Excelでは、膨大なデータリストの中から条件に合うデータのみを絞り込む「フィルター」機能があります。特定のデータのみを参照して分析したいとき、昇順・降順に並べ替えたいときなどにフィルターは便利です。
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本記事では、Excel初心者の方向けに、フィルターの追加や設定、解除の方法など基本的な使い方を解説します。業務効率を上げるための応用方法や使用時の注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
Excelのフィルター(オートフィルター)とは?
Excelのフィルター機能を使うと、入力データのなかから、特定の条件を満たすデータだけを抽出可能です。抽出条件は任意で設定ができ、また複数の条件を同時に満たすものだけに絞り込むこともできます。
サンプルとして、架空の売上管理表でフィルター機能を試してみましょう。
この一覧表のうち、AAAA株式会社との取引内容を確認したいとしましょう。現在、「取引先」の欄にはいろいろな社名が混在しているため、AAAA株式会社だけを目視で確認するのは現実的ではありません。
ここでフィルター機能を使うと、取引先に「AAAA株式会社」という特定の文字が入っているものだけを表示させ、ほかの行を一時的に見えない状態にできます。
フィルターをかけることで、ぐっと内容が確認しやすくなりました。もちろん非表示になっている行が削除されたわけではないため、フィルターを解除すればもとの一覧表にもどります。
また、フィルターをかけた状態でさらに別の条件でフィルターをかけ、条件を狭めることも可能です。
Excelのフィルターを表に設定する方法
フィルターは、3ステップで簡単に設定ができます。
絞り込みたいデータがある表に、「フィルター」を追加します。
- フィルターをかけたいデータをすべて選択
- 「データ」タブを開く
- 「フィルター」をクリック
- 表の1行目が見出しとみなされ、各列の1行目に「▼」マークが表示されたらフィルターの設定は完了です。
なお、表内のセルを選択した状態で「Ctrl + Shift + L」のショートカットキーを使うことでも、同様にフィルターの追加ができます。
Excelフィルター機能の基本的な使い方
Excelのフィルターの機能は、大きく分けて「並べ替え」と「絞り込み」の2つに分かれます。
以下がフィルターのメニューです。いずれかの▼マークをクリックすることで表示できます。
並べ替え(昇順・降順)
並べ替えの基本となるのが、昇順か降順の並び替えです。昇順だと上から数値の小さい順、降順だと上から大きい順に並べ替えができます。
今回は、「金額」を降順で並べ替えてみます。
取引金額の大きい順に並び替わりました。
並べ替え(色)
セルの色やフォントの色が複数パターンある場合、色でも並べ替えが可能です。
この売上管理表では商品の松竹梅を色分けしていたため、セルの色で並べ替えができます。
薄い色(梅)を選ぶことで、梅の取引が上に集まりました。
なお注意点として、色の並べ替えでは選択した色が上に集まるのみで、他の色の順番はそのまま保持されます。
色フィルター
ここからは絞り込みの機能を解説します。
色フィルターは、セルの色やテキストの色で複数パターンがある場合、その条件に合う行のみを表示する機能です。
今回は、「商品」から濃い色(松)を選択してみます。
松に該当する取引のみが表示されました。
要素絞り込み
フィルターでは、その列に記入されているすべての要素が抽出されており、デフォルトではすべてにチェックが入っています。
今回は、「受注月」の列で「2」のみを選択してみます。
受注月が2月の取引のみが表示されました。
テキストフィルター
テキストフィルターは、テキストが記入されている列で使用できます。チェックマークの絞り込みだけではまかなえない複雑な条件で絞り込みたいときに、テキストフィルターが役立ちます。
テキストフィルターにカーソルを合わせると、さまざまな条件が出現します。絞り込みたい条件に合わせてクリックしますが、次はどれも同じポップアップが出るため、困ったらいったん「ユーザー設定フィルター」を選択できます。
どれを選んでも以下のポップアップが出るので、条件を選んで記入します。
