小規模のオンライン広告代理店の持つ強みとメリット

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戸栗 頌平(とぐり しょうへい)
戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

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自由がないところには、創造性はなかなか生まれません。階層構造の組織では、常に誰かに監視されている気分や、箸の上げ下ろしまで指示されている気分になりがちです。競争があまりに激しい今日のメディア界では、独創的なアイデア、枠にはまらない考え、起業家的な直感から成功が生まれることがよくあります。

小規模の広告代理店というと、単なる安い選択肢と見られがちですが、大企業のような構造や組織階層がないことは、実はユニークな強みを生む大きな源泉です。独立系の広告代理店の多くは、そのような認識を抱きつつあります。

本ブログでは、米国を中心にオンライン広告代理店の責任者たちが小規模なオンライン広告代理店のもつ強みと、ならでは悩みについてご紹介します。

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ささやかな自尊心と大きな心

独立系のエネルギッシュな広告代理店が、どこかの会社に買収されるときに、決まって聞かれるのが、「買収されても何も変わらない」という言葉です。でも、その言葉は大嘘です。本当であるはずがありません。なぜなら、最終的に広告代理店は、オーナーの動機を必ず体現していくからです。オーナーがもっぱら金目当てだとしたら、そのことが反映されるのは避けられません。

「でも、今現在あなたは広告代理店のオーナーで、しかもお金好きじゃないか」と憤慨する人もいるかもしれません。そのとおり。私はオーナーで、お金が好きです。でも、好きなことはほかにもあります。気の合う仲間と仕事をすること。尊敬するクライアントのために仕事をすること。興味とやりがいを感じられるプロジェクトに取り組むこと。私はそういうのが大好きです。

実際、お金という素晴らしいものではなく、同じく大好きな別の何かを優先した決定を下すことも、日常茶飯事です。こうして我が社は、ささやかな自尊心と大きな心を持つ社員が緊密に結び付いた集団になっています。クライアントと協力関係を結び、クライアントの成功と失敗を我が事として感じるようになっています。私はこの15年間、目覚まし時計が朝を告げたときに、不快感で悪態をついたことは1度もありません。

- Nail Communications、クリエイティブパートナー、Alec Beckett氏

選ぶ権利

20年以上前にMeers Advertisingを設立してから現在までの間に、重大な岐路で厳しい決断を迫られたことは何度もあります。たとえば2008年がそうです。経済が低迷する中、私に残された選択肢は3つでした。廃業するか、身売りするか、再出発を図るかです。別の広告代理店などに身売りする誘惑にもかられましたが、私はMeersを独立系のまま維持して再出発する道を選びました。そして今、独立系だからこそ得られるメリットを手にしています。

このビジネスで肝心なのは、我々ではなくクライアントなのだということを、我々は認識するようになりました。どのクライアントの仕事をお受けし、どのクライアントをお断りし、どの関係を終わらせるかを選ぶ権利が、独立系の当社にはあります。当社が求めるのは、当社と同じような情熱をみなぎらせているクライアントです。その方が、最終的にお互いが手にする成功が大きいとわかっているからです。

また、たとえばリスクをとって採用を行うべきタイミングを計るときや、利益を再投資する方法を選ぶときに、当社とその文化に合った正しい選択をすることができます。今後も引き続き岐路に直面していく中で、戦略的な方向転換を図る際にも、他社の承認を得る必要はありません。こうして、当社の社員とクライアントだけに意識を向けられます。頑張りを促すことができます。ハードルを上げることができます。何かを愛することができます。

- Meers Advertising、CEO兼社長、Sam Meers氏

一味違う人材

キーワードは「独立系」ですが、その強みはオーナーの支配構造という面にとどまりません。人材も肝心です。私の経験では、独立系の広告代理店に集まる人材は一味違います。当社の社員は、どの職種を見ても、自主自立、裁量権、冒険心を大切にする者ばかりです。恐れることなく、自ら責任を負っています。そして、自分の貢献が表に出たり認められたりすることのない巨大な組織に飲み込まれるのを良しとしません。

