統計データのポータルサイト「DataReportal」によると、2022年1月時点で、日本のインターネットユーザー数は1億1,830万人(人口の94%)に達しており、2021年と比較しても84万4,000人増加しています。企業にとってインターネットを活用したデジタルマーケティングへの取り組みは、もはや必須といえるでしょう。

デジタルマーケティングは自社のWebサイト運用を中心に行われ、なかでも、Webサイトを自社で簡単に更新・運用できるCMS(コンテンツ・マネージメント・システム)は、Webサイトを活用する手段として注目を集めています。
この記事では、CMSの導入を検討している方に向けて、導入のメリットやポイントなどを紹介します。CMS導入を進めるうえで知っておきたい内容をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
CMSを導入するメリット

まずは、自社サイトの構築にCMSを導入するメリットを5つご紹介します。
- 専門知識がなくてもWebサイトを作成できる
- 自社でコンテンツやデザインを手軽に更新できる
- Webサイト運用費用を抑えられる
- Webサイト運用の分業化・アカウント権限管理ができる
- 効果的なSEO対策ができる
1. 専門知識がなくてもWebサイトを作成できる
CMSは管理画面から直感的に操作でき、Webサイト全体に適用されるテンプレートも豊富です。そのため、HTMLやCSSなどのコーディング知識がなくても、CMSを導入すれば簡単にWebサイトを作成できます。
例えば、ヘッダーやグローバルメニュー、ボタンの配置、全体のカラーなど、通常はコーディングの知識がないと難しいデザインの実装も簡単で、統一感のあるWebサイトを作成できます。
特にパッケージで提供されているCMSにはすでに必要な機能やデザインが揃っているため、ゼロから構築する必要はなく、短期間で自社サイトの作成が可能です。
2. 自社でコンテンツやデザインを手軽に更新できる
CMSを使えば、自社でホームページの更新が可能です。
従来、専門知識のある人材が社内にいない場合、ホームページのコンテンツやデザインの追加・修正は外部のWeb制作会社などに依頼する必要がありました。
CMSなら、Webサイト公開後のコンテンツの追加・修正、部分的なデザインの変更なども、外注することなく自社で対応できます。
自社で試行錯誤しながら気軽に変更できるため、ユーザーの反応を見ながらスピーディな更新が可能となり、ユーザビリティも向上するでしょう。
3. Webサイト運用費用を抑えられる
CMSを利用していない場合、専門知識を持つ社員がいなければ、Webサイトの更新・修正や維持管理をWeb制作会社に外注する必要があるでしょう。一方、CMSを使えば自社で更新できるため、外注費用を抑えることができます。
マルチデバイス対応やSEO機能が備わったCMSを活用すれば、Web制作会社に依頼するような業務も自社対応が可能です。
4. Webサイト運用の分業化・アカウント権限管理ができる
CMSは、Web制作の専門知識がなくてもコンテンツの更新や追加が可能で、複数の部署によるWebサイト運用の分業化を実現できるのが大きなメリットです。
また、CMSにはアカウントの権限管理機能があるため、チームや部署ごとに操作権限も設定できます。
例えば、コンテンツを作成した担当者から校正者・責任者への承認フローをCMS上で管理できたり、ユーザー・部署ごとに操作権限を分けたりといった操作が可能です。
この機能を使えば、担当ではない人が誤ってコンテンツを更新・公開するようなトラブルを避けられるでしょう。複数人でWebサイト運用を行っている企業に役立つ機能です。
5. 効果的なSEOができる
SEOが可能なCMSでは、内部構造でのページ作成やマルチデバイス対応、サイトマップなどが管理画面から簡単に設定できます。
さらに、プラグインを使えば、ページごとのメタタグ設置、noindexやcanonical設定も可能です。
こういった機能を有効活用することで、ユーザーの使いやすさにもつながり、検索エンジンからの評価の向上も期待できます。
CMSを導入するデメリットとその対策
CMSは機能が多く便利な反面、細かい部分のカスタマイズが難しく、操作方法の学習が必要というデメリットもあります。デメリットの対策方法もあわせて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
カスタマイズが難しい
CMSのメリットのひとつとして、テンプレートを利用して統一感のあるWebサイトを簡単に作れる点があげられます。ただしその反面、部分的なカスタマイズは難しい場合もあります。
例えば、「このページの特定の部分だけ表示を変えたい」「新たに機能を追加したい」など、細かい変更にはコーディングが必要となるCMSも多いです。
部分的なカスタマイズはWeb制作会社に外注するか、事前にカスタマイズする可能性があるとわかっているのであれば、後から追加・変更できるかどうかを確認しておくと良いでしょう。
CMSの操作を覚える必要がある
CMSはWebシステムのため、操作方法を学習する時間が必要です。そのため、導入初期は操作に慣れずWebサイト運用がスムーズに進まない可能性もあります。
CMS導入初期の操作サポートをWeb制作会社に依頼したり、自社で管理するためのマニュアルを作成したりといった対策も検討しておきましょう。
CMS導入に向いているWebサイト
