自社のビジネス成長をより促進するための手段として、SNSは重要な役割を担います。
今回は、SNSを用いたマーケティング手段の中でも特にチェックしておきたい、Instagramの動画広告について紹介します。ぜひ、自社のマーケティング施策の参考にしてみてください。
初心者でも簡単に出稿可能!Instagram広告基本ガイド
Instagram広告の掲載方法から、目標の設定、エンゲージメントの管理、成果の測定まで
- 最適なInstagram広告を作成するための詳しい手順
- パフォーマンス測定指標の確認とエンゲージメントの管理
- HubSpotが実際に学んだ知見とポイント
- 付録:Instagram広告に関するチェックリスト
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Instagram動画広告とは?
Instagramの利用率は、全年代で増加傾向にあります。以下の表は、令和3年の総務省の調査をもとに各年齢と利用率の関係性をまとめたものです。
年齢層 |
Instagramの利用率 |
全年齢 |
48.5% |
10代 |
72.3% |
30代 |
57.1% |
令和2年度の調査では、Instagramの利用率はTwitterと同程度でした。しかし、令和3年度ではTwitterの数値を超え、LINEの次に利用されているSNSとなりました。
また、YouTubeの利用率が90%付近にあることから、全年齢で動画の視聴が受け入れられているといえます。
Instagram動画広告の料金形態
Instagram動画広告の料金体系は、大きく分けて4種類あります。
- CPM(コスト・パー・ミル)
- CPC(コスト・パー・クリック)
- CPI(コスト・パー・インストール)
- CPV(コスト・パー・ビュー)
それぞれがどのように異なるのか、詳しく解説しましょう。
CPM(コスト・パー・ミル)
CPM(コスト・パー・ミル)は、広告が1,000回表示された場合に発生する費用です。計算方法は以下のとおりとなっています。
「広告費(予算)÷広告の表示回数×1,000」
CPMのメリットとしては、露出を高めることを目的とした場合に比較的低価格で広告を出稿できる点が挙げられます。単価相場は、約10〜500円と言われていますが、当然、出稿条件によって変動するので実際出稿する際は注意しましょう。
CPC(コスト・パー・クリック)
CPC(コスト・パー・クリック)は、視聴者が広告をクリックしたタイミングで費用が発生する課金形態です。日本語で「クリック単価」とも呼ばれています。算出方法は次のとおりです。
「広告費(予算)÷クリック数」
CPCは、自社サイトへの誘導やその先の申し込みや購入など、何かしらのアクションを促したい場合に適しています。クリックされなければコストがかからないため、高い費用対効果を期待できますが、ユーザーにクリックしたいと思ってもらえるクリエイティブをいかに制作できるかが重要となります。
CPI(コスト・パー・インストール)
CPI(コスト・パー・インストール)では、Google PlayやApple Storeからのアプリのインストールを促したときに費用がかかります。計算方法は以下の通りです。
「広告費(予算)÷インストール数」
クリックよりもインストールのほうがハードルは高いため、費用はCPCよりも高くなる傾向があります。リリースしたアプリが、どの程度のユーザーに利用されているかを知りたいときに役立ちます。
CPV(コスト・パー・ビュー)
CPV(コスト・パー・ビュー)は、動画広告が視聴されたタイミングで課金されます。CPMと似ているものの、CPVの場合はある再生時間の基準をクリアしなければ費用が発生しません。Instagramでの基準は、次のとおりです。
- 再生時間が15秒以下…最後まで視聴されたら
- 再生時間が15秒以上…15秒以上視聴されたら
なお、CPVは下記のように計算されます。
「広告費(予算)÷再生回数」
1回あたりの単価は約4〜7円とされています。
全4種類のInstagram動画広告|動画の長さ・推奨サイズも解説
Instagram動画広告には、全部で4種類のタイプがあります。
- フィード
