副業やパラレルワークが推奨され始めた今、終身雇用制にこだわらず、さまざまな企業を歩き渡る人々が増えています。日本国内でも人材の流動性が増した今、ビジネス特化型SNSのLinkedInの注目も高まりつつあります。
LinkedInは世界で約7億5千万人、日本では2019年時点で約200万人が利用する世界最大級のビジネスSNSです。多くの優秀な人材や経営幹部が利用していることから、いくつかの国内企業はLinkedIn上に「会社ページ」を作成し、潜在顧客や優秀な人材の発掘を行っています。
しかし、単に会社ページを作成するだけではすぐに採用には結びつくことはありません。ターゲットへ向けたメッセージの作成や画像の多様による視覚的効果への期待、社員ブログの投稿による情報提供など、様々な工夫をこらす必要があるでしょう。
本記事ではLinkedInにおける会社ページのメリットや作成手順、成果を出すポイントを紹介します。
ビジネスとマーケティングのLinkedIn活用ガイド
LinkedInの会社ページの作成方法、会社ページの検索順位を向上させる方法、LinkedInの分析機能などについて詳しくご紹介します。
- 効果的な会社ページを作成するチェックリスト
- 会社ページの検索順位を最適化する方法
- 広告を最大限に活用するためのテクニック
- LinkedInの分析機能の概要
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会社ページを運用するメリットは?
優秀な人材や潜在顧客を獲得するのは、容易ではありません。しかし、LinkedInで会社ページを作成し運用すれば、さまざまなメリットを得られます。ここでは、LinkedInで会社ページを運用する3つのメリットについて紹介します。
企業・ブランドの認知拡大
LinkedInで会社ページを作成し運用すると、社員と会社ページを紐づけられます。
たとえば、有益な情報を発信する個人のもとには、職種の垣根を超えてあらゆる業種の人々が集まります。社員たる個人のプロフィールや投稿に会社ページが紐づけられていると、企業の存在に気づく人も少なくありません。
個人のネットワークが大きな力を持つLinkedInでは、社員の活動が企業の宣伝になり、企業やブランドの認知拡大へ寄与します。
製品・サービスのプロモーション
IPAのレポートによれば、短期間の施策よりも長期間に渡るブランドプロモーションの方が、大きな売り上げ増加に期待できると判明しています。このレポートを踏まえると、LinkedInで企業の存在感を高めることが潜在顧客の獲得の期待につながります。
また、LinkedInはビジネスに特化したプラットフォームです。登録 ユーザーはキャリアアップや成長、自社の拡大などに興味を持ち、投稿や広告をじっくりと読む傾向にあります。 広告や投稿が膨大な情報に埋もれることなく、詳細まで見てもらえるからこそ、プロモーションの場にも適しています。
採用ブランディング
LinkedInに会社ページの運用はすることで、社員のつながりから優秀な人材採用をもたらすことがあります。
たとえば、社員の投稿内容に共感した優秀な転職者が、会社ページを通じて採用情報に応募する可能性は十分にあります。また、メンションされた社員や顧客の投稿、求職者にとって有益な情報を会社ページでシェアすることで、すでにフォロワーを応募へと誘導することも可能です。
他にも、求職者に直接スカウトをかけるダイレクトソーシングを行えます。 LinkedInのユーザープロフィールでは、職歴や資格、推薦文などを確認できます。さらに、求職者の投稿内容をさかのぼることで、パーソナリティを理解できるため、企業カルチャーに合った人物を見つけ出せます。
会社ページの構成要素
LinkedInの会社ページは、主に以下3つの要素で構成されます。
- 会社概要
- 求人情報
- カルチャー
それぞれの構成要素について解説します。
会社概要
会社概要(リンクはHubSpotの会社概要) は、企業について簡潔にまとめたページです。会社概要には、下記の項目を記入できます。
- 概要
- ウェブサイト
- 業種
- 会社規模
- 本社の位置
- 企業タイプ
- 創立年
- 専門分野
- オフィス所在地
数ある項目の中でも、重要なのが「概要」です。 「概要」には、オーディエンスが企業情報を理解するために必要な情報を、全て提供する役割があります。「概要」内容について考える際は、下記の質問を自問自答しましょう。
- 何をしている会社ですか?
- どのようなサービスや製品を提供していますか?
