自社メディアの運営を行う際には、無断転載による著作権の侵害に十分注意することが大切です。万が一、他者の著作権を侵害してしまうと、民法や刑法によるペナルティを受ける可能性もあります。
また、他のメディアからコピーしたコンテンツが掲載されているページやサイトは、Google などの検索エンジンからの評価も低くなる傾向があるので注意が必要です。SEO(検索エンジン最適化)の観点からも、コピペチェックは重要な意味を持ちます。
この記事ではコピペチェックの重要性や方法、チェックにおすすめのツールやコピペ発覚時の適切な対処法を解説しています。
コピペチェックとは
コピペチェックとは、サイトに掲載した文章が他サイトからコピーされたものでないかチェックすることです。
コピペに該当する文章を掲載してしまうと、著作権の侵害になるだけでなく、サイトの信用度も下がるため、自社サイトを運営する際はコピペチェックを行った方が良いでしょう。
コピペに該当する行為の例
コピペに該当する行為には、どのようなものがあるのでしょうか。Google ガイドラインの「無断複製されたコンテンツ」では、コピペに該当する行為を次の4つに定義しています。
- 他のサイトのコンテンツをコピーし、独自のコンテンツや付加価値を加えることなく転載しているサイト
- 他のサイトのコンテンツをコピーし、(語句を類義語に置き換えたり自動化された手法を使用したりして)若干の修正を加えた上で転載しているサイト
- なんらかの独自の体系付けやユーザーへの利便性を提供することなく他のサイトからのコンテンツ フィードをそのまま掲載しているサイト
- ユーザーに実質的な付加価値を提供することなく、他のサイトの動画、画像、その他のメディアなどのコンテンツを埋め込んだだけのサイト
出典:無断複製されたコンテンツ
他のサイトに書かれた内容を転載するのはもちろんのこと、若干の修正や語句の入れ替えをしただけでもコピペに該当します。また、他サイトで使用されているグラフや画像、動画などを無断転載した場合も、コピペに該当するため注意が必要です。
コピペ・引用・剽窃(ひょうせつ)の違い
コピペと似た言葉に、「引用」や「剽窃」があります。ここでは、それぞれの言葉の意味を解説します。
引用とは
引用とは、引用元を明記したうえで、他サイトの画像やグラフ、記載内容といった制作物を掲載することです。
読者の理解を促すために、他のサイトのコンテンツを利用したい場合もあるでしょう。引用は、そのような場合に便利です。しかし、正しい方法で行わないと、コピペととらえられてしまう可能性があるので注意しましょう。
掲載した制作物の近くに引用サイトのURLやページ名などを記載して、他のコンテンツに掲載されているものであることを読者に対して明確に伝えることが重要です。
また、引用する場合は文章の省略や画像の編集などを行ってはいけません。引用にはその他にも細かいルールがあるので、こちらの記事も参考にしてください。
剽窃とは
コピペと同様の意味で剽窃という言葉もあり、他人の著作物の一部を盗用することを意味します。剽窃は、論文やレポートなどで使用される傾向があります。Web運営においてはあまり使われない言葉であるため、コピペと同じ意味合いであることを知っておけば問題ありません。
コピペチェックはなぜ必要?
