企業の公式サイトやオウンドメディアなどのWebサイトを制作する場合、本来であればHTMLやCSSといったマークアップ言語などを駆使して構築しますが、現在はWebサイト構築に必要な機能がパッケージ化された「CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)」を利用するのが一般的です。
【無料】Webサイトの作成に役立つCMS導入基礎ガイド
本ガイドのWebサイト構築方法「検討シート」を使って、CMS導入の可否を判断することができます。 付属の「CMS比較表」や「CMSサイト構築チェックシート」を、新規立ち上げやリニューアルにぜひご活用ください。
CMSでは、プログラミングの知識がなくてもWebサイトの構築やコンテンツの更新が可能で、アクセス解析やSEOをサポートする機能もあります。代表的なCMSには、WordPressがあります。
本記事では、CMSの特徴や機能、メリット、注意点をわかりやすく解説します。おすすめのCMSや価格、既存のWebサイトにCMSを導入する際の注意点もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
CMSを活用したWEBサイト作成ガイド & CMS選定シート
Webサイトの作成に必要な機能を比較して最適なCMSを導入しましょう
- Webサイト構築方法別導入検討シート
- WordPress、WIX、Jimdo各システム機能比較表
- CMSサイト構築チェックシート
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CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とは
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とは、Webサイトのデザイン設定やページ追加機能、SEO対策など、Webサイト運用に必要な機能がパッケージとしてまとまったシステムです。
CMSを用いてWebサイトを構築すると、プログラミングの知識がなくてもページの作成や更新ができるようになります。
このように、画像やテキスト・編集データ・各ページのテンプレートなどのデータがCMS内にあり、ページごとに組み合わせて出力されるイメージです。
企業ブログやオウンドメディアを運営していると、このように、さまざまな記事コンテンツを作成・管理する必要が出てきます。
Webサイトは本来、HTMLやCSSといったマークアップ言語やJavaScriptなどのプログラミング言語を用い、ページごとにデザインやテキスト、機能を追加していきます。
CMSではこれらの作業をパッケージ化・自動化することで、Webサイトの更新を大幅に効率化することができます。
例えばブログ機能がわかりやすい例で、本来は1ページずつ実装しなければならないところ、CMSによりテキストと画像を入れるだけで更新できるようになります。
この画像は、代表的なCMSであるWordPressの実際の編集画面です。記事コンテンツであれば、タイトルや見出し、本文さえ用意しておけば、コピー&ペーストやドラッグ&ドロップという簡単な操作のみでページを作成できます。
現在はCMSの利用が一般的になっており、これから企業のWebサイトを作成しようというとき、ほとんどの場合はCMSに頼ることになるでしょう。
コンテンツマーケティングにもCMSは欠かせない
ユーザーにとって有用な情報を提供し、ユーザーが必要と思ったときに商品・サービスへアクセスしてもらうことを目指す「コンテンツマーケティング」でも、CMSの活用は重要です。
コンテンツマーケティングは、ユーザーとの信頼関係を築いていく上で重要なマーケティング手法です。
コンテンツを通してファンになってもらい、いざというときに自社の商品・サービスを選んでもらえることを目指します。コンテンツにはあらゆるものが該当しますが、近年はブログやSNS発信、ホワイトペーパーなど、Webを活用したコンテンツマーケティングが欠かせなくなってきています。
Webにおけるコンテンツマーケティングを推進する場合、SNSやブログの運用が比較的手軽な手段ですが、ブログ運用に欠かせないのがCMSです。登録するだけで使える簡単なブログサービスも、広い意味でCMSを使っています。
CMSなしでWebサイトを作成・運用する場合、更新するにも専門家の手を借りる必要があります。
CMSで構築していれば、コンテンツの更新は誰でも行えるようになるため、ユーザーにとって有益な情報をコンスタントに提供できるようになります。
CMSを選ぶ際には、こうした更新性にも注目する必要があります。
なおコンテンツマーケティングについては、以下コラムにて詳しく解説しています。
CMSはどのくらい使われている?
