを取得しなければなりません。APIキーとは、アプリケーションやユーザーの識別・認証に用いられるコードです。また、APIの提供元によっては、シークレットキーが発行されます。

    APIキーは、APIを利用するユーザーやソフトウェアを追跡し、悪意ある利用を防ぐために必要です。取得方法は提供元によって異なりますので事前に確認しておきましょう。
     

    仕様書に沿って実装

    APIキーとシークレットキーを取得したら、仕様書に沿って機能を実装します。実装が完了したら、テストを行い、APIが正常に作動するかどうか確認しましょう。
     

    API連携の事例と活用法

    それでは、API連携をどのように事業に活かせるのでしょうか。以下では、SNS・ECサイト・POSレジの具体的な事例をご紹介します。
     

    SNSに関するAPI連携事例

    API連携の事例と活用法1

    近年、SNSの活用が盛んなこともあり、SNSに関するAPI連携によってユーザビリティの向上を目指す企業が増えています。時計や関数電卓などの電子機器を展開するカシオ計算機株式会社もそのひとつです。世界中に顧客を持つ同社は、よりきめ細かなカスタマーケアを提供する方法を模索していました。そこで同社は、Twitterで公開されているAPI「Sprout Social」の活用を決定します。

    Sprout SocialとのAPI連携により、DM(ダイレクトメール)やメンション、リプライなどで言及されたユーザーからの要望や質問は、インハウスの担当者に直接転送される環境が整いました。

    また、カスタマーフィードバック機能を用い、TwitterのDMで製品やサービスの満足度に関するアンケート調査を行えるようになったのです。API連携の結果、同社は平日の回答率を22%向上させ、回答までにかかる時間を60%短縮できました。

    これらの施策により、顧客とのコミュニケーションも取りやすくなり、顧客体験の向上が実現したことはいうまでもありません。
     

    ECサイトのAPI連携事例

    API連携の事例と活用法2

    決済サービスの運営者はECサイト向けに豊富なAPIやサードパーティアプリを提供しています。例えば、楽天ペイでは決済処理APIを提供しており、API連携をしたECサイトで楽天会員が決済する場合、楽天ペイに登録済みの情報を呼び出して決済することができます。個人情報を入力して会員登録をする手間を省けるため、顧客体験やコンバージョン率の向上が見込めます。
     

    POSレジのAPI連携事例

    API連携の事例と活用法3

    販売情報を集計・記録するPOSレジのAPI連携も進んでいます。外部システムやECサイトとAPI連携させることでデータの自動更新ができるなど活用の幅が広がります。例えば、POSレジと顧客管理システムをAPI連携させることで会員情報の共有や購買履歴に合わせた製品レコメンドなどが可能となるのです。

    API連携時にはリアルタイムにデータが更新されるため、顧客管理システムで会員情報に変更があればPOSレジにも自動で反映されるようになり、データ管理の効率化も図れます。POSレジに関するAPIは機能が豊富です。店舗の運営方法に合わせたAPIを厳選し、システムを構築してください。
     

    API連携を活用して顧客体験の向上を目指しましょう

    API連携を活用すれば、他社の機能やデータを活用し、新たなビジネスやサービスを創出できます。

    API連携の魅力は、自社では開発が難しい高度な機能に対してコストを抑えつつ、短期間で実装できることです。

    しかし、必要以上の機能をAPIで実装すると、利用先への依存度が高まるなど環境面でのリスクが生じます。これらリスクへの対処法を連携前に検討しておきましょう。

    APIを上手く連携させることは顧客への提供価値を向上させ、自社の成長へと還元されていきます。ぜひ本記事で紹介した情報を参考に、API連携を進めてください。

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