独立系の広告代理店は、四半期ごとの数字に縛られる必要はありません。我々自身が、自社のステークホルダーであり株主です。計算ずくでリスクをとり、納得できるクライアントと仕事をし、きちんと結果を残してくれるサプライヤーと提携します。独立系の代理店は、結果を目指してマーケティングに貪欲に取り組むことが多く、官僚主義への心配とは無縁です。数十か所に拠点を置いて、広告の総費用が数百万ドル規模で、そうそうたる顔ぶれのクライアントが揃っている広告代理店を利用する方が合っている企業も、中にはあることでしょう。

しかし当社は、「大きい方がよい」という見方に異を唱え、クライアントもそのような見方を再考した方がよいのではないかと考えています。そろそろ、優秀な独立系広告代理店を議論に加えてみてはいかがでしょうか。

- Sullivan Higdon & Sink、マネージングパートナー、Tom Bertels氏

柔軟性、実践主義、スピード

柔軟性、実践主義、スピード、冒険心、そしてもちろん、独立性です。しかるべき理由さえあれば、研究を活性化する決定、スペックワークをする決定(あるいはしない決定)、全社で謎の買い物に出掛ける決定、同じカテゴリ内での競合に至るまで、即決で進められます。たとえば、小規模すぎるとか魅力的ではないという判断を調達の段階で下されかねないクライアントの仕事をする機会があったときに、その機会を追求できます。

結局のところ、親会社の規則に縛られることも、誰かの許可を得る必要もありません。この会社は父が47年前に立ち上げました。現在は、我々が兄弟で所有し、家業として経営しています。そして、立ち入り自由という主義を取り入れています。どの社員もやって来てくれて構いませんし、提案を行ったり、アイデアを披露したりしてくれて構いません。

我々が気に入れば実践します。子供も歓迎、犬も歓迎です。以前ハリネズミがいたこともあります。また当社は、安定性と一貫性のあるマネジメントを続けてきたことから、魅力的な文化を明確にうち立てることができました。全体の結果として、我々はクライアントや社員との間で長期的な関係を享受しています。他の広告代理店がどのように運営されているかを目のあたりにしてから、当社に戻ってくる社員も少なくありません。

- Peter Mayer、最高クリエイティブ責任者、Josh Mayer氏

リスクを物ともせず

広告代理店が独立系かどうかより、そこで働いている全員が独立系の広告代理店を選んだという事実の方がポイントです。そういうタイプの人は、斬新な考え方ができ、リスクを物ともせず、劇的な変化につながるアイデアを生み出せる人であることが多いものです。

- Glass Agency、社長、Amber Williams氏

階層構造ではイノベーションが促されず

我がHalo Groupは、ニューヨークでトップクラスの独立系広告代理店の座を20年間にわたって維持する中で、絶えず変化する市場の需要やクライアントのニーズにすばやく適合してきました。当社は、ブランディングとマーケティングのコミュニケーションエージェンシーです。当社を率いる経営陣は、ビジネス、ブランディング、PR、ソーシャル、デジタル、従来型のクリエイティブとメディアの専門家集団で、1つのチームとして協力し合っています。

こうした真の協力関係を生かしたビジネスモデルによって、爆発的な数のアイデアが育まれます。アイデアは、社内のあらゆる場所で芽生え、クライアントとのパートナーシップからも生まれます。階層構造の色彩が強い大企業は、バランスが入念に保たれたフラットな環境とは好対照です。創造的で自立した発想を育むためには、そのようなフラットな環境が欠かせません。会社の方針に従って行われた意思決定が、最終的にクライアントにとって最善の利益をもたらさないことは多々あります。

Halo Groupが独立系であることの強みは、クライアントのニーズや新たな収益分野に常に焦点を合わせられることと、社内で必要な変更を迅速に加えられることです。また、Halo Groupの個性は、創業者の自立心や起業家精神の影響を受けており、当社には、志を同じくするプロフェッショナルたちが集まっています。恐れを知らず、解決志向型で、ビジネスへの取り組みを成長に直接結び付けたいと考えている社員たちです。

- The Halo Group、CEO、Linda Passante氏

アイデアが持つ力への情熱

50年もあると、さまざまなことが変わっても不思議はありません。しかし、ワシントンDCで最大級の独立系広告代理店である我がWHITEが変わっていないのは、アイデアが持つ力への情熱です。創業者のNolan、Duffy、Whiteの3名がジョージタウンの小さなオフィスで1964年に事業を始めたときに生まれたのは、単なる広告代理店ではありません。文化が形成され、未来への道筋ができました。

