とある会社が「自社のWebサイトをもっとビジネスに活かしたい。問い合わせを増やすため、まずは広告を始めてみよう」と考え、検索連動広告を導入しました。

ところが「思ったほどの成果が得られません。今度は「Webサイトへの流入が増えても、コンバージョンに結び付いていない」ことに頭を抱えることになってしまいました。社内から「導入すべきではなかったのでは・・・」という批判も聞こえてきそうです。

こんな例はA社だけではなく、よくある話です。

・なぜ集客につながらないのか? 
・どうしてユーザーはランディングページを訪問しても、フォームに入力してくれないのか?
・コンテンツは見てくれるのに、ホワイトペーパーのダウンロードはしてくれないのか? 

問題がいくつも浮かび上がるため、その原因を特定しなければなりません。

ユーザーの本心は1人ひとりに聞いてみるしかありません。しかし、Webサイト上の行動を分析すれば、大体のニーズを推測することはできます。推測を元に仮説を立て、検証すれば、成果を出せる確率は高くなるでしょう。

そのためにも、まずはデータを取ることが何よりも重要です。本記事は、ユーザーの行動データを計測するための「コンバージョントラッキング」について、基礎から実際の設定方法まで詳しく解説します。

コンバージョントラッキングとは?

コンバージョントラッキングとは、ユーザーが自社の広告をクリックした後、どのような経路を辿ってコンバージョンに至ったのかを計測するツールです。
 

コンバージョントラッキングは改善のためのツール

Web広告を運用するうえで最も気になるのはコンバージョン率です。しかし、単にコンバージョン率だけを見て一喜一憂するだけでは成果の改善は難しいかもしれません。

たとえば、あなたが実店舗を経営していると仮定します。来店客のほとんどが何一つ購入せずに店を出ていく様を目の当たりにした場合、まず何をするでしょうか。おそらく、店舗内のユーザーの行動を確認したうえで、商品の並べ方を変えたり、ポップ広告を作ったり、チラシやクーポン券を配布したりするはずです。

Webサイトの改善も同じです。結果だけを見るのではなく、ユーザーの行動を確認したうえで改善策を考えるのが定石です。Webサイトにたどりついたユーザーがどのようなページをどれだけ見たのか、最終的にコンバージョンしたのか、どこかで離脱したのかを知るために必要なのが、コンバージョントラッキングの設定です。

ポイントは、コンバージョンしたユーザーだけでなく、コンバージョンに至らなかったユーザー行動も追うべきだということです。なぜコンバージョンしなかったのかを考察することで、課題が明確になります。ことでどこに問題があったかがわかります。

コンバージョントラッキングは、Google広告を導入していれば無料で利用できます。ただ、デフォルトで付いていないため、自分で設定する必要があります。

Disruptive Adnertising(アメリカに拠点を置くデジタルマーケティング企業)が行った調査によると、Google Adwords(現在のGoogle広告)を導入した2,000件のアカウントのうち、42%の広告主がコンバージョントラッキングを設定していなかったようです。しかも、導入している58%の企業のうち、実際に適切なコンバージョントラッキングを行えているのはそのうちの半分に過ぎませんでした。

意外と多くの企業がコンバージョントラッキングを設定していませんでした。「自社も設定していないかもしれない・・・」と不安に思った方は一度確認してみた方がいいかもしれません。

コンバージョントラッキングのメリット

コンバージョントラッキングが重要だということは理解いただけたでしょうか。ここから、設定するとどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

コンバージョントラッキングのメリットは大きく分けて2つです。

  1. 費用対効果の高い広告やキーワードを選べる
  2. ユーザーエクスペリエンス(UX)を改善できる

メリット①コンバージョントラッキングで費用対効果の高い広告やキーワードを選べる

広告のクリック数やコンバージョン数を比較するだけでは正確な効果はわかりません。ここでは検索連動広告とディスプレイ広告で、コンバージョントラッキングが果たす役割を説明します。

たとえば、「MA BtoB」「MAツール 無料」の2つで広告を配信し、以下の結果になったとします。

キーワードA「MA BtoB」  B「MAツール 無料」
総コスト(円/月)300,000100,000
クリック数1,5002,700
コンバージョン数6045
コンバージョン率(%)41.7
CPA(円)5,0002,222

クリック数はキーワードBの方が多いですが、コンバージョン数を見ればキーワードAの方が多くなっています。コンバージョン率は、キーワードAが4%なのに対してキーワードBは1.7%です。

キーワードAとBのどちらが広告効果が上がっていると考えられるでしょうか?