- 発見タブ
- ストーリーズ
- リール
それぞれで役割や長所が異なるため、目的に合わせて使い分けなければなりません。具体的な仕組みについて見ていきましょう。
フィード:最大120秒の広告動画
フィードとは、Instagramを開いたときに表示される写真や動画リストのことです。フォロワーの投稿や動画広告を閲覧できます。フィードに投稿できる動画の再生時間は、1秒〜60分までです。動画の投稿とは別にキャプション(文章)も入力でき、内容を簡単に紹介できます。
フィードの広告で推奨されているデザインはこちらです。
- アスペクト(画像サイズの縦横)比…4:5
- 解像度…1,080×1,080ピクセル以上
投稿する際には、適宜調整しましょう。
発見タブ:フィードと推奨要件は同じ
Instagramでは、発見タブにも動画広告の掲載が認められています。発見タブは、検索と同じページに存在します。アプリを開くと、画面の左下に虫眼鏡のマークがあるはずです。こちらをタップすると、いくつもの写真や動画が表示されます。
デザインの推奨要件はフィードと基本的に同じです。
- アスペクト比…4:5
- 解像度…1,080×1,080ピクセル以上
ただし、アスペクト比は1:1でも問題ありません。フィードとともに利用してもいいでしょう。
ストーリーズ:10秒未満の広告動画
ストーリーズは、アプリの右上にある[+]のマークから投稿する機能です。通常のテキストに加え、スタンプや絵文字も追加できます。手軽に投稿できる点がメリットであるものの、動画広告は最大10秒しか表示できません(出稿自体は60秒まで可能)。
動画を10秒以上閲覧するには、ユーザーが[続きを見る]のボタンをタップする必要があります。
デザインは次の形が推奨されています。
- アスペクト比…9:16
- 解像度…1,080×1,080ピクセル以上
フィードや発見タブとはアスペクト比が異なるため気を付けましょう。
リールの特徴:最長90秒の広告動画
リールは、Instagramアプリの下側中央のボタンから閲覧できます。再生ボタンのアイコンが目印です。画面全体(フルスクリーン)で動画を視聴でき、再生時間は最大90秒とされています。Instagramのユーザーのうち、約20%の人が使っている機能です。
同様に、推奨されているデザインをチェックしましょう。
- アスペクト比…9:16
- 解像度…500×888ピクセル
2021年10月15日以前に公開したリール動画は、広告として使用できないため注意してください。
Instagram動画広告の強み・活用するメリット
Instagram動画広告は、自社のマーケティングに活かす上で数多くのメリットがあります。これらをしっかりと押さえ、どのように戦略を練るかが重要です。ここでは、特に覚えておきたいメリットを紹介しましょう。
低予算で精度の高いターゲティングができる
Instagram動画広告のメリットは、低予算でターゲティングを細かく行えることです。出稿は1日あたり100円前後から行えます。多額の予算を確保する必要はありません。さらに、Instagram動画広告は「購入してほしい層」を絞りやすい点もメリットです。
出稿する際には、同じMeta社のSNSであるFacebookと連携します。位置情報が明確になる他、購買行動や趣味嗜好からも細かくターゲットを設定可能です。
国内のみならず世界中の幅広い世代にリーチできる
Instagramは、日本を含めて世界中の人々が利用しているSNSです。先程、日本では若年層を中心に利用者が増えていると説明しました。令和3年度の総務省のデータによると、20代の利用率が78.6%となっています。
世界に視野を広げた場合、Instagramの月間アクティブユーザーは10億人以上です。アクティブユーザーとはアカウントを持つだけではなく、1回以上利用しているユーザーを指します。これだけ多くのユーザーが利用しているので、Instagram動画広告では幅広い人々へのリーチが可能です。
通常の投稿と変わらない広告フォーマットが利用できる
Instagramはフィードだけではなく、リールやストーリーズなどでも配信可能です。そのため、通常の投稿と変わらない広告フォーマットが使えます。特にストーリーズの場合、フルスクリーンで表示できるため、動画広告を視聴したユーザーにも強い印象を与えられるでしょう。