デザイン全盛の時代に創業したWHITEは、現代のデジタル界に合わせて進化を遂げてきました。独立系の広告代理店として、創造性を受け入れる力や、俊敏さを失わない力をいつも大切にしてきました。常に変化するマーケティングミックスを通じてクライアントを先導できているのはそのためです。独立系の広告代理店だからこそ得られる恩恵の1つが、共に仕事をするクライアントを選ぶ機会があることです。

WHITEが支えるクライアントは、大規模なクライアントだけではありません。小規模ながら、この地域やわが国にとって大黒柱と言えるクライアントもあります。こうしたクライアントを支えることは、職の創出につながります。それが経済を支え、当社にも還元されてきます。独立系として広告事業に従事することで、会社を自ら統制する機会が得られ、当社と信条を同じくする企業と共に仕事ができます。半世紀にわたってこの会社が続いてきた理由の1つです。

- WHITE、CEO、Matt White氏

選別や編集のない独立性

Planitは独立系ですから、ありのままのアイデアを一番上まで持っていくことができます。別の誰かの方針に沿った選別や編集を加えていないアイデアです。当社は、クライアントのニーズを解決することに全力を注ぎ、常に自らの信念を忠実に守っています。その結果、クライアントとの優れたパートナーシップや、大手ブランドとのキャンペーンが生まれました。

現在はブランドの再活性化に力を注いでいます。対象のほとんどは、何十年も前から存在し、今もそれぞれのジャンルで先頭を行くブランドです。当社はクライアントに飛躍を促し、クライアント自身が描く自画像の再考を迫っています。こうしてPlanitは、クライアントに新たな息吹を送り込んでいます。

- Planit、PR担当ディレクター、Caitlin Mills氏

いただく額に見合ったサービス

我がBouvier Kellyが、その事業、社員、クライアントにとって最適な形で進んでいけるのは、独立系であるからこそです。上級レベルの人材を確保できるので、未熟なチームをクライアントにあてがうことはありません。いただく額に見合った一流のサービスを常に提供しています。

当社の誇りは、コラボレーション、誠実な関係、楽しむこと、リスクをとること、オーソドックスな考え方と独創的な考え方の両方を持つことです。当社と同じ価値観や哲学を持つクライアントを選べるのは、独立系ならではです。これは、ビジネスを進める最善の方法です。当社が今年40周年を迎えられた大きな理由の1つはここにあると考えています。

- Bouvier Kelly、社長、Pete Parsells氏

階層を減らしてスピードアップ

我がPhelpsは、カリフォルニアで最大級の統合型広告/PRエージェンシーです。設立から30年以上にわたって、独立系として事業を行ってきました。しかるべきクライアントに向けて素晴らしい成果を残してきたのは、独立系だからこそです。

クライアントに提供するサービスの質を高めるために、階層の数を減らした結果、成果を生むスピードが上がり、各個人の満足度が高まり、透明性も高まりました。チームの規模と、フラットな組織構造のおかげで、当社のアソシエイトは、クライアントに向けてプロデュースするプロジェクトに直接貢献し、自ら統制できます。

当社は、独立系であるおかげで、俊敏性を実現し、常に変化するビジネス環境にすばやく対応できています。この結果、競争力に優れた料金をクライアントに提示できます。またアソシエイトにとっては仕事の満足度が高まります。さらに、もう1つ言いたいのは、しかるべきクライアントを厳選できるという、当社の最大の強みです。

株主や証券アナリストからの圧力なしで、クライアントを自由に選べます。こうして、当社のアソシエイトは、自分の仕事に誇りを感じ、バランスの取れた毎日を送り、インパクトのある成果を生み出すことができます。

- Phelps、CEO、Joe Phelps氏

限りのない範囲と柔軟性

メガエージェンシーの本質は、その下部構造にあります。つまり、その時その時で時代の先端を走っていて魅力的に思えたエージェンシーの数々を傘下に収めてきました。問題は、現在のマーケティングを取りまく環境です。それを特徴づけるのは、スピード、イノベーション、カオスです。昨日の時点では時代の先端で魅力的だったものも、明日には時代遅れになっています。何より重要なのは、エージェンシーからの助言は本質的にバイアスがかかっていることです。