テクノロジーに関する調査データを提供しているW3Techsによると、インターネットに公開されているWebサイトのうち、約69%のWebサイトがCMSで作成されているとのことです(2024年6月7日時点)。
CMSの中ではWordPressが最も多いシェアを占め、CMS全体の62.7%となっています。WordPressはCMSを使用していないWebサイトを含めても、43.4%のシェアを持っています。
続いて、Shopify、Wix、Squarespace、Joomla、Drupalなど世界的に有名なCMSが並びます。
日本におけるCMSシェア
W3Techsでは、日本語を使用しているWebサイトのシェアも調査・公開しています。公開しているデータによると、WordPressが最も高いシェアなのは全世界と同じですが、82.7%と非常に高いシェアになっています。
2位以降の順位は全世界のランキングとは変わり、Shopify、Adobe Systems、カラーミーショップ、ホームページビルダー、ジンドゥーと続きます。
CMSの代表的な機能
ここでは、CMSの代表的な機能を4つご紹介します。具体的な機能を知ることで、CMSと一般的なWebサイトの違いがわかります。
1. コンテンツ編集機能
ほとんどのCMSには、「エディタ」と呼ばれるコンテンツ編集機能が搭載されています。
エディタ画面は、Microsoft WordやGoogle ドキュメントのように文章を書き込めるようになっており、記述した内容がそのまま公開ページに反映される仕組みです。
「一部の文字だけ太字やアンダーラインで装飾したい」と思ったとき、本来であればHTMLタグを用いて編集しなければなりませんが、CMSでは文書作成ソフトのように編集できます。画像や動画も、エディタ画面上で追加することができ、それがそのまま実際のページに反映されます。
このように、見たままの編集がそのまま反映される仕組みをWYSIWYG(What You See Is What You Get)と呼びます。なお、あえてHTMLタグを直接編集することも可能であり、その場合はより細かな調整ができます。
CMSには、あらかじめ設定しておいた日時にページを公開できる予約投稿機能も搭載されています。手動でページを公開する場合に比べて、配信漏れや配信日時のズレといったミスを防げるのがメリットです。
その他にも、編集履歴の保存・復元、サイトデザインの編集機能などが備わっています。ブログ機能やニュース機能など、発信したい情報にあわせてコンテンツの種類を変えられる点もCMSの特徴です。
2. ユーザー管理機能
ユーザー管理機能とは、メンバーの権限設定や操作履歴の記録など、複数のアカウントで共同編集を行うためのものです。
CMSを使ってオウンドメディアや企業ブログを運営する際は、ディレクターやエディタ、ライターなどの多数のスタッフが管理画面にアクセスすることになります。共同作業を行うと、コンテンツの消失や内容の書き換えなどの思わぬトラブルが発生しがちです。
重要なコンテンツの編集権限を特定のユーザーのみに付与したり、ログイン状況や操作履歴から責任の所在を明確にしたりすることで、不要なトラブルを回避できます。
CMSによっては承認フローを管理できる機能を持つものもあり、チェック体制をスムーズかつ確実に構築できます。
3. マーケティング機能
CMSを使ったWebサイト運用には、SEOやLPO(ランディングページ最適化)、メルマガ配信といった施策が必要なことから、CMSにも幅広いマーケティング機能が搭載されています。
訪問したユーザーの属性や行動履歴を検証できるアクセス解析機能や、SEOに必要な機能を詰め込んだワンパッケージツール、SNS連携、ランディングページの分析につながるLPO機能、過去の問い合わせをまとめたFAQ作成機能などが代表的です。そのほか、ショッピングカートの設置や会員向けのページ作成などの機能もあります。
CMSは、ブログ型やオンラインショップ型など、製品それぞれに得意分野があります。あらかじめ必要な機能を洗い出したうえで、自社に合うCMSを選択しましょう。
4. プラグイン
プラグインとは、CMSの機能を拡張するためのプログラムです。プラグインを活用することで、決済機能の追加や多言語対応など、自社のWebサイトを自由自在にカスタマイズできます。
WordPressには55,000件以上の無料プラグインが登録されており、無料にもかかわらず性能の高いものが多く、工夫次第で豊富な機能を備えたWebサイトを作成できます。例えば、SEO機能を包括したワンパッケージツール、セキュリティツール、フォーム入力、コンテンツ編集の拡張、画像編集などがあります。
CMSのさらに詳しい機能を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
5. ECサイト向け機能
