企業の公式サイトやオウンドメディアを制作する場合、これまではHTMLやCSSなどを使い、自分自身でイチから構築するケースが一般的でしたが、現在ではCMSを使用する方法が主流となっています。

CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とは、プログラミング知識がなくても、直感的な操作でWebサイトの構築やコンテンツの作成・編集・追加ができるシステムのことです。代表的な製品にWordPress(ワードプレス)があります。
さらに、SEOやアクセス解析といったWebサイトのマーケティング施策をサポートする機能を持つCMSもあり、自社でWebサイトの構築から運用まで実施できるのも大きな魅力です。
本記事では、CMSの特徴や機能、メリット、注意点をわかりやすく解説します。おすすめのCMSや価格、既存のWebサイトにCMSを導入する際の注意点もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とは

CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とは、Webサイトのデザイン設定やページ追加機能、SEO対策など、Webサイト運用に必要な機能がパッケージとしてまとまったシステムです。WebサイトにCMSを導入すると、プログラミングの知識がなくてもページの作成や更新ができるようになります。
企業ブログやオウンドメディアを運営していると、このように、さまざまな記事コンテンツを作成・管理する必要が出てきます。

一般的なWebサイトでは、HTMLやCSSといったマークアップ言語や、JavaScriptをはじめとするプログラミング言語を用いて、各ページのデータを作成しなければなりません。
一方、CMSなら、もともと用意されているコンテンツ編集ページ(エディタ)に必要な情報を入力し、公開ボタンをクリックするだけで簡単にコンテンツを生成できます。

この画像は、実際のWordPressの編集画面です。記事コンテンツであれば、タイトルや見出し、本文さえ用意しておけば、コピー&ペーストやドラッグ&ドロップという簡単な操作のみでページを作成できます。
CMSは、これまで「プログラミングに詳しいスタッフしか情報更新の業務に対応できなかった」という悩みを解消する画期的なツールです。
CMSの代表的な機能
ここでは、CMSの代表的な機能を4つご紹介します。具体的な機能を知ることで、CMSと一般的なWebサイトの違いがわかります。
1.コンテンツ編集機能
ほとんどのCMSには、「エディタ」と呼ばれるコンテンツ編集機能が搭載されています。
エディタ画面は、Microsoft WordやGoogle ドキュメントのように文章を書き込めるようになっており、記述した内容がそのまま公開ページに反映される仕組みです。「一部の文字だけ太字やアンダーラインで装飾したい」「画像や動画を埋め込みたい」といった操作も、思いのままに行えます。
CMSには、あらかじめ設定しておいた日時にページを公開できる予約投稿機能も搭載されています。手動でページを公開する場合に比べて、配信漏れや配信日時のズレといったミスを防げるのがメリットです。
2.ユーザー管理機能
ユーザー管理機能とは、メンバーの権限設定や操作履歴の記録など、複数のアカウントで共同編集を行うためのものです。
CMSを使ってオウンドメディアや企業ブログを運営する際は、ディレクターやエディタ、ライターなどの多数のスタッフが管理画面にアクセスすることになります。共同作業を行うと、コンテンツの消失や内容の書き換えなどの思わぬトラブルが発生しがちです。
重要なコンテンツの編集権限を特定のユーザーのみに付与したり、ログイン状況や操作履歴から責任の所在を明確にしたりすることで、不要なトラブルを回避できます。
3.マーケティング機能
CMSを使ったWebサイト運用には、SEOやLPO(ランディングページ最適化)、メルマガ配信といった施策が必要なことから、CMSにも幅広いマーケティング機能が搭載されています。
訪問したユーザーの属性や行動履歴を検証できるアクセス解析機能や、ランディングページの分析につながるLPO機能、過去の問い合わせをまとめたFAQ作成機能などが代表的です。そのほか、ショッピングカートの設置や会員向けのページ作成などの機能もあります。
CMSは、ブログ型やオンラインショップ型など、製品それぞれに得意分野があります。あらかじめ必要な機能を洗い出したうえで、自社に合うCMSを選択しましょう。
4.プラグイン
プラグインとは、CMSの機能を拡張するためのプログラムです。プラグインを活用することで、決済機能の追加や多言語対応など、自社のWebサイトを自由自在にカスタマイズできます。
WordPressには約6万件の無料プラグインが登録されており、無料にもかかわらず性能の高いものが多く、工夫次第で豊富な機能を備えたWebサイトを作成できます。
CMSのさらに詳しい機能を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
CMSを活用する8つのメリット

