【HubSpot導入事例】リスティングと比較しROIが2倍。自然流入数が5倍へ〜株式会社ラクス〜

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戸栗 頌平(とぐり しょうへい)
戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

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2000年の創業以来、株式会社ラクスは事業の軸のひとつとしてクラウド型のシステムを開発し、マーケティグおよび営業活動を行い事業の拡大を行っていました。しかし、時間とともに広告単価の高騰によりリスティング広告のROIが徐々に悪化、競合システムの登場などにより、広告に頼らずに見込み客を獲得する手法が必要でした。

その状況を打破するために、インバウンドマーケティングとHubSpotの導入に踏み切ります。導入から6 ヶ月で、自然検索(オーガニック)流入数が約5倍インバウンドによって獲得した見込み客数が10%増加リスティング広告と比較してROIが2倍まで改善しました。

新規見込み客獲得の手段であったリスティング広告単価の高騰

"新規見込み客の獲得は広告に頼りきっていました。
一方で、広告単価の上昇により持続性を持った
新規見込み客獲得が急務でした"

2000年の創業以来、IT技術者の派遣事業とクラウドシステムの開発提供を2つの事業軸として展開してきた株式会社ラクス(以下、ラクス)。ラクスでは、業務効率化、業務推進のためのクラウド型の経費精算システムや、メールマーケティングのシステムなどを開発販売し、バランスのとれた機能とわかり易いユーザーインターフェースを特徴として、中小企業の方でも簡単に手軽に使うことができ、メルマガ配信と効果測定ができるシステムとして好評を得ていました。

市場から好評を得ている一方で、2013年9月にHubSpotの導入を決断、インバウンド型のマーケティングへと方針変更を行います。ラクスのマーケティング担当の芹澤はずき氏(以下、芹澤氏)は、その経緯を以下の様に説明します。

「私がラクスのマーケティング担当になったタイミングで、担当するメール配信システム(配配メール)の導入社数は既に1,500社ほどありました。販売数を伸ばすために、自社の他システムにある既存顧客リストを用いて、営業をアップセルやクロスセルのような形で行い、新しいメールシステムの導入社数の拡大を行っていました。

一方で、新規のお客様を獲得するために、SEO対策やリスティング広告などのプロモーションに非常に予算をかけていました。その理由は、メール配信ツールは国内でも非常に競合が多く、この手のツールを導入する方たちは、検索エンジンで検索する人たちが多いためSEOとリスティングを行い続けていました」

一方で既存のリストが存在していたため、コールドコール(一方的な営業電話)は行わず、すでに過去の接触を行っている既存保有のリストに電話をかけていたため、新規顧客の開拓にはリスティング広告に頼っていた状態だった、と芹澤氏は語ります。

「私たちは新規顧客を獲得するため、積極的にリスティング広告を行っていました。ただ、時間とともに徐々に広告単価が上がり、リスティング広告のCPA(見込み客獲得単価)が高騰し始めていました。そのため、新規見込み客の獲得はできていたものの、効率が徐々に悪くなり、広告に頼らない形で費用対効果の改善を行う方法を探していました。」

インバウンドで見込み客獲得準備を始める

"インバウンドマーケティングの概念の正しい理解が、
マーケティングの効果をより一層高めました"

リスティング広告に頼らないマーケティング施策を実行するために、ラクス代表である中村氏がインバウンドマーケティングという新しい概念を挙用し、芹澤氏たちがHubSpotの導入を進めることになります。2013年9月に、ラクスはHubSpotの導入を決定します。また、導入をスムーズに進めために、ラクスではHubSpotの正規代理店である株式会社24-7の導入サポートを受けることを選択することになります。

「導入をする際に乗り越えなくてはいけないことが2 つありました。一つは言語(2013年当時のHubSpotは、サポートやユーザーインターフェース、ブログなどが全て英語のみ対応。2016年8月現在日本語対応済み)で、社内に英語をできる人間がいなかった、という点。また、もう一点が、インバウンドマーケティングの概念を実現するための経験がなく、どのような手順で物事を進めて良いのかわからなかった点です。」

導入にあたって、芹澤氏を含めた担当者たち自らが、日本語での限られた情報の収集に努めたとのことです。HubSpotの正規代理店のインバウンドマーケティングに関する日本語ブログ記事、インバウンドマーケティングに関する日本語書籍、当時行われた日本語イベントなどを頼りに情報を蓄積させていったと、芹澤氏は述べます。

「それらの情報を収集する中で、やはりインバウンドマーケティングを実践している企業さんに支援をしていただきたい、と感じました。今考えてみると、インバウンドマーケティングというものがどうして重要なのか、どういう思想なのか、ということを正しく伝えてもらうことがなければ、HubSpotというツールを全然使えなかったと思います。思想とその背景や理由がわかったからこそ、なぜペルソナを作って、どのようにペルソナに役立つコンテンツを作って、トラフィックを集めて、見込み客を獲得して育成までつなげていくのかが理解できました。」

HubSpotの正規代理店の支援を受け、インバウンドマーケティングの思想と概念を正しく理解することから始めたラクス。その後、新規顧客を獲得するためにインバウンドマーケティングをゼロから始めることになります。既存のトラフィックや、既存のウェブサイト、既存のメディアがある場合、eBookなどのダウンロードコンテンツとランディングページなどを最初に準備し、既存のトラフィックを利用して見込み客の獲得を行い始めるケースは多くあります。しかし、ラクスは本当のゼロからインバウンドマーケティングをスタートしました。

