スタートアップがコンテンツマーケティング戦略をきちんと確立したいのなら、まずはマーケティング部門の中に精鋭揃いのコンテンツ担当チームを立ち上げなくてはなりません。
それは当たり前、と思うかもしれませんが、ネックとなるのは時間です。本来チームの編成とは時間がかかるものですが、急成長中のスタートアップには時間の猶予がありません。強力なコンテンツマーケティングを今すぐに編成しないと、快進撃が止まってしまいます。
最初の段階では、少人数で小回りのきくチームにしておくのが得策です。精鋭のコンテンツマーケティング部隊をゼロから立ち上げて、「Content Factory(コンテンツ工場)」を支えたいのであれば、まずは3つの職種を1人ずつ採用しておきましょう。募集要項に書くであろう内容を踏まえて、その3つの職種をご紹介します。
生成AIをコンテンツ制作に活用するための入門ガイド
コンテンツ制作に役立つプロンプトの書き方など、制作のプロセスにAIツールを適切に取り入れる方法をご紹介します。
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コンテンツマーケティング担当チームでまず採用すべき3つの職種
1)経験豊富なライター兼編集長
ここで重要なのは、マーケティングの知識に優れた人ではなく、文章力に優れた人を採用するということです。文章力は長年の研鑽のたまものです。文章力があるライターにITやマーケティングの知識を身に付けてもらうのは数週間や数カ月で済みますが、IT畑の人に文章力を磨いてもらうのは何年もかかります。
このライターには編集長になってもらいましょう。サイトには、他の社員やゲストブロガーが執筆した記事も載せるのが普通です。編集長の仕事は、自ら記事の執筆と編集にあたることに加えて、インタビューを担当したり、コンテンツマーケティング担当チーム全体を仕切ったりといったことです。
また、細やかな管理能力も欠かせません。プロジェクトマネージャーとしても優れているのが、有能な編集長です。仕事はコンテンツの編集と公開だけではありません。外注先、プロジェクトのワークフロー、スケジュールなどのマネジメントができてこそ、マーケティング責任者の右腕になれます。
採用条件
- 関連分野の学士号取得者で、業界内またはその関係先での実務経験があること
- コンテンツ作成プロセスの経験が豊富なこと
- フリーライターを相手にした共同作業やマネジメントの経験があること
- SEO対策を施したサイトの編集とメンテナンスの経験があること
- 分析的思考やデータ思考に長じていること
- コンテンツマネジメントシステムのスキルがあること
- 主要なビジネスアプリケーション(Adobe Creative Suite、Microsoft Officeなど)を使いこなせること。Googleアナリティクスの経験があること
- 混沌状態に耐えられる性格であること。変化のペースが早く流動的なスタートアップの世界でも成果を出せること
- 意欲と創造力があり、仕事に誇りを持っていること
2)ソーシャル/コミュニティマネージャー
ファンが集まるコミュニティをネット上に立ち上げて、ファンとの対話を担う立場の人です。
この職種にふさわしいのは、お客様となる業界の人たちとスムーズにコミュニケーションを取れる人材です。情報を共有したり、いろんな人と話をしたりできる人が求められます。また、業界の人が抱えている問題をこの担当者が探り当てれば、あなたの会社のコンテンツチームがそれに光を当てたり、開発チームがそれを解決したりという形で生かせます。
この職種の人は、お客様の分野で影響力を持つインフルエンサーのコミュニティを積極的に動かしていかなくてはなりません。こうしたインフルエンサーは、主なお客様にとってオピニオンリーダーのような存在です。
採用条件
- 経営学、ジャーナリズム、PR、マーケティング、または関連分野の学士号取得者であること
- マーケティングやコミュニケーションの担当職として5年以上の経験があり、そのうち少なくとも3年は、ソーシャルメディアやコミュニティ管理の経験を積んでいること
- ソーシャルメディアとコミュニティ管理に対する強い情熱があること
- 企業のソーシャルメディア活動を管理した実務経験があること
- コミュニケーションの中で、ブランド、メッセージ、品質、一貫性に関して高い水準を追い求め、細部まで神経が行き届いていること
- オンラインとオフラインの主なメンバーと関係を構築できるスキルがあること
- 指標値を判断基準とし、ソーシャルメディアの分析と測定に習熟していること
- 戦略的・創造的な思考ができ、批判的分析と問題解決のスキルがあること
- タイミングのよい判断ができ、不測の状況に対する柔軟性と適応力があること
