1991年に世界初のウェブサイトが公開されてから、ウェブデザインは大きく進化してきました。

世界初のウェブサイトはテキストのみで構成されていましたが、これが後にデジタル革命となる技術発展の第一歩となりました。また、「工事中」のGIFや目がチカチカするような背景カラーを思い出すと、ウェブデザインの目覚ましい進歩をありがたく感じますが、過去のウェブデザインの中にも敬意に値する作品がいくつかあります。

誕生から現在まで、それぞれの時代でウェブサイトがどのようなものだったか興味はありませんか?特定の企業の過去のウェブサイトを見てみたければ、そのドメイン名を Wayback Machine(英語)に入力してみてください。好きな日付を入力すると、当時のウェブサイトのキャッシュ画像をみることができます。

以下に私のお気に入りをいくつかまとめました。過去20年間の歴史から掘り出してきた興味深いウェブサイトの数々と、ウェブデザインの進歩について検証していきます。

1990年代初期:古代

1990年代後半になるまで、インターネットの接続に「高速」という言葉は存在しませんでした。ダイヤルアップモデムしか選択肢がなかったのです。そのため、この時代に作られたウェブサイトは最適とは言い難い通信速度に対応したものでなければなりませんでした。コンテンツはほぼテキストのみで構成され、現代では当たり前の「デザインレイアウト」も存在していませんでした。

それ以降に登場したHTMLではより複雑なデザインが可能になりましたが、それでもまだ、タグやヘッダー、パラグラフ、リンクを中心とした非常に基本的なものに限られていました。タイポグラフィや画像、ナビゲーションといった視覚的要素は、まだそれほど遠くない未来の話です。

世界初のウェブサイト

21世紀に役立つポイント:

初期のウェブサイトは純粋に情報を提供する機能しか果たしていませんでしたが、この「古代」に使われていたデザイン要素の中にも、現代に応用できるものがいくつかあります。この時代のウェブページは非常に軽量で、現代人がよく覚えている低速なインターネット接続に対して最適化されていました。こういったデザイン面での工夫は、ユーザー体験を考慮して考えられたものです。これは通信速度が格段に速くなった現代でも、たまに忘れられてしまうポイントでもあります。

確かに、現在のインターネットは様々な種類のメディアを組み込んだウェブサイトに対応していますが、それでも限界は存在します。大きなメディアファイルや重いグラフィックデザインなどを用いると読み込み速度が予想よりも遅くなり、バウンス率が高くなる可能性があります。複雑なデザインを検討する際はユーザーの使い勝手を考慮し、KISSの法則(Keep It Simple, Stupid)、つまりシンプルにわかりやすくをモットーにしましょう。

1990年代中期:中世

ウェブデザイン業界における中世は、ページビルダーやスペーサーGIFに悩まされた時代でした。90年代中期にさしかかるころには、構造の点でも外観の点でもウェブデザインに進化が見られました。デザイナーたちは表形式のレイアウトを使ってコンテンツを整理するようになり、柔軟性と創造性が向上しました。この時代のウェブサイトもまだテキストが中心でしたが、テキストを段や列に分けたり、ナビゲーション機能を持たせたりすることが可能になっています。

また、90年代中期はグラフィックデザインの人気が急速に高まった時代でもあります。ページへのアクセスを記録するヒット数カウンターやアニメーションテキスト、ダンスのGIFなど、この時代を代表するグラフィック要素が多く生まれました。

1990年代のAppleのウェブページ

21世紀に役立つポイント:

現在では、表形式のウェブサイトデザインが最適な選択肢とは言えません。マークアップの多さやページの読み込みにかかる時間、視覚的な乱れなど、この手法には多くの落とし穴があるからです。しかし表形式の登場は、ウェブデザインの進化において重要なターニングポイントとなりました。ページ構造を重視する業界全体の流れを生むきっかけとなったのです。様々な要素をウェブページのあちこちに配置することが可能になったことで、デザイナーたちはコンテンツをユーザーに提示する最適なレイアウトを追求するようになりました。

ページ構造がもつ重要性は現在でも変わらず、特にナビゲーションやコンテンツ、CTA、信頼性シグナルといった面では必要不可欠です。こういった要素の配置によって、ユーザーがウェブサイトをどのように体験し、そのコンテンツと関わるかが決まります。ウェブデザインの中世でこのような条件が最前線だったとは言えないかもしれませんが、現代において重要な条件であることは確かです。

 

1990年代後期:ルネッサンス

ルネッサンス。再生。何度も脱皮を繰り返してきたウェブデザイン業界ですが、最初の脱皮が起こったのはFlashが市場に導入された90年代後期です。1996年に開発され、その数年後に人気に火がついたFlash は、基本的なHTMLでは不可能だったデザインの選択肢を大きく広げました。バーチャルグラフィックスとインタラクションの融合です。

中世と同じデザイン要素の多くが引き続き使われていましたが、こういった要素は色を切り替えるナビゲーションやタイル型の背景画像、ネオンカラー、3Dボタン、人気を博したスプラッシュページをはじめとする新しい機能によって改良され、ビジター中心主義のデザインの幕開けとなりました。構造やナビゲーションが重要な条件となり、外観の美しさとユーザビリティに注目が集まるようになったのです。

Flashデザイン要素を取り入れたGabocorpの過去のウェブページ

21世紀に役立つポイント:

FlashがSEO(検索エンジン最適化)における史上最悪の罪として名指しされてきたことを踏まえて、この時代はやってはいけないことの例として扱うことにしましょう。マルチメディアコンテンツの増加は訪問者を引きつけることを目的としたものでしたが、おそらく逆効果だったのではないでしょうか。現在のウェブサイトでよく見られるFlashの誤用のひとつが、スクリプトの誤りによるものです。サイト全体でこの間違いをおかしてしまうとSEOにとっては深刻な悪影響となってしまうため、避けた方が安全です。ですが、どうしてもFlashを使いたいという場合、正しく使えば問題はありません。JavaScriptやHTML5など、同じような効果が得られる代替アプリケーションを用いるとなお良いでしょう。

2000年代:啓蒙時代

2000年代初期にはCSSへの対応が普及したことでコンテンツとデザインの分離が可能になり、ウェブデザイナーとコンテンツディベロッパーはさらに大きな創造的自由を手に入れることができました。コンテンツをデザインから開発することも、その逆もできるようになったのです。これによりコードが減ってよりシンプルになったため、ウェブサイトはメンテナンスしやすくなりました。またdivタグはお互いから自立しているため、より柔軟になり、読み込み時間も短縮されました。

また、この時代には色に対する理解が深まったことで空白スペースが増え、ネオンのようなけばけばしい色はあまり使われなくなりました。アイコンにはテキストだけでなくリンクがつけられるようになり、解像度やピクシレーションの重要度が増し、コンテンツの配置に対する関心も高まっていきました。全体的に見て、2000年代はユーザビリティが最も重要なデザイン要素として扱われるようになった時代でした。

Polaroidの古いウェブページ

21世紀に役立つポイント:

ウェブサイトを見る人のほとんどが、全体にさっと目を通して欲しい情報がある場所を探します。よって、このプロセスを簡単にしてくれるウェブサイトはユーザーから大きなポイントを獲得することができます。経験豊富なウェブデザイナーは、ユーザーの大半がウェブサイトの内容をすべて読まないことを認識しており、読者がどのように情報を取り入れるのかも知っています。

よって、直感的にわかりやすい情報配置や視覚的に強調されたリンク、シンプルなナビゲーションなどは、現在のウェブサイトで抑えておきたいベストプラクティスの中に含まれています。常にユーザビリティに配慮してデザインしましょう。

2000年代中期:産業革命

ウェブデザイン界の産業革命は、Web 2.0の誕生と共にはじまりました。現在のウェブサイトに向けて技術が大きく前進しはじめたのもこの時期です。マルチメディアアプリケーションの成長とインタラクションコンテンツの登場、そしてソーシャルウェブの台頭がこの時代の主な特徴です。

さらに、このような特徴はウェブデザインの慣行を決定づける主な要因となりました。デザイン面では、色分布の改善やアイコンのさらなる普及、そしてタイポグラフィへに対する意識の高まりといった変化が起こっています。

さらに重要なのは、Flashを別にすれば、デザインがコンテンツ重視に、そしてコンテンツがSEO重視に変化したことです。今やデザインの中心にあるのはユーザーとなり、製品を売り込むこと、少なくともそれを前面に押し出すことは、ウェブサイトの二次的機能へと降格されました。

lululemonの過去のウェブページ

21世紀に役立つポイント:

前に触れたように、Web 2.0の進化によってSEOがデザインを決めるうえで重要な要素として注目されるようになりました。当然ながらこのようなテクニックは時代に合わせて変化してきましたが、ウェブサイトをSEOの観点から考えるプロセスは現在でもウェブデザインの中核を成しています。

SEOはコンテンツを求め、この時代のウェブデザインでは主にコンテンツが焦点となりました。そしてキーワードの最適化やインバウンドリンク、アウトバウンドリンク、オーサリング、タグ付け、RSSをはじめとするシンジケーションテクノロジーは自然にデザイン要素へと変化したのです。すぐにこのようなテクニックを悪用するリンクスパムやキーワードジャミングといった不正行為が登場しますが、現在では効果はなく、大部分が姿を消しました (と願っています)。

現在のウェブデザイン

世界初のウェブサイトが公開されてから20年がたった今、ウェブデザインは優れたマーケティング戦略に欠かせない存在として確固とした地位を築いています。

デザインの傾向としては、ミニマリズムやフラットなグラフィックス、背景に溶け込むタイポグラフィ、大きな背景画像などがあげられます。また、ユーザーエクスペリエンスが重要視されるようになり、無限スクロールやシングルページといったデザインが台頭してきました。

OkidoAppのウェブサイト

また、モバイルウェブの爆発的な急増もウェブサイト開発において考慮しなければならない重要な要素となりました。デジタル革命によってレスポンシブデザインの人気が高まり、ウェブサイトの構造を見直す必要性が出てきたのです。これはウェブデザインにおいてまだ発展が見込める分野であり、今後数年間でどのような進化を遂げるのか楽しみにしています。

この時代に起こった変化はどれも、あるひとつの要因によって影響を受けています。それは、コンテンツです。ここにあげられたすべてのデザイン要素は、ユーザーが最も関心のあるコンテンツを効率的かつ効果的に提供できるように変化してきました。現在のウェブデザインを定義するのは、アクセシビリティ、適応性、ユーザビリティの3つの要素です。

ウェブデザインがこれまでどのように変化してきたのかを振り返った今、20年後の姿を想像するとわくわくします。

Myia KellyはSEOとインバウンドマーケティングを行うカナダ企業Powered by Search(パワード・バイ・サーチ)でマーケティングアシスタントを務めています。専門はコンテンツとメディアマーケティング。

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元記事発行日: 2018/12/24 19:00:00, 最終更新日: 12月 25 2018