また、通常の投稿と同じフォーマットを使うことで広告っぽさがなくなり、無理に宣伝しているようには見えなくなります。そのため、動画広告に対する抵抗もなくなりやすい点がメリットです。
Instagram動画広告の出稿方法:Facebookとの連携で広告設定の幅が広がる
Instagram動画広告の出稿方法は、大きく分けて3つの手順があります。
- 広告マネージャでキャンペーンを設定
- 広告セットの作成
- 広告の設定および公開
どのような作業が必要になるのかをそれぞれ具体的に解説しましょう。
事前準備:FacebookとInstagramのアカウントを連携する
はじめに、事前準備としてFacebookとInstagramのアカウントを連携します。Instagramのプロアカウントをあらかじめ開設しましょう。さらに、これらをリンクさせるにはFacebookでページの管理者となる必要があります。
Instagramの[プロフィールの編集]から[ページ]をタップしてください。
次に[Facebookページを作成]か[既存ページをリンク]を選びます。続いて、リンクしたいページを選択するか、[新しいFacebookページを作成]を選択しましょう。
Instagramの[ページ]の部分に該当するページが表示されていれば、連携の作業の完了です。
手順1:広告マネージャでキャンペーンの設定をする
事前準備の連携が完了したら、広告マネージャでキャンペーンを設定します。広告マネージャにアクセスし、[作成]へ進んでください。
後は広告の目的やキャンペーン名を入力するだけです。
以下の条件に該当する場合には、[特別な広告カテゴリ]も選択しなければなりません。
- 信用
- 雇用
- 住宅
- 社会問題
- 選挙などの政治関連
必要に応じて[その他オプション]を編集したらキャンペーンの設定の完了です。
手順2:ターゲティング方法や配置など広告セットを作成する
続いて、ターゲティング方法や配置などの広告セットを作成します。なお、こちらは購入タイプで[オークション]を選んだ場合の手順です。
テキストボックスに広告セット名を入力します。
次に[オーディエンス]を設定してください。主な編集箇所は以下のとおりです。
- 地域
- 年齢
- 性別
- 詳細ターゲティング設定
- 言語
設定が完了したら、動画広告の配置を選択しましょう。[Advantage + 配置]を選ぶと、Instagram側が最適と判断した場所に掲載されます。
さらに、[最適化と配信]の[編集]から優先して得たい結果を選択しましょう。
手順3:広告を設定・公開する
ここまでの作業を終えたら、広告の設定に進みましょう。ここでは、さまざまな広告のフォーマットが選択できます。動画広告を作成するのであれば、[シングル画像または動画]を選んでください。動画はInstagramアカウントからの選択も可能です。
ひととおり作業が完了したら、[公開]をタップしましょう。
再度確認したい場合は、下書き保存もできます。作成した広告は、「キャンペーンの目的」と「広告セット」で選んだ内容も反映されているかチェックしてください。
Instagram動画広告で成果を出すための3つのポイント
Instagram動画広告を配信するからには、目標を達成できるよう工夫しなければなりません。ここでは、インスタグラムの動画広告で成果を出すためにおさえておきたいポイントを広告づくりで成功するポイントをまとめます。
1.冒頭3秒間のクリエイティブは特に注力する
Instagramの場合、動画広告は冒頭しか視聴されないケースが多々あります。開始3秒で面白くないと認識されたら、スキップされやすくなるため注意が必要です。ユーザーの離脱を招かないためにも、冒頭部分でアピールする内容をしっかりと考えましょう。
また、動画広告は必ずしも音声付きで再生されるとは限りません。イヤホンを持ち歩かず、電車やバスで視聴する人も少なからずいるからです。消音でも楽しめるように作成しなければなりません。
2.フォーマットを遵守したクリエイティブを制作する
