Excelのグラフをマーケティング資料で使うときに、デフォルト設定のグラフで妥協したくなりませんか。上司もグラフの細かな見た目までは気にしないし、自動生成のグラフで大丈夫だろうと思いがちです。
ですが、実はその認識は考えものです。データを使うのは、行動を促すためのはず。たとえば上司が相手なら、インバウンドマーケティングの導入、予算の増額、戦略の軌道修正など、こちらからの提案にイエスと言ってもらうことが目的です(関連記事はこちら:The Data You Need to Make a Compelling Case for Inbound Marketing)。そのためには、データに説得力が求められます。見た目がお粗末では、データの意味は伝わりません。
データの説得力を高めるためには、Excelのグラフにカスタマイズが不可欠です。ただしカスタマイズといっても、決して大々的な修正ではありません。ほんの少し手を加えるだけで、グラフの見やすさと印象は格段によくなります。
ここからは、グラフの効果を引き出すためのExcelの使い方について、10個のヒントをご紹介します(関連情報はこちら:How to Use Excel: 14 Simple Excel Shortcuts, Tips & Tricks)。
【初心者向け】Excelでの表作成や関数が学べる基礎ガイド
基本的な操作方法から、表やグラフ、利用頻度の高い関数の活用方法を初心者でもわかりやすいよう解説。
- シートの操作方法
- 関数の使い方
- ピボットテーブルの活用方法
- 実践用Excelテンプレート
今すぐダウンロードする
全てのフィールドが必須です。
注意:私はExcel for Mac 2011を使っています。ExcelのバージョンやOSが異なる場合、操作方法や結果が多少異なるかもしれません。
Microsoft Excelでグラフのデザイン性を向上させるための10のヒント
1)グラフの種類を適切に選ぶ
グラフの細かなデザインを修正する前に、まずはグラフの種類自体が適切かどうかを考えなくてはなりません。データで伝えたい情報に応じて、棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフなど、選ぶべきグラフの種類は異なります。
狙いどおりの情報を伝えるためには、最適なグラフを選ぶのが先決です(関連記事はこちら:Data Visualization 101: How to Choose the Right Chart or Graph for Your Data)。
棒グラフと円グラフは、要素の比較対照に適しています。一般に、円グラフでは、全体を構成する各要素を比較します。一方、棒グラフは、あらゆるものの比較に適しています。したがって、ひとまず棒グラフを使うのが無難です。要素ごとの微妙な大小の違いは、棒グラフを使う方がわかりやすく表現できます。
いずれか1つの要素が他と比べて突出している場合には、円グラフが最適です。
具体例で見てみましょう。下の図のA~Cは、それぞれ同じデータを円グラフと棒グラフで表したものです。
画像クレジット: Wikimedia
折れ線グラフは、棒グラフの上端を線で結んだような見た目ですが、時の経過に応じたデータの推移を示すのに適しています。同じ時間枠で複数の値の推移を示すこともできます。いずれにせよ、折れ線グラフで肝心なのは、時間が関係していることです。
Excelで、この3種類のいずれかのグラフを作成するには、グラフ化するデータを入力したセル範囲を選択し、ウィンドウ上部の 「グラフ」(バージョンによっては「挿入」>「グラフ」)を選択して、適切な種類のグラフを選択します。
2)ひと目で伝わるように棒グラフのデータを並べ替える
棒グラフを使うときに、このテクニックは絶大な効果を発揮します。たいていの棒グラフは次のような見た目をしています。
画像クレジット: Search Engine Land
このグラフは、少し雑然とした印象です。他の項目とかけ離れた値はどれかと考えるときに、コンマ何秒か余計にかかってしまいます。そこで、値が大きい順にデータを並べ替えてみるとこうなります。
画像クレジット: Search Engine Land
横棒グラフなら長い棒が上に、縦棒グラフなら長い棒が左に来るようにしましょう。そうすれば、横書きの文章を読むときの目の動きと一致して、自然に感じられます。(言語の種類や文の方向によっては、順番が異なるかもしれません)。
Excelでは、データを大きい順に並べ替えれば、グラフの項目の順番も変わります。「データ」>「並べ替え」から、並べ替えの方法を選択してください。
3)Y軸のラベルは短くする
Y軸のラベルが、たとえば大きな値などで、桁数や文字数が多いと、雑然とした感じになります。下のグラフはその例です。
この場合、次の方法でラベルを短くできます。まず、Y軸のラベルのいずれか1つを右クリックし、ポップアップメニューから「軸の書式設定」をクリック。次に、左側から「表示形式」を選択し、カテゴリの一覧から「ユーザー設定」を選択します。(「シートとリンクする」が選択されている場合は、そちらを解除しないと、「ユーザー設定」を選択できません)。
下の例のように、表示形式コードに「\$0,, \m 」と入力し、「OK」をクリックして閉じます。
これでグラフがすっきりします。
4)背景の線をなくす
グラフによっては、1つ1つの値を細かく吟味するというよりも、全体を大まかに比較することが目的の場合があります。各データ値の厳密な値を示さなくても、全体の傾向さえ伝われば十分というケースです。
全体像に目を向けてもらうという観点で言えば、グラフの背景に自動で表示される線は無用の長物です。この背景線をなくせば、情報を俯瞰的に捉えてもらいやすくなります。
