会社のホームページはどことなく威圧的なムードを漂わせていることがあります。
会社のページは、細心の注意を払ってスタイルを確立しており、力強く意思表示をしています。そして常に単刀直入に表現しているかというと、そうではありません。
新しい企業パートナーを探しているプロスペクト(潜在見込み客)にとっては複雑です。プロスペクトは「このウェブサイトという霧の裏側にいる実際の人々はどのような人々だろう?」と想像します。
サイトに「社員紹介」ページやセクションを作成することは、社員の実際の顔を見せることができる、簡単で効果的な方法です。これによりプロスペクトは、これから一緒に仕事をする人々の顔や雰囲気を確認することができます。また、これから入社する人々に対しても、会社が社員を誇りに思っていることをよく伝えることができます。
もしくは最も重要な創造的資源である社員を、会社はどのように紹介するのか、という見方をすることもできます。
クリエイティブな会社の「社員紹介」ページ13例
1)Sub Rosa
マンハッタンを拠点とした戦略およびデザインスタジオのSub Rosaは、一般的な顔写真の掲載方法をやめて、もっと新しい方法を採用しました。
社員にそれぞれ自分を最も表していると思える物を10~12個持ち寄らせ、写真撮影を行い、それぞれの物について簡単な説明をさせました。その後、昔ながらの社員の自己紹介ページの代わりに、その一風変わったプロフィールをサイトに掲載しました。
「自分たちの大切な持ち物と、それらについてのストーリを伝えることで、自分たちの内面をより深く見せているのです。」Sub RosaのCEOであるMichael Ventura氏が、Digidayでそう語っています。
2)Digital Marmelade
社員紹介ページに掲載された社員の略歴は、たいてい統計データリストのような作りになっています(「業界経験10年、勤務年数4年、80のウェブサイトデザイン改変プロジェクトに参加」など)。ですがDigital Marmeladeは、楽しいフォーマットを使用しました。
ロンドンを拠点としたこのマーケティング会社の社員は、トレーディングカードのようなプロフィールで自己紹介をしています。カードにはマーケティング関連の実績、個人的な情報、そしてそれぞれ思いついた架空のスーパーパワーまでもが記載されています。
これは奇抜な手法ですが、社員ひとりひとりの優れた経験と人間的な温かみの両方を見せることができ、訪問者は社員のことがたくさん詰まったスナップショットを見ることができます。
3)Studio Airport
このドイツの会社は巧妙でコミカルな社員の写真を、卒業アルバムの様なスタイルで並べています。
従業員の写真を良く見ると、写真の中の従業員が周囲の従業員にいたずらを始めます。例えば下の段に写っている社員にバケツの水をかける、隣に写っている社員にまぶしい光を当てる、周辺の社員にリーフブロアーで風を当てるなどです。
4)Sagmeister & Walsh
Sagmeister & Walshの社員の紹介文や写真は、一見非常にありきたりのように見えます。ですが写真を1秒間見ていると、社員の表情がはっきりとわからないくらい少しだけ変化します。そのエフェクトはあまりにもわずかで素早いため、見た人は自分の勘違いかもしれないと思うほどです。
社員はそれぞれが違った動きをします。頭を少し傾げて見たり、瞬きをしたりして、その後元の無表情に戻ります。このセクションをスクロールすると、まるで絵画が動き出す不思議な美術館に迷い込んでしまったような感覚に陥ります。
5)Bolden
Boldenの社員紹介ページは、他の会社と比べると、より従来の形に近いものです。Boldenは、新しさよりもスタイルで勝負しているのです。
社員の写真を覗き込むと、カラフルなカードエフェクトを見ることができ、よく調和のとれたフォントで社員の略歴が表示されます。これはミニマルな社員紹介ページの素晴らしい例です。手を加えすぎることなく、スマートに社員を紹介しています。
6)Rock Kitchen Harris
フルサービスの代理店であるRock Kitchen Harrisは、全体的に写真の使用を止めて、社員をイラストで紹介することにしました。
