企業の社会的責任に焦点を当てた「コーズ マーケティング 」とは?事例をもとに解説

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Kayla Carmicheal
Kayla Carmicheal

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実は私、特定の金曜日に「あること」を決まってしています。毎回その日が来ると、1週間頑張った自分へのご褒美として、必ず近所のStarbucksでコーヒーを注文することにしているのです。今日もいつものように、Starbucksのウェブサイトで、気になる新商品がないかメニューを隅々までチェックしていました。

誰もが社会に貢献したくなるコーズ マーケティング キャンペーン事例10選

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その時、思いがけない嬉しい発見をしました。ウェブサイトを見て回っているときに「Education(教育)」というリンクに気付いたのです。このリンクをクリックすると、Starbucks College Achievement Plan(従業員の学位取得支援制度)のページが表示されました。

この取り組みはアリゾナ州立大学と提携して実施されている制度で、プログラムへの申し込み資格のあるStarbucksの従業員が、学費の心配をせずに大学に通えるよう支援するものです。対象となる従業員は、100種類以上の学士課程プログラムの中から受講するものを選択し、それぞれの都合に合わせて履修計画を立てることができます。

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    Starbucksがこのキャンペーンを始めたのは、大学への進学を後押しするためです。経済的責任を果たしながら、学業に専念しなければならないという負担がかかれば、学位取得は困難でしょう。大学卒業を妨げている問題を少しでも軽減できるように、Starbucksはこの制度を2018年に開始し、学生間の経済的な不平等という問題に対する認知度を高めるために、自社の立場を利用して従業員を支援することにしました。

    Starbucksが教育の平等化に貢献していることを知り、その社会的意義に共感を覚えた私は、これまで以上に同社を支援したい気持ちになりました。私の寄付金が大学の授業料に使われると分かったので、もともと購入するつもりだったサイズより大きなサイズのコーヒーを喜んで注文することにしました。

    このストーリーは、企業の社会的責任に焦点を当てたマーケティング戦略である「コーズ マーケティング キャンペーン」の数ある成功例の1つです。

    この記事ではコーズ マーケティング キャンペーンの実例の中から、特に効果的な10社の事例をご紹介します。自社の立場を生かして解決したい社会問題がある場合には、コーズマーケティングのスタート地点として、ここで取り上げるアイデアをぜひご活用ください。

    皆さまも一度はどこかで、お気に入りのブランドが実施しているコーズ マーケティング キャンペーンに参加したことがあるのではないでしょうか。例えば、製品やサービスの購入時にある基金へ寄付をしたことがあれば、すでにコーズ マーケティング キャンペーンに貢献したことになります。

    コーズマーケティングの代表的な例として、企業が非営利団体と協力して実施するキャンペーンが挙げられます。こうしたキャンペーンのメリットは、企業と非営利団体の両者が互いのオーディエンスへリーチを拡大できるという点です。また、企業が社会的課題を単独で選択したり構想したりする場合もあります。

    コーズマーケティングは自社のブランドイメージを高めたい企業にとって非常に効果的です。私の場合、1人の消費者として言うと、社会的な責任を果たしていることが明確に伝わってくるブランドにいつも惹かれます。例えば、ある企業の社会問題への取り組みに関する投稿を見つけたときは、その企業の概要から製品やサービスなどについてもっと知りたくなるだけでなく、キャンペーンを金銭的に支援したくなります。

    リピート顧客に関して言えば、共感を抱ける社会的課題への責任を貫いている企業に対しては、特に顧客ロイヤルティーが高まるでしょう。私のお気に入りのブランドがサステナビリティー(地球環境の保全)への取り組みを発表した時は、こうした課題に対して行動を起こしているブランドを支持できることを誇りに思いました。

    コーズマーケティングは地域のコミュニティーにもメリットをもたらします。社会問題に対する認識が高まることで、改善の道が開かれるからです。キャンペーンを通じて社会的大義に支持が集まることにより、社会問題への対応が大きく前進します。

