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イベントやセミナーで盛んに取り上げられ、様々なビジネスシーンで注目を集めているキーワード「DX:Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション。以下、DX)」。総務省の情報通信白書によればインターネットの利用率は人口の80%にも上り、デジタルテクノロジーの進化はビジネスモデルやプロダクト、サービス、そして私たちの生活そのものに大きな変化をもたらしています。

こうした変化を理解する上で欠かすことができない考え方がDXであり、2018年に経済産業省が有識者による「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置したことからも、その注目度の高さが窺えます。

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その一方でDXに取り組んでいる企業事例はまだまだ珍しく、DXという言葉自体は聞いたことがあっても、その意義や事例を理解している方は少ないのではないでしょうか。そこで本稿では、最新の技術トレンドやデジタイゼーション/デジタライゼーションとの比較もご紹介しながら、今知っておくべきDXを解説していきます。

 

デジタルトランスフォーメーションの定義とは?

デジタルトランスフォーメーションの定義とは?

DXは2004年にスウェーデンの大学教授により提唱された概念であり、多くの企業で独自の解釈がなされてきました。

ここでは、令和元年に経済産業省が公開した『「DX 推進指標」とそのガイダンス』(https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf )の冒頭に記述されているDXの定義を引用します。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応しデータとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し競争上の優位性を確立すること」

様々な情報をデータ化し、事業部全体が顧客に向き合える状態になれば、顧客体験を中心とした新しいビジネスモデルを推進できるようになります。例えば、オフラインの行動データやPOSデータ、Webサイトの訪問履歴といった、一人ひとりのお客様の情報はアドテクノロジーの進歩によってより正確に把握することができるようになりました。そういった情報はこれまでマーケティング・セールスの領域で展開されてきましたが、DXは一部の部門ではなく企業全体での見直しを行おうとする動きを指します。

 

なぜ今、DXに取り組むべきなのか?

なぜ今、DXに取り組むべきなのか?

「IT技術の導入はハードルが高い」「現状維持でも問題ないのになぜDXに取り組む必要があるのか」と感じてる企業も少なくないでしょう。ではなぜ企業は今DXに取り組んでいくべきなのでしょうか。

それは市場の変化から取り残されないよう、企業が生き残っていくためです。経済産業省のレポートでも言及されている「2025年の崖」。その具体的な危機とは加速し続けるIT技術の発展に既存のシステムが置いていかれることと、人口減少による人材不足が挙げられます。日本の場合、人口減少は消費者の減少だけでなく、働き手の減少も意味しており、業務を効率化させないとビジネスの維持すら難しくなるでしょう。特に地方の中小企業にとって、今後の業務効率化とコスト削減は死活問題であり、先延ばしにすればするほど最新技術に追いつくことは難しくなっていく一方です。

 

企業がDXを推進するメリットとは?キーワードは「顧客体験」と「従業員体験」

企業がDXを推進するメリットとは?キーワードは「顧客体験」と「従業員体験」

DXを推進するメリットを考える上でまず最初に顧客体験をイメージしますが、それ以前に「従業員体験」が重要な要素となってきます。IT技術の導入によって業務が効率化され、単純な作業に割いていたリソースを削減することができ、より創造的な仕事にリソースを投下することが可能になるのです。

社員が単純業務から開放され、より顧客のために思考する時間が増え、その結果、顧客体験を意識したビジネスモデルを実現することができます。ビジネスモデルがより顧客体験を意識したものに変化すれば、まだDXに着手できていない競合他社との差別化になり、さらなる売上の改善が見込めます。

例えば、CRMで顧客情報管理システムを導入し、それまで顧客情報が別々の事業部で管理されていた状態を統合・整理することで、全社が1つのお客様に適切なアプローチをすることができます。複数のサービスを運営し、複数の顧客リストを持つ大企業にとってはよりインパクトが大きくなるでしょう。

 

混同しやすい「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」の違い

DXを要素分解して考えると、デジタイゼーション(Digitization)とデジタライゼーション(Digitalization)の要素に分かれます。この2つは語感も似ており、一見すると同じような意味に見えます。しかし両者には大きな違いがあるのです。

  • デジタイゼーション

ユーザー・インターフェイス(UI)を改善し、デジタル技術によって業務の効率化やコスト削減、付加価値の向上を目指すもの。

自動車の例:生産ラインの自動化によるコスト削減、自動運転の実装で付加価値の向上

  • デジタライゼーション

ユーザー・エクスペリエンス(UX)を変革し、デジタル技術によってサービスそのもののアップデートを図り、新しい価値の提供を目指すもの。

自動車の例:タクシー配車アプリ、カーシェアリング

AIやRPA、IoT、ペーパーレス化、5Gなど、一口に「デジタル化」と言っても、その目的によって活用すべき技術は変わってきます。そもそもDX以前に社内でデジタルシフトが進んでいないという場合は、先にデジタイゼーションを検討してはいかがでしょうか。

IT技術の導入で社内業務の効率化、合理化で社員のリソースをまず確保します。そのうえでそのリソースをビジネスモデル全体の変革というクリエイティブな業務に振り分けることで、DXの第一歩を踏み出すことができます。自社はデジタイゼーションを進めるのか、それともデジタライゼーションから進めるのか、最新の技術トレンドを把握した上で一度考えてみましょう。

 

おさえておきたい代表的なDX技術トレンド

DXを考えていく上で押さえておくべきいくつかの技術トレンドをご紹介します。

押さえておきたいDXの代表的な技術トレンド

1.5G(第5世代移動通信システム)

DX時代において、最も欠かすことのできない技術トレンドが5G(第5世代移動通信システム)です。4Gとの大きな違いとして、「超高速」「超低遅延」「超多数同時接続」「超高信頼」の4点が挙げられるます。

