知名度が高い6つのセールス手法の概略

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戸栗 頌平(とぐり しょうへい)
戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

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目標を立てるのは簡単です。いつか億万長者になって、ハワイに引っ越し、自家用熱気球で飛び回る。素晴らしい目標ですね。

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しかし、難しいのは「どのように」という部分です。その目標をどのように実現するのか、と聞かれたら、いずれ検討したうえご報告します、とでも答えたくなります。言うなれば、目標と道筋との乖離です。

目標と道筋との乖離という話が特に当てはまるのがセールスです。セールス担当者は、自分に課せられたノルマはきちんと認識しています。しかし、そこに至るまでにどのような手順を踏んでいけばよいか、という話になると、すんなり答えが出てきません。

そこでセールス手法の出番です。Sales Benchmark IndexのJohn Kenney氏の記事にある表現を借りると、「セールス手法とは、販売の『どのように』をカバーするためのスキルセット」です。

セールス担当者にふさわしい思考様式、質問技法、アプローチを身に付けさせるには、何らかのセールス手法を取り入れるのが得策です。さまざまな手法がある中、何をどれだけ押さえておけばよいかとお悩みの方のために、この記事では、広く知られている6つのセールス手法をダイジェストで紹介していきます。

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SPIN営業術

Neil Rackham氏の「SPIN Selling」(邦訳「大型商談を成約に導く『SPIN』営業術」)という本で広く知られるようになったのが、SPINというセールス手法です。SPINとは、セールス担当者が顧客に問うべき質問の種類を表したもので、「Situation(状況)」「Problem(問題)」「Implication(示唆)」「Need-payoff(解決)」の4つから成ります。頭文字を取ってSPINです。

  • Situation(状況)質問とは、見込み客の現在の状況を理解するための質問です(さらに、電話や面談の前に事前調査をしておくことが望まれます)。
  • Problem(問題)質問とは、見込み客の課題の核心に迫るための質問です。
  • Implication(示唆)質問とは、問題を解決しなかった場合に生じる影響について考えるよう見込み客に促す質問です。
  • Need-payoff(解決)質問とは、問題が解決した場合に状況がどう変わるかを考えるよう見込み客に促す質問です。

たとえば、幹部候補の人材紹介サービス企業の場合で言えば、次のようになります。

  • 現在の採用プロセスはどのような流れですか。
  • 上級幹部の役職にふさわしい優秀な人材をなかなか連れて来られず苦労しているという認識はおありですか。
  • 上級幹部の役職が埋まらなかった場合、会社にどのような影響が生じますか。
  • 幹部候補となる優秀な人材のリストが手に入ったとしたら、人事部門や会社全体がどのように変わりますか。

この製品やサービスを購入するとこんなに良いことがありますよ、という自分たちの考えを見込み客に押し付けるのではなく、そうした点を見込み客が自ら認識するように導いていくことが、SPINで行う4種類の質問の目標です。

コンセプチュアルセリング

コンセプチュアルセリングは、Robert Miller氏とStephen Heimen氏が考案したセールス手法です。その土台にある考え方は、顧客は製品やサービスを購入するのではなく、その製品なりサービスなりが実現する解決策のコンセプトを購入するのだというものです。この考え方の下では、セールス担当者の仕事は、売り文句で顧客を誘導することではありません。製品やサービスに対して見込み客が抱いているコンセプトを探ることと、見込み客の意思決定プロセスを理解することが必要になります。

両氏によると、セールス担当者は次の5つのカテゴリに該当するインテリジェントな質問をする必要があります。

  • 確認の質問:情報を再確認する質問
  • 新情報の質問:製品やサービスに対する見込み客のコンセプトを明確にし、先方は何を達成したいのかを探る質問
  • 心構えの質問:見込み客を個人的なレベルで理解し、プロジェクトとのつながりを見いだすための質問
  • コミットメントの質問:プロジェクトに対する見込み客の傾注について尋ねる質問
  • 基本的課題の質問:潜在的な問題を提起する質問

コンセプチュアルセリングは、話を聞くことを非常に重視しています。また、セールスのプロセスを、情報の獲得、情報の提供、コミットメントの獲得という3つの段階に分けています。どの案件も、見込み客とセールス担当者の双方にとってWin-Winになるものでなくてはなりません。そう思えない案件からは撤退するのが得策です。

