CMS(Contents Management System)とは、Webサイトの構築に必要であるデザインやプラグイン、テキスト、画像といったコンテンツを総括的に管理できるシステムのことです。CMSには無料で利用できるものがあり、無料CMSを利用すれば、コストをかけずにデザイン性や機能性に優れたWebサイトを作成できます。
しかし、「何を基準に選び、どの無料CMSを使うべきなのかがわからない」「CMSの知識が乏しくても、Webサイトを作成できるのか」と悩んでいませんか。
無料CMSは、自社のWebサイト作成目的に合っているのかや、セキュリティ体制が整っているのかを基準に選択することが重要です。
今回は、無料CMSの種類や選び方、無料CMSのメリット・デメリットを解説します。無料CMSの選び方に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
無料CMSの種類は、主にオープンソース型とクラウド型の2種類があります。
はじめに、無料CMSの種類やそれぞれの特徴について解説します。
オープンソース型は、ソースコードを一般公開しユーザーが自由に利用・改良ができるCMSです。ソースコードとは、プログラミング言語により記述されたプログラムやソフトウェアの設計図のことです。
オープンソース型CMSの特長は、テンプレートやプラグインが豊富に存在するため、ユーザーが思い描くサイトを作成しやすくなっていることです。ただし、オープンソース型は、基本的に自社でセキュリティ対策を行う必要があるので注意してください。
クラウド型は、クラウドを提供している企業がCMSサーバを管理し、インターネットを経由してアクセスするタイプのCMSです。アカウントの立ち上げと簡単な手続きで、気軽にWebサイトを作成することができます。
提供企業がセキュリティ管理やアップデートを行ってくれるため、低リスクかつ手間がかからないのが利点です。ただし、拡張性や連携性が低い面もあります。
セキュリティやアップデートなどの手間をかけずに、Webサイトの作成を始めたいユーザーはクラウド型を選択しましょう。
無料CMSの選び方は次の8つがあります。
ここからは、無料CMSの選び方を詳細に解説します。
無料CMSを利用するにあたり、Webページの作成や更新のしやすさを確認する必要があります。作成や更新作業に手間取ってしまうと、作業効率が悪くなり成果率も低下してしまうためです。
Webサイト作成における使いやすさとは、管理画面が複雑すぎないかや直感的にWebページを作成・更新できるかなどです。
本格的な導入の前に、管理画面の操作感やWebページの作成・更新が簡単にできるか確認しましょう。
シェア率が高いCMSは、それだけ多くの人から利便性の高さを認められている証拠ともいえるでしょう。
多くの方に利用されている分、情報の充実度・不明点があった時の他社へ聞きやすさ・引き継ぎのしやすさなど、さまざまなメリットが存在します。
現在シェア率が最も高いCMSはWordPressであり、世界のシェア率65.1%、日本のシェア率83.7%の数字を誇っています。
HTML(webページを作成するプログラミング言語)やデザインのスキルがない場合、少ないテンプレートで理想とするサイトを作り上げるのは困難です。
CMSにおけるテンプレートとは、Webページの雛形のことです。求めているテンプレートがあれば、テキストや画像を当てはめていくだけで理想のWebサイトが作成できます。
テンプレートの種類により、できあがるWebサイトのクオリティは大きく異なります。作りたいWebサイトに合ったテンプレートが、用意されているかを確認しましょう。
理想のWebサイトを作成するには、自社の用途に沿った無料CMSの利用が必要です。
CMSにより、ECサイトやメディアサイト、コーポレートサイトなど、どのWebサイトの作成に特化しているかが異なります。
ECサイトであれば「決済機能や商品登録機能」など、メディアサイトであれば「レコメンド機能、SNSとの連携機能」などになります。
利用を検討しているCMSが、どのようなWebサイトの作成に向いているのかを確認しましょう。