ここで見るべきは、最下段のCPAです。CPAとは1コンバージョン当たりにかかるコストのことで、広告の費用対効果を測る指標です。以下の数式で求めることができます。

CPA=コスト÷コンバージョン数

BtoBビジネスのように、「コンバージョン」が売上金額として測定できない際に、この指標を用います。 

この例で比較すると、1コンバージョンあたり5,000円かかるキーワードAよりも、2,222円のキーワードBの方が費用対効果高いことがわかります。

キーワードごとに追跡できるコンバージョントラッキングを利用すれば、どんなキーワードが高い費用対効果を上げているかを明らかにすることができます。注力すべきキーワード、広告費をかける価値の低いキーワードを判別できるのです。

費用対効果の高い出稿先もわかる

ディスプレイ広告でも同様にCPAを比較すれば、効果的な広告を把握できます。

ここでは仮に、サイトAとサイトBに同一のディスプレイ広告を出稿しているとします。

広告の表示場所サイトAサイトB
総コスト(円/月)50,00020,000
クリック数3,7001,400
コンバージョン数1812
コンバージョン率(%)0.50.8
CPA(円)2,7781,667

単純に2つの広告のクリック数を比較し、サイトBの方が効果がなかったと考えて広告の出稿を取りやめたらどうなるでしょうか。費用対効果の低いサイトAに広告を出稿し続けることになります。

コンバージョントラッキングを利用すれば、広告費の採算が合わないサイトに出稿を停止するなどの施策を打てるでしょう。

メリット②ユーザーエクスペリエンス(UX)を改善できる

コンバージョントラッキングを使うと、どの広告や検索キーワードからWebサイトに流入してコンバージョンに至ったか、それとも途中で離脱したかを分析できます。

コンバージョントラッキングのデータは、ユーザーが離脱した場所を示します。本来は次のページに移動してもらいたいにも関わらず離脱率が高いページは何かしらの問題がある可能性が高いでしょう。例えば、以下のような原因が考えられます。

離脱したページ考えられる離脱原因
ランディングページ・広告とランディングページの内容がずれている
・詳しい情報にアクセスするためのリンクが見当たらない …など
入力フォーム・入力項目が多すぎる
・フォームがわかりにくい …など
ブログ・CTA(行動喚起)がない
・求めている詳しい情報がない …など
事例紹介ページ・体験価値が伝えられていない
・次の行動への動線がうまく機能していない …など

入力フォームにアクセスするユーザーは意欲の高いユーザーだと考えられます。にも関わらず離脱してしまうということはユーザビリティの面で問題がある可能性が高いでしょう。

どのポイントがユーザビリティを低下させているのか、行動データを見ながら仮説を立てて検証してみましょう。
 

コンバージョントラッキングの仕組み

コンバージョントラッキングは、なぜ「コンバージョンした」とわかるのでしょうか?コンバージョントラッキングの仕組みを簡単に説明します。

①コンバージョントラッキングコードスニペット(タグ)をWebページに埋め込む

例えば「コンバージョンしたかどうかを、記入した入力フォームを送信してサンキューページを表示すること」と定義したとします。その場合、サンキューページにコンバージョントラッキングスニペットを埋め込みます。
 

②ユーザーがディスプレイ広告や検索連動広告をクリックすると、PCに一時的にcookieが保存される

cookieとは、ユーザーがWebサイトを訪問したり、広告をクリックしたときに、ユーザー側のブラウザやハードディスクに訪問履歴やクリックの履歴を残すデータです。Cookieを利用することで、Webサイト側はユーザーの識別が可能になります。
 

③ユーザーが定義された行動を取るとコンバージョンがカウントされる

ユーザーが入力フォームを記入後に送信するとサンキューページが表示されました。そこで、システムはコードスニペットを通じてcookieを認識します。そこでコンバージョンが「1」と記録します。

コンバージョントラッキングは、このような仕組みでユーザーを特定し、追跡をおこなっています。また、広告をクリックしたときと別の端末、ブラウザでコンバージョンしても1人のユーザーとして計測できるようになっているため、ユーザーの行動を正確に把握できます。
 

コンバージョントラッキングの設定方法

ここからGoogle広告でコンバージョントラッキングを設定する手順を説明します。
 

コンバージョン設定

①Google広告にログインし、ツールをクリックします。

次に「測定」の「コンバージョン」を選んでクリックします。

②コンバージョンアクションを設定します。

最初に「コンバージョンアクション」のページから、左上の青い+ボタンをクリックします。

③トラッキングする対象を選びます。

ここでは「ウェブサイト」をクリックしています。

④Webサイトのコンバージョンアクションを作成します。

トラッキングするコンバージョンを決めたら「アクション名」のところに記入します。「無料トライアルの申込」「ホワイトペーパーのダウンロード」などが設定できます。

⑤何を測定するかを決定します。

「選択」をプルダウンして、適当なカテゴリを選びます。画像はプルダウンした状態です。

⑥つぎに「値」を設定します。この「値」とは、いくつか設定したコンバージョンの価値をどのように設定するかを示しています。

例えば「ニュースレターの登録」「ホワイトペーパーのダウンロード」「資料請求」という3つのコンバージョンを設定したとします。

この3つの価値を「1:1:1」とするか、それとも3つのコンバージョンの価値を、「1:2:3」というように傾斜をつけて設定するかを決めます。コンバージョンの数だけをカウントしたければ、「使用しない」にチェックを入れます。

