チャットボットは、カスタマーサポート業務の効率化や、IT部門などへの社内問い合わせ対応の工数削減に役立つツールです。
多種多様なサービスがあるチャットボットから自社に合ったものを選ぶには、各サービスの特徴を理解し、自社が抱える課題の解決につながるかどうかを判断する必要があります。
本記事ではチャットボット選定時の比較ポイントと、特徴別のおすすめチャットボットツール・サービス25選を紹介します。
チャットボットサービス選定時の比較ポイント
チャットボットの需要の増加を受けて、各社が多種多様なツール・サービスを提供しています。チャットボットサービス選定時には、次の7つの比較ポイントに注目して検討することで、導入後のミスマッチを防止できます。
- タイプ
- 導入方法・設置場所
- 効果検証性
- 機能のフィット感
- 保守性
- サポート体制
- 導入実績
1. タイプ
チャットボットには、AI型・シナリオ型の2種類のタイプがあります。
AI型は、想定される質問や関連の知識をデータ化したものを、大量にAI(人工知能)に読み込んで学習させることによって作成するチャットボットです。定型の質問文の対応に留まらず、ユーザーから与えられた質問の意味を咀嚼したうえで、適切な回答が行われます。ユーザーとのやり取りによって蓄積されたデータをAIが学習することで、徐々に回答の精度が向上していきます。
シナリオ型は、事前にチャットボットで設定したシナリオが、条件分岐によって構成されて回答が導き出されるものです。ユーザーに「はい」「いいえ」などの選択肢を与え、繰り返し選択してもらうことによって、欲しい回答にたどりつくようになっています。
一般的には、複雑な対応を求めるなら「AI型」、定型化された対応で十分な場合は「シナリオ型」が適しているといわれています。
2. 設置場所
チャットボットを設置できる場所は、サービスによって異なります。
社外や顧客向けにWebサイトのFAQページや問い合わせフォームに設置する場合や、SNSなどのコミュニケーションアプリ、オフィス向けのチームコミュニケーションツールで利用したい場合など、導入の目的に合ったサービスを選ぶ要があります。
3. 効果検証性
効果を検証できる分析ツールが備わっているかどうかは、チャットボットサービスの選定において重要なポイントです。
どれだけ機能が優れたチャットボットを導入したとしても、自社のビジネスへもたらす効果を定量的に評価できなければ、改善につながらないからです。
4. 機能のフィット感
チャットボットサービスによって、チャットの形式や得意とする利用シーン、追加機能などが異なります。
デフォルトで必要な機能が備わっていないサービスを選んでしまうと、導入後の設定やチューニングに手間がかかってしまいます。
機能の拡張性なども考慮し、自社のニーズへのフィット感をもとに選定することが大切です。
5. 保守性
チャットボットは導入して終わりではなく、自社のサービス内容の細かな変更に伴い、設定の調整などの保守作業が必要です。特に、AIチャットボットは学習データが増えるほど回答の精度が向上します。
そのため、導入後に修正しやすい仕様なのかというような保守性も選定基準となる大事なポイントです。
6. サポート体制
チャットボットの導入は、「簡単」とうたっているサービスであっても一定の知識が必要です。特に、プログラミングやサイト運営などの知識がない方にとっては、使用方法がわからず難しいと感じる可能性もあります。
導入に際してのオンボーディングや導入後の支援など、サポート体制が整っているかどうかも事前に確認しておきましょう。
7. 導入実績
どれだけチャットボットの機能性や導入の容易さを強調しているサービスであっても、実際に利用価値があるものなのかを判断することは難しいでしょう。
信頼できるサービスであるか判断する際に参考にしてほしいのが、公式サイトなどに掲載されている導入実績や導入事例などです。
同業界・業種の企業や有名企業などが掲載されていれば、ノウハウなども蓄積されていると考えられ、安心感があります。
【2023年版】チャットボットツールの比較表
比較した25種類のチャットボットツールからおすすめのものを厳選して表にしました。ツールの導入を検討する際にお役立てください。
特徴別のチャットボット比較25選
チャットボットの主な使用目的が決まっている場合は、特徴別で比較すると検討しやすいでしょう。
25種類のチャットボットの特徴や比較ポイントを、次の5つの特徴別に紹介します。
- 社外からの問い合わせ・カスタマーサポート対応向け
- 社内問い合わせ・ヘルプデスク対応向け
- マーケティング支援におすすめ
- 無料で導入できる
- 多言語対応向け
社外からの問い合わせ・カスタマーサポート対応向け
社外からの問い合わせやカスタマーサポート対応には、よくある質問のテンプレートが用意されたシナリオ型と、対応した内容を学習して成長するAI型のどちらもフィットしやすいといえます。
社外からの問い合わせ・カスタマーサポート対応向けのチャットボット6種類を紹介します。
1. OfficeBot
出典:OfficeBot
OfficeBotは、ネオス株式会社が提供しているバックオフィス特化のAIチャットボットです。
ツール導入のための学習作業や検索語句設定が不要で、レポート機能によって問い合わせ状況などを可視化できます。