ネットワーク内のソリューションに金を送り込む必要性から生じたバイアスです。つまり、下部構造に応じて、解決策があらかじめ決まっています。一方で、当然のことながら、極めて革新的なオーディエンス エンゲージメント ツールは、「クリエイティブブリーフ」や「アカウントエグゼクティブ」という言葉を聞いたことのない社員5人のスタートアップで毎日のように生み出されています。

我々Mechanicaが生まれたのは、メガエージェンシーの今後の動きをずっと妨げる旧来のブランディングの仕組みを再考したことによるものです。当社のアプローチは、「ディープストラテジー」と呼ぶものを、創造的な包括性を備えたコラボレーションベースの実行モデルと組み合わせています。当社には、「Mechanics」と呼ぶフルタイムの担当者が20人おり、月に30~40の実行パートナーと協力して作業を進めています。

当社のモデルは、大規模エージェンシーが持つ戦略的な強みという面と、実行上の範囲と柔軟性に限りがないという面を併せ持っています。ネットワークパートナーを言いくるめてプロジェクトに取り組んでいる大規模エージェンシーネットワークのAEからすると、まさに夢物語です。

- Mechanica、CEO/戦略ディレクター、Ted Nelson氏

人材への投資

当社は従業員所有企業ですので、外部の投資家に対する責任に動かされる必要はありません。クライアントと社員にとって何がベストかという基準で決定を下しています。所定の額の売上を親会社に送る必要がなく、当社自身の事業にリソースを配分できます。当社は、人材への投資によって、自社の能力を構築しています。また、決まった額の収益確保に縛られる必要がないことから、クライアントに合った料金を柔軟に適用できます。

当社の各サービス部門(メディア、デジタル、PRなど)と各オフィスは、それぞれが個別のプロフィットセンターとしてではなく、全体を1つとして損益を共有していますので、収益を巡る内部抗争はありません。クライアントに向けて、先方のニーズに合った最善のアプローチを提示し、ソリューションの革新性を高められます。当社は、クライアントのニーズに鈍感な連中が階層構造の承認により離れた場所からマネジメントしているわけではありません。

首脳陣がクライアントのビジネスに直接関与し、クライアントのニーズを完全に理解したうえで、ビジネス上の決定を下しています。起業家精神を持つ独立系の企業として、当社はすばやく動き、クライアントのニーズに迅速に対応しています。持株会社で働いた経験のある社員によると、当社の方がクライアントサービスの文化が優れているそうです。当社の経営陣は、日々のビジネスに接し、クライアントのニーズを体感しているからです。

- MARC USA、会長、Tony Bucci氏

独立性から生まれる客観性

当社の独立性から生まれるコンテキストは客観性です。これは、当社にとって最も重要で、クライアントにとって最も価値が高いコンテキストです。このおかげで、当社にとってベストかどうかではなく、クライアントとそのブランドにとってベストなアドバイスを提供できます。仕事の質とスタッフの満足感が上がり、クライアントからのリピートオーダーにつながります。クライアントからの信頼は、当社の成長にとって不可欠です。

- NAIL Communications、マネージングパートナー、Jeremy Crisp氏

自ら針路を定める

当社は、独立系のクリエイティブエージェンシーとして、10年にわたって事業を進めてきました。狙いどおりの成長を可能にしたのは、何にも増してこの独立性でした。当社は、我々が真の情熱を注ぐことができるクライアントを追求し、パートナーを自ら選択し、クライアントと当社にとって最適だと思う対象に投資しています。何らかの点でしがらみがあるかもしれない非独立系の広告代理店と対峙するうえで、こうした点は実に大きなアドバンテージです。

また、この独立性のおかげで、どの部分がいつ重要かという点にも、迅速かつ柔軟に対応できます。何重もの承認を経ることなく、すばやい意思決定が可能です。四半期ごとの数字を達成する必要性には左右されません。そして、独立系のエージェンシーとして売り込みに入るときには、それを誇りにします。自ら針路を定め、自主性を維持しているという点で、クライアントからは尊敬を受けていると思います。

- Partners + Napier、CEO、Sharon Napier氏

ウェブ制作会社とマーケティング代理店の組織作りガイド
編集メモ:この記事は、2014年7月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Jami Oettingによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

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