- 会社の価値観について教えてください
- どのようなミッションのもとビジネスに取り組んでいますか?
- どこに拠点はありますか?
- 詳しい情報はどこで確認できますか?
求人情報
求人ページは、自社に興味を持ってくれた優秀な人材に応募してもらえるよう、具体的な求人内容を伝えるページです。求人ページでは、オーディエンスのプロフィールや職歴などにマッチした求人情報が掲載されます。
カルチャー
カルチャーは、会社のありのままの姿を伝えるページです。現代の採用活動では、企業カルチャーにフィットした人材を採用することが重要になっています。
人材サービス紹介会社ロバート・ウォルターズの調査によれば、企業カルチャーと合わなかったことが理由で退職した経験のあるプロフェッショナルは73%にも及びます。
カルチャーページでは、会社のフォトギャラリー、社員の声やブログなどを表示できます。 カルチャーページでありのままの姿を見せることで、企業カルチャーと求職者のミスマッチを防ぎながら、優秀な人材を獲得できるようになります。
会社ページの作り方
LinkedInにおける会社ページの作成手順は下記の通りです。
手順1.「会社ページを作成する」をクリック
手順2.会社規模と種類を選択
手順3.会社情報の入力
手順4.ページを完成させる
会社ページの作成手順を紹介します。
手順1.「会社ページを作成する」をクリック
LinkedInのホーム画面右上にある「その他」メニューを選択し、プルダウンメニューの最下部にある「会社ページを作成+」をクリックします。
手順2.会社規模と種類を選択
会社の規模と種類を選択します。会社ページを作成する場合、選択するのは「スモールビジネス」もしくは「中規模から大規模のビジネス」です。
手順3.会社情報の入力
会社名や業種などの基本的な会社情報として「ページのアイデンティティ」を記入します。全て記入する必要はありませんが、より詳細な情報をオーディエンスに与えるため、全ての項目を埋めることをおすすめします。
以下が、各項目の詳細です。
【名前】
会社の正式名称を記入します。
ここに記入した表記をもとに、検索候補や検索結果が表示されます。
【LinkedInの公開URL】
LinkedInの公開URLとは、会社ページ検索の際に使用されるURLです。
「linkedin.com/company/[会社名]」との構造となるため、 会社名をアルファベット表記したものを用いましょう。
【ウェブサイト】
企業の公式ウェブサイトのURLを記入します。URLを記入しておくと会社に興味を持ったオーディエンスが、公式ウェブサイトを閲覧する確率が上がります。
【会社詳細】
業種、会社規模、会社タイプをプルオーバーメニューに従って入力します。
【ロゴ】
検索画面や会社ページでは会社名と共にロゴが表示されます。ロゴは企業の顔です。オーディエンスが企業を認識できるよう、公式ロゴを設定しましょう。推奨されるロゴ写真のスペックは下記の通りです。
- 300×300px
- PNGフォーマット
- 正方形のレイアウト
【タグライン】
タグラインとは、会社名の下に表示される一行の情報で、最大120文字入力できます。事業内容やミッションなどを記載しましょう。タグラインは後日変更可能です。
手順4.ページを完成させる
会社情報の記入を終えると、会社ページのダッシュボードへ移ります。最後に以下の項目を設定して、会社ページの作成が完了します。
【概要】
企業の概要やサービスの説明、ミッションなどを記入します。 概要覧にキーワードや企業に関連する単語を混ぜると、検索結果画面に表示されやすくなります。 上限文字数は2,000文字です。ターゲットにとって魅力的な企業であることが伝わるよう、工夫してください。
日本語以外の言語も記載できるので、海外企業や外国人の求職者などにアプローチしたい場合は、他言語での記入も行いましょう。
【所在地】
オフィスの所在地を記入します。勤務先を重視する求職者は多いため、優秀な人材を逃さないためにも、全てのオフィスの所在地を記入しましょう。
【カバー写真】
カバー写真もまた、オーディエンスが会社ページを認識する要素です。横に長い画像使用が一般的ですが、 実施中のキャンペーンや広告画像を設定しても構いません。LinkedInで 推奨されるカバー写真のスペックは下記の通りです。
- 1128×191px
- PNG または JPEGフォーマット
- 長方形レイアウト
【カスタムボタン】
