「顧客満足度」は、企業の成長に深く関わるものであり、向上にむけて全社的に取り組むべきです。しかし、人の心が目に見えないように、心理的な満足度を正確に把握するのは難しいものです。

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複雑な顧客の心理や行動を理解するためには、まずはデータを収集し、適切な指標に基づいて計測する必要があります。

今回は、顧客満足度を測定する際に活用できる指標の種類や、実際に測定する際の注意点を解説します。

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〜カスタマーサービスにおける指標の重要性とは?〜

顧客満足度を測る8つの指標と特徴

顧客満足度を測る8つの指標と特徴


Hubspotの調査において、顧客の80%は一度サービスへの不満を感じたら、利用をやめてしまうことがわかっています(Hubspot)。顧客満足度は、売上に直結するものであり、競合との差別化にも影響します。顧客満足度を把握するためには調査を実施し、指標を立てて分析する必要があるでしょう。しかし、顧客満足度を測る指標はさまざまあり、どのような視点で選べばよいのか悩む人もいるのではないでしょうか。

ここからは、顧客満足度測定の、代表的な8つの指標について解説します。
 

1. CSAT(顧客満足度)


満足度調査の有効指標としてよく使われるのがCSAT(Customer Satisfaction)です。「満足」「普通」「不満」などを星の数で表してもらうといった、視覚的で簡単な評価が行いやすいのが特徴です。比較的簡単な方法で調査できるため、顧客からデータを集めやすいのもメリットでしょう。

ただし、問い合わせ終了後や商品購入時の対応といった、ある特定の内容についての評価を得ることが多いため、短期的な測定になりやすいという面もあります。長期的な測定を行うことも可能ですが、評価に協力的な顧客は、すでにロイヤルティの高い傾向にあり、総合的な評価を得にくいのも難点です。

 

  • CSAT(%)= (「満足」とした回答数 / 全回答数) × 100 THE ZENDESK

 

BENCHMARKによると、世界36か国のすべての業界を含むCSATの顧客満足度の平均値は91.1%であり、日本は92.0%となっています(2015年調査)。
 

2. NPS(推奨者の正味比率)


NPS(Net Promoter Score)は、商品やサービスを他者に推薦する可能性を把握するために使われます。NPSは近年注目されている有効指標であり、業績や収益との相関性が高いのが特徴です(Satmetrix)。調査方法は、顧客に「推薦しない」から「大いに推薦したい」までを1から10のスケールで評価してもらい、以下の3つに分類します。

  • 推奨者(9-10)
  • 中立者(7-8)
  • 批判者(0-6)

推奨者はロイヤルティの高い顧客であり、逆に批判者はロイヤルティの低い顧客とみなします。

 

  • NPS(%)= (推奨者の数/全回答数)-(批判者の数/全回答数)
     

3. LTV(顧客生涯価値)


LTV(Life Time Value)は、ある顧客が取引を始めてから終わるまでの生涯(顧客ライフサイクル)の間に得られる売上を指します。LTVが高いほどロイヤルティが高い傾向にあることから、優良顧客の割合を測る指標とし、評価を行います。

 

ただし、LTVは短期間で計測することが難しく、PDCAを回しにくいのが難点です。長期的なスパンで評価したい場合であれば、LTVは大いに役立ちます。LTVの算出は顧客個々で行うのが理想ですが、全ての顧客に対して測定を行うのはかなりの負担を要します。調査対象をセグメントしたうえで、効果的な指標を探るとよいでしょう。

LTVの計算式は複数ありますが、代表的なものを一部紹介します。

 

  • LTV=1顧客の年間取引額 × 収益率 × 1顧客の継続年数
  • LTV=平均購入単価 × 平均購入回数
  • LTV=(売上高-売上原価) ÷ 購入者数
  • LTV=平均購買単価×平均購買頻度×平均継続期間
     

4. CES(顧客努力指標)


CES(Customer Effort Score)はNPSのように、顧客の満足度を測る指標として有効です。NPSが「推薦」というポジティブな側面で見るのに対し、CESは顧客が感じた負荷やストレス度合いなどネガティブな側面を測ります。CESが高いほど不満要素が多く、数値が少ないほど、ロイヤルティが高いと判断するとよいでしょう。

 

ただし、CESもCSATのように短期的な評価になりやすく、複雑な課題に気づきにくいのが難点です。また、体験後すぐの実施が望ましいため、タイミングも限定されます。

調査はアンケートによっておこなうことが一般的で、質問の一例としては「この手続きはどれくらい大変でしたか?/負荷がかかりましたか?」といった内容が考えられます。そして、顧客に「非常に負荷がかかった」「まったく負荷がなかった」までを1から7のスケール(もしくは、5スケール、10スケール)で評価してもらい、以下のように分類します。

  • Bottom(1-3)
  • Box(4-5)
  • Top 2 Box(6-7)