CMSを活用してWebサイトを作るメリットは、次の8種類に分けられます。
- 更新作業を内製化できる
- 更新頻度を増やせる
- 運営を分業化できる
- リンク切れが起こりづらい
- デザインに統一感が生まれる
- デザイン変更が簡単にできる
- マルチデバイス対応が容易になる
- SEO効果を高めやすい
ここからは、それぞれのメリットを詳しく解説します。
1. 更新作業を内製化できる
CMSを使うと、専門知識がない担当者であってもWebサイトを更新して、簡単に情報発信できます。制作会社に更新作業を依頼する必要がなくなるため、外注コストの削減やスピーディーな情報発信につながります。
2. 更新頻度を増やせる
CMSはネット環境とWebブラウザさえあれば、場所や時間を問わず更新できます。スマートフォンから更新できるCMSを活用すると、新しいコンテンツやアイデアをひらめいた瞬間にその場で投稿できるようになり、更新頻度も増えるでしょう。
3. 運営を分業化できる
CMSが登場する以前は、1人の担当者のみでWebサイトを更新するのが一般的でしたが、CMSの登場により、複数のアカウントで共同編集が可能になりました。部門ごとに必要なアクセス権限を与え、それぞれの部門で自由に情報発信を行うといったように、Webサイト運営の分業化が可能となります。
4. リンク切れが起こりづらい
リンク切れとは、コンテンツ内に貼られているリンクの遷移先にアクセスできない状態を指します。主な原因に遷移先ページの閉鎖や移転、URLの変更などがあり、コンテンツを定期的に更新していないとリンク切れが起こりやすくなります。
CMSには、リンク切れをチェックできる機能やプラグインがあります。早いタイミングでリンク切れを把握できれば、ユーザビリティの低下を最小限に抑えられるでしょう。
5. デザインに統一感が生まれる
サイトデザインを作成する際に、テンプレートを活用できるのもCMSの特徴です。
プロのWebデザイナーが作成したテンプレートのなかから好みのデザインを選ぶだけで、手間なく美しいWebサイトを構築できます。設定したテンプレートのデザインはサイト全体に反映されるため、意識しなくても統一感が生まれます。
6. デザイン変更が簡単にできる
先述したテンプレートは、簡単な操作だけで細かいレイアウトや仕様を変更できます。なかには、プレビュー画面を見ながらデザイン変更ができるほか、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で文字の大きさやボタンの配置を変えられるCMSもあります。
7. マルチデバイス対応が容易になる
現在提供されているCMS製品の多くは、マルチデバイス対応機能が標準搭載されています。具体的には、パソコン用とスマートフォン用のページを別々に自動生成する機能や、すべてのデバイスの情報を一括更新する機能などが代表的です。
8. SEO効果を高めやすい
公開したコンテンツの検索順位が上がるかどうかはコンテンツの品質次第なので、CMSを導入したからといって、必ずしもSEO効果が高まるわけではありません。しかし、もともとCMSは、SEOと親和性の高い構造になっています。
例えば、CMSには関連性のあるページ同士を紐づけやすい性質があるため、検索ロボット(クローラ)がサイト全体を回遊しやすくなります。さらに、WordPressでは、サイトマップの作成や更新が簡単にできることから、検索エンジンにサイトの構造を伝えやすい特性を備えています。
CMSの代表的な種類
CMSは、構築方法の違いで次の2種類に大別できます。

CMSの価格

CMSは、すべての構築作業を自社で行うか、Web制作会社に外注するかによって費用感が大きく異なります。
例えば、WordPress自体は無料で使えるため、導入を内製化する場合に必要なのは、月額1,000円前後のレンタルサーバー代と、年額1,500円前後のドメイン代のみです。一方で、Web制作会社に構築作業を依頼すると、30万円以上のコストがかかる場合もあります。
また、Webサイトに必要なページ数は事業内容や規模によって異なります。
CMSを使ってWebサイトを構築した場合の費用の目安を表にまとめましたので、参考にしてください。

CMSの価格や費用についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
CMSのツール比較13選
ここでは、CMSの代表的なツールを13種類紹介します。

各製品の特徴やメリットは、こちらの記事で確認できます。
CMSでマーケティング施策を加速させよう
ブログを更新する感覚でスピーディーな情報発信が可能になることが、CMSの大きなメリットです。ユーザーや顧客が今この瞬間に求めているコンテンツをリアルタイムで発信できれば、エンゲージメントの強化やファンの醸成といった成果に結び付くでしょう。
CMSの製品には、オープンソース型や商用パッケージ型などに分類される数多くのバリエーションが存在します。各製品の特徴をしっかりと理解したうえで、自社の目的に合ったCMSを導入しましょう。