カスタムボタンは会社名の下に表示されます。以下5種類のカスタムボタンの設置が可能です。
- お問い合わせ
- ウェブサイトに移動
- 登録
- 詳細情報
- 購読
「ボタン名」ドロップダウンをクリックして、メニューからいずれかのオプションを選択し、URLを入力して設定します。
たとえば、LinkedInで採用活動を行うのなら、採用ホームページをリンクさせた「ウェブサイトに移動」ボタンを設置するといいでしょう。カスタムボタンを設置することで、オーディエンスのアクションが活発化します。
無料プランと有料プランの違い
LinkedInの会社ページは無料で作成できます。しかしながら、LinkedIn上で本格的な採用活動を行うのであれば、有料プランへ登録しましょう。
有料プランに登録すると、会社ページに「カルチャー」や「求人」タブを追加でき、以下のメリットを得られます。
- 求人情報の詳細を掲載できる
- 企業カルチャーを伝えられる
- 求職者はLinkedIn上で直接応募ができる
- 求職者に合わせた求人情報を表示できる
有料プランに登録することで、より多くの優秀な人材を応募へと誘導しながら、求職者と企業カルチャーとのミスマッチが少ない採用活動が実現できます。
会社ページ作成のポイント
会社ページの作成自体は簡単ですが、実際に運用して会社ページに人を集めるとなると難易度が上がります。次に紹介する3つのポイントを実践し、優秀な人材や潜在顧客を集めましょう。3つのポイントに共通することは、ターゲットが求める情報の提供です。自社の魅力が伝わる有益情報を積極的に出してください。
- ターゲットに伝わるメッセージ
- 社員や製品などの動画・画像の掲載
- 社員のブログ投稿
1. ターゲットに伝わるメッセージ
LinkedInの会社ページを採用やマーケティングなどの業務に活用するにあたり、具体的な目標ならびにターゲットを設定しましょうす。LinkedInには日本人ユーザーだけでも約200万人いるため、具体的なターゲットを定めて施策を行いましょう。
目標やターゲットを設定したら、会社を選ぶメリットを明示的に伝えることが重要です。 たとえば、成長意欲の高い外国人を採用したいなら、カルチャーページで当該言語を交えて外国人社員の声を紹介しつつ、自由に挑戦できる企業カルチャーであることを伝えましょう。
重要なことは会社やサービスを選んだ先に、どのようなメリットがあるのかをターゲットに伝えることです。
2. 社員や製品などの動画・画像の掲載
テキストで表現できることは限られています。より具体的なイメージをターゲットに伝えるためには、動画や画像が効果的に用いてください。
HubSpotの場合、カルチャータブに会社概要を説明した動画を掲載しています。動画内では、実際に働く社員やオフィスの様子など、テキストでは伝えられない様子を映しています。
ターゲットのエンゲージメント率を高めるためにも、会社ページには積極的に画像や動画を活用しましょう。
3. 社員のブログ投稿
情報や広告にあふれた現代では、人々は個人の声を好む傾向にあります。PR会社Edelmanの調査によれば、71%の人がCEOよりも社員の声の方が信頼できると回答しています。
求職者への信頼度を高めるためには、実際に勤務している社員ブログを活用し、会社に関する投稿をしてもらいましょう。
またLinkedInの調査では、会社ページよりも社員の方が、約10倍もの1次コンタクトのつながりを持っていると判明しています。1次コンタクトとして直接つながっているユーザーはLinkedIn上でメッセージのやり取りを行えます。このつながりを利用して、ブログを執筆した社員にシェアしてもらい潜在顧客や優秀な人材へ向けて効率的に情報を届けましょう。
ターゲットに対しこちらから先に価値を提供し、自社を認識してもらおう
効率的な採用広報や営業、マーケティング方法を探しているのなら、LinkedIn上で会社ページを作成し運用に注力しましょう。会社ページを活用すると企業の存在感や信頼性が高まり、見込み客の創出や優秀な人材の採用につながります。
会社ページの作成自体は簡単です。 大切なのは、あなたの会社ページに訪れる方がどのような情報を欲しているのかを考え、ページや投稿の最適化を行うことです。 たとえばそれは、潜在顧客に向けた製品写真や使い方の動画の掲載や、求職者に向けた会社の雰囲気を表す社員ブログかもしれません。
会社ページで成果を出すためにも、ターゲットが求めるであろう情報を積極的に発信していきましょう。