OMOとは?オムニチャネルやO2Oとの違いや成功事例を解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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スマートフォンの世帯保有率が約8割に到達し、IoT製品やオンラインサービスが普及したことで、アナログとデジタルの境界線はあいまいになりつつあります。そのような時代で、ビジネスを考える上でおさえておきたいキーワードが「OMO」です。

OMOとは?オムニチャネルやO2Oとの違いや成功事例を解説

本稿では、そもそもOMOとはどのような考え方なのか、ビジネスにOMOの考え方を取り入れるメリットや事例をご紹介します。

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OMOの定義とは?

OMOの定義とは?オンラインとオフラインが融合する意味

OMO(Online Merges with Offline)とは、「オンラインとオフラインが融合した社会」のことであり、それをベースにした上でビジネスの優位性や戦略を指す場合もあります。これまで、オンラインとオフラインは別々の世界だという考え方が一般的でした。

しかし、OMOの世界観の中では、人々は所有するデバイスに内蔵されたセンサーやクラウドを通じて常時オンラインにつながっており、完全なオフラインは存在しなくなっています。スマートフォンやスマートウォッチを利用している方であればイメージしやすいはずです。

そのようなモバイル機器だけでなく、IoT技術を搭載した自動運転車やスマート家電、またはARなど、テクノロジーの進化により様々な方面でオフライン空間にオンラインが浸透するような動きが加速しています。

多くの企業はOMOを前提に置き、いかに高度な顧客体験を提供できるかどうかを考える必要があるでしょう。

OMOの概念は、元GoogleチャイナのCEOである李開復(リ カイフ)が提唱し始めたもので、2017年12月のザ・エコノミスト誌で発表されたことで広く認識されるようになりました。李氏はOMOの事例として、中国ではすでに普及しているシェアリング自転車やタクシー配車、デリバリーフードなどのビジネスモデルを紹介しながら、OMOの発生条件について以下の4つを挙げています。

  1. スマートフォンおよびモバイルネットワークの普及。いつでもどこでもデータを取得でき、我々に遍在的な接続性をもたらす。
  2. モバイル決済浸透率の上昇。モバイル決済は少額でもどんな場所でも利用が可能になる。
  3. 幅広い種類のセンサーが高品質で安価に手に入り、遍在する。現実世界の動作をリアルタイムでデジタル化し、活用が可能になる。
  4. 自動化されたロボット、人工知能の普及。最終的には物流(サプライチェーンプロセス)も自動化することが可能になる。

これら4つの条件が満たされることで、「リアルチャネルであってもオンラインで常時接続し、その場でデータが処理されてインタラクションすることが可能になるため、オンラインとオフラインの境界は曖昧になり、融合していく」と李氏は述べています。

オムニチャネル・O2O・OMOの違いは?

オムニチャネル・O2O・OMOの違いは?

OMOとよく混同されやすいキーワードに「オムニチャネル」「O2O」の2つがあります。これらの違いについて確認してみましょう。

そもそもOMOは「オンラインとオフラインを融合した社会」のことを指しており、マーケティング(ビジネス)戦略だけを指すキーワードではありません。一方、「オムニチャネル」「O2O」はマーケティング(ビジネス)戦略を指しており、OMOの方が概念としてより広い範囲を対象としています。

O2O(Online to Offline)とは

O2Oとは、インターネット(オンライン)の情報から、リアルな店舗(オフライン)へ購買行動を誘導するマーケティング戦略を示す言葉です。

スマートフォンの位置情報活用の普及やTwitterやInstagramといったソーシャルメディアや口コミサイト、クーポンアプリの浸透によって、店舗が実施できる販促の幅が広がってきたことがO2Oが注目される背景にあります。

具体的には、実店舗で使用できる割引クーポンをアプリや会員サイトから発行して店舗での販売へつなげたり、位置情報によってターゲティングした広告をプッシュ配信し、店舗来客につなげたりするなどの施策があります。最近ではSNSやスタンプアプリなど、普段の業務で忙しい飲食店や小規模店舗でも手軽に始められるO2O手法が一般化しています。

オムニチャネルとは

オムニチャネルは小売業で広まっている販売戦略の1つで、あらゆる販売・流通チャネルをシームレスに統合、連携させることを指します。オムニチャネルを実現すると、買い手はどの購買チャネルからでも同じように商品を購入、受け取ることが可能になります。

実店舗やECサイト、カタログ通販など、複数のチャネルであっても同じ会員情報が使え、どこでも同じように在庫を確認することができ、どこでも商品を受け取ることができることで、顧客満足度の向上が見込めます。