コンバージョンの上昇や認知度の拡大など、自社それぞれの目的を達成するためには、PDCAサイクルを回すことが重要です。
PDCAサイクルが回しやすいように、アクセス解析機能や顧客管理システムなどが搭載されているか、もしくは、GoogleアナリティクスやMAツールの連携機能があるかを確認しましょう。
他のツールやアプリと連携が行える無料CMSであれば、分析や改善の効率が向上します。
例えば、
などがあります。
効率よく成果を上げるためにも、さまざまなツールやアプリと連携できるかを確認しましょう。
CMSには、静的CMS・動的CMSという、Webページを表示する仕組みの違いがあります。少し専門的な話になりますが、静的CMSと動的CMSは、HTMLを生成するタイミングが異なります。
静的CMSはシンプルな仕組みであり、表示速度が速くセキュリティが強固です。一方で、ページ更新・拡張に手間がかかります。
動的CMSは複雑な仕組みとなり、ページの更新・拡張が行いやすいですが、表示に時間がかかり、セキュリティ面で脆弱性が発生しやすいのがデメリットです。
静的CMSは更新頻度が低く情報を載せるだけのWebサイトに向いており、動的CMSは、更新頻度が高く、検索機能などを活用したいサイトに向いているといえます。
自社のWebサイト運用の方向性に沿った仕組みのCMSを選択しましょう。
無料CMSは操作感や機能面だけでなく、サポート・セキュリティ体制が整っているかの確認も重要です。特にオープンソース型は、自社でセキュリティ対策を行う必要がある場合が多いです。
常時SSL対応やパスワードの暗号化など、セキュリティ対策が整っていることを確認しておきましょう。
また、サイト作成に慣れていない人は、不明点や不具合が発生しがちです。チャットやメールなどのサポート体制が整っているかの確認も必要です。
無料CMSの種類と特徴を一覧にまとめました。
無料CMS | 特徴 |
---|---|
1.WordPress |
豊富なテンプレートやプラグインが用意されている定番のCMS |
2.Drupal |
多言語化やスムーズな操作感、高いセキュリティ面など、高いパフォーマンスを発揮 |
3.microCMS |
高水準のセキュリティ体制とAPIベースのヘッドレスCMSが魅力 |
4.SOY CMS |
拡張性や効率性に優れ中規模~大規模サイトでもスムーズなWebサイトの運用が可能 |
5.baserCMS |
CakePHPをベースであり、操作性やカスタマイズ性などが優れた国産CMS |
6.EC-CUBE |
カート・会員機能、商品管理、店舗管理などECサイト作成に必要な機能が揃った国産CMS |
7.osCommerce |
ECサイトに必要な機能が揃っており、低コストかつ短期間でECサイトの作成・運用が行える |
8.ジンドゥー |
AIがWebサイト作成をサポートしてくれる、初心者に最適なクラウド型のCMS |
9.Wix |
プロのビジネスサイトから個人ブログまで、簡単にWebサイト作成ができるクラウド型のCMS |
10.CMS Hub free |
Webサイトの作成だけでなく、マーケティング対策まで一貫して行えるCMS |
ここからは、おすすめ無料CMS10選を解説します。
WordPressは世界で最も利用されている無料CMSで、Webサイトの43%がWordPressで作成されています。
〈WordPressの特徴〉
細かな機能設定などは専門知識が必要になります。しかし、WordPressを使いこなすことができれば、細かい部分までこだわったWebサイトを作成できるでしょう。
型 |
オープンソース |
---|---|
用途 |
ECサイト、プロダクトサイト、コーポレートサイト、ブログなど |
連携機能 |
Googleアナリティクス、SEOツール、Twitterなど |
仕組み |
動的 |
セキュリティ |
プラグインが必要 |
Drupalは大規模サイトや公的機関サイトなどで利用されている、オープンソース型の無料CMSです。
〈Drupalの特徴〉
自動言語翻訳機能により、世界中に発信したいユーザーに特におすすめのCMSです。