CMSはWebサイト作成・運用に便利なツールですが、Webサイトの特性によって向き不向きがあります。ここでは、CMS導入の効果が出やすいWebサイトと、出にくいWebサイトをそれぞれ紹介します。
CMS導入に向いているWebサイト
- 更新頻度が高い
- プレスリリースなどリアルタイムな情報発信が多い
- ページ数が多い
- コンテンツ管理を複数人で行っている
更新頻度が高いWebサイトや規模が大きいWebサイトは、関わる人も多いため、更新漏れや承認作業の遅れなど、運用中に、さまざまな問題が起きる可能性があります。
CMSを使えば、更新・承認作業がスムーズになり、アカウント管理によって人的ミスも防げます。
コンテンツ作成や更新のしやすさは更新頻度やWebサイトの見やすさに大きく影響するため、結果的にユーザーフレンドリーなWebサイトを作成できるでしょう。
CMS導入に向いていないWebサイト
- 更新頻度が低い
- ページ数が少ない
- ページごとにデザインが変わる
CMSは、長期的に運用することではじめて、ユーザー数の増加や運用コストの削減といったメリットが生まれます。そのため、キャンペーンのために一時的にWebサイトを立ち上げる場合などは、CMSを導入するメリットが薄くなってしまうでしょう。一時的に使用するWebサイトなら、Web制作会社に依頼してLP(ランディングページ)を作成する方法がおすすめです。
また、アニメーションや画像などが効果的に使われているクリエイティブ性が高いWebサイトなどは、CMSを導入することでコーディングの制約ができてしまい、思うように作業ができない可能性があります。
Webサイトの目的に合わせて、CMSの導入を検討しましょう。
CMS導入で押さえておきたい5つのチェックポイント
最後に、CMS導入時に押さえておきたいポイントを5つご紹介します。
- Webサイトの運用目的に合っているか
- 使いやすいか
- サポート体制・セキュリティ対策はどうか
- ベンダーの事業継続性はあるか
- 外部ツール連携ができるか
1. Webサイトの運用目的に合っているか
CMSにもさまざまな種類があり、ECサイトなどWebサイトの目的に特化したものもあります。そのようなCMSは、目的別に必要な機能が揃っているため、自分でカスタマイズする必要がなく、成果につながりやすくなります。
Webサイトを使うユーザーにとっても、見慣れた機能が標準装備されているため、直感的に理解しやすいのもメリットです。
まずは自社サイトの目的をはっきりさせて、それに合うCMSを探すと良いでしょう。
2. 使いやすいか
管理画面の使いやすさもCMSを選ぶポイントとして重要です。直感的な操作ができるか、管理画面がシンプルかどうかなどを確認し、使いやすさを調べておきましょう。
機能が多いCMSでも、使いにくいとスタッフの操作ミスや作業遅れの原因になります。無料トライアル期間を設けているCMSも多いため、使いやすさの観点で比較してみてください。
3. サポート体制・セキュリティ対策はどうか
CMSベンダーのサポート体制、利用できるセキュリティ対策ソフトやプラグインについても詳しく確認しておきましょう。
CMSを利用していると、操作方法の疑問やシステムの不具合が生じる場合もあります。必要な時に、すぐに問い合わせができるかどうかは重要なポイントです。WordPressなどオープンソース型のCMSはサポートがないため、不安であれば運用・保守サービスを提供しているWeb制作会社などへの依頼も視野に入れると良いでしょう。
また、CMSの脆弱性を狙ったサイバー攻撃も多いため、適切なセキュリティ対策が施されているかどうかの確認も重要です。特にソースコードが公表されているオープンソース型CMSは注意が必要で、プラグインなどで対策をしていないと情報漏洩などにつながる可能性もあります。
CMSベンダーやWeb制作会社のサポート体制、セキュリティ対策などは、事前に必ず確認しておきましょう。
ベンダーの事業継続性はあるか
オープンソース型のCMSは、開発元やベンダーによるサポートがありません。一方で、クラウド型のCMSはベンダーによって開発・保守管理されるのが一般的です。
ベンダーが倒産した場合、サポートやバージョンアップ対応などを受けられなくなり、Webサイトの修正や移行作業が発生する可能性もあるでしょう。
ベンダーの資本金や企業規模、ビジネスモデルもチェックして、信頼性が高いかどうかを確認しておくことをおすすめします。
外部ツール連携ができるか
CMSには、GoogleアナリティクスやSNS、MAツールなどとの連携機能が備わったものもあります。この機能を使えば、簡単に外部システムとの連携が可能です。
CMSを導入する際には、自社で利用している外部ツールと連携ができるかどうかを事前に確認しておきましょう。標準で利用できるものもあれば、有償追加が必要なツールやソフトウェアもあります。
こうしたツールと連携すれば、マーケティング施策が最適化でき、ユーザーの反応や要望に的確に応えられるWebサイトができるでしょう。
CMSを導入して効率的なWebサイト運用を
CMSの導入により、自社でのコンテンツ追加・修正、複数人での管理など、Webサイト運用が効率的にできるようになります。
ただし、WebサイトによってはCMSを導入する必要のないものもあるため、自社サイトの特徴をきちんと把握し、導入を検討してください。
Webサイトは長く運用するものです。そのため、自社サイト運用の目的や使いやすさ、運用開始後のサポートまでチェックして、自社に合ったCMSの導入を進めましょう。