- 猛スピードで変化する環境の中でも複数の優先事項をうまく取りさばく処理能力があること
- ソーシャル管理プラットフォームやマーケティングオートメーションプラットフォームの経験は必須
3)データサイエンティスト
簡単に言うと、数字が頭から離れない人のことです。調査の効果的な実施方法を知っている人、道具として調査を引き合いに出す人、リッカート尺度の何たるかを説明できる人がふさわしい職種です。データや傾向分析について、最前線の知見を会社にもたらしてくれる人が求められます。
お客様の業界や会社を取り巻く問題や仮説について、一次データを見つけられる人材を採用したいものです。私自身、ここ数年の仕事で得た実感として、一次データを押さえている企業は人々から業界の第一人者として認識されていると感じています。
その企業の調査結果や研究に大勢が言及し、業界のさまざまな論文、ブログ記事、カンファレンスで引用されています。一次データからは、Top-Of-The-Funnel(ToFu:マーケティングファネルの最上部)にふさわしいコンテンツが得られます。
採用条件
- 理学修士号の取得者で、学業成績が優秀であること。数学、経済学、物理学などの定量的な分野を専門としているのが理想
- データサイエンティストとして1~2年の実務経験があるか、または関連する分野(数学、経済学、物理学など)の博士号取得者であること
- R、SAS、Stata、SPSSなど、データ分析ソフトウェアの経験があること
- Pythonの経験か、Java、C++など、関連するプログラミングの経験があること
- SQLの経験(または学ぶ意欲)があること
- 分析的・創造的なアプローチで問題解決に取り組めること
- 文章と口頭での伝達力に優れていること
- 前向き、人間志向、精力的であること
- 起業家精神があり、今すぐに動くという意識が強いこと
人材の見つけ方
どういう人材を採用すればよいかわかったとして、精鋭揃いのコンテンツマーケティング担当チームを結成するために、「ダイヤの原石」をどこで探せばよいのでしょうか。いくつかヒントをご紹介します。
別の分野を専門とする人を探す
同じ業界で働いている人材でなくて構いません。あなた自身とは異なる意見やスキルを持った人材を探す方がよいでしょう。たとえば、競合他社ではなく大学でデータサイエンティストを見つけるという手もあります。
データサイエンティストに関するEMCの調査結果によると、ビッグデータに関する人材の獲得元としてどこが一番よいと思うかを尋ねる質問では、「ITやコンピューター科学以外の分野のプロフェッショナル」と答えた人が27%、「コンピューター科学以外の分野の学生」と答えた人が24%でした(参照記事はこちら:Data Science Revealed : A Data-Driven Glimplse into the Burgeoning New Field)。
イベントに参加する
StartUp Weekendやサムライインキュベートなどで開催される交流イベントを見つけ、候補になるかもしれない人と接してみましょう。この記事で挙げたような人材と出会うには、コンテンツマーケティングやマーケティング調査に関連したイベントが特に効果的です。
既存の社員を変身させる
もしかすると、チームの既存メンバーの中にも、スキルに磨きをかけることで、編集長、ソーシャルメディアマネージャー、データサイエンティストを務められる人がいるかもしれません。視野を広げて自分自身をバージョンアップするつもりはないか、社内の選りすぐりの人材に声をかけてみましょう。今よりスケールの大きい仕事ができるチャンスだと話してみるのも手です。
ウェブサイトにSEO対策を施す
検索サイトを使って求人情報を探している人は大勢います。あなたの会社のウェブサイトを検索エンジン用に最適化しておかないと、有望な人材と出会えるチャンスが減ってしまいます。ページのタイトル、メタタグ、H1タグは、いずれもSEO対策で意味を持ちます。
出会いがどこにあるかがわかったら、採用プロセスの計画に入ることが重要です。コンテンツマーケティング担当チームが軌道に乗るまでの間は、今回取り上げた職種以外の仕事は、外注先やチーム内のメンバーで回しておきましょう。
そして、チームの規模とその業務内容を拡大していく中で、ライター、ビデオカメラマン、メールマーケティング担当者、アナリティクス専門家といった職種の人材を増やしていきましょう。こうした職種が必要になるのは、規模を大きくし始めてからです。
編集メモ:この記事は、 2015年6月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Kyle Lacyによる元の記事はこちらからご覧いただけます。