Excel Online(エクセルオンライン)とは、無料で利用することができるExcelのクラウド版です。Excel Onlineは、ブックの共有ができたりアンケート機能を使えたりと、従来使用されてきたデスクトップ版アプリケーション(以下、デスクトップ版アプリ)にはないメリットが多数あります。
【初心者向け】Excelでの表作成や関数が学べる基礎ガイド
基本的な操作方法から、表やグラフ、利用頻度の高い関数の活用方法を初心者でもわかりやすいよう解説。
- シートの操作方法
- 関数の使い方
- ピボットテーブルの活用方法
- 実践用Excelテンプレート
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全てのフィールドが必須です。
特に、複数人が関わるプロジェクトの場合、Excel Onlineであれば他のユーザーとの共同作業も可能になります。
本記事では、Excel Onlineの基本的な使い方やデスクトップ版アプリのExcelとの違いを解説します。
Excel Onlineの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
Excel Onlineとは?
Excel Onlineとは、クラウド版のExcelです。マイクロソフトアカウントがあれば無料で利用可能、オンライン環境が整っていればどこでも作業できます。また、オフライン環境でも一部機能は使用できます。
Excel Onlineは、PCにデスクトップ版アプリのOfficeがインストールされていなくても無料で利用できる点が特徴です。他にも、Word Online、PowerPoint Onlineなどがあり、まとめてOffice Onlineとして提供されています。
複数人による同時編集、共有が可能で、編集内容はほぼリアルタイムに反映されます。また、自動でデータが保存されるため、データが消えてしまうといった危険性もありません。
Excel Onlineのデータは、Microsoftのオンラインストレージサービス「OneDrive」に保存されます。OneDriveは無料版だと5GBの容量があり、より多くの容量が必要な場合は100GBや1TBの有料プランを利用します。
Excel Onlineを使用していて使いにくさや機能の不足を感じた場合は、デスクトップ版アプリの利用を検討しましょう。
デスクトップ版は、Microsoft Officeのパッケージ製品を購入するか、常に最新のOfficeアプリケーションが利用できるサブスクリプションサービス「Microsoft 365」を購入することで利用できます。
なお、デスクトップ版アプリのExcelの使い方に関しては、以下の記事にて詳しく解説しています。
Excel Onlineの始め方
Excel Onlineを利用するには、下記の2通りの方法があります。
- products.office.comから開始する方法
- OneDriveから開始する方法
1つ目のproducts.office.comから開始する方法は、ウェブブラウザでproducts.office.comにアクセスし、マイクロソフトアカウントを作成して開始する方法です。
無料でマイクロソフトアカウントを作成しサインアップすると、Excel Onlineが利用できるようになります。
2つ目のOneDriveから開始する方法は、ウェブブラウザでOneDriveを開き、保存済みのExcelを選択するか、新規作成する方法です。
1つ目・2つ目どちらの方法でも、マイクロソフトのアカウントが作成された時点で5GBの無料OneDriveが利用できるようになっています。Excel Onlineだけでなく、Word OnlineなどのデータもOneDriveに保存されるため、以降はOneDriveからアクセスするようにすると便利でしょう。
なおOneDriveからExcel Onlineの新規ファイルを作成するには、左上の[新規]から[Excelブック]を選択すればOKです。フォルダ分け・ファイル整理もOneDrive上で行えます。
デスクトップ版Excelをすでに利用している場合
既にデスクトップ版アプリのExcelを利用しており、作成したスプレッドシートをExcel Onlineに移動するには、OneDriveを使用します。こちらにも2通りの方法があります。
- OneDrive.comを開き、ExcelファイルをPCからOneDriveにドラッグ&ドロップする
- OneDriveアプリをインストールし、OneDriveフォルダーにExcelファイルをコピーして同期する
