PDCAは、業務プロセスやプロジェクト改善のためのフレームワークです。
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計画の作成から改善までのサイクルを継続的に回すことで、プロセスが徐々に最適化されていきます。元々は製造業における品質改善を目的としたフレームワークでしたが、時を経て、ビジネスの現場で幅広く活用されるようになりました。
本記事では、PDCAの基本概念やメリット・デメリット、PDCAを効率的に回すための3つのポイントを紹介します。OODAとの違いも説明していますので、プロジェクトの目的や目標に沿ったワークフレームの選択にお役立てください。
PDCAとは
PDCAは、組織の業務プロセスやプロジェクトの改善・効率化を目指すフレームワークです。「PDCAサイクル」とも呼ばれます。
PDCAには、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の4段階があります。この4つの段階を繰り返し、1周ごとに各段階のレベルを向上させていくことで、継続的に業務の効率化や品質の向上、問題解決を図るというものです。
PDCAはもともと、製造プロセスで統計的品質管理を目的として使用されていたフレームワークで、後にビジネスにも幅広く適用されるようになりました。
PDCAの4つのプロセス
ここでは、PDCAの4つのプロセスが具体的に何を示すのかを詳しく説明します。
Plan/計画
Planの段階では、目標を明確に定義し、達成のための戦略と行動計画を策定します。
目標を立てる際には利用可能なデータを収集し、仮説に基づいて論理的で実現可能な計画を立てていきます。その際に、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を明確にしましょう。
Do/実行
Doの段階では、計画した戦略と手順に従って、具体的な行動を開始します。
実行中は、前のステップで立てた計画が適切だったかどうかを確認しつつ、データを記録することが重要です。評価に必要な数値を記録しておくことで、次の「Check/評価」の段階で客観的な評価ができるようになります。
計画通りに進まなかった場合には、具体的な状況も記録しておくと良いでしょう。
Check/評価
Checkの段階では、実行したタスクの成果を検証し、目標達成度を評価します。
事前に作成した行動計画と、「Do/実行」のステップで得られたデータを比較し、計画通りに進まなかった部分があれば理由を分析します。その際に、定量的なデータだけでなく、アンケートや行動観察といった定性的なデータも収集して評価に活用するのがポイントです。
ここでの評価は、改善の機会を見つけ出し、次の計画に反映させるための重要なステップです。評価の精度が高ければ高いほど、効果的な改善が期待できます。
分析の精度が低いと、次の「Action/改善」のステップで適切な施策が導き出せなくなるので注意が必要です。
Action/改善
Actionの段階では、Checkで得られたフィードバックを活用して、問題の根本原因を特定し、それを解決するための具体的な行動を検討します。
ここで決定した改善施策は、次のPDCAサイクルの「Plan」段階にフィードバックされ、再びPDCAのサイクルが回ります。
方向修正が難しい場合には、計画を改善してそのまま進めるだけでなく、場合によっては計画の中止や延期を検討することも必要になってくるでしょう。
PDCAのメリット
ここでは、PDCAサイクルを回すことで生まれるメリットを3つ紹介します。
業務プロセスが可視化される
PDCAサイクルを適用することで、目標や必要なアクション、課題などが明確になり、無駄な業務の削減や生産性の向上につながります。
業務プロセスを効率化することで、設定した目標に早く近付けます。
取り組むべき業務に集中できる
PDCAサイクルは、「計画→実行→評価→改善」と行動すべき流れが決まっており、各フェーズでやるべきことを明確にしていきます。それに沿って行動することで、迷いなく業務を遂行できるのがメリットの一つです。
また、目標達成が現実的になることで、従業員のモチベーション維持にもつながるでしょう。
継続的な改善により品質向上につながる
PDCAサイクルは、「サイクル」や「PDCAを回す」といわれるように、計画から改善までのプロセスを何度も繰り返し行います。
「計画→実行→評価→改善→計画…」と繰り返すことで、課題・問題点の発見や改善が進み、商品やサービスの品質向上につながります。
PDCAのデメリット