メディア運営を行う際は、信頼性を担保するためにもコピペチェックが欠かせません。ここでは、コピペチェックの必要性を詳しく解説します。
著作権侵害になる可能性があるから
著作権法では、著作物を次のように定義しています。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
出典:著作権法
また、文化庁では次の事項を満たすものを、著作物と定義しています。
- 「思想又は感情」を表現したものであること →単なるデータが除かれます。
- 思想又は感情を「表現したもの」であること →アイデア等が除かれます。
- 思想又は感情を「創作的」に表現したものであること →他人の作品の単なる模倣が除かれます。
- 「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するものであること →工業製品等は原則として除かれます。
- 具体的には、小説、音楽、美術、映画、コンピュータプログラム等が、著作権法上、著作物の例示として挙げられています。
その他、編集物で素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、編集著作物として保護されます。新聞、雑誌、百科事典等がこれに該当します。
出典:著作物について
他者が創作や編集した文章は著作物として著作権法で守られるため、コピペした際は著作権侵害に当たる可能性が高いです。著作権を侵害した場合には、法律に違反して訴訟を起こされるケースもあるため注意しましょう。
SEO上、独自性の高いコンテンツが評価されるから
コピペチェックは、運営するWebメディアがSEO上で高い評価を得るためにも重要です。Google はSEOスターターガイドのなかで、SEOで高い評価を得るための方法として、独自のコンテンツの作成を推奨しています。
新鮮な独自のコンテンツを作成する
新しいコンテンツがあると、既存のユーザーに何度もアクセスしてもらえるだけでなく、新規ユーザーも取り込むことができます。
以下のことは避けましょう。
ユーザーに付加価値をほとんどもたらさない、既存のコンテンツの焼き直し(またはコピー)。
サイト上にコンテンツの複製やほぼ同じバージョンを掲載する。
出典:SEO スターターガイド
独自性の高いコンテンツが作成できているのかどうかを確認するためにも、コピペチェックは重要です。
ユーザーからの信頼度が下がるから
ユーザーがGoogle を利用するのは、自分の課題や疑問を解消するためです。もし、1つの記事で欲しい情報が得られない場合は、別の記事にアクセスして再度情報を探します。
検索の際に、他のサイトと同じ内容が出てきてしまうと、ユーザーはいつまでたっても欲しい情報が手に入りません。ユーザーから不要なコンテンツとして読まれないばかりか、コピペしているサイトとみなされ、検索エンジンからの信頼度が下がる恐れもあるでしょう。
コピペチェックツールの仕組み
コピペチェックを正確に行い、コンテンツの品質を担保するためには、コピペチェックツールの利用がおすすめです。コピペチェックツールは、作成したコンテンツをツールに読み込ませ、インターネット上に同様の文章がないかどうかを確認するためのツールです。
読み込んだ文章内の重要な単語や文節が含まれるWebページを複数取得し、一致率や類似度を自動で判定してくれます。コピペに該当しないかどうかを客観的なデータとして取得できるので、コンテンツ作成の心強い味方になってくれるでしょう。
コピペチェックツールの選び方
一口にコピペチェックツールといってもさまざまな種類があるため、選び方がわからないことも多いでしょう。ここでは、コピペチェックツールの選び方を解説します。
チェック可能な文章量を確認する
コピペチェックツールを利用する際は、チェック可能な文章量を確認してから選びましょう。コピペチェックツールは、1回4,000文字までなど、チェック可能な文章量の上限が決められている場合があります。場合によってはチェックできる文字数が足りなくなることもあるため、作成するコンテンツの文章量に合わせてツールを選択することが大切です。
また、コピペチェックツールには無料版と有料版があります。有料版は無料版よりもチェックできる文字数が多いのが一般的なため、文章量が多いコンテンツを複数作成する場合などは、有料版を利用するのがおすすめです。
低料金・無料プランがあるものから始める
コピペチェックツールの無料版と有料版では、チェックできる文字数以外にも、チェック項目やチェックにかけられる件数が多いなどの違いもあります。ただし、どのようなケースでも有料版の方が適しているとは限りません。
