BtoBサイトは、見込み客を創出し、商品・サービスの成約につなげることが主な役割です。しかし、サイトの閲覧から成約までには、いくつかのステップを踏む必要があります。
BtoBで扱う商品やサービスはBtoCに比べて高額になることが多く、検討期間も中長期にわたります。まずは潜在客や見込み客と良好な関係性を築くことが重要になりますが、その際に重要な役割を果たすのがBtoBサイトです。
Webサイトの情報に価値があると感じてもらえれば、問い合わせや資料請求、見積もりといったアクションにつながりやすくなります。
本記事では、成功事例を取り上げながら、BtoBサイト運用のコツや成功のポイントについて詳しく解説します。
BtoBサイトとは
本章では、BtoBサイトの役割やBtoCサイトとの違いについて解説します。
BtoBサイトの役割
BtoBサイトの主な役割は、見込み客を創出し問い合わせや製品・サービスの成約につなげることです。
BtoBは企業向けになるため、成約に至るまでに自社の課題の洗い出しや予算確保、多数の承認のフローが発生します。そのため、検討から導入までの期間が長くなるという特徴があります。Webサイトの閲覧後、すぐに導入へと進むケースは少ないでしょう。
しかし、Webサイトの情報が自社にとって価値があれば、問い合わせや資料請求、見積依頼などにつながります。BtoBサイトは、読者にとって有益な情報を提供し、信頼を獲得することが重要です。
BtoCのサイトの違い
BtoBとBtoCの違いを一覧表にまとめました。
BtoBは企業向け、BtoCは個人向けとターゲットが異なります。そのため、取り扱う商品やサービス、購入を決める基準やマーケティング手法など、さまざまな面において違いがあります。
BtoBサイトに必要な項目
BtoBサイトには企業情報やお問い合わせフォーム、商品やサービス情報が必須です。その他の主な項目は、次の通りです。
- 自社の強みや特徴
- サービスや機能紹介
- 価格
- 導入事例
- 導入の流れ
- 会社概要
- お問い合わせや資料請求
- プライバシーポリシー
BtoBサイトの種類によって必要な項目が異なるため、次章で確認していきましょう。
BtoBサイトの種類
本章では、4種類のBtoBサイトについて解説します。
- コーポレートサイト
- サービスサイト
- 採用サイト
- IRサイト
コーポレートサイト
コーポレートサイトとは、会社の基本情報を伝える公式サイトです。会社情報や企業理念などが記載されています。
コーポレートサイトに必要なページは、次の通りです。
【主に必要なページ】
- 会社概要
- 企業理念
- 商品やサービス情報
- 導入事例
- アフターサービス
- プレスリリース
- お問い合わせ
会社の魅力を伝えたり、顧客との信頼性を築いたりするのに効果的です。一例として、HubSpotの公式サイトは次のようになっています。
会社情報をはじめ、導入事例やお問い合わせフォームなど、コーポレートサイトに必要な項目が掲載されています。HubSpotの特徴や提供しているサービス内容が伝わるよう工夫しています。
サービスサイト
サービスサイトとは、自社の商品やサービスのアピールに特化したサイトです。自社の商品やサービスを購入してもらうことが目的です。
商品やサービスの概要や魅力がわかり、見積もりや問い合わせなど、ハードルの低いアクションが設置されています。また企業が運営するオウンドメディアも、サービスサイトに含まれます。
サービスサイトに必要なページは、次の通りです。
【主に必要なページ】
- 機能紹介
- 価格
- 導入するメリット
- 導入事例
- 購入先リンク
- 資料ダウンロード
- お問い合わせ
HubSpotのサービスサイトを例にあげて見ていきましょう。
ページ下部には、HubSpotが提供している商品サービスの紹介と、資料のダウンロードリンクを設置しています。
サービスサイトとコーポレートサイトは、どちらも企業のWebサイトですが、目的やターゲット、運営する部署が異なります。
サービスサイトとコーポレートサイトは混同されることが多いため、違いを理解しておきましょう。
採用サイト
採用サイトは、企業が求人情報や募集事項を伝えるサイトです。会社の魅力を伝え、応募者を増やすことを目的としています。
企業全体の情報を網羅したコーポレートサイトとは異なり、採用サイトは自社の魅力を伝え求職者を募るページです。
採用サイトに必要なページは、次の通りです。
【主に必要なページ】
- 求人情報
- 募集事項