今回は以下のように記入し、セルに「AAAA」を含んでいれば合致するという条件にしました。2つのエリアがあるため、2つ条件を記入して「AND(どちらも満たす)」もしくは「OR(どちらかを満たす)」でカスタマイズすることもできます。
取引先を絞り込めました。
数値フィルター
数値フィルターは、列内に数値を記入している際に使用できます。
指定の値からどうかという条件以外に、トップテンで絞り込むこともできます。
今回は、取引金額が10,000円より大きいで条件を設定してみます。
「より大きい」を選んだので、10,000円ぴったりを含まずに大きい金額のみに絞り込めました。
日付フィルター
日付フィルターは、列内に日付を記入している場合に使用できます。
日付フィルターでは、かなり豊富な絞り込みの条件が用意されています。
今回は「受注日」を2月で絞り込んでみました。
複数の条件でフィルターをかける
フィルターの条件は、複数の列で設定することが可能です。
例えば以下では、「受注日」を3月で、「取引先」をAAAA株式会社で絞り込みました。2つ以上の列でフィルターを設定すると、どちらの条件にも合致する行のみが表示されるようになります。
フィルターの解除方法
設定したフィルターを解除するには、「データ」タブの下記部分で操作を行います。
絞り込んだ列を元に戻したい場合は、一つひとつ▼から解除することもできますが、戻したい列を複数選択した状態で「クリア」をクリックすることで一気に戻すこともできます。
また、表に適用したフィルター自体を解除したい場合は、押下状態にある「フィルター」を再度クリックします。
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業務効率を高めるフィルター機能の使い方【応用編】
フィルターを使ったデータの絞り込みができるようになったら、ちょっとした応用方法も覚えておくと便利です。
表示されたもののみの合計を算出する
特定の条件で絞り込んだデータの合計値を知りたいときは、フィルター機能を「SUBTOTAL」関数と組み合わせます。
合計値を算出する関数としては「SUM」がよく知られていますが、フィルターをかけた状態でSUM関数を使うと、非表示になっている行も含めて足し算をしてしまいます。フィルターを併用する場合はSUBTOTAL関数を利用しましょう。
今回はまず、取引金額全体を普通に合計してみます。
「I20」のセルに、以下の関数を入れました。
=SUBTOTAL(9,I5:I19)
なお、関数の初めについている「9」は、集計方法を指定するためのもので、「合計値を求める」という意味です。SUBTOTAL関数はリストやデータベース内の表計算を行う関数で、合計の他には平均やカウント、最大値・最小値なども求められます。
まだ絞り込みをしていないので、以下のように全体の合計が出ました。
「個数」を10個以上で絞り込んでみると、該当の3つの行だけが計算に反映されていることがわかります。
絞り込みデータのコピー
フィルターで絞り込んだデータは、絞り込みをした状態のまま別のワークシートなどにコピーできます。
例えば、先ほどの「個数が10個以上」という条件で抽出したデータを見てみましょう。見た目は10,000円以上の取引のみが表示されていますが、10,000円以下の行が消えたわけではありません。そのため、行番号が飛び飛びになっていることがわかります。
この表をコピーして、別のワークシートに貼り付けをすると、フィルターで表示された行のみがコピー&ペーストされます。
貼り付け後は、飛び飛びだった行番号が詰まっていて、10,000円以下の取引は表から消えていることがわかります。
もとの表は残しつつ、抽出したデータだけを保存しておきたい場合は、この方法を活用しましょう。
重複データをフィルターで抽出する
列のなかにまったく同じ値が入っている組だけを抜き出したいときも、フィルター機能が活用できます
「COUNTIF」関数を組み合わせて重複チェックをしましょう。ここでは取引が複数回ある取引だけを抜き出してみます。
まずは空いている列を使って、COUNTIF関数を追加し、重複判定を行います。「J5」のセルに以下の関数を入れました。
=COUNTIF($E$5:$E$19,E5)