ただし、1の方法では、Excel Onlineとデスクトップ版アプリのExcelが同期されないため、Excel Onlineで編集した内容がデスクトップ版アプリのExcelの同じファイルに反映されません。そのため、Excel Onlineとデスクトップ版アプリのExcelを併用する場合は、通常2の方法が用いられます。
2の方法であれば、Excel Onlineで加えた編集が、デスクトップ版アプリのExcelの同じファイルに反映されます。その逆も同様です。
Excel Onlineの基本的な機能
Excel Onlineの基本機能を5つご紹介します。
- ブック共有
- PDF出力
- 変更履歴の確認
- 印刷設定の変更方法
- コメントの追加
順番に解説します。
ブック共有
ブック共有とは、特定のExcelファイルを複数人で共有、編集できる機能です。デスクトップ版のExcelでも可能ですが、Online版ではより手軽に共有しやすくなっています。
- 右上の「共有」をクリックします。
- ペンマークをクリックし、「編集可能」か「表示可能」を選択しましょう。
「編集可能」を選択すると、ブック共有した相手がファイルの編集が可能になります。
「表示可能」を選択すると、ブック共有した相手はファイルの編集ができず、閲覧のみ可能となります。 - 「リンクのコピー」をクリックします。
- 「コピー」をクリックします。
- コピーしたリンクをブック共有したい相手に教えます。
以上でブック共有ができます。ブック共有された側は、教えてもらったリンクをクリックするとファイルにアクセスできます。
なお、OneDrive上に共有連絡先が登録されていれば、宛先を選択し、メッセージを追加して共有することも可能です。
PDF出力
PDF出力機能を使うと、Excelファイルをpdfファイルとして出力できます。
- 「ファイル」タブをクリックします。
- 「エクスポート」をクリックし、「PDFとしてダウンロード」を選択します。
- 任意のページ設定を選択し、「エクスポート」をクリックしましょう。特に変更がなければ、デフォルトの設定のままで問題ありません。
変更履歴の確認
過去のバージョンに戻ったり、誰が編集を行ったか確認したりできます。
- 「ファイル」タブをクリックし、表示された項目のなかから「情報」をクリックします。
- 「バージョン履歴」をクリックします。
- 画面にバージョン履歴が表示されます。最終更新時間と編集を行ったユーザー名が表示され、クリックすることで過去のバージョンが表示されます。過去のバージョンのコピーを作成することも可能です。
印刷設定の変更方法
続いて、印刷設定を変更する方法について解説します。Excel Onlineの印刷設定では、下記の3種類の印刷ができます。
- 作業中のシート
- ブック全体
- 現在の選択範囲
- 「ファイル」タブをクリックします。
- 「印刷」をクリックし、「印刷」を選択します。
- 印刷する場所を選択します。下記の3つのうち好きな印刷方法を選択しましょう。
- 作業中のシート:現在表示中のシートを印刷する場合に選択します。
- ブック全体:現在開いているファイル全体。シート全てを印刷する場合に選択します。
- 現在の選択範囲:現在選択中のセル範囲のみ印刷する場合に選択します。
以上で印刷設定の変更ができます。
コメントの追加
コメントの追加とは、Excelスプレッドシート内にコメントを追加できる機能です。 主に、ブック共有をしている相手に記載されたデータの意味を伝えたり簡単な説明を残したりする場合に使用します。
- コメントを追加したいセルを選択し、右クリックで「新しいコメント」をクリックします。
- コメントを追加し、送信ボタンをクリックします。黒く塗りつぶされた部分には、コメントを記入する人の名前が表示されています。
以上でコメントの追加ができます。コメントが追加されたセルを再び選択すると、下記のように追加したコメントが表示されるようになります。
スマホアプリ版から閲覧・編集
Excelは、オンライン上のExcel Onlineとローカルのデスクトップ版アプリで同じファイルを編集できますが、スマートフォンからも同じように閲覧・編集が可能です。
Android版Excelは以下のような見え方になります。
スマホの画面回転ロックを解除し、横向きにすると、PCでの見え方と近くなり使いやすくなる可能性があります。
Microsoftでは、使用しているデバイスに関係なくすべての機能、書式、数式が同じように動作すると述べており、デバイスによる使い勝手の差はあれど機能性はPCでの使用と変わらないと言えるでしょう。
なお、スマホ版Excelはオフライン環境でもある程度普段通りに編集ができます。自動保存がされないなど注意点はありますが、具体的に以下のことができます。