    皆さまの会社で社会的課題への取り組みを検討中で、どこから始めればよいか分からない場合には、次の10社の例を参考にしてください。
     

    コーズ マーケティング キャンペーン事例10選

    当然のことですが、世の中の全ての企業が従業員の学位取得を支援できるわけではありません。そこで今回の記事では、自社のオーディエンスが参加したくなるような、さまざまなコーズ マーケティング キャンペーンの事例とアプローチをご紹介します。

    以降では、コミュニティーを巻き込む方法や製品マーケティングのアイデアを見ていきます。まずは、私の大好きなアイスクリームキャンペーンの事例から始めましょう。
     

    1. Ben & Jerry's:Democracy Is In Your Hands(民主主義の行方は自分で決めよう)

    2016年、アイスクリーム会社のBen & Jerry'sは、民主主義を推進するために「Empower Mint(エンパワーミント)」という新フレーバーを発売しました。「Empower Mint」は、自己決定力や影響力の向上を意味する「Empowement(エンパワーメント)」の「メント」の部分を、発音が似ている「ミント」というフレーバー名に置き換えたネーミングです。 このフレーバーと相まって登場したのが「Democracy Is In Your Hands」というキャンペーンです。このキャンペーンは、厳格な有権者ID法など、低所得層の投票を阻む政治体制に対して、アイスクリーム愛好者たちの意識向上を図ることを目的に実施されました。

    「Empower Mint」はチョコレートファッジ入りのミント風味のアイスクリームで、「投票への参加を通じて、全ての人にエンパワーメントの味を知ってもらおう」という同社の社会的信念が反映されています。誰もが等しく民主主義を享受する権利があることを強調するために、このキャンペーンの動画では、投票時に低所得層が直面している不当な差別について取り上げられています。

    この企画は1回限りのキャンペーンではありません。「Empower Mint」フレーバーのアイスクリームは期間限定で終了しましたが、Ben & Jerry'sは選挙期間を通じてキャンペーンメッセージを発信し続けています。現在このキャンペーンページには、投票の抑制に関する最近の記事から、選挙の投票方法や場所についての案内などが掲載されています。

    Ben & Jerry'sはアイスクリームを製造する会社ですが、マーケティング担当者は自社の信念を用いてキャンペーンの基盤を構築しています。民主主義を強く支持する同社は、新製品を発売するにあたって、その信念を表すメッセージを打ち出すことにしました。

    ポイント:新しい製品をリリースする際には、自社が重要と考える社会問題に関連付けることができないか考えてみましょう。例えば、乳がん早期発見強化月間に(シンボルマークのピンクリボンを象徴する)ピンクの靴下を発売したり、LGBTQIA+の権利擁護の啓発を呼びかけるプライド月間には、アプリのデザインを変更したりするといったアイデアなどが挙げられます。製品の発売と社会的主張を関連付けることで、重要な社会問題への関心を高めると同時に、自社製品の購入を通じて社会に貢献するよう顧客に働きかけることができるでしょう。
     

    2. Bandcamp:Bandcamp Friday(バンドキャンプ フライデー)

    Bandcampは、ミュージシャンが自作の楽曲をアップロードし、ファンに直接販売できるウェブサイトです。同プラットフォームでは、音楽レーベルが専用ページを運営し、所属アーティストの作品をオンライン販売することも可能です。最近こうした音楽配信サービスに関連して話題になったのが、多くのプラットフォームでストリーミング配信される楽曲に対してアーティストが受け取るロイヤリティー(著作権使用料)が極めて少ないという問題です。

    2020年、Bandcampはこの問題に対して行動を起こすことを決断します。インディーズの音楽活動を支援するために、ある特定の日に自社の販売手数料を免除し、アーティストに収益を還元することにしました。このキャンペーンによって、アーティストは自身の作品に対して、以前より多くの対価を受け取れるようになりました。

    「Bandcamp Friday」以外の日については、デジタル音源に対して15%、商品に対して10%の手数料がかかります(このウェブサイトではアーティストの商品も販売されています)。この2種類の手数料を合わせた合計25%の手数料を還元することで、Bandcampは自社プラットフォームを使用するアーティストへの支援の意を示したのです。