- タイプ:AI型
- 設置場所:Webサイト、LINE、Slackなど
- 分析ツール:応答率、回答到達率、会話離脱率など
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:初期費用:35万円・月額15万円
2. KARAKURI
KARAKURIは、カスタマーサポート特化型の高精度AIチャットボットです。
チャットボットの内容をFAQへ自動反映することや、有人チャットとの併用で満足度の高い顧客対応を実現できます。
- タイプ:AI型設置場所:Webサイト、FAQなど
- 分析ツール: 非掲載
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:要問い合わせ
3. GENIEE CHAT by Chamo
出典:GENIEE CHAT
GENIEE CHAT by Chamoは、問い合わせ対応に適したシナリオ型のチャットボットです。
問い合わせ対応における基本的なやりとりができるように、初期設定が行われているため、導入後すぐに利用できます。
- タイプ:シナリオ型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール:リアルタイム計測
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:月額6,500円?/1ユーザー、無料トライアルあり
4. AIさくらさん
出典:AIさくらさん
AIさくらさんは、株式会社ティファナ・ドットコムが提供するシナリオ型のチャットボットです。
画面上に写ったAIキャラクターとコミュニケーションをするようなUI/UXとなっており、選択肢を元にしたやりとりができます。また、複雑な内容の場合は、オペレータとビデオチャットを接続できるなど、チャットボットとリアルな対応の連携も可能です。
- タイプ:シナリオ型
- 設置場所:Webサイト、LINE、ビジネスチャット
- 分析ツール:ログの分析、レポート機能
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:要問い合わせ
5. チャットプラス
出典:チャットプラス
チャットプラス株式会社が提供するチャットプラスは、自社のWebサイトへJavaScriptのタグを埋め込むだけで利用できるチャットボットです。
分析ツールが豊富かつ少額から利用できるため、コスト削減とスピーディな導入が叶えられます。
- タイプ:シナリオ型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール: ボット起動数、クリック数、離脱率など
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:初期費用0円、月額1,500円~
6. Challbo
出典:Challbo
株式会社コラボスのChallboは、コールセンター業務に適したクラウド型チャットサービスです。
複数のWebサイトを1つのツールで対応するマルチテナント対応機能が特徴的です。
- タイプ:クラウド型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール:解析機能
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:月額料金3万円~
社内問い合わせ・ヘルプデスク対応向け
社内ルールやマニュアル、書類の書き方、システムに関する内容など、簡単な質問への回答やナレッジの共有にもチャットボットが有効です。
社内問い合わせ・ヘルプデスク対応に適した5種類のチャットボットを比較しました。
1. AI-FAQボット
出典:AI-FAQボット
AI-FAQボットは、社内向けの自動問い合わせチャットボットです。
言葉のゆれの自動学習により、未登録の単語も2回目以降は自動学習されます。無料トライアルがあるため、実際にチャットボットに触れて使用感を試すことも可能です。
- タイプ:AI型
- 設置場所:ビジネスチャット、グループウェア
- 分析ツール:あり
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:QA数に応じて月額3万円~
2. LINC Biz bot
出典:LINC Biz bot
LINC Biz botは、オフィス内対応業務をサポートするチャットボットです。
会話履歴を自動分析して改善案を提案してくれるため、運用初心者の方でも更新作業も行いやすいはずです。
- タイプ:AI型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール:改善レコメンド機能
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:無料トライアルあり
3. HiTTO
出典:HiTTO
HiTTOは、社内利用に特化したAIチャットボットです。業務自動化ツールの市場シェア33.2%(*)を誇ります。
従業員数1,000名以下から1万人規模の企業まで、幅広く導入されています。
- タイプ:AI型
