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2016年12月11日 // 6:00 PM

マーケティングのSMARTゴール設定方法(無料テンプレート付き)

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  • お客様:「問い合わせの件数を増やしたいのですが、どうしたらいいでしょうか」
  • 僕:「いくつか確認させてください。まず、問い合わせの件数を、いつまでに、何件まで増やしたいのか教えていただけますか」
  • お客様:「決まっていません」
  • 僕:「...なるほど。(うおー!)」

これまで200社を超える日本企業のマーケティング担当者やウェブ担当者とお話をさせていただきましたが、意外なことに、ゴール(目標)が数値として定まっていないケースが少なくありません(もちろん、私がまだお客様の信頼を得られておらず、数値目標を共有できなかったというケースもあるかと思いますが)。

「PDCA(計画、実行、評価、改善)」サイクルに従ってマーケティング活動を継続的に改善するには、ゴールを数値として設定することが不可欠です。ゴールを数値として設定しなければ、マーケティング活動が成功したのか、失敗したのか、どのように改善すればいいのか、適切に判断することができません。

さらに、そもそもゴールが数値として設定されていなければ、何を(What)どのように(How)実行するのか計画を立てる際にも支障をきたします。

今回の記事では、インバウンドマーケティングで多用される目標管理基準「SMARTゴール」について説明します。記事の末尾でSMARTゴールのテンプレートを無料でダウンロードできますので、マーケティング目標の設定や、目標の見直しに積極的にご活用ください。

「ゴールを1つだけ設定し、そこに集中する」というマーク・ザッカーバーグ流

当時私は、面白いアイデアや製品の新しい機能を、思い付いた端からなんでもマーク・ザッカーバーグのところに持って行きました。どのアイデアも素晴らしく、みんなで話し合って試したり実装したりするに値すると信じていたからです。全体像も優先順位もありません。やみくもにアイデアを探しては試そうとしていました。

さすがに呆れたマークがある日、私を黙らせてからホワイトボードに「GROWTH(成長)」と書きました。

彼は全員に向かって、Facebookがユーザー数を増やして成長することをゴールとしたアイデアでない限り、検討する必要はない、とはっきり言いました(マークは実際には「ユーザー」という言葉が大嫌いでしたが )。

その経験から私が学んだのは、一度に複数の指標の増減にこだわるのはよそう、ということでした。そうすれば、物事をシンプルに決断できるし、アクションの優先順位も付けやすくなります。

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これはFacebookの社員番号50番、Noah Kagan氏が書いた記事「ブログ購読者数を3倍にした、ブログトップページを飛躍的に改善する方法に登場するエピソードです。Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏とのやりとりからは、ゴール設定のポイントやメリットを見て取れます(ホワイトボードのくだりは想像すると興奮しますね!)

  • 一定期間内で集中するゴールは1つ
  • 施策やアイデアはゴールに紐付いている必要がある
  • ゴールの設定により、決断基準が生まれ、施策の優先順位付けが可能になる

マーケティング担当者が少ない場合(=人的リソースの不足)や、予算が限られている場合(=金銭的リソースの不足)は、ぜひ「ゴールを1つだけ設定し、そこに集中する」というFacebookルールを試してみてください。

インバウンドマーケティングの「SMARTゴール」設定

「SMART」は、優れたゴールが満たすべき条件を表す5つの単語の頭文字を組み合わせた言葉です(下図を参照)。つまりSMARTゴールとは、「SMART」の条件を満たしたゴールという意味であり、いわゆる「スマート(賢い、頭がいい)」なゴールという意味ではありません。

インバウンドマーケティングでは、SMARTの条件を満たしたゴールを設定することで、各施策の優先順位付けが可能になるので、積極的にSMARTゴールを設定するようお勧めします。

SMARTゴール

上図がSMARTゴールに求められる5つの条件です。以下に、それぞれの条件について詳しく説明します。

  1. Specific(具体的):明確で具体的、曖昧な表現は使用不可

    ゴールはインバウンドマーケティングのあらゆる活動の指針になるので、明確性と具体性が求められます。

    新卒の頃、マーケティングゴールを達成するための目標設定に「ブログをめっちゃがんばる」と書いて、激しくツッコまれたことがあります。今になって思い返すと、SMARTの条件をまったく満たしていない曖昧な目標で、我ながら恥ずかしくなります...。

  2. Measurable(測定可能):計測できる数字をゴールに設定

    数値で測定可能なゴールを設定します。冒頭の「問い合わせの件数を増やしたい」というお客様の要望は漠然としていて、この条件を満たしていません。マーケティングの施策を評価するためにも、必ず数値で測定可能なゴールを設定します

    冒頭のお客様の場合、「問い合わせの件数を前月比で15%増やすのがゴール」と設定すれば、リードの件数と成長率を目標として設定し、「15%増」というゴールに対する進捗の確認や分析を行うことができます。