PDCAは、効果的な施策の改善が期待できる一方で、次のようなデメリットがあります。特に、手順を守ってPDCAのサイクルを正しく回すことが目的にならないよう注意が必要です。
柔軟性に欠けることがある
PDCAサイクルは繰り返しのプロセスに重点を置いています。そのため、柔軟性に欠けることがある点がデメリットといえます。
計画段階で設定した目標や、PDCAのプロセスそのものに固執しすぎると、計画の妥当性を客観的に判断したり、変化する環境に対応したりするのが難しくなる場合があります。
また、PDCAの計画を企業の上層部が行い、現場が実行するというトップダウン形式になると、現場の状況に合わせて計画を柔軟に調整することが難しくなります。
PDCAのサイクルを回すなかで生まれたアイデアが、適切に次のPDCAサイクルに反映される仕組みを作ることが重要です。
リソースを割いて中長期的に実行する必要がある
PDCAサイクルの実施は、業務の効率化につながる一方で、各ステップを丁寧に実行することが負担になることがあります。
リソースやプロジェクトの特性によっては、PDCAよりも、スピード重視の「OODA(観察→方向付け→意思決定→行動)」のほうが適している場合があります。
PDCAとOODAの比較については、記事後半の「PDCAとOODAの比較」の見出しで解説していますのであわせてご確認ください。
PDCAを回すことが目的になってしまうことがある
PDCAは、業務プロセスやプロジェクトの改善を目的として行います。中長期的にPDCAサイクルを回していると、それ自体が目的になってしまうことがあるので注意が必要です。
目的と手段をしっかりと認識したうえで、PDCAのサイクルが改善につながっていることを確認しながら進めましょう。
PDCAを効果的に回すポイント
PDCAを効果的に回すには、次の3つのポイントを意識することが重要です。
目的と目標を明確化する
効果的なPDCAサイクルの実施には、明確で具体的な目標設定が欠かせません。目標が明確であればあるほど計画が具体的になり、チームで一貫した方向性を持つことができます。
また、目標は必ず数値化して設定しましょう。目標達成のために必要なリソースが把握できるだけでなく、成果を客観的に判断することが可能になります。
<悪い例>
前年比よりも売上を増加させよう
<良い例>
ホームページからの問い合わせ数を△件増やすことで、営業による成約数を△件増やし、売上を前年比△%アップさせよう
現実的な目標を設定する
目標を現実的で実現可能なものに設定することも大切です。現場にいるメンバーが、「目標が高すぎて達成できない」と思ってしまうと、モチベーションが低下してしまいます。
現場の声を取り入れ、段階的に目標の難易度を上げるなどの工夫をしながら、PDCAを回しやすい仕組みを構築していきましょう。
継続的になるべく多くサイクルを回す
PDCAは、何度も同じサイクルを繰り返すことで新たな課題を発見できるのがメリットです。中長期的な取り組みであることを理解し、なるべく多くサイクルを回して大きな改善につなげましょう。
モニタリングとフィードバックを行う
PDCAのサイクルを回す際は、モニタリングとフィードバックを必ず実施しましょう。
モニタリングを実施することで、実行のステップで計画からズレが生じても、すぐに気付くことができます。また、チームで進捗を共有しながら問題点を議論し、改善策の提案を行うと、PDCAのサイクルがより効果的なものになります。
PDCAとOODAの比較
PDCAと似たフレームワークにOODA(ウーダ)ループがあります。どちらも、計画して実行するといった流れを表すフレームワークですが、それぞれ役割が異なります。状況に合わせて適切なほうを選択しましょう。
◆PDCAサイクル
Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)
◆OODA(ウーダ)
Observe(観察)→Orient(状況判断・方針決定)→Decide(意思決定)→Act(行動)
PDCAサイクルは、製造プロセスにおける統計的品質管理を行うためのフレームワークで、「業務改善」を主な目的としています。変化の少ない環境で中長期的に改善を繰り返す際に有効です。
一方のOODAループは、軍事戦略を起源とするフレームワークです。変化が激しい環境で迅速な「意思決定」を必要とする場面で有効なフレームワークとなります。
PDCAサイクルでプロジェクトを改善しよう
PDCAサイクルは、業務やプロジェクトの持続的な改善と成長を促進するフレームワークです。PDCAのサイクルを効率的に回していくことで徐々に施策が改善され、精度を高めることができます。
PDCAとOODAを目的にあわせて適切に使い分け、パフォーマンスの最大化を目指しましょう。