 

  • CES(%)= 「Top 2 Box」の数 - 「Bottom」の数 / 総回答数
     

5. CRR(顧客維持率)


新規顧客を、一定期間後にどの程度維持できているかを示すのがCRR(Customer Retention Rate)です。初期フェーズにおいて、特に注目したい指標といえるでしょう。設定する期間にもよりますが、長期的な視野での指標としても有効です。

 

  • CRR(%)= (その期間末の顧客数-その期間に獲得した新規顧客)/(期間開始時の顧客数)×100
     

6. リテンションレート(既存顧客維持率)


リテンションレート(既存顧客維持率)は、サービス利用の継続率や定着率を示す指標です。リテンションレートが下がってしまう要因は、製品やサービスの質よりも、心理的な要素が大きいと想定されています。カスタマーサポートや問い合わせ対応などが十分なのか、といった顧客満足度を反映する指標となります。

 

  • リテンションレート= 継続顧客数/新規顧客数
     

7. CSI(顧客満足度指数)


アメリカを中心に約30か国の政府機関で実施され、世界基準の顧客満足度指標となっているのがCSI(Customer Satisfaction Index)です。相関関係のある複数の設問から、回答の平均値をとって測定します。「顧客期待値」「顧客不満度」「知覚品質」「知覚値」「顧客忠実度」などの項目があり、調査方法が複雑です。グローバル企業にとっては、ベンチマークがわかりやすく、競合他社との比較として指標が有効活用できます。ただし、一般中小企業では活用しづらいのが難点です。
 

8. JCSI(日本版顧客満足度指数)


日本最大級の顧客満足度調査で、上記のCSIを日本版にカスタマイズしたのがJCSIです。経済産業省や各企業の協力のもと、「公益財団法人 日本生産性本部」により開発、実施されています。業種ごとに主な大手企業をピックアップし、調査対象を決め、結果を比較するという手法です。項目は、CSIと類似し、「顧客満足」「顧客期待」「知覚価値」「知覚品質」「推奨意向」「ロイヤルティ」の6つから成り立ちます。CSI同様に、競合他社との比較ができるという反面、一般中小業では活用しづらいというデメリットがあります。

 

  • JCSI = 顧客が感じた値(P) - 事前期待値(E)
     

顧客満足度を調査する4つの方法

顧客満足度を調査する4つの方法


活用したい指標を検討したら、目的に合った調査方法を考えてみましょう。以下に代表的な4つの方法をまとめました。
 

1. アンケート調査


顧客満足度調査において、もっとも一般的に活用されているのがアンケート調査です。選択式、自由記述式、スケール式など、調査に協力してもらいやすい方法を選べるため、回答を得やすいというメリットがあります。具体的な手法としては、店頭や商談後に対面でアンケート用紙に記入してもらったり、インターネット上にアンケートフォームを設置したりして回答を集めます。近年では、SNSやアプリを活用する方法もあり、幅広いチャネルで実施可能です。また、セグメントした個別の顧客に対応するなら、メールアンケートで回答を得る方法もあります。

ただし、非対面型のアンケートは回答率が低くなりやすい傾向にあり、回答を集めるための工夫が必要です。実施時には、できるだけ容易なプロセスで回答してもらえる仕組みを作るように心がけましょう。

また、自由回答の項目が多すぎても少なすぎても、有効な回答が得にくくなります。「設問数を増やしすぎない」、「スケール表示で回答しやすくする」といった対応を考えてみましょう。
 

2. 対面型インタビュー調査


対話形式で行うインタビュー調査は、アンケートのように決まった質問に回答してもらうだけでなく、それまでの回答に合わせて、柔軟に質問を変えられるというメリットがあります。特に、インバウンドマーケティングに活用するケースにおいて有効で、より個別なニーズを拾いやすい手法といえます。直接質問を行うことから、事務的なアンケート調査とは異なり、情報を引き出しやすい環境を作れるのも利点でしょう。特に、自由形式の質問に対する回答を集めたいときに効果的です。

ただし、人的リソースが必要なこと、回答者に時間を取ってもらわなければいけないといったデメリットもあります。
 

3. 電話調査


インタビュー型よりも低コストで実施でき、アンケートよりも柔軟な対応ができるのが、電話調査です。対面型インタビュー調査と同様に、自由回答の質問に有効ですが、自動音声に頼ってしまうと、応答率が低くなる可能性があります。また、タイミングによっては、十分な回答を得られないケースもあるでしょう。加えて、視覚的な要素が使えないため、スケール式や多肢選択式の調査は行えず、口頭で理解できる範囲の調査になります。
 

