国内のFacebook月間アクティブユーザー数は2,600万人(2019年7月公表)を突破し、企業のプロモーションに欠かせない存在になっています。アプローチできるユーザーが多いからこそ、どのようにターゲティング(Facebook広告ではオーディエンス)するかが費用対効果の高いFacebook広告キャンペーンを展開する鍵となります。
基礎と事例を解説!Facebook広告完全ガイド 2021年度版
このガイドではFacebook広告の目的やメリットだけではなく、広告の構造や料金体系、関連ツールなどについて詳しく解説しています。ぜひご活用ください。
- Facebook広告の目的とメリット
- 広告の種類や料金体系
- わかりやすい出稿方法
- Facebook広告の活用事例
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全てのフィールドが必須です。
Facebookでは実名登録が基本となっているため、広告のターゲティング設定も非常に柔軟です。
今回は、効果的なFacebook広告運用のためのターゲティングの基礎知識、設定方法についてわかりやすく解説します。
Facebook広告の基本的な仕組みとオーディエンス
ターゲティングの話に入る前に、まずはFacebook広告の全体構造を確認しておきましょう。
Facebook広告は3層構造になっており、アカウントの中に「キャンペーン」、その下の階層に「広告セット」、さらに一つ下の階層に「広告」という項目があります。
Facebook広告ではターゲットのことを「オーディエンス」と呼び、オーディエンスが広告を配信する対象の大枠になります。オーディエンスを設定することで、関連度の高いユーザーに配信され、3種類のオーディエンスを活用すれば、さらに配信対象を絞り込むことが可能です。
キャンペーンでは、広告の目的ごとに設定を行います。例えば「認知度の向上」や「トラフィックの向上」などがあり、極論をいえば、ずっと認知度の向上だけを目指したいのであればキャンペーンは1つだけでも問題ありません。運用体制やフローの都合でキャンペーンを分けることもできます。
広告セットでは、予算や掲載期間、オーディエンスなどを設定します。この下層で複数の広告を設定できますので、それらの広告をどう配信するのかを広告セットで設定するイメージです。別々のオーディエンスに広告を配信したい場合、広告セットを分けることになります。
広告では、画像や動画、テキストなど実際にユーザーに表示される広告を作っていきます。
本記事で扱うオーディエンスは、広告セットにて設定を行います。Facebook広告におけるオーディエンスは以下の3種類です。
コアオーディエンス
年齢や性別、興味・関心、所在地など、基本的な属性でユーザーをセグメントするための設定がコアオーディエンスです。
まったくなんのデータもない状態からFacebook広告をスタートする場合は、自社やブランドのターゲットに合わせてこのコアオーディエンスを設定していくことになります。
カスタムオーディエンス
広告をクリックしてWebサイトへ訪れたことのあるユーザーや、Facebook上でエンゲージメントのあったユーザー、自社で保有している顧客データなど、実際の実績をベースに作成するのがカスタムオーディエンスです。
すでに一定以上の興味を示していると確定しているため、コアオーディエンスよりもコンバージョン率は高くなるでしょう。
類似オーディエンス
カスタムオーディエンスをベースに、その属性が類似しているオーディエンスを指します。
カスタムオーディエンスだけではリーチする範囲が狭すぎることがほとんどなので、類似オーディエンスを設定することで確度の高い見込み客へのアプローチを増やします。
【オーディエンス別】Facebook広告のターゲット設定
ここからは、各オーディエンスは具体的にどのような設定が可能なのかについてご紹介します。
Facebook広告設定の全体図
Facebook広告は「広告マネージャ」という公式ツールから設定を行います。
設定の基本的な流れは、前章で解説した3層構造に基づいています。まずはキャンペーンにて広告の目的を設定し、次に広告セットを設定し、次に広告を作成して出稿へ進みます。