OMOの目的と「顧客視点」の考え方、そのメリットとは

OMOの目的と「顧客視点」の考え方、そのメリットとは

O2Oの考え方に代表されるように、オンラインとオフラインを分けた考え方は時代遅れになりつつあるだけでなく、そもそも企業目線の考え方であると言えます。なぜなら、顧客である消費者にとって、その企業の商品やサービスを購入するチャネルが「オンラインかオフラインか」は重要なことではなく、その時々で最も便利な方法を選んでいるだけだからです。

企業は徹底した「顧客目線」によるサービスを展開していくためにもOMOの考え方を取り入れていくべきでしょう。

そのためにも、ユーザーとのタッチポイントを多く生み出して顧客に関するデータを可能な限り収集し、そのデータをもとにプロダクトやサービス、そしてUX(顧客体験)をいかに高速で改善できるか、そしてその改善を続けることができるかが今後のビジネス戦略の成否を分けていくことになりそうです。

中国、アメリカ、日本のOMO成功事例

ここからは、各業界におけるOMOの考え方を導入した国内外のビジネスモデルの実践例をいくつか紹介します。

中国の事例:フーマーフレッシュ(盒馬鮮生)

OMOの考え方は生まれた中国の大企業、アリババグループが出資するスーパーマーケットのフーマーフレッシュは、まさにOMOのモデルケースと言えます。

2016年の上海1号店から始まり、2019年には100店舗以上がオープンしています。見た目は生鮮食品を扱う普通のスーパーマーケットですが、オンライン(EC)からでも購入ができることが特徴です。

実店舗は物流倉庫としても機能し、各店舗から半径3km圏内であれば30分以内に配達することを保証しています。

アプリやWebサイトから注文が入ると、店員が注文の品をピックアップし、そのまま配達員が注文主のもとへ届けに行きます。店舗から半径およそ5km圏内であれば30分以内に配達することを保証しており、そのスピード感とアプリから注文できる利便性の高さが、OMOが実現する顧客体験の特徴だと言えるでしょう。

アメリカの事例:ウォルマート(Walmart)

アメリカ小売最大手のウォルマートは、大手ECサービスAmazonに対抗するために多額の資金をOMO施策に投資してきました。その成果の1つが、顧客がWebサイトで購入した商品が店舗で受け取とれる巨大な保管機械である「ピックアップタワー」。

ネット注文時に発行されたバーコードを「ピックアップタワー」のパネルに読み込ませると、5 〜10秒で商品を受け取ることができます。

Amazonの宅配サービスはたしかに便利ではあるものの、本場アメリカでは配送までに時間がかかる「宅配待ちストレス」や、自宅前に置き配された商品が盗まれてしまう「盗難ストレス」、この2つのストレスに消費者は悩まされてきました。

ウォルマートが推奨する「自宅で注文し、店舗でピックアップ」という方式であれば、このストレスを解決することができます。こうしたOMO施策により、コロナ禍に大手小売企業が悩まされる中でもウォルマートは好業績を上げています。

日本の事例:ビームス(BEAMS)

ビームスは輸入およびオリジナルの衣料品や雑貨を販売するセレクトショップで、国内外におよそ160店舗を展開しています。

当初はリアル店舗での会員データと、ECサイトで登録された顧客データ、つまりオフラインとオンラインで別々の顧客データがそれぞれ管理されていました。そこで、2016年に2つのデータベースを統合し、それを一元化することに成功しました。

顧客データを統合した結果、購入されたチャネルに関わらず、個人単位で購買履歴や興味のあるファンションジャンルを把握できるようになり、広告のターゲティングやメルマガ配信など、個別のコミュニケーションが実現できるように。

顧客にとっては商品のサイズ感や手触り、着心地は店頭で確かめ、在庫や別の色がない場合はオンラインから取り寄せたり、逆にオンライン上で商品を事前に選んで、店舗に試着して購入することができるなど、柔軟な購買が可能になり、利便性が格段に向上しました。

OMO成功のポイントはデータの統合と徹底した顧客体験(UX)思考

OMO成功のポイントはデータの統合と徹底した顧客体験(UX)思考

OMOを実現するためには、オンラインとオフラインの顧客データを統合し、そしてそのデータを活用して顧客体験(UX)を向上させるという、グロースハック的な思想が必須になります。

店舗やWebサイト、アプリ、コールセンターなど、顧客とのタッチポイントを増やし、そこから得られた顧客データから新しい企画や施策を生み出してサービスそのものをアップデートしていく過程は、まさしくDX(デジタルトランスフォーメーション)であると言えるでしょう。

「ものづくり大国」という言葉に現れているように、日本の企業はプロダクトを重視するあまり、企業視点で立脚した施策を考えがちです。

しかし、オンラインとオフラインの垣根が融解し、モノ消費からコト消費へと消費傾向が変化するトレンドでは、いずれ顧客からの支持を失うことになるでしょう。逆に、日本の強みである「おもてなし」のような個別対応や心遣いをOMOによって再現することができれば、世界にも通用する顧客体験が実現できるはずです。

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