この英国の代理店では、各社員を風刺画で表し、それぞれの人格を映し出しました。一部の社員はLinkedInのプロフィール写真を思わせるようなイラストに、そして別の社員はそこに創造性を加え、映画スターウォーズに出てくるイウォークやその他の架空のキャラクターのようなコスチュームを身に着けています。
7)FCINQ
クリエイティブなスタジオ、FCINQは、カラフルなシャボン玉のコラージュで社員を紹介しています。
社員が入ったシャボン玉にカーソルを移動するとズームインエフェクトが働き、クリックすると社員の顔写真が大きくなるとともに、名前とソーシャルプロフィールが表示されます。この印象的なスタイルは、社員の写真と名前が並んで表示される一般的な社員紹介ページとは全く違うスタイリッシュな選択肢です。
8)Zulu Alpha Kilo
このカナダの代理店では、会社の創設者たちを新鮮なコメディタッチのスタイルで紹介しています。多くの代理店では、会社のリーダーは完全にビジネス調のポートレートを使用して自己紹介しています。ですがZulu Alpha Kiloのリーダーたちは、面白い写真と気の利いた紹介文の使用を選択しました。
ここで紹介している例は、会社の「ウルトラ・チーフ・クリエイティブ・ディレクター・オフィサー」のMarcus Alpha氏の紹介です。
"Marcusは、他のどのディレクターよりもクリエイティブチームに圧力をかけることで有名です。たったひとつの創造性に富んだ本当に突き抜けたアイデアを手にするまで、クリエイティブチームに残業や週末および祝日の休日出勤をさせることも厭いません。そして数週間にわたる拷問のような割に合わない仕事をした結果、とうとう良いアイディアにたどり着くと、Marcusは勝ち誇った態度でクライアントの前に立ち、まるでその日の朝シャワーを浴びているときに思いついたアイディアかのように涼しい顔でプレゼンテーションを行うのです。"
9)Stink Digital
Stink Digitalが社員紹介に使用している、巧妙に色の調整を行ったスライドショーはとても素敵です。
このクリエイティブな代理店は、ニューヨーク、パリ、ベルリンなど世界の5つの主要都市にオフィスを持っています。ですがこの温かみのある「社員紹介」ページがあることで、Stink Digitalへのアクセスが非常に身近なものになっています。だてに自分たちのことを「地域の雰囲気を持った国際的な企業」と呼んでいるわけではないのです。
10)Drexler
Drexlerの「社員紹介」セクションは、社員紹介に丸々1ページを使う必要がないことをよく示しています。ほんの小さなセクションが楽しいトリックとなることがあるのです。
このシンプルで洗練された社員紹介枠は、メリーランド州ボルチモアにあるオフィスの「会社紹介」ページの下部に表示されます。この部分が、会社のウェブサイトに温かみのある歓迎ムードを加えているのです。
11)Unfold
元素周期表にヒントを得た、ノルウェーの代理店Unfoldの「社員紹介」セクションは、ミニマルな作りですが人を飽きさせません。
社員の顔写真は石積みスタイルのレイアウトで並べられ、それぞれが色調を抑えたブロックとなっています。そのエフェクトは洗練されていて近代的です。
12)Push.
ひとつレベルアップした形で社員を紹介できるように、フロリダを拠点とした代理店Push.ではほんの少しのアニメーションを付け足しました。
Push.のリーダーの写真を眺めると、力を示すようなポーズをとります。ほんの小さな味付けのように見えますが、ページの他の部分が従来の形であるがゆえに、視覚的によく目立ちます。
13)Soup
少人数のチームが協力し合いプロジェクトを進めていることを表すため、Soupは相関的な図を使用しました。円形の図は、開発、デザイン、ワークフローの3つのセクションに分けられ、各セクションにカーソルを移動すると、そのセクションの仕事に関わる社員が右側の円形の中に飛び出してきます。
この創造性豊かなスタイルは、Soup.の仕事のプロセスをよく表し、それぞれの社員がどのようにプロジェクトに貢献しているかを見せてくれています。