    このキャンペーンの初日に音楽ファンが使った金額は合計400万ドルを超えました。これは何と、普段の金曜日の15倍の金額に相当するものであったとBandcampは発表しています。

    ライブツアーを行えないミュージシャンが収入を得るのは簡単なことではありません。このキャンペーンでは、大手レーベルに所属しないインディーズ系ミュージシャンの負担を少しでも軽減すると同時に、同プラットフォームとそのユーザーの関係強化を目指すBandcampの意気込みが強く現れています。

    ポイント:顧客に直接影響を与えるような社会貢献の意義を模索しましょう。Bandcampは、ライブツアーの資金がないバンドやアーティストの存在に着目し、その支援策を見つけました。対象ユーザーの日常生活に関連した社会問題を支援したい場合は、キャンペーンを通じてどのように問題解決に貢献できるかを考えてみてください。
     

    3. Billie:Project Body Hair(美の意識を変えよう)

    Billieは安全カミソリをはじめとする、女性用のケア製品を販売する会社です。2019年に同社は、女性の体毛を肯定的なイメージとして認知してもらうことを目的とした「Project Body Hair」というキャンペーンを実施しました。このキャンペーンには、従来の女性用カミソリのブランドが体毛を(実際はあるにもかかわらず)隠してきたことを指摘し、女性の美の基準について対話を広げたいという意思が込められています。

    同社のキャンペーン動画では体毛をあえて映すことで、「ムダ毛は見せるものでない」という固定観念に一石を投じました。Project Body Hairの要旨はリンク先の動画でご覧いただけます。カミソリのブランドとして女性の体毛を実際に見せた広告は、これが初めてのことでした。まず何よりも先に、このような気づきを促す会話を広めることが必要です。そこでBillieのマーケティング担当者は、#projectbodyhairというハッシュタグチャレンジを通じて、メッセージを拡散しました。

    Billieは自社のウェブサイトを通じて、このハッシュタグを付けて体毛処理をしていない女性の写真を投稿するように呼びかけ、インターネットでの拡散を求めました(複数のソーシャル メディアを使ってブランド認知度を高める優れた戦略です)。このハッシュタグチャレンジの傍らでは、同ウェブサイト上で体毛処理用のカミソリを販売していることが堂々と宣伝されています。また、このキャンペーンには、ピンク税の廃止という、Billieのもう1つの信念が込められています。

    女性を賛美し、非現実的な美の基準に対して問題を提起し、その意識を変えようとする行動は、Billie製品の購買層に対して、同社のミッションがカミソリを販売する以上のものであることを示しています。重要な社会的課題について開かれた議論を始めることによって、このブランドを支持すべき別の理由を顧客に伝えているわけです。

    ポイント:キャンペーン用にハッシュタグを作成しましょう。ハッシュタグの使用頻度を増やし、地域のコミュニティーで拡散されるようにすることで、有望なリードへハッシュタグが届く可能性が高くなるはずです。ハッシュタグを使って、自社と同じ社会問題に関心を持っている人々に向けてブランドが行っている取り組みを伝え、その社会的大義を支援していることを示しましょう。
     

    4. The Body Shop:Time To Care(ケアを広めよう)

    2020年、美と健康を後押しする企業であるThe Body Shopでは、日々奮闘を続ける医療従事者に感謝の意を表したいと考えました。そこで同社の意思決定者は、「Time To Care」というキャンペーンを開始することにしました。キャンペーンのテーマは、心と体の健康を促進し、社会全体に思いやりの輪を広げることです。

    The Body Shopの北米チームは保護施設や要介護者のコミュニティーと連携し、ボディーソープやハンドソープといった身体洗浄剤を寄付しました。セルフケアを習慣付けてもらうためのプロモーションを通じて、他者のケアに明け暮れる人々にも同様に「自己のケア」をしてほしいと考えたからです。