- 設置場所:Webサイト、ビジネスチャット、グループウェア
- 分析ツール:ログの分析・レポート機能
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:要問い合わせ
4. helpmeee! KEIKO
helpmeee! KEIKOは、バリュエンステクノロジーズ株式会社が開発・運営しているAIチャットボットです。
汎用Q&Aを1,000件以上学習済みであるため、スピーディに導入できます。
- タイプ:AI型
- 設置場所:Webサイト、ビジネスチャット、グループウェア
- 分析ツール: 非掲載
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:要問い合わせ
5. HRBrain AIチャットボット
HRBrain AIチャットボットは、社内問い合わせ対応を自動化するためのチャットボットです。
累計導入社数は2,000社を超えます。テンプレートが利用できるため、初期設定や導入の工数を抑えられます。
- タイプ:AI型
- 設置場所:Webサイト、ビジネスチャット、グループウェア
- 分析ツール:ログの分析・レポート機能
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:要問い合わせ
マーケティング支援におすすめ
チャットボットサービスのなかには、マーケティング機能を備えたものもあります。
LINEなどでのチャットの内容に沿ったバナー表示や決済サービスとの連携などが可能な、マーケティング支援におすすめのチャットボット7種類を紹介します。
1. hachidori
出典:hachidori
hachidoriは、LINE公式アカウントで利用できるチャットボットです。友だち登録からリテンションまで、マーケティング支援ツールとして活用できます。
- タイプ:シナリオ型
- 設置場所:Webサイト、LINE、Facebookなど
- 分析ツール:Web行動履歴、LINE内ヒアリング情報の統合機能など
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:初期費用10万円~+月額固定型または成果報酬型
2. KUZEN
出典:KUZEN
KUZENは、LINE運用の業務効率化や1to1マーケティングをサポートするチャットボットです。
LINEでのコミュニケーションデータを外部のCRMツールと連携することで、顧客管理も可能です。
- タイプ:AI型
- 設置場所:Webサイト、LINE
- 分析ツール:高付加価値機能
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:要問い合わせ
3. WhatYa
出典:WhatYa
株式会社空色が提供するWhatYaは、セールス特化型の「AI×有人 ハイブリッド」なチャットボットサービスです。
チャットの内容からユーザーの検討度合いを見極め、売上につながる可能性がある場合は、有人チャットへ効率的に振り分けを行うことが可能です。
- タイプ:AI型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール: 非掲載
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:要問い合わせ
4. IZANAI
出典:IZANAI
クラウドサーカスが提供するIZANAIは、マーケティング支援に強いチャットボットです。
マーケティング・営業支援ツールのフリープランに申し込むと、チャットボットを一つ作成できます。コードをコピペで設置するだけで実装でき、複数サイトに設置可能です。
- タイプ:AI型・シナリオ型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール:項目別レポート、回答データ分析など
- 保守・サポート体制:あり
料金プラン・費用:月額1万2,000円~、無料プランあり
5. SYNALIO
出典:SYNALIO
SYNALIOは、ユーザーとの会話を通して深い相互理解を促す、マーケティング支援型のチャットボットです。
ユーザーの行動や会話データを取得し、分析・活用することで、パーソナライズされたコミュニケーションを実現します。
- タイプ:シナリオ型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール:マーケティングダッシュボード
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:要問い合わせ
6. BOTCHAN
出典:Botchan
BOTCHANは、顧客体験の向上を通じてLTV最大化を実現するチャットボットです。
チャットボット側からユーザーが言語化できていない質問を予測して提案し、質問しやすいUXを提供することで購買体験を支援します。
- タイプ:AI型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール:レポート機能
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:要問い合わせ
7. TETORI
出典:TETORI