- ファイルを作成する
オフライン環境でも、新しいファイルを作成し、編集することができます。オフラインで作成されたファイルは、オンラインになったときにアップロードが行われます。
なお、テンプレートから作成するにはオンライン環境である必要があるため、空白のブックから作成することになります。
また、オフライン環境ではオンラインでのみ使用できる一部のフォントが使用できなくなります。 - ファイルを開く
既存のファイルの場合は、最初にオンラインの状態でファイルを開いておけば、その後オフライン環境でも開いた状態で使用できるようになります。 - ファイルを保存する
- オフライン環境でも、Excelのファイルをスマホのローカルフォルダに保存することができます。
Excelの基本的な操作方法
ここでは、デスクトップ版ExcelとExcel Onlineとの共通として、Excelでよく使う基本的な操作をご紹介します。
表
表は、Excelの機能の最も基本的なものです。
表を作るには、横軸と縦軸、それからデータを記入していきます。以下は、月ごとの営業担当者の営業成績のデータを示したものです。
合計を記入するには、関数を使ってみましょう。関数には計算を行うためのさまざまなものが用意されており、以下は最も基本となる「合計」の関数です。
「=sum(D4:G4)」と記入することで、セルのD4からG4までの数値を合計した値を返します。
表を作ったら、視認性を高めるために装飾をしてみましょう。
以下では、罫線を入れてみます。[ホーム]タブの格子マークから、[すべての罫線]を選択すると以下のように罫線が入ります。罫線は色や線の種類を変更することもできます。
フィルター
フィルターとは、表の並び替えや条件に合う行だけを表示するなど、表の管理をしやすくするための機能です。使用するには、表全体を範囲選択し、フィルターマークから[フィルター]をクリックします。
1月、2月などの項目に▽マークがつくので、それをクリックすることでさまざまな表示/非表示やソートが可能になります。
条件付き書式
条件付き書式は、設定した条件に合ったセルのみを装飾したり、数値をデータバーで視覚的にわかりやすくしたりする機能です。
使用するには、設定したい数値部分を範囲選択して下図のマークから[新しいルール]をクリックします。
表示されるメニューから、さまざまな条件を設定できます。
下図では、「セルの値が7000より大きいとき」の条件で書式を変更するルールを設定しています。書式変更のフォントや色を変えたり、数式を設定して細かく条件を付与したりすることも可能です。
関数
前章でもSUM関数を紹介しましたが、関数とはさまざまな計算式を用いて表の機能を拡張するものです。
指定した範囲の合計を出すSUM関数の他には、指定した範囲の平均値を出すAVERAGE関数、条件を指定して出し分けを行うIF関数、表から特定の値を検索して抽出するVLOOKUP関数などがあります。
関数については、以下コラムをご覧ください。
グラフ
グラフは、表の情報を可視化してわかりやすさを増すために重要な要素です。棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなど、主要なグラフはほとんど利用できます。
グラフを挿入するには表全体を範囲選択し、[挿入]タブから[おすすめのグラフ]を選択します。
今回は、おすすめの中から一番上の棒グラフを選択します。
挿入されたグラフは、グラフのタイトルや各数値・指標の書式設定、グラフのデザインなどを細かく変更できます。
今回ご紹介したExcelの基本操作については、以下コラムにて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
オフライン時に利用できるExcel Onlineの機能
Excel Onlineは基本的にオンラインでの利用を想定していますが、一部の機能はオフライン環境でも使用できます。
オフライン環境のExcel Onlineでファイルを編集するには、まずオンライン時にファイルを開いておく必要があります。その後はオフラインになっても、ある程度の編集は可能です。
ただし編集内容はその場では保存されず、次にオンラインになったときに保存されます。オンラインになる前にファイルを閉じると、編集は破棄されます。
なお、一度開いておいたファイルは編集できますが、新たにファイルを作成する、既存のファイルを開く、ファイルを保存するといった操作はオフライン環境ではできません。
Excel Onlineとデスクトップ版アプリの違い
ここでは、Excel Onlineとデスクトップ版アプリのExcelとの違いを解説していきます。それぞれの違う点をまとめると下記の通りです。
