コンコルド効果とは?由来から具体例や対策の方法まで詳しく解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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コンコルド効果とは、投資を継続しても損失が出ることがわかっていながら、投資を続けてしまう心理的な傾向のことです。経営に関わる重要な意思決定を行う場面でコンコルド効果に陥ってしまうと、適切な判断が下せなくなるリスクがあります。現状を踏まえたうえで適切な経営判断をするためにも、コンコルド効果への対策は欠かせません

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    本記事では、ビジネスシーンにおけるコンコルド効果の具体例や対策を解説します。

    コンコルド効果とは

    コンコルド効果とは、これ以上投資を継続しても損失が出ることがわかっていても、これまで投資した時間やお金がもったいないと考えてしまい、投資を継続する心理を指します。

    株式投資などでよく見られる現象で、「過去の投資や努力を無駄にしたくない」という心理が働くことで適切な判断ができなくなります。
     

    コンコルド効果の由来

    「コンコルド効果」という用語は、1970年代に登場した超音速旅客機「コンコルド」に由来します。

    旅客機であるコンコルドは、当初大きな期待を背負っていましたが、開発途中で採算が合わないことが判明しました。しかし、すでに多額の資金が投入されており、国家的なプライドもあったことから開発が続けられ、運航を開始してしまいました。

    その後、コンコルドは事故のリスクや経済的な側面などから、運航を終了することになり、開発会社は倒産しました。この出来事が「コンコルド効果」の名前の由来です。
     

    コンコルド効果とサンクコスト

    コンコルド効果は、サンクコストと密接に関連しています。サンクコストとは、事業に投資したコストのうち、すでに回収できなくなったコストのことを指します。

    コンコルド効果が生まれるのは、過去のサンクコストにとらわれて、投資を継続してしまうためです。サンクコストにとらわれると、適切な判断ができなくなり、損失が出るとわかっていても、その事業を継続してしまうことがあります。
     

    日常におけるコンコルド効果の例

    コンコルド効果は日常的に発生しており、具体的には次のような例があげられます。

    • ギャンブル
    • 恋愛
    • 課金ゲーム
    • ポイントカード
       

    ギャンブル

    ギャンブルで負けた金額を取り戻そうとして、賭けを続けてしまうことがありますが、これはコンコルド効果によるものです。賭けで当たる確率が低いことはわかっていても、過去の損失を取り返すまで賭けを止めることができません。
     

    恋愛

    コンコルド効果は、恋愛においても作用することがあります。例えば、何年も付き合いを続けているパートナーとの関係が悪くなり、幸せな結婚は望めないとわかっていながらも、それまでに費やした時間やお金がもったいなくて別れられないケースがあります。この状態は、コンコルド効果が働いているといえます。
     

    課金ゲーム

    ゲームによるコンコルド効果は、課金要素のあるゲームで顕著に見られます。例えば、カプセルトイを意味する「ガチャ」で、「次こそはレアカードが出る」と信じて、ガチャを回し続けてしまうようなケースです。サンクコストが増加し、ユーザーは目的のカードやキャラクターが出るまで課金を続けます。
     

    ポイントカード

    ポイントカードは、一定額の買い物をすることでポイントが貯まり、それが特典や割引として返ってくる制度で、コンコルド効果を活用したマーケティング施策のひとつです。

    多くのポイントカードで、一定期間買い物をしなかったり、期限が切れたりするとポイントが失効するルールが設けられています。

    このルールがあることでコンコルド効果が生まれ、一度ポイントを貯め始めると、ポイントを失わないように同じお店で買い物を続けてしまうことがあります。これが、コンコルド効果を活用したポイントカードの仕組みです。
     

    ビジネスシーンにおけるコンコルド効果の例

    コンコルド効果の由来となった超音速旅客機「コンコルド」の例からもわかるように、コンコルド効果は大きなプロジェクトで資金や人材を大量につぎ込んでいた場合に起こりやすくなります

    これ以上続けても損失が膨らむだけだとわかっていながら、プロジェクトにかけた膨大な費用や時間が惜しく感じられ、プロジェクトを中止できなくなるためです。

    ツールを導入して新たなマーケティング施策を始めたものの、うまく機能していないケースも、ビジネスシーンにおけるコンコルド効果の例です。期待したような成果が上がっておらず、訴求方法を見直したほうが良いとわかっていても、ツールにかけた費用や多額の広告費、さらには営業にかけた労力などをもったいなく感じてツールの利用を続けてしまいます。その結果、さらに追加で費用を投入してしまうなど、合理的な判断ができなくなることがあります。
     

    コンコルド効果への対策

    コンコルド効果によって重要な経営判断を誤るリスクを避けるためには、対策が必要です。主な対策は、次の5つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

    • 損切りする
    • 上限を決める
    • 試算する
    • ゼロベース思考を取り入れる
    • 第三者に相談し客観的な意見をもらう
       

    損切りする

    実施したプロジェクトや投資が失敗であるとわかったら、過去の投資にとらわれずに早めに撤退し、損失を最小限に抑えることが重要です。失敗を認め、損切りをすることで、次のプロジェクトや方法に切り替えられます。コンコルド効果に陥っていると気づいたら、すぐに損切りしましょう。
     

    上限を決める

    投資やプロジェクトに対するリスクを事前に評価し、上限を設定しておくのも効果的です。例えば、「損失が何万円になったら中止」「何か月で成果が出なかったら中止」などと最初から上限を決めておきましょう。上限を決めることで、損失を最小限に抑えられ、リスク管理もできます。
     

    試算する

    プロジェクトを続けた場合、どれほどの損失が出るのかを明確にするとコンコルド効果に陥りにくくなります。プロジェクトや投資のリターンを試算し、数字を見て合理的な判断ができるようにしましょう。

    客観的なデータや分析に基づいて判断することで、サンクコストにとらわれにくくなり、コンコルド効果に陥るリスクを軽減できます。
     

    ゼロベース思考を取り入れる

    ゼロベース思考を用いると、コンコルド効果は起きにくくなります。ゼロベース思考とは、過去と未来を切り離してゼロから考える思考法です。これまでの経験や知識、思い込みなど、すべてを白紙にしてゼロから考えることが重要です。

    採算の合わないプロジェクトを例にあげて考えてみましょう。これまでに投資してきた費用や人材、労力といったものをすべて忘れて、何もない状態からプロジェクトを開始するとしたら、そのプロジェクトを行うかどうかを想像してください。

    「ゼロから始めるのであればやらない」という結論に至った場合、そのプロジェクトは中止すべきという判断ができます。
     

    第三者に相談し客観的な意見をもらう

    プロジェクトや事業に関する重要な意思決定の際に、他の関係者や専門家に相談するのも、コンコルド効果を防ぐ有効な手段です。冷静な判断ができなくなっている可能性があると感じたら、他の人の意見を聞いてみましょう

    また、第三者目線で物事を見て意見をくれる「ブレーン」に協力をあおぐことも効果的です。客観的な意見やアドバイスを得ることで判断を下す側も冷静になり、コンコルド効果による誤った判断を防ぐ抑止力になります。
     

    コンコルド効果を学んで適切な判断をしよう

    コンコルド効果は意思決定に影響を与える心理的傾向で、ビジネスにおいても重要な経営判断に影響する可能性があるため、無視できない現象です。

    特に、新規事業の立ち上げや大規模なプロジェクトなど、膨大な予算とリソースを使った場合にコンコルド効果が起こりやすくなるため、注意が必要です。

    コンコルド効果を理解しておけば対策も立てられるので、物事を客観的に見て適切な判断ができるようになります。

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