Drupalは、多言語化やスムーズな操作感、セキュリティ面など、ユーザーにとって高水準のパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。
型 |
オープンソース |
---|---|
用途 |
ECサイト、ポータルサイト、コーポレートサイト、プロダクトサイトなど |
連携機能 |
Googleアナリティクス、SEOツール、MAツール、SFA、Facebookなど |
仕組み |
動的(静的に変換可能) |
セキュリティ |
セキュリティチームが24時間365日監視 |
microCMSは、大手企業や金融機関でも導入されるほどの、高いセキュリティ水準が魅力のCMSです。
〈microCMSの特徴〉
microCMSを利用すれば、セキュリティ面に不安を感じず、Webサイトの作成・運用を行えます。また、コンテンツ作成の自由度が広がり、より柔軟なWebサイトの作成が行えるでしょう。
型 |
- |
---|---|
用途 |
ECサイト、コーポレートサイト、サービスサイト、メディアサイト、ポータルサイトなど |
連携機能 |
- |
仕組み |
静的 |
セキュリティ |
暗号化によりデータ保護、2要素認証、暗号化通信、IP制限、WAF対応、脆弱性診断など |
SOY CMSは、どのような用途でも柔軟にWebサイト作成ができるオープンソース型CMSです。
〈SOY CMSの特徴〉
拡張性や効率性に優れているSOY CMSは、中規模~大規模サイトでもスムーズなWebサイトの運用が行えるでしょう。
型 |
オープンソース |
---|---|
用途 |
ECサイト、ポータルサイト |
連携機能 |
Googleアナリティクス、広告効果測定ツール、Facebook、Twitterなど |
仕組み |
動的 |
セキュリティ |
常時SSL対応 |
baserCMSは、CakePHPをベースにしており、操作性やカスタマイズ性などに優れた国産のオープンソースCMSです。
〈baserCMSの特徴〉
baserCMSであれば、初心者でも導入後すぐにWebサイト作成に取り掛かることができるでしょう。
型 |
オープンソース |
---|---|
用途 |
ECサイト、コーポレートサイト、ブログなど |
連携機能 |
GoogleMAP |
仕組み |
動的 |
セキュリティ |
常時SSL化、スパム対策、サイトアクセス制限など |
EC-CUBEは、ECサイトの作成に特化した国産のオープンソース型CMSです。
350種類以上のプラグインや高いデザインカスタマイズ性に加えて、ECサイトの作成に必要な機能が揃っています。
〈EC-CUBEの特徴〉
EC-CUBEを利用すれば、自社の用途に合った理想的なECサイトの作成が可能でしょう。
型 |
オープンソース |
---|---|
用途 |
ECサイト |
連携機能 |
Twitter、Facebook、Instagramなど |
仕組み |
動的(静的に変換可能) |
セキュリティ |
常時SSL対応、管理画面ログイン2段階認証機能、ログイン履歴機能、拒否リスト形式IP制限機能など |
osCommerceは、ドイツ発祥で世界規模のコミュニティで開発・提供されている、ECサイトの作成に特化した無料CMSです。
〈osCommerceの特徴〉
osCommerceを利用すれば、サイトのセットアップやメンテナンスなど、最小のコストと労力でECサイトが作成できます。
型 |
オープンソース |
---|---|
用途 |
ECサイト |
連携機能 |
- |
仕組み |
動的 |
セキュリティ |
- |
ジンドゥー(Jimdo)はAIがWebサイト作成をサポートしてくれるため、初心者に最適なクラウド型のCMSです。
〈ジンドゥーの特徴〉
また、ジンドゥーでは、次の3ステップで簡単にWebサイトを作成・運用ができます。
ジンドゥーを利用すれば、「プログラミングやデザインの知識がなくて不安」という方でも、気軽にWebサイトの作成ができるでしょう。
型 |
クラウド |
---|---|
用途 |
ECサイト、ブログ |