    次にキャンペーンの一環としてThe Body Shopが取り入れたのは、#TimeToCareハッシュタグです。Billieと同様にキャンペーン専用に作成されたこのハッシュタグは、健康的なセルフケアに役立つコンテンツを発信する目的に使用されています。さらに、このハッシュタグに関連付けてセルフケアのキットも景品として配布されています。

    The Body ShopのTime to Careキャンペーンに伴うInstagramへの投稿

    画像出典

    ハッシュタグは、企業の取り組みを広めると同時に、企業と顧客がつながっているという感覚を生み出す効果があります。The Body Shopのような世界中で事業を展開しているブランドは、各種ソーシャルメディアのアカウントとそれぞれに対応するハッシュタグを活用して、自社の取り組みへの支援方法に関する情報をコミュニティー全体に提供することが可能です。

    現在までに、The Body Shopは400万ドル以上に相当する自社製品を世界中に寄付しています。この取り組みにより、多くの医療従事者やボランティア、要介護者に対して、シャンプー、コンディショナー、シャワージェルの入ったセルフケアセットが提供されました。同ブランドは自社のグローバルな存在感と製品を効果的に活用し、社会の在り方を変えようとしています。

    ポイント:Ben & Jerry'sの例では、自社の製品を、一見何の関係もなさそうな社会問題と結び付ける方法をご紹介しました。一方この事例では、自社の製品やサービスと社会的な大義の連動が可能であることがお分かりいただけたでしょう。The Body Shopはウェルネス製品(心と体の健康ための製品)を販売し、こうした製品を必要としている人々に寄付しています。

    また、グローバルに事業を展開しているブランドの場合は、キャンペーン専用のハッシュタグを使用すると、全世界で実施中のキャンペーンの進捗状況を把握できます。「Time To Care」のような世界規模のキャンペーンでは、全てのオーディエンスに同じハッシュタグを使用してもらうことで、オーディエンス層を効率的に追跡できるようになりました。
     

    5. Beauty Bakerie:Juneteenth Festival(Juneteenthフェスティバル)

    2020年6月9日、ある化粧品ブランドが7月4日の米国独立記念日を祝う代わりに、「Juneteenth(ジューンティーンス)」を祝うことに決定したと発表しました。「Juneteenth」は6月19日("June Nineteenth")を縮めた表現で、1865年6月19日に米国テキサス州で発令された奴隷解放宣言を記念する米国の祝日であり、「自由の日」とも呼ばれます。

    この化粧品会社、Beauty Bakerieはアフリカ系アメリカ人が創設した企業で、Instagramへの投稿で次のように述べています。「大切なのは私たちみんなが、ある誰かの命の価値を無視するような社会の仕組みをなくすために、それぞれのできる範囲で、できる努力をしていくことです」

     
     
     
     
     
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    We’ve got door prizes, digital panels with guest speakers, flash sales, flash giveaways, education and MORE!Yes!You’ll hear from the Diaspora on coming TO America and the diaspora on LEAVING America for a better experience!You’ll hear a voice that society rarely hears from: a present black husband and father! •UPDATE•While we have PLENTY OF present black fathers in the states, it’s unfortunately a voice you rarely hear from due to how the media portrays black men unfairly.Stay tuned for a weekend if cel-LIBERATION replete with resources that will guide you on your path to true peace and freedom. 💚❤️🖤💛 #JuneteenthFestival ✊🏿✊🏾✊🏽✊🏼✊🏻

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    Beauty Bakerieでは公民権を重視しており、その意識向上を目的として、第1回目のJuneteenthフェスティバルを開催しました。このイベントではウェブサイト全体でセールや抽選会、ゲストスピーカーとのオンライン パネル ディスカッション、タイムセール、数量限定のサンプルの配布などが行われたほか、知識向上に役立つ資料が提供されました。

    イベントは週末を通して同社のウェブサイト上で開催され、社会的な解放、平和、自由の推進を訴えるものでした。また、同社がこの祝日を祝おうと決めた背景には、顧客を啓発するという意図も含まれています。