ECサイトとは、Eコマース(電子商取引)を可能にするWebサイトのことで、Amazonや楽天市場が広く知られています。ECサイトを構築するためのCMSもいくつかあり、自社でECサイトを構えて商品を販売することができます。
CMSの中でも、ECサイトの構築を目的としたものには他にはない機能性があります。また、プラグインを導入することでECサイトとして運用できるようになるCMSもあります。
ECサイト向け機能として必須となるのは、決済機能と十分なセキュリティです。取引のための決済機能はECサイトの根幹であり、安全に取引を完了するためにはセキュアな環境が必要です。
また、他には検索機能やショッピングカート機能、レコメンド、管理者向けとしては商品の管理、売上の管理機能などがあります。
ECサイト向けのCMSについては、以下コラムで詳しく解説しています。
CMSを活用する8つのメリット
CMSを活用してWebサイトを作るメリットは、次の8種類に分けられます。
- 更新作業を内製化できる
- 更新頻度を増やせる
- 運営を分業化できる
- リンク切れが起こりづらい
- デザインに統一感が生まれる
- デザイン変更が簡単にできる
- マルチデバイス対応が容易になる
- SEO効果を高めやすい
ここからは、それぞれのメリットを詳しく解説します。
1. Webサイト作成・更新作業を内製化できる
CMSにはWebサイトのベースとなるテンプレートが豊富に用意されており、専門知識がなくてもWebサイトの作成が可能です。
また、専門知識がない担当者であってもWebサイトを更新して、簡単に情報発信できます。制作会社に更新作業を依頼する必要がなくなるため、外注コストの削減やスピーディーな情報発信につながります。
Webサイトの作成までは制作会社に依頼して、更新は内製するということもできます。
2. 更新頻度を増やせる
CMSはネット環境とWebブラウザさえあれば、場所や時間を問わず更新できます。
スマートフォンから更新できるCMSを活用すると、新しいコンテンツやアイデアをひらめいた瞬間にその場で投稿できるようになり、更新頻度も増えるでしょう。
3. 運営を分業化できる
CMSが登場する以前は、1人の担当者のみでWebサイトを更新するのが一般的でしたが、CMSの登場により、複数のアカウントで共同編集が可能になりました。
部門ごとに必要なアクセス権限を与え、それぞれの部門で自由に情報発信を行うといったように、Webサイト運営の分業化が可能となります。
4. リンク切れが起こりづらい
リンク切れとは、コンテンツ内に貼られているリンクの遷移先にアクセスできない状態を指します。
主な原因に遷移先ページの閉鎖や移転、URLの変更などがあり、コンテンツを定期的に更新していないとリンク切れが起こりやすくなります。
CMSには、リンク切れをチェックできる機能やプラグインがあります。早いタイミングでリンク切れを把握できれば、ユーザビリティの低下を最小限に抑えられるでしょう。
5. デザインに統一感が生まれる
サイトデザインを作成する際に、テンプレートを活用できるのもCMSの特徴です。
プロのWebデザイナーが作成したテンプレートのなかから好みのデザインを選ぶだけで、手間なく美しいWebサイトを構築できます。設定したテンプレートのデザインはサイト全体に反映されるため、意識しなくても統一感が生まれます。
CMSによっては個別にカスタマイズして自分好みのデザインを突き詰められるものもありますが、それもイチからデザイン・構築するより遥かに容易です。
6. デザイン変更が簡単にできる
先述したテンプレートは、簡単な操作だけで細かいレイアウトや仕様を変更できます。
なかには、プレビュー画面を見ながらデザイン変更ができるほか、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で文字の大きさやボタンの配置を変えられるCMSもあります。
7. マルチデバイス対応が容易になる
現在提供されているCMS製品の多くは、マルチデバイス対応機能が標準搭載されています。
具体的には、パソコン用とスマートフォン用のページを別々に自動生成する機能や、すべてのデバイスの情報を一括更新する機能などが代表的です。
8. SEO効果を高めやすい
公開したコンテンツの検索順位が上がるかどうかはコンテンツの品質次第なので、CMSを導入したからといって、必ずしもSEO効果が高まるわけではありません。しかし、もともとCMSは、SEOと親和性の高い構造になっています。
例えば、CMSには関連性のあるページ同士を紐づけやすい性質があるため、検索ロボット(クローラ)がサイト全体を回遊しやすくなります。
さらに、WordPressでは、サイトマップの作成や更新が簡単にできることから、検索エンジンにサイトの構造を伝えやすい特性を備えています。
CMS活用のメリットについては、以下のコラムでもご紹介しています。
