ChatGPTとは、自然言語での会話や質疑応答、命令実行が可能な生成AIです。
そんなChatGPTに関して、AIを使った画期的なチャットサービスであることは知っていても、詳細や具体的な活用事例などを理解できているでしょうか。うまく活用できれば、ビジネスにおける日常業務の負担を軽減できる有力なツールになり得ます。
そこで本記事では、ChatGPTの概要やできること・できないこと、始め方や使い方、そして注意点を網羅的に解説します。日常業務に活用しようと考えている方は、導入する際の参考としてください。
ChatGPT(チャットジーピーティ)とは?
出典:ChatGPT
ChatGPT=会話感覚で利用できるAIチャットサービス
ChatGPT(チャットジーピーティ)とは、AIを活用したチャットサービスで、人間と会話しているような感覚で利用できるのが特徴です。「Large Language Models(通常:LLM)」と呼ばれる大規模言語モデルがChatGPTのもとになっています。
GPTは、「Generative Pre-trained Transformer」の略で、自然言語(人間が話すような言葉)でAIとやり取りできます。イーロン・マスク氏をはじめとした実業家や、マイクロソフト社など大手IT企業が出資する「Open AI」(人工知能の研究機関)によって開発・リリースされました。
前身モデルとなる「GPT-1」がリリースされたのは2018年で、その後さらに学習データを増やした「GPT-2」、「GPT-3」が登場し、2022年11月に無料版の「ChatGPT-3.5」を一般公開しました。自然な回答や回答精度の高さから話題を呼んだGPT-3.5以上に高機能なモデル「ChatGPT-4」も登場し、さまざまな生成AIのベースとして活用されています。
従来のチャットボットとの違い
話題になっているChatGPTと、従来のチャットボットの具体的な違いが気になる方もいるでしょう。主な違いは次表の通りです。
GPT-3.5とGPT-4の違い
ChatGPTは無料で使えるGPT-3.5と有料版(20.00$/月:2023年10月下旬現在)のGPT-4があります。GPT-4はGPT-3.5よりも膨大な数のパラメーターを持っているため、精度が高く創造性に富んだ回答ができます。主な違いは次の通りです。
- テキストだけでなく画像入力も可能
- プラグインや新機能をいち早く利用できる
- アクセスが集中しても利用できる
無料版から有料版にアップグレードするには、サイドバー下側にある「Upgrade to Plus」をクリックします。「Your plan」とタイトルが表示されたポップアップが出るので、もう一度「Upgrade to Plus」をクリックして、メールアドレスやカード情報などの入力後に決済すると利用できます。
ChatGPTにできること・できないこと
ChatGPTを活用するには、できることと、できないことを把握しておく必要があります。ここで詳しく見ていきましょう。
ChatGPTにできること・得意なこと
ChatGPTにできること・得意なことは次の通りです。
- テキスト生成
- 質疑応答・会話
- テキスト翻訳
- 文章の要約
- メール文の作成
- プログラミングのコード添削・エラー解決
- 表や関数の作成
- 企画書・プレゼン資料の下書き作成
ChatGPTは、インターネット上の情報をベースに行える作業を得意としています。こうした作業を補助してもらうパートナーとして活用することで、業務を効率化できるでしょう。
ChatGPTにできないこと・苦手なこと
ChatGPTにできないこと・苦手なことは、次の通りです。
- 医療的・法的な助言
- リアルタイムの情報提示(GPT-4は可能)
- 正確な演算
- 高度な思考力や判断力を要する質問への回答
- 情報ソースの提示
- アナログ情報(デジタル化されていない情報)への対応
このような内容については、質問をしても誤った回答をするケースが多く、正確性を自分で判断しなければなりません。
ChatGPTを利用する際の注意点
ChatGPTは万能なツールではなく、できないことや苦手なこともあります。これらも含めて、利用にあたってはいくつか特に注意すべき点があるので、代表的な3つをご紹介します。
- 必ずしも正確な答えを返すとは限らない
- 最新情報や専門知識に対する質問には弱い
- 情報漏洩のリスクがある
必ずしも正確な答えを返すとは限らない
ChatGPTの学習情報源はインターネット上にあるテキストデータです。インターネット上の情報はバイアスがかかっていたり、偏りがあったりするため必ずしも正しいとは限らず、ChatGPTの出す回答にも情報の正確性に欠けるケースがあります。