これにより、同じ取引先との取引回数がわかります。上記の関数を入れると、オートフィル機能により表の下まで一気にコピーできます。
オートフィルは、セルの右下にカーソルを合わせることで黒十字カーソルになるので、その状態で任意の方向へ引っ張ることで適用できます。
「重複」の列で1のみを除外することで、2回以上取引のあった取引先のみが表示されました。
このように、関数を駆使して新たな列に変数を増やすことで、さまざまな絞り込みが可能になります。
複数人で管理している場合の「他人に影響しない」フィルター設定
OnDriveや社内の共有サーバーに置いてあるExcelのファイルを複数人で管理している、というケースは多くあります。そのような場合、フィルターを適用したまま保存してしまうと次に開いた人が戸惑ってしまうでしょう。
そんなときには、他人に影響しないフィルター設定として「シートビュー」を使用します。
シートビューを有効にするには、いずれかの▼から「シートビュー」→「新しいシートビュー」と選択します。
すると以下のように列番号と行番号が黒くなり、「表示」タブのシートビューが利用できるようになります。
今回は「表示 1」という名前のシートビューにしました。シートビューは複数作成でき、下図のプルダウンから選択できます。
この状態で、「商品」を竹で絞り込みました。
自身には絞り込みを行った状態で表示されていますが、例えば他の人が同時にファイルを開いていても、他の人にはフィルターが適用「されていない」状態で表示されます。
実際の運用では、担当者の名前でシートビューを管理するといいでしょう。
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フィルターを使用する際の注意点
データの整理に便利なフィルター機能ですが、使用時には気を付けなければならない点もあります。ここでは、とくに注意すべきポイントを2つ紹介します。
フィルターが表全体にかかっているか必ず確認
フィルターを設定する際は、必ず該当箇所にかかっているかどうかを確認しましょう。
フィルターの設定は、表をすべて選択していなくても自動で表を検出してフィルターに含めてくれますが、このとき空欄のセルがあるなどの理由で意図した範囲まで含まれていないことがあります。
設定時は、任意の範囲をしっかり選択した上でフィルターを追加することをおすすめします。
コピー&ペーストすると非表示のセルにも入力されてしまう
データを抽出して表示させている時に、後から表へコピー&ペーストでテキストを入力する場合にも注意が必要です。
フィルター機能はあくまでも、視覚的に一部の項目のみを抽出して見えるようにしているだけで、行自体は消えずに存在しています。そのため、データの抽出が適用されている時に、複数行に跨ぐテキストをコピー&ペーストで貼り付けると、非表示になっているセルにもテキストが貼り付けられてしまいます。
例えば、以下のような「要確認」「OK」のセルをそのまま備考欄に貼り付けたいとします。
普通にコピー&ペーストすると、以下のようになってしまいました。これは、非表示になっているセルにも一緒にペーストされたために起こります。
フィルターの絞り込みを解除してみると、しっかりと貼り付けされていることがわかります。
本来、入力する予定のなかったセルにテキストが入力されてしまうといったトラブルにつながるため、データ抽出時の表内へのコピー&ペーストは避けましょう。
また、抽出が適用されていると気づかず誤って貼り付けてしまう恐れもあるため、表内にデータをまとめて貼り付けたい場合は、一度フィルターの設定ごと解除しておくと安全です。
Excelのフィルター機能を活用し、さらなる効率化を
エクセルのフィルター機能を使いこなすことで、求めるデータを洗い出す作業が効率的に行えるようになります。目視で確認するよりも早く正確なので、浮いた時間は顧客とのコミュニケーションを密にしたり、さらなる効率化のためのアイデアを考える時間にしたりと、有意義な使い方ができるはずです。
また、社内でExcelのノウハウを共有すれば、会社全体の労働環境改善やサービスの向上にもつながります
まずは本記事で紹介したフィルター機能の使い方をマスターすることから始めてみてはいかがでしょうか。
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