対話型AIは、人間と会話しているように自然なコミュニケーションが取れるAIの総称です。ChatGPTの登場以降、営業やカスタマーサービスなどの顧客対応を中心としたビジネスシーンでも活用が広がっています。


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本記事では、対話型AIの定義や種類、機能などをわかりやすく解説します。具体的な活用シーンや導入事例なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
対話型AIとは
対話型AI(Conversational AI)とは、人間の話す言葉(自然言語)に近い形で会話ができるAI技術のことです。テキストや音声などを用いてユーザーとコミュニケーションを取り、質問への回答やタスクの実行、情報提供などを行います。AIとのやり取りを重ねることで学習が深化し、より自然な会話が実現します。
ビジネスシーンでは、営業やカスタマーサービスなど、顧客とのコミュニケーションが重要となる領域を中心に活用されています。
対話型AIの種類
対話型AIは、次の3つに分類できます。
- テキスト型(チャットボット)
- 音声型(ボイスボット)
- ハイブリッド型
それぞれの種類の特徴や具体的なツールを解説します。
テキスト型(チャットボット)
テキスト型(チャットボット)は、テキストベースでユーザーと会話するAIです。自然言語処理(人間の会話をコンピューターが理解するための技術)により、ユーザーが入力した文章の意味や文脈を適切に認識して返答します。テキスト型の対話型AIの代表例は、ChatGPTやGemini、Perplexity AIなどです。
テキスト型の対話型AIは、事前に設定したルールや規則に従う「ルールベース型」や、機械学習を通してAIが継続的に学習する「自動学習機能型」などのタイプに細分化されます。
音声型(ボイスボット)
音声型(ボイスボット)は、音声を認識してユーザーと自然に会話するタイプのAIです。自動音声認識の技術と自然言語処理を組み合わせて会話を行います。
Amazon AlexaやGoogle Assistant、Appleの「Siri」などが音声型の対話型AIに該当します。
ハイブリッド型
ハイブリッド型は、テキスト型と音声型の両方の特徴を併せ持つタイプです。
ユーザーの利用シーンにあわせて、テキスト入力と音声入力を切り替えられる点が特徴です。先述したChatGPTやGeminiはテキストの解読に加えて音声認識もできるため、ハイブリッド型の対話型AIといえます。
対話型AIを活用するメリット
対話型AIを活用するメリットには、次のようなものがあります。
- 顧客体験の大幅な向上
- 人手不足の解消
- 業務効率化
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
顧客体験の大幅な向上
対話型AIを導入すると、24時間対応のカスタマーサービスが実現します。
在庫状況や配送の進捗確認など、従来は人間が対応する必要があった質問に関しても、対話型AIなら即座に回答できる体制を構築可能です。
また、担当者が把握していない情報の提供やパーソナライズされた対応も可能で、顧客体験の大幅な向上が期待できるでしょう。
人手不足の解消
人手不足の解消が期待できる点も、対話型AIを導入するメリットです。
従来、問い合わせ対応や、施設・サービスの案内などの業務は人間が担っていましたが、人手不足によって顧客を待たせてしまうと、満足度が低下する要因になります。
人間が対応していた業務の一部をAIが担うことで、限られた人員でもサービスの質を維持したままサービス提供が可能です。
業務効率化
対話型AIが搭載されたチャットボットは、顧客とのやり取りを蓄積できるため、過去の履歴をもとに最適な回答ができます。担当者が代わった場合もスムーズに引き継ぎが行えるようになり、業務の属人化を防ぐ効果も期待できるでしょう。
また、よくある質問や定型的な業務を自動化することで、AIが対応できる範囲が広がり、業務効率化に大きく寄与します。
コスト削減
対話型AIが営業やマーケティング、カスタマーサポートの一環として行う顧客対応の一部を担うことで、人件費の削減が期待できます。