SNAPセリング 

SNAPセリングは、見込み客と同じ目線にセールス担当者を持っていくことを目指すセールス手法です。SNAPとは、セールス担当者にとって欠かせない4つの原則、すなわち、「keep it Simple(常にシンプルに)」、「be iNvaluable(唯一無二の存在に)」、「always Align(常に足並みをそろえて)」、「raise Priorities(優先度を高めて)」の略語です。セールス担当者は、この4つの原則を念頭に置くことにより、的確な知識を生かして、多忙な見込み客と効果的に接触でき、自分が売っているものと見込み客の最重要事項とを関連付けて、購入への道筋を円滑にすることができます。

セールス担当者の中には、見込み客が行う意思決定について、買うか買わないかという1つの決定しかないと思っている人が多くいます。しかし、著者のJill Konrath氏は、実は3つの重要な意思決定があると言っています。1つ目はセールス担当者に接触を認めるという決定、2つ目は現状を変えるという決定、3つ目はリソースを変えるという決定です。重要な節目となるこの3つの小さな決定を念頭に置くことで、セールスをより効果的に進めていくことができます。

チャレンジャーセールス

チャレンジャーセールスを解説した「The Challenger Sale」(邦訳「チャレンジャー・セールス・モデル」)の中で、著者のMatthew Dixon氏とBrent Adamson氏がまず述べているのは、B2Bのセールス担当者は5種類に分類できるということです。すなわち、リレーションシップビルダー(関係構築タイプ)、ハードワーカー(勤勉タイプ)、ローンウルフ(一匹狼タイプ)、リアクティブ・プロブレム・ソルバー(受動的な問題解決タイプ)、チャレンジャー(論客タイプ)という5種類です。

両氏の調査によると、セールス担当者はこの5種類にほぼ均等に分かれるそうですが、圧倒的に成果が優れているのはチャレンジャーで、ハイパフォーマンスなセールス担当者の40%はチャレンジャーに該当するそうです。

なぜチャレンジャーの成功率が高いかというと、指導/適応/支配というプロセスを踏んでいるからです。まずは、見込み客に対する「指導」です。販売する製品やサービスについて指導するのではなく、背後にあるビジネス問題、新しいアイデア、明敏な洞察について指導します。次は「適応」です。

見込み客に合わせてコミュニケーションを適応させます。最後は「支配」です。顧客への無理強いをも恐れず、好かれることよりも最終目標に重きを置くことによって、セールスを支配します。チャレンジャーセールスの手法では、チャレンジャー以外の4種類の人にも、チャレンジャーの英知を授けることに努めています。

サンドラーのセールス手法

サンドラーのセールス手法では、従来のセールスプロセスの筋書きが、ある程度まで覆ることになります。伝統的に、セールスの根底にある発想は、売り手が潜在顧客を追い求めて説得するという構図でした。しかしサンドラーのプロセスでは、両者が等しくセールスに関わるべしと述べています。両者の役割が完全に逆転するわけではないものの、立場としては対等になります。

セールス案件では、見込み客とセールス担当者の双方がかなりの労力を費やした後になって、時間や予算の制約といった障壁が表面化して話が頓挫することがよくあります。しかし、サンドラーの手法を身に付けたセールス担当者であれば、案件見極めの段階で大半の障壁を表面化させて評価するよう努めます。

仮にセールス担当者が、自社の製品やサービスでは潜在顧客の懸念にきちんと対処できないと悟った場合、対処できるかのように説得を試みるという無駄な抵抗はせず、セールスから撤退します。この手法では、「買ってほしい」と売り手が買い手を説得するのではなく、「売ってほしい」と買い手が売り手をいわば説得する形になります。

CustomerCentricセリング

CustomerCentricのセールス手法では、セールス担当者は、製品をゴリ押しする役ではなく、見込み客と協調するコンサルタントにならなくてはならないとされています。CustomerCentricのセールス活動で行動の根幹となるのは、次の8つの基本思想です。

  • プレゼンをするのではなく、状況に合った会話をする
  • 意見を提示するのではなく、的を射た質問をする
  • 関係ではなく解決策に焦点を合わせる
  • ユーザーではなく意思決定者をターゲットにする
  • 製品そのものではなく、製品の使い道をプロモーションすることで関心を集める
  • 最も忙しいセールス担当者ではなく、最も優れたセールス担当者を目指す
  • 売り手のタイミングではなく買い手のタイミングで話をまとめる
  • 買い手を説得して購入させるのではなく、買い手の力になることで購入へと導く

いかなるセールス案件も、目標を達成する、問題を解決する、ニーズを達成するという3つのいずれかを買い手が実現できるものでなくてはなりません。扱っている製品やサービスで、この3つをどれも満たせないのであれば、その案件からは撤退した方がよいでしょう。

現在、どのようなセールス手法をお使いですか。

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編集メモ:この記事は、2014年9月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Emma Brudnerによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

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