Instagram動画広告は、上述した各フォーマットに合わせてサイズや秒数を設定してください。出稿する動画広告も、これらの内容に沿ってつくる必要があります。
特に、アスペクト(画像の縦横のサイズ)比を合わせないと歪みが生じたり見切れたりする可能性があり、離脱の原因になりかねません。
また、出稿できる再生時間もしっかり確認しましょう。ストーリーズ広告の場合、出稿自体は60秒までの動画を扱えます。しかし、10秒以内しか表示されず、[続きを見る]をタップしなければ残りが再生されません。
3.ストーリーズ広告の場合はテキスト位置も配慮する
ストーリーズ広告を作成するときは、テキスト(文字)の位置への配慮も重要です。ストーリーズのデザインは以下のように設定されています。
- 上部14%(250ピクセル)…アカウントのアイコンや名前を表示
- 下部14%(250ピクセル)…さまざまなボタンを表示
動画広告内でテキストを設定する際には、これらの部分への配置を避けましょう。Instagram側で表示されるアイコンやボタンに隠れてしまうからです。テキストはなるべく中央部分に設定してください。
Instagram動画広告の成功事例3選
では、Instagram動画広告の効果を説明するため、これまでの成功事例を紹介します。下記3つの企業の事例を見て、どのような工夫をしたのかをチェックしましょう。
- Krispy Kreme Australia
- Plantln
- Sephora
自社でInstagram動画広告を作成する際の参考にしてみてください。
1.ストーリーズ動画広告で売上30%UP:ドーナツ小売店のKrispy Kreme Australia
まずは、オーストラリアのドーナツ小売店である「Krispy Kreme Australia」について紹介します。こちらの企業では、プロフィールを変更するとともにストーリーズ広告で自作ゲームを紹介しました。ひと昔前の時代を彷彿とさせるような、4種類の携帯ゲームを作ります。
これらをストーリーズ広告でも直接遊べるようにし、当該企業のプロフィールで他の種類のゲームも選べるような工夫をします。2019年4月から5月の5週間で行われ、売上は前年比で30%アップを達成しました。他にも、モバイル利用者のWebサイト流入数を51%に伸ばしています。
参考:Krispy Kreme Australia:Instagram広告の成功事例
2.リール動画広告で費用対効果UP:ガーデニングアプリ「PlantIn」
続いて紹介する企業は、ガーデニングアプリをリリースした「Plantln」です。ガーデニングが趣味のユーザーに対して、専門家のアドバイスを提供します。当該企業はダイナミックな動画広告を作成するため、Instagramのリールに着目しました。
動画広告では、音楽やエフェクト(画像や音声の加工処理)を少し変えている3つのタイプを用意します。2021年11月18日から26日にかけて配信を行った結果、CPMとCPIがそれぞれ26%および31%に低下しました。リール動画広告で低予算化を実現できた事例です。
3.通常の動画キャンペーンとリール動画広告を比較検証:美容品販売会社「Sephora」
Sephoraは、1969年にフランスで創業した企業です。数々の美容品を手がけ、現在ではサウジアラビアやアラブ首長国連邦などの中東に進出しています。Sephoraでは、通常の動画キャンペーンとリール動画広告の2つの効果を比較しました。
当該企業の目標は、18〜24歳を中心にリーチしてもらうことでした。リール動画広告を追加した結果、次のような記録を達成します(2021年8月9日から31日)。
好感度が80%上昇 18〜24歳の認知度が6ポイント上昇 好感度を上げる際の単価が65%低下
このように、リール動画広告がマーケティングで役立つことを証明しました。
参考:Sephora UAE: Instagram広告の成功事例
Instagram動画広告を利用して、コンバージョン率が高まる広告運用をしよう
Instagramは、世界中の人々から高い人気を誇るSNSです。動画広告を上手く生かせば、自社のビジネスでも良い影響を与える可能性があります。
ストーリーズやリールなど、あらゆる機能にも注目し、ユーザーから高い反応が得られるよう制作に励みましょう。