チャットボットの導入も人件費削減の手段のひとつですが、AIが搭載されていないチャットボットの場合は、回答内容を事前に人間が登録しなければなりません。 AIが搭載されているチャットボットなら、過去の問い合わせ履歴からAIが適切な内容を引用できるため、人件費の効果的な削減が期待できます。
データ活用
顧客とのやり取りを通じて蓄積された対話型AIのデータを、営業やマーケティングに活かすことも可能です。
例えば、ユーザーの興味関心や購入傾向を分析することで、的確な商品提案ができるようになります。また、対話型AIを「オンライン販売員」として活用する方法もあります。時間や場所を問わずサービスを提供できる環境を構築することで、顧客体験の向上が実現できます。
また、自然言語で質問を繰り返すことで、データ分析の専門知識がなくてもデータのインサイトを引き出せるようになります。
対話型AIの仕組み
対話型AIは、ユーザーと自然な会話を可能にするために、主に機械学習・自然言語処理・音声認識/音声合成という3つの技術を組み合わせて構成されています。
機械学習では、大量のデータからパターンを学習し、ユーザーに応じた発言や判断を可能にします。主な手法は、教師あり学習・教師なし学習・強化学習の3つです。
自然言語処理では、形態素解析や意味解析などを通じて人間の言葉を理解・生成します。
さらに、音声認識・音声合成の技術によって、音声による会話も可能となっています。
対話型AIの活用シーン
対話型AIは、さまざまな業界や場面で活用されており、業務効率化や顧客満足度の向上、コスト削減などの効果があります。
ここでは、対話型AIの活用シーンの具体例を解説します。
- カスタマーサポート
- 施設案内
- 営業活動・マーケティング
- 社内ナレッジの蓄積・共有
カスタマーサポート
カスタマーサポートでは、対話型AIが問い合わせの対応を自動化することで、オペレーターの負担が軽減されます。
FAQへの即時応答やトラブルシューティングによって、顧客が求める情報をリアルタイムでスムーズに提供できます。 24時間365日対応できるため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
専用のツールで問い合わせ内容を収集することで、顧客のニーズごとにパーソナライズしたサポートの提供も可能です。
施設案内
対話型AIは、施設案内にも活用されています。
「〇〇はどこにありますか?」「〇〇をするにはどうしたら良いですか?」などのユーザーからの質問に対して、店舗の場所や施設の利用方法をわかりやすく案内します。
商業施設や空港、病院などの受付業務に導入することで、混雑時のスタッフの負担を軽減しながら、訪問者に必要な情報を提供できるでしょう。
営業活動・マーケティング
対話型AIが顧客のニーズや悩みをヒアリングして、適切な商品やサービスを提案する営業担当者のような役割を果たすことも可能です。
さらに、AIチャットボットがヘルプセンターの記事を提示したり、カート内に入れた商品に関する情報をあらかじめ提供したりすることで、コンバージョン率の向上も期待できます。
社内ナレッジの蓄積・共有
社内の問い合わせに対応するチャットボットとして対話型AIを活用しているケースもあります。
社内規則や業務マニュアル、事例など、それぞれの従業員が持つ情報を対話型AIに学習させると、対話形式でナレッジを検索できるようになります。従業員が活用しやすい形に情報が整理されるため、業務の属人化防止や教育の負担軽減に役立つでしょう。
対話型AIの導入事例
ここでは、対話型AIの導入事例を解説します。
- 株式会社ベネッセホールディングス
- 大阪観光局
- 株式会社横浜銀行
株式会社ベネッセホールディングス
ベネッセホールディングスは、2023年4月に社内向け対話型AI「Benesse GPT」を導入しました。このサービスは、Microsoft Azure上で提供するAzure OpenAI Serviceを活用したものです。
同サービスは、業務効率化と生産性向上、新商品サービスの開発・検討を目的として、グループ社員1.5万人向けに提供されています。セキュリティの高い環境のもとでAIチャットを活用できるようになったことで、業務効率の改善や新技術の活用に向けた試験運用につながっています。
大阪観光局