関数
Excel Onlineとデスクトップ版アプリのExcelでは、関数の動作が異なることがあります。具体的には下記の通りです。
大半の関数の挙動は同じですが、一部動作が異なる関数があると覚えておきましょう。
なお、Excelで使用できる関数については以下の記事にてご紹介しています。
マクロ
Excel Onlineでは、マクロの作成、実行や編集をすることはできません。
ただし、マクロを含むブックを複製して編集することは可能です。そのため、マクロの作成や実行、編集を行うためにはデスクトップ版アプリのExcelが必要になります。
Excelのマクロ機能について知りたい方は、以下の記事を参照してください。
ワークシートの保護
Excel Onlineでは、ワークシートの保護や解除ができません。
そのため、ワークシートを保護したい場合や保護を解除したい場合はデスクトップ版アプリのExcelを使用する必要があります。
ストック画像など
デスクトップ版アプリのExcelで使用できるストック画像、オンライン画像、アイコン、3Dモデルなどは、Excel Onlineでは使用できません。
図の編集
デスクトップ版アプリでは図をかなり自由に編集できますが、Excel Onlineではほとんど編集できず、拡大や縮小程度に留まります。
グラフの種類
豊富な種類のグラフを使用できるデスクトップ版アプリと違い、Excel Onlineではグラフの種類が限られます。
保存
デスクトップ版アプリではOneDriveに保存していれば自動保存をオンにしたりオフにしたりできますが、Excel Onlineでは自動保存はオフにできないため、保存せずにファイルを閉じるという操作はできません。
CSVファイル
コンマ区切りデータの保存に使用されるCSVファイルは、デスクトップ版アプリのみの機能となります。
Excel Onlineに関するQ&A
Excel Onlineのよくある質問を、解決方法と合わせて紹介します。
表示の拡大縮小はどうやればよいですか?
Excelのインストール版では、コントロールキーとマウスホイールでシートの拡大および縮小ができます。
Excel Onlineの場合も同様のショートカットキーでシートの拡大縮小が可能です。
読み取り専用になって編集できないときの対処法は?
ファイルが読み取り専用になっていると編集できず、表示または印刷しか行えません。ファイルが読み取り専用になる原因は、いくつか考えられます。
- 保存先のプロパティ上で読み取り専用の属性が付与されている
- OneDriveの保存スペースが不足してしまい保存できない
- 誤操作で読み取り専用モードでファイルを開いている
ひとまずファイルをダウンロードしてからプロパティを確認したり、OneDriveの不要なファイルを削除して保存スペースを確保したりなど、原因に基づいて対処することで編集できる状態になります。
それでも解決できない場合は、PCの再起動やインターネット接続の確認を行ってください。
MacでもExcel Onlineを使えますか?
Excel Onlineはウェブブラウザ上で利用できるアプリです。インストール版は利用できるOSを限定していましたが、Excel OnlineはMicrosoft EdgeやSafari、Chrome、Firefoxといったウェブブラウザに対応していれば利用できます。
上記のブラウザを介せば、MacでもExcel Onlineは利用可能です。
Excel Onlineを活用し、より円滑に仕事を進めよう
Excel Onlineには、デスクトップ版アプリのExcelにはないメリットが多数あります。特にメリットとして挙げられるのは、他ユーザーと同一のシートを同時編集できるなど、情報のやり取りをスピーディに行える点でしょう。
更新するたびにファイル名を変えるなどのバージョン管理の手間も削減できるので、スピード感を重視する場合は重宝します。
また、無料で利用できるため、デスクトップ版アプリのExcelのようにイニシャルコストがかかることもありません。
本文で紹介したとおり、デスクトップ版アプリに比べると利用できる機能は少なくなっているので、オンラインに移行する場合はしっかり要件を確認しておきましょう。
なお、様々な使い方があり便利なExcelですが、膨大な情報量を扱う顧客情報やプロジェクトなどの進捗管理には向かない面もあります。
より効率よくこのような膨大なデータを管理したい場合は、高度な顧客管理機能(CRM機能)を備えたHubSpotの導入をご検討ください。
HubSpotのCRM機能では、顧客情報を管理するだけでなく、取引内容のトラッキングやレポート作成機能を使うことで成約数の向上や大規模なチームの管理などができるようになります。