CMS活用時の注意点・解決策
CMSを使ってWebサイトを作成・更新する場合、以下のような注意点に留意する必要があります。
1. 内製化は実質的に難しいことが多い
CMSは専門知識がなくても高品質なWebサイトを作成でき、継続的な更新が行えるシステムではありますが、そのためには社内で担当者を用意する必要があります。
これからWebサイトを作成しようという場合、社内のマーケティング部門やIT部門に人員の余裕があるケースはほとんどないでしょう。
そのため、CMSを用いたとしても実際には制作会社の力を借りることが多いといえます。
このように完全内製化は難しいですが、更新の部分を内製化しコストを削減することは可能なので、Webサイトのローンチ後でも検討する価値はあります。
2. ベースから外れたデザインや細かいデザインは難しい
CMSを用いてWebサイトを作成する場合、ほとんどはCMS内で提供されているテーマ(テンプレート)を元にデザインを作成することになります。多くのCMSでは豊富なテーマが用意されていますが、細かい調整は難しいといえます。
なお、制作会社に依頼する場合はテーマをベースに自社の要望をしっかり反映してくれることもあります。
3. 十分なセキュリティ対策が必要となる
CMSは大きく分けて、「オープンソース型」と「独自開発型」の2つがあります。種類ごとの違いについては次の項目にて解説しますが、このうちオープンソース型はセキュリティリスクが指摘されています。
オープンソース型はその名のとおりソースコードを公開しているため、悪意のある攻撃者から脆弱性を突かれやすいという弱点を持っています。また、オープンソース型の代表例であるWordPressは利用者が多いことから、攻撃者にとってメリットが大きいという側面もあります。
CMSを利用する際はセキュリティリスクについてきちんと知り、外部ツールも使用して相応のセキュリティ対策を行うことが重要です。
CMSのセキュリティについては、以下コラムにて詳しく解説しています。
4. 導入は難しくないが移行は難しい
CMSはテーマをもとにWebサイトを構築していけることから、導入に大きなハードルはありません。先述のとおり実際には制作会社に依頼するケースがほとんどですが、CMSを使用せず独自のWebサイトを構築するとなるとさらなるコストが必要となります。
一方で、すでにCMSを使用せず構築したWebサイトがあり、更新性を高めるためにCMS環境へ移行したいとなった場合は、専門的な技術が必要となり費用もかかります。
CMSの代表的な種類
CMSは、構築方法の違いで次の2種類に大別できます。
オープンソース型
オープンソース型CMSとは、前の項目で少し触れたとおり、ソースコードが原則すべて公開されているCMSを指します。ソースコードが公開されていることで誰でも開発に参加できることが大きな特徴であり、CMS以外にもオープンソースで開発されているシステムはいくつもあります。
CMSにおいては、Webサイトの基盤となるテーマやテンプレート、重要な拡張機能であるプラグインがさまざまな企業・個人によって開発され、利用できるようになっています。
そのため、かなり自由度の高いWebサイト設計が可能となっています。
独自開発型(オンプレミス)
独自開発型CMSとは、CMSの開発ベンダーが独自に設計を行い、サービスとして提供しているものを指します。ベンダー自身がサポートも行っているため、安心して利用できる点が大きなメリットです。
そのうちオンプレミス型は、サーバーを自社で用意し、その中で独自のCMSを構築していくものを指します。大規模なWebサイトを構築したい場合に合っていますが、現在は利用が少なくなってきています。
独自開発型(クラウド)
オンプレミス型に変わって増えているのが、クラウド経由でサービスを利用できるクラウド型です。
オンラインストレージやGoogle ドキュメントなどのようにサービスを契約すればベンダーの環境でWebサイトを作成でき、難しいことを考えずに運用ができます。
ECサイトの機能に特化したもの、とにかく初心者でも簡単に作成できるもの、マーケティング機能に特化したものなど、ベンダーによって特色のあるCMSが提供されています。
CMSの種類については以下コラムにて詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
CMSの価格
CMSは、すべての構築作業を自社で行うか、Web制作会社に外注するかによって費用感が大きく異なります。
例えば、WordPress自体は無料で使えるため、導入を内製化する場合に必要なのは、月額1,000円前後のレンタルサーバー代と、年額1,500円前後のドメイン代のみです。一方で、Web制作会社に構築作業を依頼すると、30万円以上のコストがかかる場合もあります。