上図は、オーディエンスなどを設定する「広告セット」の設定画面です。左列に「新しい認知度キャンペーン」「新しい認知度広告セット」「新しい広告」と項目があり、上の層から順に設定するようになっています。
ここからスクロールすると、オーディエンスを設定できる項目が出てきます。
コアオーディエンスの設定
コアオーディエンスは、居住地・年齢・性別などの基本的な属性のほか、学歴・興味・関心、アプリ利用状況などの行動で設定できるオーディエンスです。細かく条件を設定できるため、より詳細なターゲティングを行うことが可能です。
コアオーディエンスは、「オーディエンス管理」と「Advantage+オーディエンス」の両方にまたがって設定します。
オーディエンス管理(地域の設定)
まずは「オーディエンス管理」部分で地域の設定をします。デフォルトでは日本になっているので、下図位置の[編集]をクリックします。
地域の名称を検索するか、地図上で選択することで地域の絞り込みが可能です。
市区町村を入力した場合やピンで選択した場合は、その範囲の広さや半径内の市区町村を含めるかどうかを選択できます。
Advantage+オーディエンス(年齢、性別、詳細ターゲット設定)
残りのコアターゲットは「Advantage+オーディエンス」で設定します。
ここでは、年齢、性別、詳細ターゲット設定の項目から絞り込めます。
以下では、興味関心として「Physical exercise」を、利用者層として「子どもがいる(すべて)」を選択しました。これは矢印の[参照]からメニューを辿って簡単に、いくつも設定できます。
設定しながら、ページ右側では推定オーディエンスサイズと推定リーチがリアルタイムで更新されます。推定リーチは予算の額でも前後します。
カスタムオーディエンスの設定
カスタムオーディエンスは、既存ユーザーや、Webサイトから流入し自社のビジネスに対して、すでに何らかのアクションを実行したユーザーに対するターゲティング方法です。 カスタムオーディエンスは以下の5つの種類から選択可能です。
すでに解説したように、顧客や見込み客に関する一定のデータが得られている場合はカスタムオーディエンスの設定が有効です。新しいカスタムオーディエンスは、「Advantage+オーディエンス」のカスタムオーディエンス部分の[新規作成]から作成します。
主な設定項目の詳細は以下のとおりです。
ウェブサイト(への訪問者)
サイトを訪問したユーザーや、特定のWebページにアクセスしたユーザーのオーディエンスを作成し、最長180日前までさかのぼってターゲティングが可能です。
さらに「Webサイトに滞在した時間別のビジター」では、滞在時間の上位順(上位25%・10%・5%)をターゲットにしたオーディエンスを作成できます。
アプリアクティビティ
特定のアプリやゲームをインストールしたユーザーや、アクティブユーザー等をターゲットとするオーディエンス作成が可能です。購入額の上位順(上位25%・10%・5%)をターゲットにしたオーディエンスの作成も可能です。
アプリアクティビティの活用により、類似オーディエンスを作成できるため、アプリユーザーのインストール数増加を目的とした場合に有効なオーディエンスです。
カスタマーリスト
名前・メールアドレス・電話番号などの顧客データをアップロードし、Facebookユーザー情報と照合してオーディエンスを作成します。カスタマーファイルは既存顧客にキャンペーンや新製品の案内をする際に有効です。
オフラインアクティビティ
店舗への直接訪問や電話など、オフラインでやり取りをしたユーザーをリスト化するオーディエンスです。Facebookのオフラインチャネルのコンバージョントラッキング機能を活用します。他のオーディエンスに比べてボリュームが出にくいことがデメリットです。
Metaのソース
FacebookやInstagramのコンテンツにアクションしたユーザーのリストを作成するオーディエンスです。具体的には以下のユーザーをリスト化します。
- 動画を再生したユーザー
- リード獲得広告のフォームを開いたまたは完了したユーザー
- Facebookページでアクションしたユーザー
- Instagramビジネスプロフィールで交流したユーザー
- Facebookのイベントでアクションしたユーザー
- インスタントエクスペリエンスを閲覧、クリックしたユーザー