- PR用メッセージ
- 会社の実績
- 会社の雰囲気
- 社員へのインタビュー
- イベント情報
応募者に事業内容や企業理念などを理解してもらうことが大切です。
IRサイト
IRサイトは、株主や投資家に向けて自社の財政状況を発信するサイトです。投資家に対して投資対象に選ばれたり、決算報告や株主向けイベント情報を発信したりして、株主との良好な関係を築くことを目的としています。
IRサイトに必要なページは、主に次の通りです。
【主に必要なページ】
- 企業情報
- 企業理念
- 決算情報
- 株価情報
- 株主優待
- プレスリリース
投資家はリアルタイム情報で投資対象かを判断するため、情報を常にアップデートし最新情報を掲載することが大切です。また、IRサイトに掲載する情報は、正確性を担保することを心がけ、わかりやすさを重視しましょう。
BtoBサイトの成功事例5選
本章では、BtoBサイトの成功事例として、次の5社を紹介します。
- 株式会社キーエンス
- 株式会社LIG
- サイボウズ株式会社
- 株式会社リクルートホールディングス
- オムロン株式会社
1. 株式会社キーエンス
出典:KEYENCE
株式会社キーエンスは1974年に設立されました。主要製品は以下のとおりです。
- 光電・接近・レーザーセンサー/ライトカーテン
- 流量・圧力センサー/温度制御
- 変位センサー/寸法測定器
- 画像センサー/画像処理装置
- 静電気対策機器/クリーン
生産性の向上や安全性向上など、生産現場の課題解決に取り組んでいます。世界中で30万社以上の取引があるグローバル企業で、国内の平均年収が高い会社ランキングでは2位になっています。
数多くの商品を扱っていますがサイトの訪問者が検索しやすく、それぞれの商品の特徴がわかりやすいサイトです。また、導入事例や商品紹介の記事は定期的に更新されており、情報の鮮度や信頼性もあります。
2. 株式会社LIG
出典:株式会社LIG
株式会社LIGはWeb制作、サイトリニューアル、オウンドメディアのマーケティング支援などをおこなっている企業です。国内だけでなく海外にも拠点を持ち、海外リソースを活用した開発力が強みです。
毎年150以上のサイトをリリースし、複数のデザインアワードを受賞しています。Webクリエイタースクール事業も運営しており、次世代の人材育成にも力を入れています。
株式会社LIGが運営するオウンドメディア「LIGブログ」では、社員が情報発信するメディアです。社員が1か月に1本、学んだことや考えを書いているサラリーマンブログです。
社員の考えや感じたことを赤裸々に公開し、ファン獲得を目的としたBtoBサイトとなります。
3. サイボウズ株式会社
出典:サイボウズ
サイボウズ株式会社は、企業向けソフトウェア開発を行う企業で、特に「サイボウズOffice」などのグループウェア製品が有名です。組織内のコミュニケーションと情報共有ができるツールとして、使いやすさや豊富な機能が評価され、幅広い業種や幅広い規模の組織で使われています。
このサイトは、インタビュー記事で専門性の高い情報を発信しているのが特徴です。サイボウズ株式会社の社員だけでなく専門家にもインタビューし、情報の信頼性や説得力が増します。
NPO法人や教育機関への支援など、さまざまな活動を通じて社会課題の解決に貢献しています。
4. 株式会社リクルートホールディングス
株式会社リクルートホールディングスは、求人広告や人材派遣、飲食店予約や住宅情報など、さまざまな領域で事業を展開しています。また、世界60ヶ国以上に拠点を持ち、売り上げの50%以上が海外経由というグローバル企業です。
株式会社リクルートホールディングスのWebサイトは、メニューが英語で写真は外国人が多く、グローバルを意識したデザインとなっています。また、掲載されている記事や取り扱うニュースも、グローバルなジャンルが多いです。
世界中の人が、リクルートグループの企業情報や事業内容を理解しやすいデザインが特徴です。
5. オムロン株式会社
出典:オムロン
オムロン株式会社は、制御機器や電子部品、ヘルスケア機器やインフラ関連製品などを製造・販売する事業を展開しています。世界中に拠点を持ち、130ヶ国以上で商品やサービスを提供しているグローバル企業です。
具体的には、製造現場の自動化で生産の効率化や品質向上を支援しています。また、駅の自動改札機や太陽光発電用のパワーコンディショナーなど、社会システムにも貢献しています。