  3. Attainable(達成可能):簡単ではないが、努力や工夫次第で達成可能なゴール

    5つの条件の中では、これが最も難しいかもしれません。

    簡単ではないものの、努力や工夫次第で達成可能なゴールを設定しましょう。その際には過去の数値も参考にしてみてください。

    この条件は、自社や業界の成長率によっても左右される可能性がありますが、「届かなそうで届く」という、ちょっと背伸びをした目標を設定してみましょう。

    もちろん最初からうまく設定できなくてもかまいません。設定をこなしていくことでデータや経験値を蓄積できるので、絶妙な数値を目指してください。

    余談ですが、あまりにも達成が困難なゴールを設定してしまうと、モチベーションが低下したり、文化や倫理に反する手段に訴えたくなる誘惑に駆られる場合がありますので、注意が必要です。

  4. Relevant(適切):ビジネスに関連・直結するゴール

    ビジネスに直結するゴールを設定しましょう。実現する必要性のないゴールを設定してはいけません。

  5. Time(期限):達成までの期限が明確

    達成までの期限を適切に設定してください。年単位、四半期単位、月単位などの時間軸を活用すると、設定が容易になります。

    「いつまでに達成が必要なのか」という期限がないと、施策の評価にもメリハリがなくなってしまいます。ズルズルと達成を先延ばしにする(やるやる詐欺)状態に陥り、ゴールがうやむやになってしまうので、PDCAサイクルを適切に回すためにも期限を設定しましょう。

SMARTゴールの設定例

SMARTゴールの設定例を、インバウンドマーケティングの手順に絡めて3つご紹介します。それぞれの例がどのようにSMARTの条件を満たしているのか、意識しながら読んでみてください。

inbound_flow.png

1.アトラクトの目標例

新製品の発表に向けて、2017年3月30日までにサイト訪問者数を50%増やす(現在の月間1,000回を1,500回に増やす)。

2.コンバートの目標例

2017年6月末までに新規の見込み客を月間100人に増やす(現在の月間50人を倍に増やす)。

3.クローズの目標例

2017年の第3四半期で、新製品の顧客を50件獲得する(同種の製品を扱う同規模の競合他社が3か月で30件獲得した実績あり)。

SMARTゴールの事例

ちなみにKagan氏の記事に登場する初期のFacebookでは、以下のようにゴールが設定されました。

「2014年末までの1年間でブログの購読者数を5万人に増やす(2014年初頭の時点では約12,250人なので、約4倍に増やす)」

ブログのトップページを経由したメルマガ登録者のコンバート率を数値目標として、いかにしてゴールを達成したのか、そのプロセスが紹介されていますので、SMARTゴールの実践例にご興味をお持ちの場合は、ぜひ読んでみてください。とても面白い内容です。

富士山に登るのか、それとも高尾山に登るのか

ビジネスにとって本当に大切なことをゴールに設定できているのか。これは常に意識すべきポイントです。

先ほどのFacebookでの事例でご紹介したように、適切なゴールさえ決まれば、やるべき事柄やそれらの優先順位は、おのずと決まっていきます。逆に言えば、ゴールがまったく見えない作業や、ゴールとの関連性を理解できない作業は、「これは本当に重要な作業なのか?」と立ち止まって考えてみる必要があるでしょう。

ゴールの設定が変われば、進むべき方向性はまったく変わります。

たとえば、Kagan氏の記事に登場する初期のFacebookは、「ユーザー数の増加」というゴールを設定しました(ザッカーバーグ氏はユーザーという言葉が嫌いだったようですが...)。

もしもそのとき、Facebookが「四半期ごとにユーザー1人あたりの売上を50%増やす」というゴールを設定していたら、どうなっていたでしょうか。このゴールを達成するために、ユーザー数を増やす施策ではなく、ユーザー1人あたりの売上を増やす目標やKPI(重要業績評価指標)を設定し、それらを追いかけていたかもしれません。

同じ登山であっても、富士山に登るのか、それとも高尾山に登るのかで、交通手段や装備などの「目標達成手段」が異なります。このように、最終的なゴールの設定は、必要な施策や作業などを左右する最重要項目であることを忘れないでください。

テンプレートを活用したマーケティングのSMARTゴール設定

「SMART」という基準が、マーケティングやビジネスのゴールを設定するうえでいかに重要なのか、ご理解いただけたでしょうか。

ハブスポットでは、インバウンドマーケティングのSMARTゴール設定に役立つ無料のテンプレートをご用意しました。このテンプレートを使えば、前述した3つの目標例のように、「訪問者数」、「見込み客数」、「顧客数」という3つの観点から、SMART基準を満たす適切なゴールを設定できます。

このテンプレートには、ハブスポットが擁する1万社以上のデータに基づいて、現在の訪問者数、見込み客数、新規に獲得した顧客数を元に目指すべきSMARTゴールの目安を自動計算する機能も組み込まれており、英語版のダウンロード数は過去2年間で56,500回に達しています(2016年11月現在)。

インバウンドマーケティングのSMART目標を設定したいという場合や、ゴールの設定に活用できるデータが少ないという場合は、ぜひこのテンプレートをお試しください。以下のバナーからダウンロードページに移動できます。

スマートゴールテンプレートをダウンロードするにはこちらから

トピック: インバウンドマーケティング

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