なおサーバーとは、Webサイトを構築するコンテンツの各要素(テキスト、画像、動画、HTMLなどのデータ等)を格納しておく設備を指します。どのWebサイトもサーバー上で構築し、ネットワーク・ブラウザを通して閲覧するという仕組みです。このサーバーの使用のために、一定のレンタル料を必要とします。
また、Webサイトに必要なページ数は事業内容や規模によって異なります。
CMSを使ってWebサイトを構築した場合の費用の目安を表にまとめましたので、参考にしてください。
CMSの価格や費用についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
CMS導入の基本的な流れ
ここでは、オープンソース型のCMSを導入する際の基本的な流れについて解説します。
1. サーバー・ドメインの契約
Webサイトを運用するには、サイトのデータを保管しておくためのサーバーが必要です。自社サーバーを持つこともありますが、多くの場合ではレンタルサーバーを利用します。
また、自社固有のURLを取得するために、ドメインの契約も行います。ひと目で会社名やブランド名を想起できるドメインにしましょう。
2. CMSをインストール
サーバーにCMSをインストールします。
レンタルサーバーやCMSによって手順は変わりますが、インストールまでの手順は丁寧に案内されていることが多いため、迷うことは少ないでしょう。
3. テーマを選択
CMSで使用するテーマ(見た目やページ構成のベースになるもの)を選択します。多くの場合は、テーマを編集して企業やブランドのカラーを出していくことが必要になるでしょう。
4. 初期設定
テーマのカスタマイズやデザイン変更の他にも、タイトル・ロゴの設定、パーマリンクの設定、プラグインの追加など、多くの初期設定項目があります。会社概要や問い合わせページなど、固定ページの作成も必要となるでしょう。
CMS導入時の進め方については、以下コラムにて詳しく解説しています。
CMSのツール比較7選
ここでは、CMSの代表的な7つのツールをご紹介します。どのCMSを使うか検討する際の比較にしてください。
WordPress
日本はもちろん、世界でも圧倒的なシェアを誇るCMSの代表格です。WordPressの利用料は無料で、多くのテンプレートやプラグインも無料で利用できることから、導入コストを大きく抑えつつ自由度の高いWebサイト制作ができます。特に、プラグインの豊富さはトップクラスを誇ります。
シェアが非常に大きく無料で利用できるWordPressは、その使い方や応用に関する情報がインターネット上で豊富に発信されています。
Webサイト構築に関する専門的な知識がなくても、調べることでしっかりしたWebサイトを作成できるため、小規模チームでの運用や自社で作成しなければならない場合にもおすすめです。
WordPressはその汎用性の高さから、ECサイトからプロダクトサイト、コーポレートサイト、ブログなどさまざまなタイプのWebサイトに対応できます。
WordPressについてさらに詳しくは、以下コラムをご覧ください。
Drupal
大規模サイトや公的機関のWebサイトとして採用されることの多い、WordPressと同じくオープンソースのCMSです。WordPressは比較的小規模~中規模のWebサイトに向いていることから、大規模サイトの場合はDrupalが大きな選択肢となります。
専門のセキュリティチームが24時間365日監視している点も特徴です。
DrupalはWordPressと同様、ECサイトやプロダクトサイトを始めとしたあらゆるタイプのWebサイトに対応できます。
EC-CUBE
EC-CUBEは、ECサイトの運営に特化したCMSです。国産のオープンソース型CMSの1つであり、手厚いサポートが期待できます。
カート機能や商品管理機能など、ECサイトに必要な機能はもちろん、豊富なプラグインとカスタマイズ性の高さも備えています。オープンソース型では懸念されやすいセキュリティ面についても、独自の技術でセキュアな環境を実現しています。
microCMS
大企業や金融機関のWebサイトにも採用されるなど、高水準のセキュリティを備えているCMSです。
暗号化によるデータ保護、2要素認証、暗号化通信など、多彩なセキュリティ機能によりWebサイトを保護することができます。
baserCMS
baserCMSは国産のオープンソース型CMSの1つであり、豊富なカスタマイズ性を備えている点が特徴です。
コンテンツ一覧をツリー構造で表示するなど視覚的・直感的な管理に優れており、メールフォームなどの必要とされることの多い機能がはじめから利用できる点も特徴です。
ジンドゥー
専門的な知識がない、忙しくてWebサイト制作にあまり時間をかけられないという人でも簡単操作でデザイン性の高いWebサイトを制作できるのがジンドゥーです。特にAIが制作をサポートしてくれるプランでは、ナビに従って進めるだけでWebサイト制作を進めることができます。