回答内容を鵜呑みにするのではなく、あくまでも参考程度にして正確性を担保すべき情報は自身で再度調べることが重要です。
最新情報や専門知識に対する質問には弱い
ChatGPTは2022年1月までの情報を基にトレーニングされています(2023年10月時点)。そのため、それ以降の情報には無料版のGPT3.5は回答できません。
画像にあるように、「2023年10月時点の日本の首相を教えてください」と質問しても、「2023年10月時点の日本の首相についての情報は持っていません。」と回答します。リアルタイムな質問に対する回答を得たい場合は、有料版GPT-4の「Webブラウジング機能」が必要です。
また、インターネット上の情報を基にトレーニングされているため、高い専門性を有する質問への回答は抽象的になります。
画像にあるように糖尿病の治療ガイドラインの質問をしても、最終的な判断は医療専門家に聞くよう促されます。
情報漏洩のリスクがある
ChatGPTはユーザーの質問や発言を学習します。入力した情報はChatGPT側に一旦保存されることになるため、個人情報や機密情報の入力には十分注意しなければなりません。
情報セキュリティの観点から、アマゾンやJPモルガンでは、社内でChatGPTの利用を制限しているという報道も出ています(2023年9月時点)。
ただし、2023年8月にOpen AIがデータの安全性を高めたChatGPTの企業向けのサービスの提供を開始しており、安全に利用できる体制は整えられつつあります。
ChatGPTの始め方
ChatGPTの始め方をご紹介します。
まずは、公式サイトにアクセスします。
続いて、「Try ChatGPT」をクリックしてください。
初めて利用する方は、「Sing up」を選択しましょう。
メールアドレスとパスワードを入力して「Continue」をクリックします。
ここでは、Google ・Microsoft・Appleのいずれかのアカウントと連携させることも可能です。
メールが送られてくるので、「Verify email address」をクリックして、メールアドレスを有効化します。
名前と生年月日を入力します。
電話番号を登録し、送られてきたショートコードを入力すればアカウント登録は完了です。
上記はPC版での始め方の手順ですが、ChatGPTはスマートフォン版もリリースされており、Web以外からでも使えます。アプリをダウンロードしたり、UIが若干異なったりする以外は、ほとんど同じように利用可能です。
ChatGPTの使い方
ここでは、ChatGPTの基本的な操作方法や使用例をご紹介します。
基本的な操作方法
PC版のChatGPTの使い方をご紹介します。画面左上の「New Chat」をクリックし、テキスト入力欄に文字を入力して紙飛行機のマークの送信ボタンを押すだけです。
画面に表示されているのは英語ですが、日本語で文章を入力すると日本語で回答が得られます。
サイドバーには、過去に行った会話が保存されています。一連の回答はAIが判断して名前をつけて保存されますが、鉛筆マークを押すと名前の変更が可能です。
会話ログを削除する際は、ゴミ箱のマークをクリックすると「Delete chat?」とポップアップが表示されるので、「Delete」をクリックして削除します。
続いて、スマートフォン版のChatGPTの利用方法をご紹介します。
基本的には、テキスト入力欄にテキストを入力して、矢印マークで送信するだけです。波形のマークを押すと音声でも入力できます。
また、「三点リーダー(…)」をタップすると、設定一覧の確認が可能です。Renameで名前変更、Deleteで削除、Historyで会話ログを確認、Settingsで各種設定、New chatで新しい会話を始められます。会話ログは、ハンバーガーメニューをタップして、サイドバーを表示させることでも確認できます。
実際の使用例
用語の意味を聞くなどの日常的な質問から、ビジネスに関連するアイデアをもらう質問まで、実際の使用例を3つ紹介します。
まずは、「ChatGPTは意思を持つか」の質問の回答です。
続いて、ChatGPT自身にChatGPTのことについて質問してみると、詳しく返ってきます。
次のようにビジネスに関する質問をするとしっかりとした返答が得られるので、アイディア出しに活用できるでしょう。
ChatGPTを日常業務に活かしてみよう
ChatGPTは、人間のような会話ができるAIチャットツールです。
リアルタイムのリサーチや、高度な判断力・思考力を要する質問に対しては適切に対応できないことがあります。しかし、テキスト制作や文章の要約など、ChatGPTが得意とする作業であれば、日常業務の負担を軽減してくれる有効なツールとなり得るでしょう。
本記事の内容を参考に、使用上の注意点を押さえながら導入してみてください。