    ポイント:季節の行事や祝日などで、自社にとってプラスになるものがあるか検討しましょう。Beauty Bakerieは文化的に意義のある祝日を利用して、お祝いのイベントを主催しました。この戦略を通じて、売上の向上だけでなく、同社が重要と考える記念日について顧客に知識を深めてもらうことができました。

    コーズ マーケティング キャンペーンを促進するために、イベントの開催や祝日の活用を考えてみましょう(私の大好きなアイスクリーム界の2人組は、4月20日をお祝いしています)。
     

    6. Mythical Kitchen:Leftovers Challenge(残り物チャレンジ)

    YouTubeで活動するシェフのJosh Scherer氏は「Mythical Kitchen」というチャネルのホストとして、幸福感を感じられる料理のレシピを紹介しています。以前、同氏は「Binging with Babish」のAndrew Rea氏や「First We Feast」のAlvin Cailan氏など、さまざまな料理系チャネルのホストと連携して、#LeftoversChallengeというハッシュタグチャレンジを実施しました。

    キャンペーンの目的は、Restaurant Workers’ Community Foundation(レストラン業界で働く人のために、もっと快適な職場環境を構築することを目指す組織)を支援することにありました。同組織のチャリティー活動は、Mythical Kitchenチャネルでアピールしている独自の価値観、そして食品ロスを減らしてもっと多くの人々に食べ物を行き渡らせるという、共通の目標に向けて行われています。

    #LeftoversChallengeハッシュタグチャレンジでは、残り物を使った独創的なレシピのアイデアを、このハッシュタグを付けてソーシャルメディアに投稿するように呼びかけ、レシピの考案者には動画に寄付用のリンクを埋め込み、視聴者に寄付を募ってもらうという企画でした。

    主催者側では、集まった金額の50%を、職を失ったレストラン従業員の支援のために寄付しました。また、レストランの従業員向けの支援サービスを行っている非営利団体には25%が寄付され、残りの25%は経営難に苦しんでいるレストランへの無利子のローンとして使われました。

    最終的にキャンペーンを通じて集められた3万5,000ドル以上の資金は、宅配サービスを始める余裕がなかったり、スタッフを解雇する必要があったり、経営に行き詰まったりしているレストランへの支援に充てられました。Scherer氏が実施した大規模なコーズ マーケティング キャンペーンは、他の複数のチャンネルと連携することで大きな成果を収め、食品ロスに対する問題意識の向上につながりました。

    ポイント:コーズマーケティング戦略の推進に向けて、他の企業と連携しましょう。このようなマーケティングでは、リーチを拡大し、潜在的なリードを創出できるだけでなく、重要な社会的課題を取り巻く全ての関係者が一丸となって取り組むことができる、というメリットが得られるでしょう。
     

    7. モントレーベイ水族館:Act For the Ocean(海の世界をのぞいてみよう)

    2020年、米国カリフォルニア州にあるモントレーベイ水族館は、2か月間にわたる閉館を余儀なくされました。来館者がいなくても、スタッフは毎日、飼育されている魚や動物の世話をしなければなりません。しかし入館料収入がなくなったことで、水族館は経営難に陥りました。

    そこで同水族館のマーケティングチームは、来館しなくても水生生物の生態を体験してもらい、生物保全に対する関心を高めるために、YouTube戦略を強化し、多種多様な動画の投稿を始めました。子供向けの「あつまれ どうぶつの森」実況プレイ、「スタッフが水生生物について解説するライブ配信」、そして水中を漂うクラゲを見ながらマインドフル瞑想を楽しめる「Morning MeditOCEAN」など、多彩な動画を通じて、年齢や関心にかかわらず多くの人々に海の世界に親しんでもらうよう努めています。

    例えば、「Fast Ocean Facts」のシリーズでは、同水族館の「Act for the ocean」キャンペーンを推進しています。キャンペーンの目的は、気候変動、その影響を受ける水生生物、そしてこの課題への支援策について情報を発信することです。