大阪観光局は、訪日外国人旅行者の利便性向上を目的として、2023年10月16日より多言語対応のAIチャットボット「Kotozna laMondo」を導入しました。このシステムは、20言語以上に対応可能で、リアルタイムで観光情報を提供することで、観光案内所やコールセンターの負担軽減を図るものです。
同サービスは、生成AIモデル「GPT-4」の活用により、自然な対話を可能としています。また、独自のプロンプトエンジニアリングとデータベースの活用により、事業者ごとに最適化された正確な内容を返答するように開発されています。
参考:公益財団法人大阪観光局
株式会社横浜銀行
株式会社横浜銀行は、顧客からの一次受電への対応と人材不足という課題を抱えていました。
そこで2023年2月からAI電話自動応答(ボイスボット)「MOBI VOICE」を導入し、事務サービス部融資業務センターでの一次受電業務を自動化しています。
導入後は24時間365日の受付体制を確立し、業務時間を月67時間削減することに成功しました。スピーディーな顧客対応と、従業員の満足度向上につながっています。
対話型AIを導入する際の注意点
対話型AIは、業務効率化やコスト削減などの効果が期待できる一方で、活用時には次のような注意点もあります。
- 著作権侵害の可能性を考慮する
- 回答の精度が低い場合がある
- セキュリティリスクがある
- 導入方法によって機能や安全性が異なる
著作権侵害の可能性を考慮する
対話型AIを活用する際に特に注意しなければならないのが、著作権侵害のリスクです。
対話型AIが出力するコンテンツや情報は、学習に使用されたデータをもとに生み出される仕組みです。そのため、意図せずに既存の著作物と似ているコンテンツを生み出す可能性があります。
2025年4月時点では、AIに学習データとしてコンテンツを読み込ませることは著作権侵害にあたらないと考えられていますが、生成物が著作物と酷似している場合は、著作権侵害とみなされるリスクがあります。
ビジネスに活用する場合は、著作権や商標権などの知的財産権に関して細心の注意を払いましょう。
回答の精度が低い場合がある
対話型AIが適切に設計されていないと、要領を得ない回答や誤った情報を提供してしまう可能性があります。ユーザーが利用するチャットボットの対話能力が低いと、企業やサービスについてネガティブな印象を与えることもあるでしょう。
イレギュラーな事態が起きた場合は、有人対応に切り替える仕組みにしたり、定期的にAIの再トレーニングを行ったりするなどの対策が必要です。
対話型AIを社内でアシスタントとして利用する場合にも、情報が常に正確であるとは限らないため、人間による事実確認や情報の取捨選択が欠かせません。
セキュリティリスクがある
対話型AIには、セキュリティに関するリスクがあります。そのうちのひとつがデータ漏洩です。
入力した情報が対話型AIのサービス提供元のデータベースに登録される可能性があるため、機密情報を入力しないように注意しましょう。
入力した内容をデータベースへ登録しないように設定できるツールもあります。
導入方法によって機能や安全性が異なる
対話型AIを導入する方法は、主に次の3つです。
- 自社で専用のシステムを開発する
- 対話型AIを制作するツールを利用する
- ベンダーが提供する対話型AIサービスを利用する
機能のカスタマイズやセキュリティ対策の自由度が最も高いのが、自社システムの開発です。しかし、初期費用が高額になり、導入までの期間も長くなります。
ベンダーが提供する対話型AIサービスなら、申し込みをするだけですぐに利用を開始できます。一方で、機能や安全性はツールによって異なるため注意が必要です。
導入方法は、コストや安全性、自社のニーズ、予算などを総合的に踏まえたうえで慎重に検討することが大切です。既存のツールやサービスを利用する場合は、開発元の信頼性や口コミを確認すると良いでしょう。
対話型AIを活用してビジネスの課題を解決しよう
対話型AIには、業務効率化やコスト削減などの効果があり、実用化が進んでいます。導入する際は、セキュリティリスクや導入・運用にかかるコスト、提供される情報の精度などを考慮して、慎重にツールを検討しましょう。
ベンダーが提供する対話型AIツールは、初心者でも使いやすい設計になっており、セキュリティ対策も行われているので、最初に導入するAIツールとしておすすめです。
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