ChatGPTは、ユーザーの質問に対して自然な回答を生成するAIチャットサービスです。ChatGPTの仕組みは、データ収集する事前学習と、ユーザーへの応答を作成する推論の2段階で成り立っています。
![ChatGPTの仕組みとは?学習方法やモデルを詳しく解説【図解付き】](https://knowledge.hubspot.com/hs-fs/hubfs/chatGPT%20%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF_top.webp?width=595&height=400&name=chatGPT%20%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF_top.webp)
本記事では、ChatGPTの技術的な仕組みと、実際に応答を作成する流れを図解でわかりやすく解説します。ChatGPTの基礎知識については、次の記事を参考にしてください。
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ChatGPTの技術的な仕組み
ChatGPTの基本的な仕組みは、以下の4つの技術から成り立っています。
- アルゴリズム
- データセット
- 評価モデル
- 学習方法
簡単にそれぞれの概要を説明します。
まず、アルゴリズムは、大量のテキストデータから文脈を理解し、自然言語を生成する手順や計算方法のことです。データセットは、ChatGPTを訓練するためのWeb上のテキストや、書籍、論文などのデータソースのことです。
評価モデルは、算出されたデータを評価する指標や評価方法です。最後の学習方法は、大量のテキストデータから法則を見つけ、単語やフレーズの出現を最適化するプロセス全体を指します。
それぞれの技術を、次から詳しく説明します。
アルゴリズム
ChatGPTは、生成AIの一種で、InstructGPTという先進的な言語モデルをベースとしたAIチャットです。InnstructGPTは、質問に対して、より人間が好むような、自然で正確な文章を作成する高性能なモデルです。
ただ、「何が人に好まれる文章か」を明示的に関数で定義するのは難しいことです。そのため、強化学習(RLHF)のプロセスを採用し、人間からのフィードバックをモデルに組み込んでいます。これにより、実用的で質の高い文章の生成を実現しています。
データセット
一般的な言語モデルの訓練に使われる学習データ(データセット)は、Webテキスト、学術文献、ニュース記事、書籍などです。
OpenAIが公開している情報によると、ChatGPTの学習には次のデータが使われています。
- CommonCrawl
- Webtext
- 書籍コーパス(インターネットベース)
- Wikipedia(英語版)
Common Crawl Corpusは、インターネット上のWebページを大規模にクロール(収集)した数十億ものWebページのテキストデータの集合です。このデータセットは公開されており、誰でも利用できます。Common Crawl Corpusの公式サイトには、GPT3の学習に使われたトークンの82%はCommon Crawl Corpusのものであると記載されています。
Webtextは、品質を向上させるためにOpenAIが独自に集めたデータのことです。
図書コーパスは、多数の書籍からテキストデータを収集したデータセットです。そのため文法や文構造、語彙が豊富に含まれた、質の高いデータとされています。BooksCorpusなどが有名ですが、ChatGPTにどのデータセットを使ったかは具体的には明らかにされていません。
評価モデル
ChatGPTが使用する評価モデルは、RLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback)の枠組みで用いられる「Reward Model(RM・報酬モデル)」を採用しています。
出力された文章は、その文章の良さを表したスカラーと呼ばれるスコアで評価をします。
スカラーのスコアは、次のような評価軸でつけられています。
- 真実性(情報が正確で、妥当か)
- 無害性(人や環境に害を及ぼす内容でないか)
- 有益性(提供される情報は人にとって役に立つか)
学習方法
ChatGPTの学習プロセスは、アルゴリズムやデータセット、評価モデルを組み合わせて作られています。
具体的には、事前学習とファインチューニングの2段階でテキストを生成し、評価モデルが結果を評価して精度を増していく仕組みです。
1. 事前学習
収集されたデータセットをAIが学習し、共通の構造やパターンを学びとって、ベースとなる言語モデルが構築されます。
言語モデルとは、人間の言語パターンを学習し、文章を作成するモデルのことです。事前学習は、「自然言語処理」で多く使われています。
この段階では、モデルはテキストの生成や理解ができる基本的な文の構造、文法、語彙、意味などを学びます。
2. ファインチューニング
事前学習したモデルを特定のタスクや目的に適したものにするために、狭い範囲のデータセットで追加の訓練が行われます。
汎用性の高いデータを学習したモデルに、特定のデータを再学習させることで、その分野に特化したモデルを構築するためです。
この段階で、より人間らしいテキストを生成する能力や、特定の指示に従う能力などが磨かれます。
3. 評価による学習
最後に、訓練されたモデルが特定のタスクでどれだけ適切な文章を生成できるのかを評価します。評価はReward Modelで行われ、真実性・無害性・有益性を軸にスコアをつけます。
スコアの値が不十分であれば、再度、ファインチューニングや調整が行われ、適切な文章が作成できるまでモデルが磨き込まれます。
【図解】ChatGPTが応答を生成する仕組み
ここからは、ChatGPTがユーザーへの回答を生成する流れを、図解でわかりやすく解説します。
基本的な流れは次のとおりです。
- データ収集
- 前処理
- 学習
- 評価
- 出力
- ユーザーとの対話
データ収集
はじめにデータ収集を行います。この段階では、インターネットなどから収集された大量のテキストデータを使用します。
使われる主なデータセット(学習データ)は、Common Crawl Corpusなどのオープンソースのデータセットです。
これらのデータが、言語モデルの基礎になります。
前処理
学習に移る前に、収集されたデータをモデルが処理しやすい形に整形します。
処理の具体的な内容は、不要な記号や語句を削除するクリーンアップと、文法を正規化する作業です。
前処理によってデータを成型することで、このあとの学習が効率的に行われます。
学習
前処理されたデータを用いて、モデル学習を始めます。
機械学習アルゴリズムによって、テキストデータの構造や文法、意味などのパターンを抽出し、モデルに言語の行動と意味を理解させる作業です。
モデル学習は、具体的には以下の学習方法の流れに沿って行われています。
学習プロセスは、繰り返し行われ、多くの計算リソースと時間を必要とします。
評価
評価モデルや学習によって生成された応答が、問題文の意図やユーザーのニーズ、さらには法的・倫理的制約に適合するかを評価します。
具体的には、性能や安全性を、真実性・倫理性・有益性の3つの観点でチェックし、スカラーと呼ばれるスコアをつけます。
評価は、実際のタスクの実行時にどれだけの性能を持つかを判断する基準にもなります。
出力
評価によるテストが成功したら、学習モデルは実際の回答を出力します。
ユーザーからの質問に対する応答を生成し、最終的にユーザーに対して応答を表示します。
ユーザーとの対話
最後に、ユーザーに提供された回答を元に、ユーザーと対話をします。応答による評価で学習モデルは強化され、より有益な回答を返せるようになっていきます。
学習したモデルによってユーザーとの会話を繰り返し、最終的にユーザーの目的が達成されることを目指します。
ChatGPTの仕組みを知って活用方法を考えよう
ChatGPTの技術的な仕組みには、アルゴリズム、データセット、評価モデル、学習方法、の4つがあります。
ChatGPTはこの4つの技術を使い、データ収集→前処理→学習→評価→出力→応答の流れでユーザーの質問に回答をしています。仕組みを知ることで、ChatGPTの活用方法がイメージしやすくなるでしょう。
ChatGPTの日本語での始め方は、次の記事を参考にしてください。