    また、知識豊富な水族館のスタッフを起用して、視聴者からの水生生物に関する質問に答える動画もあります。このように、YouTube戦略を拡大してコーズキャンペーンを連動させたのは、ソーシャルメディアのコンテンツを多様化し、水族館を実際に訪れることができない顧客を満足させるための非常に賢い方法と言えるでしょう。

    ポイント:恒常的に実施しているコーズ マーケティング キャンペーンがある場合には、それを利用して現在のソーシャルメディア戦略を拡大しましょう。コンテンツのアイデアに困っている場合には、自社が支援している社会的課題に関するコンテンツの制作を進めるとよいでしょう。また、この事例のように、ソーシャル メディア コンテンツにスタッフが参加することで、オンラインでの企業文化を強化できます。
     

    8. EssenceとPine-Sol:Build Your Legacy(次世代に伝えよう)

    Essenceはアフリカ系アメリカ人女性の活躍を広く知ってもらうためのライフスタイル誌です。同誌はアフリカ系アメリカ人女性による起業を後押しするために、住宅用洗剤メーカーのPine-Solと共同で「Build Your Legacy」コンテストを開催しました。

    このコンテストでは、参加者が自身のビジネスを紹介し、次世代に残したいものを生み出す方法を説明した動画を提出します。その後、キャンペーンのランディングページに投稿されたエントリー動画に対するEssence読者からの投票によって、優勝者が選出されます。

    コンテストの目的は、近隣コミュニティーにポジティブな変化をもたらしている黒人女性の起業家にスポットライトを当てることです。優勝者1名には賞金10万ドル、準優勝者2名には、それぞれ1万5,000ドルが授与されます。

    これらの起業資金の提供に加え、上位3名には副賞として、適切な意思決定を支援するビジネスコンサルタントが紹介されます。

    EssenceとPine-Solはどちらも黒人の起業家によって創設されたブランドであることから、このコンテストは主催者にとってもターゲットオーディンスと同じように大きな意味を持つものです。両社にとって次世代に継承するための取り組みとは、黒人の起業家を支援することに他なりません。キャンペーンと連動したコンテストは、両社のコミュニティーへの独自の還元策と言えます。

    ポイント:皆さまの会社で定期的にコンテストを開催している場合は、コーズキャンペーンとの連携を図りましょう。EssenceとPine-Solの社会的大義は、黒人女性の起業家を支援することにありました。そこで皆さまのブランドでも、ターゲットオーディンスをどのように支援できるかを検討してください。また、オーディエンスがエントリー動画に投票できる仕組みを作ることで、積極的な参加を促し、キャンペーンを促進しながら顧客関係を構築できるようになるでしょう。
     

    9. Squarespace:Act With Pride(プライドを持って生きよう)

    ウェブサイトの構築とホスティングのためのソフトウェアを提供するSquarespaceは、プライド月間にLGBTQIA+のコミュニティーメンバーにスポットライトを当て、感動的なストーリーの投稿を呼びかけることにしました。#ActWithPrideキャンペーンでは、無料でダウンロードできるInstagramストーリー用のテンプレートをオーディンスに提供して、投稿のデザインに使えるようにしました。受賞者はSquarespaceのInstagramのメインページとストーリーで紹介されます。

     
     
     
     
     
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    This year, Squarespace is celebrating Pride by acknowledging the LGBTQIA+ community’s long-standing history of breaking down barriers and lifting each other up.Led by trans women of color, Pride began as a protest and a fight for the rights of queer people.Designed with poster/protest symbolism in mind, we’re rolling out a free, exclusive set of Unfold Instagram Story templates so that you can share how and why you #ActWithPride.Swipe through for step-by-step directions on how to download and use the templates. 🙌 Whether you’re a member of the LGBTQIA+ community or an ally, we encourage you to participate and share your Pride.We’ll be re-posting your #ActWithPride Stories throughout the rest of June – be sure to tag both #ActWithPride and @squarespace if you’d like to be featured. ⚡️

