DX時代のIoTとは?導入のメリットや活用事例を解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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IoT(Internet of Thing)は、その名の通りモノのインターネット化についての技術です。これまでのインターネットでは人間とモノ、人間と人間の通信がほとんどでしたが、IoT時代にはモノとモノの通信が可能になります。

DX時代のIoTとは?導入のメリットや活用事例を解説

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近年IoTが普及してきた背景にはネットワーク回線速度の向上がその背景にあります。コンピューターからスマートフォン、テレビや洗濯機、冷蔵庫、エアコンなど、私たちの生活は多くの電子機器に囲まれており、それらをすべてネットワークでつなぐとなると、高速かつ大容量のデータ通信が可能な環境が必要になるからです。とりわけ、いよいよ本格化する5G(第5世代移動通信システム)の浸透が進めば、爆発的にIoTが普及していくものだと考えられています。

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    IoTとは?ICTとの違いは

    語感が似ており、よくIoTと混同されがちなICT。「Information and Communication Technology」の略で、直訳すると「情報と伝達の技術」となります。ほぼ「IT」と同じ意味合いとして使われていますが、ITよりもコミュニケーション(情報の伝達と共有)に焦点を当てている点が大きな違いです。

    IoTとICT、その違いはそのコミュニケーションの対象にあります。前述の通り、IoTが「モノとモノのコミュニケーション」を実現する技術に対し、ICTはあくまで「人と人」「人とモノ」のコミュニケーションをより円滑にする技術です。

    IoTは単なるIT化ではなく、DXを実現する

    IoTは単なるIT化ではなく、DXを実現する

    様々なビジネスシーンでも耳にするようになったIoTですが、その技術を活用することで何が起きるかを理解できている人は意外と少ないのではないでしょうか。一般的にIoTの導入はビジネスにおける業務フローの効率化や合理化、遠隔操作の利便性、ビックデータの活用といった、デジタイゼーション(デジタル化)の一環であると捉えられがちです。それ自体の認識に間違いはないのですが、IoTはよりスケールの大きいDX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈で考えることで、新しいビジネスモデルの創出につなげることができ、IoTの可能性はより広がります。

    そうした新しいビジネスモデルの創出は、私たちの生活における利便性をさらに向上させました。家電量販店でも販売されているIoT家電やスマートスピーカーといったIoT対応のデバイスは一般的にも浸透しています。スマートフォンと連携ができる家電製品は特に人気で、防犯やペットの見守り用の遠隔操作できるネットワークカメラや自宅でも簡単にオートロックができるスマートロック、そして音声認識で様々なIoT製品をつなぐことができるスマートスピーカーがその代表格です。

    そうしたIoT製品がより普及することで多くの顧客データが収集され、メーカーの新製品開発やアフターサポートの向上にも役立ち、さらなるサービス内容の改善が期待できます。そこで得られたデータや知見はますます企業のビジネス基盤を強化し、持続的な成長が実現できるのです。これまで一方通行であった顧客とメーカーの関係は、データを介することで双方にメリットのある、よりインタラクティブなものに変わっていくでしょう。

    IoTの主要機能&導入するメリット

    IoTの主要機能は?導入するメリットとは

    IoTの技術を導入することでビジネスで実現できる個別の機能とメリットをご紹介します。IoTでは、これまでオフラインであったモノをインターネットにつなげることでコントロールし、データを取得することができます。言い換えれば、アナログとデジタルを通信と情報によってつなげるのです。それによって、以下のような利便性が生まれます。

    1:モノの位置を知る

    衛星測位システムの信号を受信するGPS機能を搭載したIoTデバイスでは、リアルタイムでかなり高精度なモノの位置を確認することができます。例えばかばんや財布、旅先のスーツケースといった貴重品に入れておくことで、万が一紛失や盗難にあってもスマートフォンのアプリから位置を割り出すことができます。また、通学する子どものランドセルに入れておくことで、保護者がいつでも位置情報を把握し、防犯に役立てることも可能です。

    2:モノやヒトの状態を知る

    その場にいなくとも遠隔でモノやヒトを監視、データとして把握するIoT技術です。モノの状態、例えば電源の状態や室内の温湿度、鍵の開閉、車両の速度を搭載したセンサーでリアルタイムに記録、遠隔でも把握することができます。また、その場にいても細かい状態を正確に知ることが難しいものも計測することができます。その代表格が人の健康状態です。ウェアラブルのIoTデバイスを装着することで、心拍数や呼吸、血圧、睡眠時間、姿勢までをデータに残し、監視することが可能です。医療現場だけでなく、いまでは運動シーンにも積極的に活用されており、ランニング中の歩数だけでなく心拍数や消費カロリーを計測することでヘルスケア領域でも活用が進んでいるようです。

