ERP導入事例から見る成功と失敗のポイント|効率化や生産性向上などの効果を解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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ERPの正式名称は「Enterprise Resource Planning」で、日本語では「企業資源計画」を意味します。ERPを導入すれば企業内の売上や財務状況など情報を一元管理できるようになり、業務効率化やリアルタイムでの情報共有が実現可能です。

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    ERPの導入事例を参考にすれば、自社にあったシステム選びが可能になります。また、ERPの効果を最大化するには、導入後のイメージを持つことも重要です。

    本記事では、5つのERP導入事例と失敗例をご紹介したうえで、ERP導入のポイントを解説します。他部門との連携強化や、業務効率化を実現したい企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

    ERPの導入事例

    製造業や小売販売業など、5つの業種のERP導入事例を紹介します。

    • 川崎重工グループ
    • アクタスITソリューションズ株式会社
    • 株式会社フィッツコーポレーション
    • 株式会社タスク・フォース
    • 医療法人爽神堂 七山病院
       

    川崎重工グループ

    車や航空機などの製造を手掛ける川崎重工グループは、百数十社に及ぶグループ会社で、自社開発の業務ソフトを運用していました。しかし、新規クライアントへのPC導入時の設定や最新OSへの対応などの問題が生じていたため、ERPの導入を検討しました。

    システムの選定基準となったのは、子会社への展開のしやすさ、自社で責任を持って保守・運用できることの2点です。さまざまな製品を比較・検討した結果、これらの条件を満たすASP型の「GRANDIT」の導入を決定しました。

    さらに、システム導入に先駆け行ったのが、勘定科目や取引先などマスタのテンプレート化(主要コードの共通化)、および個別原価管理モジュールなど全グループの共通業務に関する機能の追加開発です。

    ERPシステム導入の結果、当初の課題は解消され、新たなインフラ環境へも容易に対応できる環境が整いました。また、テンプレートの利用によりERPを自社で運用保守できるようになり、PDCAを回すことで効果的な運用を実現しています。

    参照元:川崎重工グループ関連子会社16社へのASP型サービスによるグループ展開事例
     

    アクタスITソリューションズ株式会社

    アクタスITソリューションズ株式会社は、主に会計や人事部向けの業務システムを販売・導入支援・コンサルティングを行うサービス業の企業です。

    タスク進捗管理はExcel、課題管理はExcelとクラウド型のアプリを利用していたもののフォーマットが統一されていない、情報が散在するなどの課題があり、プロジェクト管理に課題を感じていました。

    そこで、容易な操作で進捗を管理できるサービスの導入を検討しはじめます。「HUEプロジェクトボード」のトライアルを利用した結果、直感的な操作が可能で、Excelで管理していたプロジェクトの移行もスムーズに行えたため導入に至りました。

    同システムでは、作業頻度の多い進捗管理とタスク管理に関して履歴が最初に表示されて直近の作業箇所へ容易に戻れるため、作業効率が向上しました。

    また、複数のプロジェクトを一括管理できるため、タスクの進捗状況や担当者の消化状況を容易に把握できるようになり、業務効率も向上しています

    参照元:「HUEプロジェクトボード」でプロジェクト管理を標準化
     

    株式会社フィッツコーポレーション

    株式会社フィッツコーポレーションは、香水やボディケアなど香りに関する商品を企画・販売する小売業の企業です。

    約10年にわたり運用してきたシステムが最新のOSに対応できなくなったことから、システムの移行を検討しはじめました。新システムの選定基準は、法改正や稼働環境に柔軟に対応可能で今後10年間利用できること、標準機能で多様な管理業務をカバーできること、データを一元管理して属人化の解消と業務効率を向上できることなど多岐にわたりました。

    比較検討の結果、「ProActive E2」が採用に至ります。導入の結果、販売管理から会計までのシステムが統合され、経理の業務負担の軽減や、データの一元管理による迅速な原価把握が実現し、業務効率に大きく貢献しました

    また、業務プロセスの標準化により営業に関する入力業務が営業事務に移管されたことで、営業が販売活動に注力できる環境も整いました。

    参照元:株式会社フィッツコーポレーション
     

    株式会社タスク・フォース

    株式会社タスク・フォースは、携帯電話基地局や高速道路のETCの設備工事を行う建設業の企業です。

    同社は、日本各地でインフラ工事を手掛けている一方で、一人経理だったために、紙で届く請求書の取りまとめや仕訳・振込の二重入力の手間などが課題となっており、ERPの導入を検討し始めました。

    一方、同社では、バックオフィス業務全般で「マネーフォワード クラウド」を導入していました。契約プラン内で、「マネーフォワード クラウド債務支払」を利用できたため、試してみたのがシステム導入のきっかけです。

    システムの利用に先駆けて行ったのが、企業名や銀行口座情報などの登録です。一度登録すれば、容易に振込業務を行え、また、取引先ごとの詳細設定なども行えたことから運用に至ります。

    システム導入の結果、振込・仕訳業務の自動化やインボイス番号の一括管理、検索などを容易に行えるようになり、作業時間の大幅な短縮に成功しています

    参照元:「ひとり経理」のお悩みを解決!請求書の受領・支払処理のDX化で、毎月の請求書処理にかかる時間を1.5日分削減
     

    医療法人爽神堂 七山病院

    医療法人爽神堂 七山病院は、精神科医療に携わってきた医療法人です。

    同法人では事業拡大を目指す一方で、紙やExcelによる人事管理が行われており、業務効率化を目指してシステム化の検討をはじめました。新人事制度の施行に伴う考課や過去の情報との整合性など、人事考課の公正性の担保を基準に選定して導入されたのが「GRANDIT」です。

