コピーライト(Copyright)は、日本語で「著作権」を意味します。著作権法では、「思想や感情が創作的に表現された著作物は著作権によって保護される」と規定されており、著作権者の許可なく著作物の無断複製や使用を行うことはできません。
しかし、Web上に掲載されているデジタルコンテンツは、不特定多数が閲覧・利用できるため、知らないうちに著作権を侵害しているケースは少なくありません。また、自分がWeb上にあげたコンテンツが、著作権侵害を受けるケースもあるでしょう。
本記事では、コピーライトの概要とともに、必要性や正しい書き方、注意点を解説します。コピーライトの正しい知識を学び、著作権保護の参考にしてください。
マーケターが知っておくべき著作権
コピーライト(copyright)とは?
コピーライト(Copyright)は、日本語で「著作権」を意味します。著作権は知的財産権の一種で、日本では著作権法によって定められた権利です。
しかし、何が著作物に該当し、著作権で保護されているのかは、容易に判別しにくいのではないでしょうか。これを解決するのがコピーライトです。コピーライトを表記しておけば、その表現物が著作権で守られていることを伝えられます。
例えば、Webサイトのフッター部分で、「Copyright@2023 〇〇」のような表記を見かけたことはありませんか。これがコピーライトであり、例えば、HubSpotのWebサイトでは次のように表記されています。
ここでの「Copyright」は、「Webサイト内の記事や画像を含む情報の著作権は当社にあるので、無断での複製・加工を禁じます」という意思表示になります。
コピーライトを正しく理解するために、著作物・著作権・著作権者の意味を整理しておきましょう。
- 著作物
思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの
※出典:https://hourei.net/law/345AC0000000048
例:小説・音楽・美術・コンピュータプログラムなど - 著作権
著作物を保護するための権利 - 著作者
著作物を創作する者 - 著作権者
著作権を持っている者
著作権法は、時代の変化に合わせて改定が繰り返されています。特に昨今は、Webコンテンツの普及に伴い、法改正が頻繁に行われています。
そのため、最新の法律がどうなっているかを常に把握しておくことが大切です。著作権の最新情報は文化庁のサイトに掲載されているので、定期的に確認しましょう。
コピーライトと©(コピーライトマーク)について
著作物がつくられると、著作権は自動的に発生します。文化庁などへの登録申請は必要ありません。しかし、Web上のコンテンツは誰でも簡単に使用できてしまうため、著作権で守られているという認識が薄いユーザーが多いのも事実です。
そこで活用したいのが、「©(コピーライトマーク、マルシー・マーク)」です。コピーライトマークは、コピーライトを省略して示す記号のひとつで、著作物に対してすべての権利を主張することを意味します。著作物を無断で使用されて嫌な思いをしないためにも、著作者が自らの著作物に対して、わかりやすい形で権利を主張することが大切です。
コピーライトマーク以外にも、営利目的の使用のみを禁止するマークや改変を禁止するマークなど、著作者が自らの著作物の利用条件を意思表示するためのツールがあります。それらのツールを「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」といい、国際的に使用されています。
コピーライトの表記の必要性
コピーライトの表記は義務ではありませんが、表記によってさまざまなリスクを予防できます。ここでは、コピーライト表記の必要性を解説します。
著作権保持者を明確に伝える
著作物に対する権利の意思表示は必須ではないため、誰が著作権を持っているかが判別しにくいことがあります。その点、コピーライトがあれば、著作権者が誰であるかを明確に伝えられるので、無断使用の抑止力になります。
無断転載禁止の意思表示
コピーライトの表記によって、コンテンツが著作権で保護されている旨を伝えられます。
仮にコピーライトが表記されていなければ、無断使用者から「コピーライトがなかったから複製しても問題ないと思った」と反論されるかもしれません。コピーライトには無断使用のトラブルや言い逃れを防ぐ注意喚起としての役割もあります。
著作物の発行年の明確化
著作権は、原則として著作者の死後70年間保護されます。コピーライトには著作権者だけでなく発行年も同様に表記されるので、著作物の保護期間が明確になります。
期間は、著作者が死亡した翌年の1月1日からの起算です。無名・変名、団体名義の場合は、公表された翌年から計算します。
例えば、あるデザイナーが1999年10月1日に亡くなった場合の著作物の保護期間は、2000年1月1日から起算し、2069年12月末日までとなります。
コピーライトの正しい書き方と注意点
コピーライトには書き方がいくつかあります。一般的には、次の3つを用い、著作権の所在を明記します。
- 「©」の記号
- 著作権者の名称(個人名、企業名)
- 著作物の公開年(西暦)
コピーライトの表記位置に決まりはありませんが、Webページのフッターに入っているケースが一般的です。例えば、HubSpot公式サイトでは、フッターに次のような形でコピーライトを表記しています。
・Copyright © 2023 HubSpot, Inc.
「©」の記号は「Copyright」と同様の意味を持つため、冒頭の「Copyright」が表示されていなくても問題はありません。次のような記載もコピーライトになります。
・© 2023 HubSport, Inc.
©、著作者名、公開年の記載順序は不問です。次のような記載もコピーライトです。
- © HubSpot, Inc. 2023
- HubSpot, Inc. 2023 ©
- 2023 © HubSpot, Inc.
会社名の末尾に記載されている、「Inc.」「Ltd.」「Co.,Ltd.」は、会社の英語表記です。日本の株式会社を示す英単語は存在しないため、特にどれを使っても問題ありません。
著作権者が個人である場合は、著作権者の氏名を記載します。ペンネームを使用しても構いません。
【2023年に個人が作成したブログのコピーライト記載例】
・©2023 ◯◯ Kenichi Tanaka
著作権者が複数名存在する場合は、フルネームで著作権者全員の氏名を表記し、カンマでつなぎます。
・© Yuto Suzuki,Jiro Sato 2023
コピーライトの目的と意味を正しく理解しよう
普段何気なく目にするコピーライトには、著作権について意思表示する役割があります。コピーライトを書く際は、「©」「著作物の発行年」「著作権者の名前」の3つを記載してください。これらの記載によって、著作権者、著作権の保護期間、著作物の対象が明確になります。
Web上に創作物を掲載する場合は、画像そのものやサイトのフッターなど多くの人の目に触れる位置に表記すれば、第三者による無断複製などの権利侵害の予防に役立つでしょう。
ただし、日本ではコピーライトの記載がなくても、著作権は保護されています。他者のコンテンツの無断複製や利用は行わないように注意してください。
Web上にあらゆるコンテンツがあふれる時代だからこそ、コピーライトの知識を身に付けることが大切です。自身の著作権を守るためにも意識を高めていきましょう。