- ショッピング機能でなんらかのアクションをしたユーザー
類似オーディエンスの設定
類似オーディエンスとは、自社の顧客や見込み顧客と似ている属性のユーザーに対してリーチできる機能です。自社の顧客に似たユーザーは、趣味・関心が似ていることから広告に興味を持ちやすく、コンバージョンの可能性が高くなります。
特に類似オーディエンスは、優良顧客の新規開拓に向いている施策です。Facebook広告では、ソースとなるオーディエンスを指定し、そのオーディエンスに含まれるユーザーの共通点・行動特性を探し出し、そこから導き出されたユーザーをリスト化する機能です。
すでに述べたように、カスタムオーディエンスだけでは十分なリーチが得られないことが多いため、それに類似しているユーザーを類似オーディエンスとしてアプローチ対象に取り込みます。すでになんらかのアクションをしているユーザーの属性をベースにするため、コアオーディエンスよりも確度の高い見込み客となります。
類似オーディエンスは、「Advantage+オーディエンス」のカスタムオーディエンス部分から、[新規作成]→[類似オーディエンス]と進んで作成します。
オーディエンスサイズを1~10%の間で指定できます。パーセンテージが少ないほど類似度が高いユーザーに対してリーチが可能です。ただしソースオーディエンスのユーザーが少ない場合、類似性の判断が難しいため、一定数のボリュームは必要です。
Facebook公式ヘルプセンターでは、1,000~5,000人のソースオーディエンスを推奨しています。
参考:Facebook広告の類似オーディエンス | Facebook広告のヘルプセンター
Facebook広告で成果を出すためのオーディエンス(ターゲット)基本設定
Facebook広告で成果を出すためには、前章にてご紹介したオーディエンス設定を使いこなし、狙ったターゲットへ広告を表示していく必要があります。
ここでは、オーディエンス設定の中でも優先して設定したい内容についてご紹介します。
カスタマーリスト
「カスタマーリスト」を用いたカスタムオーディエンスと、「1%の類似オーディエンス」、「コアオーディエンス」を組み合わせます。
データとして読み込ませられる顧客データがあるのであれば、優先してカスタムオーディエンスとして登録しましょう。カスタマーリストに入っている顧客は、すでに顧客か確度の高い見込み客であることから、広告の配信効果が最も高くなると期待できます。
カスタムオーディエンスとして読み込むためのデータのテンプレートはカスタムオーディエンスの設定手順の中でダウンロードできるので、それに合わせて顧客データを整理し、アップロードします。
その後、類似オーディエンスを1%で設定して追加します。これにより、カスタマーリストの属性と類似する十分な数のオーディエンスへ広告を配信できます。
もちろん、コアオーディエンスの設定は必須です。年齢、性別、地域、言語、詳細ターゲット設定を自社・ブランドのターゲットと合わせて設定します。
コンバージョンユーザー
「ウェブサイト」を用いたカスタムオーディエンスと、「1%の類似オーディエンス」、「コアオーディエンス」を組み合わせます。
カスタマーリストがない場合、ウェブサイトにてすでにコンバージョンしているユーザーをカスタムオーディエンスとして設定します。または、広告の運用としては、上記のカスタマーリストとこちらのコンバージョンユーザーの2つの広告セットを作り、同時に運用して効果の差を探るという手法もあります。
この設定では、Facebook広告から自社ウェブサイトへアクセスしたユーザーの行動をトラッキングするために、「Metaピクセル(Facebookピクセル)」の設定が必要です。これをウェブサイトに設置しておくことで、Facebook広告からウェブサイトへアクセスしたユーザーの行動まで測定できるようになります。
Metaピクセル(Facebookピクセル)については、以下コラムをご覧ください。
コンバージョンユーザーをカスタムオーディエンスとして用いるには、カスタムオーディエンスの[ウェブサイト]から該当のピクセルを選択し、「特定のウェブページにアクセスした人」から任意のコンバージョンページを指定します。
類似1%オーディエンス、コアオーディエンスの設定についてはカスタマーリストと同様です。
ウェブサイト訪問者