    システム導入に先駆け、人事業務を熟知した技術者による作業支援を実施してデータ移行を行った結果、導入開始より6か月で稼働させることができました。

    システム導入により、基礎情報や各人のスキルを含めた各種人事情報の一括管理を行えるようになり、作業時間の短縮や人事情報管理の効率化、人事考査における公正な判断が実現しています

    参照元:医療法人爽神堂 七山病院
     

    ERP導入の失敗例

    ここからは、ERP導入の失敗例を3つご紹介します。

    • ERP導入に対する目的意識がない
    • 現場のメンバーがERP導入に関与していない
    • 導入後の体制が考えられていない

    失敗例を理解しておき、効果的な運用を目指しましょう。
     

    ERP導入に対する目的意識がない

    ERP導入の失敗例で多いのが、製品の不備やサポート不足よりも、企業内での目的意識の共有不足や運用担当者にとって他人事となっているケースです。

    自社のどのような課題を解決したいのか、どのような効果を得たいのか、などの目的を明確にして社内で共通認識を持って運用することが大切です。各部門で役割を設定し、企業や社員にどのようなメリットがあるかを示すと、ERP運用に対する意識が高まります

    目的が不明瞭なままだと、社員はERPの運用を自分事として捉えられず、定着しない原因となります。競合他社が導入しているから、効率化になるからなど、目的が抽象的になっている場合は注意が必要です。
     

    現場のメンバーがERP導入に関与していない

    ERPは経営の根幹を支える重要なシステムであるため、導入に際してはリーダーシップを取れる経営陣の旗振りが求められます。しかし、実際に運用するのは現場の担当者です。現場の意見を聞かずにトップダウンで導入を進めると、定着しない可能性が高まります。

    事前に説明がなかったりERP導入を受け入れられていないと、反感や不信感が生まれます。ERP導入をスムーズに進めるためには、現場の担当者を巻き込み、プロジェクトチームを立ち上げて全社的に取りくむことが重要です。

    導入後も現場のリーダーが中心となって相互にフィードバックを行い、PDCAを回しましょう
     

    導入後の体制が考えられていない

    ERP導入の成功には、開発元の導入支援担当者とシステムを導入した企業の協力体制が必要です。導入後の体制が考えられていないと、ERPの運用に失敗する可能性が高まるでしょう。

    導入支援担当者に任せきりにするのではなく、社内に定着させるための導入チームを立ち上げてリーダーシップをとることが求められます。導入支援担当者はあくまでもサポート役であり、現場の担当者が製品を理解し運用できる環境を整えることが大切です。

    ERP導入後も活用状況を確認したり、業務プロセスを定期的に見直したりするなど、改善を続けましょう。
     

    導入事例から見るERP導入のポイント

    ここまでの導入事例を参考に、ERP導入の3つのポイントを解説します。

    • 目的の明確化
    • 導入費用やランニングコストの把握
    • 候補となっているERPの導入事例を確認
       

    目的の明確化

    ERP導入の最終的なゴールは、業務効率化や生産性向上です。しかし、ERPは活用の幅が広いため、導入を成功させるには、業務プロセスの改善や標準化を実施したい、部門間の情報共有を円滑にしたいなど、導入の目的を明確にする必要があります。

    導入目的が定まると必要な機能や優先度を決められ、製品の選定基準を明確にできます。また、導入後の活用方法にもブレなくなり、ERP導入による成果を得やすくなるでしょう。

    目的を明確にするには、自社で行っている業務を洗い出し、ERPを導入したい部分を決めることが大切です。
     

    導入費用やランニングコストの把握

    ERPの導入費用やランニングコストは、製品によってさまざまに異なります。高度な機能を備えたシステムほど、高額になる傾向があります。

    また、サポートがオプション仕様であったり、必要な機能が標準搭載ではないために追加費用が発生したりするケースもあるため、将来的なニーズも踏まえたうえで予算を検討しましょう。
     

    候補となっているERPの導入事例を確認

    ERPには、それぞれ得意とするビジネスの規模や業界があります。

    例えば、機能がシンプルで導入コストやランニングコストを抑えやすいERPは中小企業やスタートアップに向いています。大企業の場合は、対応できるアカウント数が多いERPや高度なセキュリティ機能などが必要になるでしょう。

    また、特定の業界に特化したERPも数多く存在します。

    製造業向けのERPで充実しているのは、生産計画や在庫管理に特化した機能です。サービス業向けのERPは、取引先との契約管理や物販管理に便利な機能が多く搭載されています。導入を検討したいERPがあれば、ホームページなどで導入事例を確認しましょう。

    従業員数が近い企業や、同じ業界の企業が導入しているERPであれば、自社のニーズに合っている可能性が高いといえるでしょう

     

    他社の導入事例を参考にしてERPの要件を定義しよう

    ERPはさまざまな種類があり、ビジネス規模や業界、導入する目的によってシステムの選び方が変わります。まずは、自社の経営上の課題を明確にして、ERPを導入する範囲を決めましょう。

    そのうえで、予算やニーズに合ったシステムを選ぶと失敗を防げます。導入の目的や活用方法は、本記事で紹介した導入事例を参考にしてください。

    そして、HubSpotのCRMやSFAは、アプリを使ってさまざまなERPと連携可能です。「HubSpotアプリマーケットプレイス」から必要なアプリを探し、簡単な操作を実行するだけで連携が行えます。

    営業やマーケティングの業務効率化を目指すのであれば、HubSpotの導入もあわせてご検討ください。

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