    3:モノを操作する

    デバイスに取り付けたセンサーによって「モノの位置」や「モノの状態」を把握し、制御システムをインターネットにつなげることでモノの遠隔操作が可能になります。エアコンやスマートキー、照明といった家電製品だけでなく、製造業の生産ラインやロボット、建設業で使用される機材の遠隔制御でも実用化されています。特に製造業、建設業におけるIoTでは、セキュリティ管理や生産数管理、そしてそこに割いてきた人件費の削減といったビジネスインパクトが大きく、注目が集まる分野です。

    4:モノの動きを検知する

    直接操作するのではなく、デバイスのセンサーが動きを検知して動作するIoT技術です。家庭用のネットワークカメラでは人感を検知して通知を送るものも発売されています。

    また、店舗、商業施設では設置されたカメラの映像から顧客の行動を検知し、購買・非購買行動を分析することも実用化されています。そうしたデータはマーケティングに活用されるだけでなく、店内のサイネージと繋がることで顧客に合わせた広告の配信が可能となる見込みです。

    5:モノ同士で通信する

    ネットワークを経由して離れたモノ同士でデータの送受信を行うことができるIoT技術です。人が介在することなく、機械同士が相互に情報をやり取りする考え方自体はM2M(Machine-to-Machine)と呼ばれ、実は新しいものではありません。

    ではIoTとM2Mの違いはどこにあるのでしょうか。M2Mでは機械同士の情報のやりとりをクローズドなシステム内で行なっていることが特徴です。自動運転や、ビルシステム内のエレベーター管理といった事例が挙げられ、高セキュリティ性が強みです。一方のIoTでは、モノとモノでやり取りされたデータをクラウド経由で共有することができ、その後のビジネスの成長に役立てることができます。

    業界におけるIoTの活用事例6選

    各業界における、IoTの技術を活用した新しいビジネスモデルの実践例をいくつか紹介します。

    製造における事例:キャディ株式会社

    特注加工品の発注者と全国の加工工場をテクノロジーでつなげる日本初のサービスです。メーカーの持つ図面データを解析し、瞬時に見積を提供。最適な工場を自動で特定し、高品質な加工品を低価格で安定供給しています。

    物流における事例:株式会社オプティマインド

    ラストワンマイルに特化したルート最適化サービス「Loogia(ルージア)」を運営。IoTやAIを活⽤し、効率的な配送ルートの作成をサポート。
    PCやスマートフォンを通じ、配達開始・終了時刻や⾞両の積載量、荷物の容量といった情報を考慮した最適なルートが⾃動で提案されます。そのため、配送ルート作成時間だけでなく配送時間の短縮も期待できます。

    小売における事例:株式会社トライアルカンパニー

    九州を中心にスーパーやドラッグストアなどを展開する「トライアルカンパニー」では、店舗に設置するAI(人工知能)搭載のカメラを開発し、1000台規模で実店舗に導入しています。
    商品の在庫状態や人の動き・属性の分析が可能となり、顧客属性に応じた品揃えや商品補充のタイミング、サイネージコンテンツの表示が最適化されるなど、店舗側・メーカー側双方にメリットがあるそうです。

    農業における事例:株式会社ベジタリア

    植物科学とテクノロジーを活用した農業向けソリューションを提供するベンチャー企業。環境情報や作物の生育状況を常時モニタリングできるIoTセンサ「フィールドサーバ」や水田センサ「パディウォッチ」、地図情報をベースに圃場管理や農作業の記録ができるクラウド型営農管理システム「アグリノート」などの農業IoTソリューションを提供しています。

    医療・ヘルスケアにおける事例:G・U・M PLAY(サンスター株式会社)

    加速度センサーが搭載された歯ブラシで動きを検知し、歯の磨き方のデータを取得。そのデータは、専門の歯科衛生士による正しい磨き方と比較され、自分が正しく歯を磨けているのかを確認することができます。

    交通における事例:Volvi on Call(ボルボ・カー・ジャパン株式会社)

    自動車メーカー・ボルボが開発した「Volvi on Call」。専用アプリを使えば、車載されたシステムを介して、離れた位置にいてもエアコン調節やエンジンの起動ができます。また万が一の事故の際は、自動的にオペレーターに接続。盗難された場合もGPSで早期発見ができます。

    顧客体験向上のために自社は何ができるのか。活用できる手段を考え続けよう

    顧客体験向上のために自社は何ができるのか。活用できる手段を考え続けよう

    5Gの導入によるインターネットの高速化でますますの普及が予想されるIoT。深刻化する人材不足や国際競争力が衰えつつある日本の産業を成長させるためにも、IoTへの理解と積極的な導入は急務と言えそうです。

    何より、自社の顧客に提供できる価値をより高める手段として、IoTが有効であれば積極的に導入していくべきでしょう。顧客体験を向上し、満足度を高めていくことが、結果的に自社の競争力を高めることにも繋がるからです。

    一方で高度なIT人材の不足や電力供給、ネットワークのセキュリティ対策など、IoT導入にはいくつかの課題が残っていることも事実。IoTは導入することが目的ではありません。

    IoTの利用を検討する際は、顧客への提供価値を高められるのか、導入後、しっかり運用できるリソースがあるのかなどを考慮しましょう。

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