チェックする件数や文字数が少ない場合は、無料版でも十分対応できる可能性があります。
コピペチェックツールを選ぶ際は、まずは無料版や低価格プランがあるものを選ぶのがおすすめです。機能面やチェック文字数などで不都合を感じた場合は、有料版に切り替えましょう。
使いやすさも重視する
コピペチェックツールは、ツールごとに使い方も変わります。
コピペチェックツールを導入する際は、一度使ってみて、なるべく操作が簡単なものを選ぶのがおすすめです。有料のツールを検討している場合は、まず無料版で使用感を確かめましょう。
コピペチェックツール5選
ここでは、おすすめのコピペチェックツールを紹介します。
1. CopyContentDetector
CopyContentDetectorは、無料版でもさまざまな機能が利用できるコピペチェックツールです。1回4,000文字までコピペチェック可能で、回数制限もありません。
WordPressで利用できる有料のプラグインも用意されています。
2. コピペリン
コピペリンは、月々550円または、年間6,600円で利用できるコピペチェックツールです。有料のコピペチェックツールとして、検索回数無制限なのはもちろんのこと、TEXTファイルやCSVファイルなど、さまざまなファイル形式に対応しています。
また、コピペチェックだけでなく、登録した記事同士の一致率や類似率も調べられます。ライターから納品された複数の記事同士を比較して、同じような内容が書かれていないかどうかも確認可能です。
万が一コピペチェックが引っかかった際も、対象のWebサイトと記事全体を比較できるので、修正も簡単に行えます。
3. chiyo-co
chiyo-coは無料で利用できるコピペチェックツールです。クラウド型なので面倒なインストールをせず利用できます。また、解析結果はハイライトで見やすいレイアウトとなっており、一致率の高い文章も同時に閲覧可能です。
ExcelやWordなどのローカルファイルにも対応しているので、さまざまなシーンで活用できるでしょう。
4. こぴらん
こぴらんは、無料のコピペチェックツールです。サイトのデザインがわかりやすく、チェックしたい文字をコピペするだけで簡単にチェックが行えます。検索結果もシンプルで見やすいため、ツール操作が苦手な人でも簡単にコピペチェックができるでしょう。
「ブックマークレット」と呼ばれるショートカット機能を利用すれば、コピペチェックしたい文章を範囲選択し、ブックマークレットを呼び出してクリックするだけで簡単にコピペチェックができます。
5. 剽窃チェッカー
剽窃チェッカーは、無料で利用できるチェックツールです。入力した文字列をGoogle やYahoo!JAPANで自動検索し、検索結果や同一文言を利用するWebページがないかどうかを返す仕組みになっています。中国語やロシア語など多言語にも対応しているため、海外向けのコンテンツ作成にも利用できます。
コピペチェックで引っかかった際の対処法
文章がコピペチェックに引っかかった際は、次の方法で修正しましょう。
一致箇所を特定して書き直す
コピペチェックに引っかかってしまった際は、まず一致箇所を特定して書き直すことが必要です。使用しているツールによっては一致している箇所を詳しく教えてくれるものもあるので、ツールの指し示す箇所に沿って修正を行います。
修正を行う際は、言い換え語句を使用したり、箇条書きを利用したりするなどして情報のまとめ方を工夫すると良いでしょう。あらかじめコンテンツ作成担当者に、言い換え語句がまとめられたサイトなどを共有しておくとスムーズに修正が行えます。
独自性の高いコンテンツを追加する
独自性の高いコンテンツを追加するのもおすすめです。コピペチェックは内容が他のサイトと似ていると引っかかるケースも考えられるので、独自コンテンツを追加すれば解消できる場合もあります。
独自性の高いコンテンツとは、体験談やインタビュー、具体例の提示など、そのサイトでしか掲載できない情報を指します。また、他のサイトでは扱われていないような、専門性の高い情報を追記するのもおすすめです。
著作権に配慮し独自性を高めるためにコピペチェックは大切
著作権を守り、Google やユーザーから高い評価を得るためには独自性のあるコンテンツの作成が欠かせません。実際にGoogle は独自性のあるコンテンツ作成は、SEO上重要であると明言しています。また、独自性がある有益なコンテンツを提供すれば、ユーザーから「ここでしか手に入らない情報がある」と評価してもらうことにもつながります。
作成した記事が「コピペ」という観点で問題がないことを客観的に判断するために、コピペチェックツールを積極的に活用しましょう。