海外のCMSですが、KDDIが窓口になっていることから日本語サポートを受けられる点も特徴です。
Content Hub
Content Hubは、当社HubSpotが提供しているマーケティングソフトウェアです。Content Hubのパッケージには同じくHubSpotが提供するCMSが含まれており、CMSの機能はすべて無料で利用できます。
シンプルな操作のみで美しいデザインのWebサイトを作成することができ、更新もしやすく、アナリティクスやその他のHubSpotツール群との連携などマーケティング関連機能も充実しています。
Content Hub自体はコンテンツマーケティングを加速させるためのソフトウェアで、AIの力を借りてコンテンツのアイデアを出したり、記事のアウトラインを作成したり、ブログ記事を完成に近い形で生成したりできます。
Web担当者は、他に集中するべき業務に貴重なリソースを割けるようになります。
アイデア出しには「ブログアイデア生成ツール」がおすすめ
またHubSpotでは、完全無料で利用できるAIツールとして「ブログアイデア生成ツール」も提供しています。
CMSを用いてコンテンツを定期的に更新するにも、ネタを切らさないためのアイデア出しは担当者や担当チームがどれだけ絞り出せるかにかかっています。ブログアイデア生成ツールでは、ブログ記事のタイトルやアウトラインをAIによって作成できるため、ブレインストーミングにかかる時間を大幅に短縮しコンテンツの更新性を上げることができます。
コンテンツの作成やアイデア出しに有効なキーワードの取得、記事の簡単な公開など効率化のための機能が備わっているため、ぜひこちらもご検討ください。
他にもCMSツールを見てみたい方は、以下のコラムもあわせてご覧ください。
AI×CMSにより加速するコンテンツマーケティング
近年はChatGPTの登場により、AI技術、とりわけ生成AIの活用が急速に拡大しています。
これはコンテンツを取り扱うCMSにおいても同様であり、さまざまなアプローチでAIを組み込むCMSが登場しています。
Wixが提供する「AIサイトビルダー」
世界でもシェアの多いCMSの1つである「Wix」は、2024年5月、「AIサイトビルダー」を公開しました。
AIサイトビルダーでは、サイトを自動で作成するためのいくつかの質問に答えていきます。その内容によっては追加の質問もあり、それが完了すると、AIが機能・テーマ・画像・テキスト・レイアウトまで整えたWebサイトを生成します。
ユーザーは気にいるまで再生成したり、レイアウトやテキストを整えたり、Wixの通常のエディタで編集したりすることが可能です。ビジネスアプリケーションを備えたWebサイトの作成を迅速に行い、ビジネスの成長を支援するとしています。
参照:Wix、次世代の Web 制作を実現する「AI サイトビルダー」を提供開始 | Wix.com Ltd.のプレスリリース
ヘッドレスCMS「SIMPLE BOOK」の画像生成AI
フロントエンドを切り離して開発を行う「ヘッドレスCMS」の1つである「SIMPLE BOOK」は、2024年5月、テキストから画像を生成できる機能をリリースしました。SIMPLE BOOKではすでにテキストを生成する機能をリリースしており、それに続く機能となります。
AIによる画像生成では、記事に適したアイキャッチを自動で作成できるようになり、さらに効率化できます。
参照:画像生成AIを用いた画像作成機能を「SIMPLE BOOK」でサービス提供決定!! | 株式会社SFIDA X
AIを用いてPDCAを回す「A-BiSU(エビス)」
コンテンツ作成・編集だけでなく、SEO対策、問い合わせ管理、アクセス解析、などのマーケティング機能を備えたCMSが「A-BiSU(エビス)」です。A-BiSUでは、AIを活用したPDCA機能を特徴としています。
例えば、「パーソナライズレコメンド機能」は、そのユーザーがどのページを閲覧したのかを分析し、どのページがおすすめなのかをAIが判断して表示します。その他分析や検証部分はAIが担ってくれるため、担当者はより重要な業務に従事できるようになります。
参照:次世代型CMS「A-BiSU(エビス)」の活用でWebマーケティングをオールインワンで実現
生成AIの活用については、以下コラムもあわせてご覧ください。
CMSでマーケティング施策を加速させよう
ブログを更新する感覚でスピーディーな情報発信が可能になることが、CMSの大きなメリットです。
ユーザーや顧客が今この瞬間に求めているコンテンツをリアルタイムで発信できれば、エンゲージメントの強化やファンの醸成といった成果に結び付くでしょう。
CMSの製品には、オープンソース型や商用パッケージ型などに分類される数多くのバリエーションが存在します。各製品の特徴をしっかりと理解したうえで、自社の目的に合ったCMSを導入しましょう。