「HubSpotの正規代理店との契約が決まり、私たちは本格的にインバウンドマーケティングをゼロから行うために、ゼロからバイヤーペルソナを作り、そのペルソナに対してブログエディトリアルカレンダー(ブログのトピックや更新日程、担当者などをまとめた管理表)を作成し、ブログメディア(Mail Marketing Lab./メルラボ)の立ち上げ、ブログ記事を書き貯めていきました。」

その後、ラクスはブログ記事を公開しつつ、ウェブサイトに来た訪問者を見込み客に転換するための メールマーケティングの基本をまとめたeBookを作成し、見込み客の獲得を開始します。そして、作成したeBookをダウンロードした人たちへ営業担当者が連絡をとり、新規顧客の獲得へとつなげていくことに成功します。

その秘訣として芹澤氏が述べたのが、ブログ記事やeBookを作りっぱなしにするのではなく、HubSpotのアトリビューション(属性)レポートを活用し、どのジャンルのトピックがより多くの見込み客獲得、顧客獲得へ貢献しているかを確認することだった、と話します。

「HubSpotのアトリビューションレポートでの分析はコンテンツを作成、改善するためにとても役に立っています。どのコンテンツがリード獲得に貢献しているのか把握ができるようになりました。特に、社内のマーケティング担当者が持つ成果指標は営業担当者に渡した見込み客数で測られるため、どのブログ記事が営業担当者に渡った見込み客を生み出したかがわかることはGoogle Analyticsではできないことで、とても意味のあることでした。マーケターにとって、とても重要な機能だと感じています。」

またHubSpotの導入前、ラクスではウェブサイトへの流入元を知るために入力フォームに選択式に“弊社を知ったきっかけ”という質問項目を設けていたとのことです。アトリビューションレポートの導入によって、フォームで回答されることの多かった“Yahoo“、“Google“、“新聞“などの選択肢が事実とだいぶ異なっていたことも判明したと芹澤氏は述べています。

「結果として、見込み客の獲得に貢献しているコンテンツが判明し、さらに流入元も判明しました。さらに、HubSpotのキーワードツールを用いたりしながら、ブログ記事のキーワードの見直しも定期的に行い、時代や時間に応じてキーワードの移り変わりにも合わせるようにして見込み客の獲得と、営業担当者へ見込み客を繋ぐようにしています。」

また芹澤氏は、HubSpotのキーワードツールにキーワードを登録し、数字や難易度などを確認しながら、検索ボリュームがあり、検索結果で上位化できそうなキーワードを選択してコンテンツを制作する工夫を定期的に行っている、と話します。

お客さんからの信頼と自社営業担当者からの信頼をつかむ

"より多くの信頼と築き、今後もHubSpotのマーケティングとセールス(CRM)機能をもっと深く活用していきたい"

インバウンドマーケティングを導入後、数字的な結果も出し、さらに営業担当者から感謝されることが多くなった、と述べています。

「インバウンドマーケティングを行う以前、営業担当が見込み客と打ち合わせをした時に頂く質問はシステムに関するものが大半でした。インバウンドマーケティングを行い始めてからは、質問内容がコンサルティングに近い内容で、相談ベースになることが多くなりました。以前はシステムしか提供していなかったのに対して、課題を抱えるお客さまたちが自分から私たちのブログ記事を勉強して、私たちを信頼してくださった上で相談してくださる機会が増えました。営業担当自身もブログ記事を読むことで知識をつけ、そういったお客さまからの質問に答えることができるようになってきました。」

さらにラクスは、見込み客の育成(リードナーチャリング)にも力を入れており、HubSpotのワークフロー機能(マーケティングオートメーション機能のひとつ)を用いています。B2Bのマーケティング担当者が特定のeBookをダウンロードした際に、同じトピックのブログ記事や関連性のあるツール機能を紹介するメールを自動配信して、見込み客のライフサイクルステージにあったコンテンツを届けるナーチャリング施策を行っているそうです。

「ブログを立ち上げて以降、相談ベースの潜在見込み客との打ち合わせが増加し、インバウンドマーケティングで獲得した見込み客からの受注率も上昇しました。打ち合わせ以降も、営業担当者自ら打ち合わせ内容に関連するブログ記事のリンクURLを見込み客の企業担当者に伝え、信頼を築くようにしています。結果として、受注率の上昇につながっているのだと思います。」

インバウンドマーケティングを導入し約6ヶ月後で、ウェブサイトへの自然流入数(オーガニックトラフィック)が約5倍に、インバウンドで獲得した見込み客数が約10%増加、インバウンドマーケティングを行い始めたきっかけであったリスティング広告と比較してROIが2倍に改善することに成功した、とのことです。

ラクスのこれからとインバウンド

"より多くの信頼と築き、今後もHubSpotのマーケティングと
セールス(
CRM)機能をもっと深く活用していきたい
"

今後の展開としては、ブログに来てくれた見込み客や顧客との対話を増やしていきたいと芹澤氏は述べます。

「ブログをサービスの基盤としていきたいと考えています。例えば、ブログに再度来てくれた見込み客に対してチャットなどを行って、相談につなげ、そこから有料のコンサルテーションなどにつなげることを目標にしています。今までは、ツールを販売することが主となっていましたが、これからは付帯サービスとしてメールマーケティングのコンサルテーションサービスなどが展開できればと思っています。あとは、インサイドセールスを立ち上げている最中なのでマーケティング、営業部門が一貫して顧客化を促進していく予定です」

株式会社ラクスについて
株式会社ラクスは、全国の中小企業の可能性を100%発揮できるように、大企業で使われているようなシステムやクラウドといったIT技術を提供し、中小企業の成長と働く人々の幸せに貢献する企業です。

代理店が最強の導入事例を作成する方法

(本導入事例のインタビューは2016年6月に行われました)

 

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