TETORIは、ユーザー情報にもとづきパーソナライズされたチャットボット施策が可能なチャットボットです。
チャットを通してユーザーのニーズを確認しながら、適切なコンバージョンページへ誘導します。
- タイプ:シナリオ型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール:効果測定、A/Bテスト
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:要問い合わせ
無料で導入できる
初期費用を抑えたい場合は、無料で導入できるチャットボットも比較検討すると良いでしょう。無料で導入できるチャットボットを3種類紹介します。
1. HubSpot
出典:HubSpot
HubSpotが提供する無料のCRMツール「HubSpot CRM」には、チャットボット機能が備わっています。ノーコード仕様で、専門知識を必要とせずに簡単にチャットを作成し、Webサイトに設置できます。
CRMと連携することで、問い合わせ対応から顧客との1対1のコミュニケーションまで、多くのタスクを自動化できます。
- タイプ:シナリオ型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール:各種マーケティング分析
- 保守・サポート体制:あり
料金プラン・費用:無料プランあり
2. chai
出典:Chai
chaiは、デフィデ株式会社が提供するチャットボットです。
AIのディープラーニングによる質問の意図分析や、類似の文章の自動作成などに優れています。機能性の高さに対して使いやすく、マーケティング機能も充実しているものを無料プランでも利用可能です。
- タイプ:AI型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール:各種マーケティング分析
- 保守・サポート体制:あり
- 料金プラン・費用:無料プランあり
3. チャットディーラーAI
出典:チャットディーラー
社内向けAIチャットボットのチャットディーラーAIでは、無料トライアルが利用できます。
400種類以上の社内用テンプレートを学習済みであるため、コスト面と導入しやすさを重視する方におすすめです。
- タイプ:AI型
- 設置場所:Webサイト、ビジネスチャット、グループウェア
- 分析ツール:全体レポート、検索文レポートなど
- 保守・サポート体制:あり
料金プラン・費用:無料トライアルあり
多言語対応向け
越境ECなどグローバル事業を展開する企業の場合、Webサイトやコミュニケーションツール内での多言語対応が必要です。
多言語対応機能を搭載しているチャットボットを4種類紹介するので、比較する際の参考にしてください。
1. Bebot
出典:Bebot
Bebotは、株式会社ビースポークが提供するシナリオ型のチャットボットです。
日本語に限らず、多言語での対応も自動で行えるため、公共機関や交通機関においても導入されています。
- タイプ:シナリオ型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール: 非掲載
- 保守・サポート体制:あり
料金プラン・費用:要問い合わせ
2. Cognigy
出典:Cognigy
TDSE株式会社が展開するCognigyは、チャットボットと音声ボットを構築できる対話型AIプラットフォームです。
ドイツ語、スペイン語など20言語以上(*)に対応した自動翻訳機能付きで、言語に依存しない機械学習モデルを提供しています。
- タイプ:AI型
- 設置場所:Webサイト、SNSなど
- 分析ツール:インサイト分析など
- 保守・サポート体制:あり
料金プラン・費用:要問い合わせ
3. HUEチャットボット
出典:HUEチャットボット
HUEチャットボットは、ワークスアプリケーションズが開発を行っているAIチャットボットです。
言語辞書が搭載されており、登録語録は290万語 にのぼります。
- タイプ:シナリオ型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール:あり
- 保守・サポート体制:あり
料金プラン・費用:要問い合わせ
4. Watson Assistant
Watson Assistantは、日本アイ・ビー・エム株式会社が運営する多言語対応のチャットボットです。
英語、中国語、ドイツ語、フランス語などに対応しており、音声やFacebook、Slackといったアプリでの顧客対応も可能です。
- タイプ:AI型
- 設置場所:Webサイト
- 分析ツール:カスタマー・エンゲージメント分析
- 保守・サポート体制:あり
料金プラン・費用:月額140米ドル~、無料版あり
各チャットボットの特性を理解したうえで比較し、目的に合うものを選ぼう
チャットボットで社内・社外の問い合わせ対応業務を効率化することで、対応の質やスピードを高めて顧客満足度向上やタッチポイント増強が期待できます。
多種多様なチャットボットツールから自社に合ったサービスを選ぶには、導入の目的を明確にしたうえで比較・選定することが大切です。
顧客へより良い体験を提供しつつ、従業員の業務効率化も実現するのに適したサービスを活用しましょう。