⑦クリックのカウント方法を決めます。

クリックをした場合、「初回のみ」コンバージョンしたとカウントするのか、クリックするたびにカウントするのかを示します。

コンバージョンが1回達成されれば良いようなアクションのとき、会員登録やニュースレター登録などのようなアクションであれば、「初回のみ」を選択します。「購入」や「ダウンロード」のように何度も繰り返されるコンバージョンの場合は「全件」にチェックを入れましょう。

⑧計測期間を選ぶ

最初の「計測期間」は、ユーザーが広告をクリックした時点から何日間計測するかを示します。デフォルトは30日間ですが、1日~90日間まで選ぶことができます。

2番目の「ビュースルーコンバージョンの計測期間」とは、ユーザーが最初に見たディスプレイ広告は、どのくらいの期間コンバージョンに影響を与えていると考えるかということです。

ここを「1日」としておくと、ディスプレイ広告を見たけれど広告をクリックしなかったユーザーが、1日以内に別の経路でコンバージョンした」場合のデータを得ることができます。これも1日~30日間の範囲で設定できます。

「コンバージョン列に含める」というのは、計測結果のレポートに表示する「コンバージョン列」の内容をどうするかということです。含めなくても計測されないわけではないのですが、スマート自動入札の際には除外したデータは除いて決定されます。

「アトリビューションモデル」とは、ユーザーがコンバージョンに至るのに何が貢献したかを判断するものです。デフォルトの「ラストクリック」は、コンバージョン直前のクリックの貢献を重視します。

そのほかに、コンバージョンに至るまでのアクションのうち、最初のきっかけの貢献を重視するのが「ファーストクリック」、コンバージョンに至るまですべての接点が均等に貢献したと考える「線形モデル」など、5つのアトリビューションモデルの中から選択できます。

これを選んでから、最下段の「作成して続行」ボタンをクリックします。
 

トラッキングコードの発行

つぎにWebサイトに張るトラッキングコードを発行します。

①タグをどうやって追加するかを選びます。

自分でタグを追加する場合には、

  • 自分でタグをダウンロードする
  • Googleタグマネージャーをダウンロードする

の2種類の方法がありますが、ここでは「自分でタグをダウンロードする」やり方について説明します。

①グローバルサイトタグを設置する

どちらかを選んでグローバルサイトタグを発行し、Webサイトのすべてのページの<head></head>タグ内に、タグを張りつけます。

②イベントスニペットタグを設置する

設定したコンバージョンが「ページの読み込み」の場合は、トラッキングするページにイベントスニペットを設置します。

設定したコンバージョンが「クリック」の場合は、クリックによってリンクされたページ(ダウンロードなどのサンクスページ)にイベントスニペットのタグを設置します。

Webサイトにタグを設定したら、これで準備は完了です。
 

コンバージョンの測定

コンバージョントラッキングの結果を見るためには、最上段のバーからレポートを選びます。

そこからレポートを選んで表示します。

コンバージョントラッキングの成果として重要なのは、表の右側の部分です。

  1. コンバージョン:広告経由で何件コンバージョンされたか
  2. ビュースルーコンバージョン:ディスプレイ広告を見たがクリックしなかったユーザーが、30日以内にコンバージョンに至った数
  3. コンバージョン単価:このキャンペーンにかかった総費用を総コンバージョン数で割った数値(費用対効果がわかる)
  4. コンバージョン率:コンバージョンにつながったクリックの割合。割合が高いほど、広告・キーワードのパフォーマンスが高い

慣れないうちはこの4点を見るだけで、改善の手掛かりが得られるはずです。
 

コンバージョントラッキングで広告とWebサイトの問題を洗い出そう

ユーザーのクリック数は多いのにコンバージョンが少ないという場合、改善方法を探すのにコンバージョントラッキングが 役に立ちます。

コンバージョントラッキングで取れるデータで

  • ユーザーのサイト内の動きを把握
  • Web広告の表示先が適切かどうか
  • ランディングページからの直帰率
  • コンテンツ閲覧ユーザーのコンバージョン率

などが把握できます。

データを取得することでユーザーのニーズを理解し、カスタマージャーニーの流れに合わせてより適切な施策を打てるのです。

コンバージョンに至るまでのユーザーのWebサイトの行動を追えるコンバージョントラッキングは、同時に、LTVの高い重要な見込み客を見つけ出すチャンスでもあります。

限られたマーケティングリソースを十分に活かすためにも、コンバージョントラッキングの導入を検討してください。

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元記事発行日: 2020年3月26日、最終更新日: 2020年3月27日