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    このキャンペーンでは、対象を絞らずに全ての人に参加を呼びかけています。Squarespaceは自社のソーシャルメディアのオーディエンス全体に対して、自分らしさを表す体験について、創造性を生かした感動的なストーリーを共有するよう求めました。受賞者の1人である女装パフォーマーのCrystal Methyd氏は受賞作品の中で次のように述べています。「新しいコンセプトのアイデアが湧かずに困っているときは、他のアーティストの動画を見て、自身の作品にどのようにアプローチしているかを知ることで、自分のパフォーマンスを違った観点から見直すことができます。一見くだらないようなアプローチでも、どんどん取り入れています」

    Squarespaceは1か月に及ぶこのキャンペーンで、できる限り多くの人のストーリーを取り上げることを目指しました。社会的大義を自ら生み出したわけではありませんが、プライド月間を祝しながら、自社のオーディエンスを巻き込むような自社ならではのアプローチを取り入れたのです。このキャンペーンではユーザーが作成したコンテンツの活用が功を奏しました。こうしたコンテンツの活用法は、エンゲージメントを高めるのに非常に効果的です。

    ポイント:ユーザーが作成したコンテンツをキャンペーンに取り入れましょう。自社が重要と考える社会問題にオーディエンスの関心を集められることが分かっている場合は、自作のコンテンツの投稿を呼びかけてください。ソーシャルメディアの自社ページにコミュニティーメンバーのストーリーを掲載することで、顧客のエンゲージメントを高められます。ソーシャルメディアの投稿を見たときに、まるで自分自身のようだと感じられたリードは、営業プロセスを先に進めたくなるような気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。
     

    10. alt_:Project Stamp(イメージを塗り替えよう)

    alt_(オルトスペースと読みます)は、アクション、アート、カルチャーを通じて、米国のシカゴ地域一帯にまつわる悪評を塗り替えることに注力している非営利団体です。Habitat for Humanity(住まいの問題に取り組む国際NGO)やシカゴ公園局などと協力し、シカゴのオースティン地区のコミュニティーでアートと教育を促進するための空間づくりに取り組んでいます。

    2019年、オースティンの住民が重要な存在であることを知ってもらうために、alt_は「Project Stamp」キャンペーンを開始し、誰でも無料で肖像写真を撮影してもらえる日を設けました。その狙いは、写真を通じてコミュニティーの実際の雰囲気と文化を際立たせることにより、危険な場所という悪評高いオースティンのイメージを塗り替えることにありました。

    Project Stampで撮影されたGlennArt Farmの写真画像出典

    alt_の創設者の1人はこのように述べています。「こうした肖像写真を通じて、地域住民に対して抱かれているネガティブなイメージを中和させて、温かみのあるコミュニティーの側面を伝えられるでしょう。(中略)治安回復を支援するこうしたメッセージは重要である一方、それによって(オースティンを擁する)西部地区の人間味のある生活感がかき消されてしまうかもしれません」

    撮影した写真は参加者にプレゼントされ、コミュニティーの至る所で展示される予定です。この非営利団体の創設者は、人目につく場所に写真を飾ることで、コミュニティーの活性化に役立てたいと考えています。

    ポイント:非営利団体の目的は重要な問題を解決することですが、alt_も例外ではありません。「Project Stamp」キャンペーンは地域住民の参加によって成り立っています。社会的な問題を解決するためにイベントの開催を検討している場合は、地元のオーディエンスの参加を促すことで、地域の意識向上を図り、近隣コミュニティーづくりを支援できるでしょう。

    自社の価値観に沿った社会的主張を支援する方法を考えてみましょう。Beauty Bakerieのようにオンラインフェスティバルを開催したり、Mythical Kitchenのように寄付金を募るためのハッシュタグチャレンジを実施したり、さまざまなアイデアをご検討ください。最終的にどのような方法を選んでも、常に顧客と社会的大義をキャンペーンの中心に据え、キャンペーンに関わる全ての人が最大のメリットを得られるようにしましょう。

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    トピック: ブランディング

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