オムロン株式会社のWebサイトは、上部にメニューや検索窓があり、わかりやすいデザインとなっています。トップページにスライドショーが設置され、重要な情報にアクセスしやすいのが特徴です。
BtoBサイトを制作・運用するメリット
ここでは、BtoBサイトを制作・運用する主なメリットを紹介します。
- 商品・サービスの機能や魅力を詳細に伝えられる
- 効率良くマーケティングができる
商品・サービスの機能や魅力を詳細に伝えられる
現代ではインターネットが普及して情報化社会となり、問題解決のためにWeb検索することが当たり前になりました。
Webサイトの大きな魅力の一つが、詳細な情報が届けられることです。それにより、資料請求や見積もりなど、次のフェーズに進みやすくなります。例えば、電車や看板などの広告、Web広告は一時的に目に留まることはあっても、詳細まで把握できません。
BtoBの場合、そのサービスが自社の課題解決につながるかどうかが重要視されるため、どのような悩みを抱える企業に向けたサービスか、また、具体的にどのような課題を解決できるかなど、明確に情報を伝えることが重要です。
効率良くマーケティングができる
Webサイトは24時間365日閲覧できるため、会社の営業時間に関係なく新規顧客の対応が可能です。
また、ニーズのない顧客層への売り込みが必要なく、商談の手間を減らせるのもメリットといえます。顧客側にとっても、自社に関係のないテレアポや飛び込み営業などに時間を割く必要がなくなるため双方の手間や時間を省けます。
BtoBサイトにおける成功のポイント
BtoBサイトを運用する際は、次の3つのポイントを押さえましょう。
- サイトを訪れるペルソナを設定する
- ユーザビリティを意識した導線設計にする
- 価値あるコンテンツを作成し上位表示をめざす
サイトを訪れるペルソナを設定する
BtoBサイトを立ち上げる際は、必ずユーザーのペルソナを設定しましょう。ペルソナによってサイトのイメージやコンテンツが大きく変わるからです。
ペルソナを設定する際は、次のような項目を考えましょう。
- 業種
- 事業内容
- 企業規模
- 担当者の部署
- 役職
- 検索した理由
- 解決したい悩み
ペルソナを具体的に設定することでニーズの深掘りが可能になり、どのようなサイトを設計すべきかがわかります。
ユーザビリティを意識した導線設計にする
ユーザーのニーズに合ったWebサイトにすることで、行動してくれる可能性が高くなります。
例えば、BtoBサイトに訪れる企業の担当者は、商品やサービスの購入ではなく、検討している段階が基本です。そのため、商品やサービスの購入ではなく、資料請求や問い合わせ、導入事例や無料見積もりなどを、わかりやすい位置に設置する方が効果的といえます。
また、商品数やグレードが多い場合は、比較一覧表を用意するとユーザーの満足度は上がります。BtoBサイトは、決裁者が別でいることや、購入でなく検討している段階ということを意識してサイトを設計することが大切です。
価値あるコンテンツを作成し上位表示をめざす
BtoBサイトの訪問者の多くは、Google 検索からの流入です。そのため、価値あるコンテンツを作成し、検索の上位表示を目指すことは重要な意味を持ちます。
企業課題に焦点を当てたコンテンツを作成することで、価値あるコンテンツだとGoogle に評価され、上位表示が期待できます。それにより検索からの流入が増え、問い合わせや資料請求などの増加が見込めます。
上位表示をめざすためには数多くの手段がありますが、自社の商材につなげるためのキーワード選定、読者にとって価値あるコンテンツにすることが特に重要です。
BtoBサイトは、次のようなコンテンツが求められます。
- 関わっている業務に詳しくなれる情報
- 商品やサービスの詳細情報
- 類似商品の比較
- 導入事例や導入後の成果
価値あるコンテンツを作成し、読者の満足度を満たし上位表示をめざしましょう。
BtoBサイトの目的や成功のポイントを理解してサイトを制作・運用しよう
BtoBサイトには、いくつかの種類があり、訪れるユーザーの目的も異なります。ユーザーの目的を理解したうえでサイトを設計し、ユーザビリティを意識した導線設計を心がけましょう。
BtoBサイトでは、読者にとって有益な情報を提供し、信頼を獲得することが何よりも重要です。商品やサービスの機能、ベネフィットなどをサイト内で適切に紹介できていると、自社の課題解決に結びつくと感じた潜在客や見込み客からの資料請求や問い合わせなどにつながります。ユーザーのニーズを正しく把握し、BtoBサイトの運営に役立てましょう。