背景線をなくすには、「グラフレイアウト」>「目盛線」を選択し、「横軸目盛線」と「縦軸目盛線」で「なし」を選択します。
5)折れ線グラフのデフォルトの余白をなくす
Excelで折れ線グラフを作成すると、デフォルトでは、下図の左側の例のように、先頭のデータ値の左と末尾のデータ値の右に余白が入ります。この余白をなくすと、下図の右側の例のようになり、見た目がよくなります。
画像クレジット: Andrew Roberts
この余白をなくすには、横軸をダブルクリックして「軸の書式設定」ウィンドウを表示し、「軸のオプション」で「軸位置」を「目盛」に変更します。
画像クレジット: Andrew Roberts
6)不要な視覚効果をなくす
Excelに標準で用意されているグラフには、影、枠線、回転など、デフォルトで視覚効果や装飾が設定されているものが数多くあります。しかし、情報を伝えるという面では、このような装飾は逆効果になりがちです。すべてなくしてしまいましょう。
グラフを右クリックして、「グラフエリアの書式設定」を選択し、不要な視覚効果や装飾をすべて削除してください。
7)3D効果は厳禁
この話は、前の項目に含めてもよかったのですが、グラフの視覚効果として3Dは特に乱用されていることから、独立した項目として注意を促すことにします。
棒グラフや折れ線グラフ、円グラフの見た目に凝ろうとして、3Dにする人がかなりいますが、実際にはデータが見にくくなるだけです。傾いて見える分、情報を正確に読み取れなくなってしまいます。
お粗末なデザインのせいで、情報の全体像を伝えるという目的が果たせないとしたら残念です。たとえば、下の円グラフを見ると、2Dと3Dで印象が異なるのがわかります。
画像クレジット: visual.ly
画面上で各要素が占めている領域の本当の面積を比べてみると、3Dグラフが与える印象と実際のデータに差があるのがよくわかります。
画像クレジット: visual.ly
グラフの3Dスタイルを解除するには、対象の棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフのセクションをダブルクリックして、「3-D書式」を選択し、「上」も「下」も「なし」に設定してください。
8)不要な凡例は削除する
凡例がなくても、グラフを見ればその意味は一目瞭然という場合があります。系列や要素の数がかなり多いのであれば、凡例にも存在意義はありますが、2~3件のデータを比べるだけならほとんど無意味です。削除してしまいましょう。
凡例を削除するには、凡例のボックスをダブルクリックして、キーボードのDelキーを押すだけです。
9)会社のイメージカラーを使う
Excelがデフォルトでグラフに設定する色は、あまりパッとしません。これを簡単に向上する方法の1つとしては、あなたの会社やブランドのイメージカラーに合わせるという手があります。細かな工夫ですが、スマートで洗練された印象を与えられます。
会社のイメージカラーとまったく同じ色を設定するには、まずイメージカラーの16進のカラーコードを調べてから(関連記事はこちら:マーケティング担当者が知っておくべき63のウェブデザイン用語)、カラーコード変換ツールを使って、16進をRGBに変換してください(参照情報はこちら:Color Converter)。
そのうえで、Excelのグラフで色を変えたい部分をダブルクリックし、「塗りつぶし」を選択して、「色」>「その他の色」を選択します。
表示されたポップアップウィンドウで、左から2番目にあるスライダーのアイコンを選択します。ドロップダウンで「RGBスライダー」を選択し、先ほど変換で得たRGBの値を入力してください。これで、まったく同じ色をグラフに設定できます。
10)折れ線グラフの下部を塗りつぶす
折れ線グラフで、線の下の部分を塗りつぶしたものを見たことはありますか。こうすると、くっきり目立つグラフになります。
画像クレジット: Andrew Roberts
折れ線グラフの下をこのように塗りつぶすには、別のデータ系列を加えるという小技が必要です。それには、折れ線グラフのデータの表で、Y軸にプロットされる一連のデータ要素(この例では金額の値)を選択します。次に、そのデータをコピーして、すぐ下の行に貼り付けてください。これで、まったく同じ値を持つデータ系列が2つできます。
次に、グラフを選択してから、データ値の範囲として、一連の同じ値が2つ並んだ部分を選択してください。下の図でいうと、青色で囲んだ部分です。
画像クレジット: Andrew Roberts
するとグラフ上では、当初の折れ線と重なる形で、別の色(この例では赤)の折れ線が表示されます。この折れ線をクリックして選択し、右クリックのポップアップメニューで、「系列グラフの種類の変更」を選択します。
表示されたウィンドウで、「面」というカテゴリの最初のグラフを選択します。
画像クレジット: Andrew Roberts
この時点でグラフは次のようになります。
画像クレジット: Andrew Roberts
次に、塗りつぶされた領域(この図では赤色の部分)をダブルクリックすると、「データ系列の書式設定」メニューが表示されます。左側で「塗りつぶし」をクリックし、「塗りつぶし(単色)」を選択。「塗りつぶしの色」で折れ線と同じ色を選択し、透過性を設定します。透過性はお好みの値でかまいませんが、66%がきれいに見えます。
続いて、「枠線の色」で 「線(単色)」を選択し、「塗りつぶしの色」で同じ色と透過性を選択します。
編集メモ:この記事は、 2015年9月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Ginny Mineoによる元の記事はこちらからご覧いただけます。