連携機能 |
Googleアナリティクス、Twitter、Facebook、Instagramなど |
仕組み |
動的 |
セキュリティ |
常時SSL対応 |
Wixはプロのビジネスサイトから個人ブログまで、簡単にWebサイト作成ができるクラウド型のCMSです。
〈Wixの特徴〉
また、Wixの公式ブログでは、Wixの使い方を14ステップに分けて徹底解説しているため、初心者でも本格的なWebサイトの作成が可能です。
14ステップの解説や豊富なテンプレートがあるため、初心者でもこだわってWebサイトを作りたい方に最適なCMSです。
型 |
クラウド |
---|---|
用途 |
ビジネスサイト、ポートフォリオ、ECサイト、ブログなど |
連携機能 |
SEOツール、Twitter、Instagram、Facebookなど |
仕組み |
静的 |
セキュリティ |
脅威モデリング、ペネトレーションテスト、OWASP、暗号化、脆弱性スキャナ、TLS 1.2など |
無料CMSだけでなく有料CMSの比較をしたい方は、次の記事を参考にしましょう。
CMS Hub freeは、当社HubSpotが提供しているツールの一つであり、機能が豊富にありながら、シンプルな操作性を実現している点を強みとしています。
〈CMS Hub freeの特徴〉
以上のように、Webサイトの作成だけでなく、SEO対策やマーケティング対策なども充実しています。また、有料プランを利用すれば、メールやチャット、電話などサポート体制も整っています。
CMS Hub freeは、Webサイトの作成だけなくマーケティング対策も並行して行いたい方におすすめです。
型 |
- |
---|---|
用途 |
コーポレートサイト、メディアサイト、ブログなど |
連携機能 |
Googleサーチコンソール、Canva、JotForm、privy、WISTIA、hotjarなど |
仕組み |
- |
セキュリティ |
標準SSL対応、SSO、2要素認証、カスタムのドメインセキュリティー設定、ページのパスワード保護、アクセス権設定など |
無料CMSは、コストをかけずに充実したテンプレートやプラグインを利用できるメリットもありますが、サポート体制やセキュリティ面でデメリットがあります。
ここからは、無料CMSのメリット・デメリットを詳細に解説します。
無料CMSのメリットは主に4つあります。
自社の用途にあったCMSを利用すれば、無料でも理想的なWebサイトを作成できるでしょう。
無料CMSのデメリットは、セキュリティ体制が整っていない場合があることです。しかし、セキュリティ体制の整っていないCMSを利用する場合でも、基本的なセキュリティ対策を行えば、大きなトラブルは避けられます。
セキュリティ体制が整っていないCMSの利用を検討している場合は、次の項目を確認して、基本的なセキュリティ対策を把握しておきましょう
無料CMSは、なぜ「セキュリティ面に不安がある」といわれているのでしょう。
ここでは、無料CMSがサイバー攻撃を受けやすい理由と、行うべき基本的なセキュリティ対策を解説します。
クラウド型の無料CMSは、サービス提供側がセキュリティ対策を十分に行ってくれている場合が多いです。しかし、オープンソース型はセキュリティ対策が十分でない場合があります。
その理由は次の3つです。
次の項目を確認して、具体的なセキュリティ対策を把握しましょう。
無料CMSでWebサイトの運用を始めたら、まず行うべきセキュリティ対策は次の3つです。
セキュリティ対策が整っていない無料CMSを利用する場合は、セキュリティ対策について十分に学んでおく必要があるでしょう。
無料CMSを導入し上手に利用すれば、コストをかけずに理想的なWebサイトの作成・運用を行うことができます。
豊富なデザインやプラグインを利用しながら、一からWebサイトを作成したい方はオープンソース型のCMSがおすすめです。セキュリティ対策などに不安がある方は、クラウド型のCMSが利用しやすいでしょう。
また、マーケティング施策に強いCMSをお探しの方は、CMS Hub freeをチェックしてみてください。