これらの特徴によって、IoT機器のセンサーから収集したビッグデータを瞬時に解析、逆に多くの機器に指示を与えることも可能になります。文字通り、5Gは企業のDXをこれまで以上に加速させます。

 

2.AR(拡張現実)/VR(仮想現実)

  • AR(拡張現実):コンピュータ上で現実の風景と任意の情報を重ね合わせて表示する技術です。一般的にはスマートフォン向けゲームや観光地での活用に注目が集まっています。また、自動車や航空機のHUD(ヘッドアップディスプレイ)への導入によって、リアルタイムの情報を現実の景色に反映させることで安全性の向上や輸送効率の向上を実現することができます。
  • VR(仮想現実):コンピューター上で作られた仮想的な風景を、現実世界の風景のように体感できる技術です。ゴーグル型のHMD(ヘッドマウントディスプレー)を頭部に装着することでVRの風景を体験することができます。

 

3.IoT(モノのインターネット)

これまでインターネットに接続できなかった“モノ”をインターネットに接続することができる技術です。機器の中に様々なセンサーと通信機器を組み込むことで、幅広い情報収集と遠隔でのシステム制御が可能になります。

また、蓄積したデータを分析することで新たな知見を獲得し、新たなビジネスモデルの立ち上げに貢献することができます。

 

4.AI(人工知能)

一般的にはコンピューター上で人工的に人間と同様の知能を実現させるための技術のことを指します。ただ、研究者や企業によってその解釈は様々であり、厳密な定義はありません。

コンピューターが人間の脳のように“学習”し、大量のデータから求める情報を“推測”することが求められ、複雑なアルゴリズムが用いられることがAIの特徴です。AIはイメージがしにくい技術ではあるものの、自動運転カーや検索エンジン、スマートスピーカーの音声認識、産業用ロボットの制御などですでに実用化が進んでいます。

 

バックオフィスとフロントオフィス、どちらからDXを進めるべきか

最近ではテレビCMといったマス広告でも見かけるようになったSaaS(Software as a Service)と呼ばれるクラウド型のソフトウェア。一昔前は企業がデジタル化するためには0から社内システムを制作する必要がありましたが、SaaSのビジネスモデルが一般的になった現在、企業はより手軽にデジタイゼーションを進めることができるようになりました。

では企業がデジタイゼーションを社内に浸透させていくためには、どのようなアクションをとっていくべきなのでしょうか。

企業のデジタイゼーションは大きく分けて、バックオフィス系とフロントオフィス系に別れています。例えばバックオフィス系であれば勤怠管理やHR管理、フロント系であればMAやSFAなどが挙げられます。

まっさらな状態からデジタイゼーションを進めるのであれば、足元を固めるという意味でもまずバックオフィスから始めましょう。いきなりMAやSFAを導入しても、そのデータを蓄積、活用する体制が整っていなければ十分な成果は望めません。

 

バックオフィスにおけるDX

バックオフィス系のデジタイゼーションでとりわけ重要なのが、情報の可視化と脱属人化です。例えば請求書や契約書を紙ベースで保管し、その場所や処理方法が一個人の担当者にしか分からない状態は非常に危険です。担当者が病欠や離職してしまった場合、その業務は宙に浮いてしまいます。

また、もしヒューマンエラーが起きてしまっても、会社としてフォローに入ることができません。そのため紙のデータ化やデータの可視化は最優先で進め、その上で会計、人事、総務といった各種業務の効率化を図っていきましょう。

 

フロントオフィスにおけるDX

フロントオフィス系のデジタイゼーションでは、まず顧客情報の統合が最優先になってきます。CRMで顧客情報やステータスが可視化されてくると、営業がお客さんにアプローチする際に必要なSFAや、マーケティングを自動化するMAの導入を検討していきましょう。

ここでも意識すべき点が脱属人化です。あるお客さんの情報は担当者にしか分からないという状態は、いち早く解消しましょう。

 

失敗しないDXプロジェクト推進のコツ

失敗しないDXプロジェクト推進のコツ

昨日までデジタル化が遅れていた企業が、いきなり今日からDXを導入しますと言っても組織は戸惑うばかりです。表面上のデジタル化を進めても、それを社員が扱うことができなければ、余計な費用が嵩むばかり。さまざまなDX事例でも「デジタル化を進めたけど浸透せずに諦めた」というのはよく挙げられる失敗事例です。

そこでおすすめなのが、社内に独立したDX推進チームを作ること。一般的には情報システム部のイメージに近い役割のものですが、社員のIT教育まで実施するという点で違ってきます。DXの浸透に失敗する原因の1つとして、当事者意識が足りていないことがよく挙げられます。

DX推進チームが社内のデジタイゼーション浸透の責任を持ち、社内の浸透率や業務効率化の指標をKPIとすることで、企業のDX推進が加速したというケースがあります。もし社内に最適な人材がいない場合は外部のコンサルタントやパートナーとの協業をおすすめします。

DXの推進はビジネスモデルの変革であり、そのため会社全体を揺るがす意思決定になることも珍しくありません。そのため、現場からの提案よりも、社長を始めとした経営上層部の「鶴の一声」で推進していくケースがよく見られます。

社員にDX推進を伝える場合は、ただ「業務をデジタル化します」と伝えるのではなく、「DXの根幹は顧客体験と従業員体験の変革である」という意図を伝えてあげるべきです。従業員も自ら参加したくなるようなモチベーションを保つために、DXは従業員にもメリットがあるのだ、と知ってもらうことから始めましょう。

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元記事発行日: 2020年7月29日、最終更新日: 2020年7月31日