4. モニタリング調査


モニタリング調査は、リサーチ業者などを通して、評価を受ける方法です。店頭での接遇や問い合わせ対応など、覆面調査員による評価で満足度を調査します。そのほか、商品やサービスを提供し、一般消費者からモニタリングを前提として利用してもらう方法もあります。特定のユーザーに限定されるため、既存顧客とは異なる視点での結果が得られる可能性があるのが利点でしょう。ただし、ロイヤルティの高い顧客をセグメントするわけではないため、一時的な回答になりやすいのが難点です。開発中の商品やサービスにおけるサンプルテストとしては有効ですが、コストがかかってしまうというデメリットもあります。
 

顧客満足度は、自社の業績とセットで確認しよう

顧客満足度は、自社の業績とセットで確認しよう


顧客満足度を測定するための指標を定め、調査を行ったとしても、実際の業績と連動していなかったり、現状把握で終わってしまったりすることも。もし調査の結果顧客満足度が高かったとしても、解約数が多い、新規顧客数が伸びないなど業績が悪い場合は何かしら課題があるはずです。

顧客満足度を調査するなら、自社のビジネスの状況も合わせて確認しましょう。

例えば、以下のような項目がわかりやすいかもしれません。

  • 顧客数

マーケティングの基本ともいえる顧客数の測定も、顧客満足度を反映します。継続率、新規顧客の増加などをKPI値として考えます。

  • 顧客紹介数

推奨者を測るNPSを活用するのと同様に、具体的な紹介者数も顧客満足度を反映します。既存顧客からの紹介で新規顧客の増加につながった場合、紹介した既存顧客はロイヤルティが高いといえるでしょう。

  • リピート率

リピート率は継続的な購入やサービス利用を測るものであり、優良顧客の把握にもつながります。LTVを指標とする際には、欠かせないKPIといえます。

  • 返品・解約率

CESの測定によりネガティブな側面が評価されますが、実際の返品解約率はその結果ともいえます。返品・解約率の低下を意識した施策は、顧客満足度の向上につながるでしょう。

  • クレーム発生件数

返品・解約率同様に、ネガティブな側面で測定できるのがクレーム発生件数です。実際の件数を把握するだけでなく、その対処法によって顧客満足度向上の課題が見つかります。

  • 顧客エンゲージメント

NPSは推定である一方で、顧客のアクションから測定するエンゲージは、実質的なロイヤルティを示します。

  • SERVQUAL

SERVQUALとは、サービス(Service)と品質(Quality)を組み合わせた造語で、サービスの品質を評価する指標です。サービス業をはじめ、接遇面においての設問項目を考えるうえで役立ちます。
 

顧客満足度の測定における注意点

顧客満足度の測定における注意点


顧客満足度の測定を効果的に行い、満足度向上につなげるためのポイントとして、以下の点に注意してみましょう。
 

目的を明確にする


顧客満足度の測定を行うためには、そもそもの目的を明確にしておく必要があります。目的のない調査は、指標としての活用が難しいものです。何度もお伝えしているように、KPIを設定し、プロセスを明確にしたうえで、調査を行うことが大切です。
 

指標を多く設定しすぎない


ご紹介してきたように、顧客満足度の指標は多岐にわたり、すべてを測定するのは大変です。KPIを加味しながら、焦点を絞って指標を選ぶ必要があります。複数の指標で検討する場合には、期間を区切って調査を行ったり、調査方法を変えたりしながら、無理なく実施するとよいでしょう。
 

国民性を考える


グローバル企業の場合、国民性を加味しておくことも大切です。日本人の特性として、満足度調査で満点をつけられることはほとんどなく、特にNPSにおいては他国に比べると低い結果が出てしまう傾向があります。国別で満足度を計測している場合は国民性を念頭において評価を行いましょう。
 

全員の定義、解釈を一致させる


顧客満足度を測定する際、数値で評価してもらうアンケートであれば集計しやすく、分析も比較的簡単です。しかし、電話やインタビューによる調査の場合には、解釈が異なると、一定の基準が保たれず、データにばらつきが出てしまう可能性があります。目的や調査意図を明確にし、指標の定義や解釈を組織全体で一致させておくことが大切です。
 

費用対効果を考える


顧客満足度を上げるためには、それなりの時間とコストがかかります。顧客満足度の調査そのものにも費用がかかるため、漠然としたままデータ収集を進めてしまうと、コストの増大を招いてしまうでしょう。明確な目的を持ち、どの視点で改善を進めたいのか、また、どのプロセスで顧客満足度を上げていきたいのかを考える必要があります。できるだけ費用対効果を高めるためにも、マーケティング全体を見据えながら調査を進めましょう。

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顧客満足度を測定するためには、適切な指標を設定することが大切です。複数ある指標の中から、最適なものを選ぶには目的を明確にしておかなければいけません。指標を左右するKPIを確認し、関連KPIを加味しながら、効果的な顧客満足度調査を行いましょう。

 

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元記事発行日: 2021年3月29日、最終更新日: 2021年3月29日

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