「ウェブサイト」を用いたカスタムオーディエンスと、「1%の類似オーディエンス」、「コアオーディエンス」を組み合わせます。
ここではコンバージョンユーザーではなく、ウェブサイトに訪問したすべてのユーザーをカスタムオーディエンスの対象とします。これにより、一度は興味を持ってくれたものの離脱したユーザーの囲い込みが可能になります。
設定手順はコンバージョンユーザーと同様で、カスタムオーディエンスの[ウェブサイト]から該当のピクセルを選択したら「ウェブサイトにアクセスしたすべてのユーザー」で設定を完了します。
コアオーディエンスのみ
カスタムオーディエンスを設定できるなら不要にも思えますが、ターゲットをある程度広く取ることで新規顧客を効率よく集められる可能性があります。
長期的に運用していくと、Facebook広告側が学習して効率よくターゲットを探し、費用対効果がその他の設定より上回るケースもあります。
Facebook広告のオーディエンスのターゲティング行う際のポイント
Facebook広告のターゲティングは、一度設定して終わりではありません。複数のターゲット設定を比較検証し、より費用対効果の高いターゲット設定を見出していく必要があります。
ここでは、Facebook広告のターゲティングのポイントを解説します。
カスタムオーディエンスと類似オーディエンスは保存して使う
カスタムオーディエンスと類似オーディエンスで広告配信を行う際は、「保存済みのオーディエンス」に設定してからの使用が必須です。
「保存済みのオーディエンス」にすることで、地域・年齢・性別の属性情報を指定できるようになります。
カスタムオーディエンス・類似オーディエンスに属性情報を掛け合わせることで、さらにターティングの精度を高めることが可能です。
ターゲティングは細かく設定しすぎない
Facebook広告は細かいターゲティングが可能な点がメリットですが、あまり細かく設定をしすぎるとリーチできるユーザーが限られてしまい、CPA(アクションあたりの費用)が高騰してしまうため注意が必要です。
また、Facebookでは全てのユーザーが必ずしもプロフィールを登録しているわけではないため、あまり細かく設定してしまうと潜在層を取りこぼすことになります。はじめは広く設定し、広告配信後のデータを見ながら徐々に対象を絞っていく方法がおすすめです。
ターゲティングは複数設定する
ターゲティングを実施する際は、異なるターゲットを複数設定するようにしましょう。異なるターゲットで広告運用を行い、広告配信後のデータ分析・検証によって、どのターゲティングが最も費用対効果が高いか検証が大切です。
またいくつかのターゲティングのパターンを用意しておけば、より多面的にアプローチできるため、広く・長くコンバージョンを得ることが可能です。
オーディエンスが重複しないように設定する
Facebook広告は、ターゲティングの項目が多いため、気づいたときにオーディエンスが重複している場合があります。たとえば同一のターゲットに自社の広告が複数表示されたとしても、ユーザーはいずれかの広告しかクリックしません。
このように自社の広告同士で競合(カニバリ)してしまうため、広告費が無駄になってしまいます。複数広告を出稿する際は、オーディエンスが重複しないように注意し、より多くのユーザーに広告を目に留めてもらうようにしましょう。
特定のデバイスを除外する
Facebook広告では、特定のデバイス所有者をターゲットに設定できますが、同様に特定のデバイスへの広告配信の除外も可能です。たとえば、Androidスマートフォンとタブレットの中で、特定の機種への配信を除外します。
展開する商材によっては、デバイスを限定することでよりターゲティングの精度を高められます。
運用しながらコアターゲットを探っていこう
Facebook広告は細かいターゲティングができるからこそ、「誰に広告を表示したいのか」を明確に定義することが重要です。
しかし、自社のサービス・商品のコアユーザーがどのような人なのか、広告運用をスタートする前に決めきるのは難しいでしょう。Facebook広告のターゲティングを利用しながら、本当にアプローチするべきユーザー層を検証し、改善を続けることが大切です。
Facebook広告のターゲティングは項目が多いので難しく感じるかもしれませんが、まずは「地域」「年齢」「性別」「言語」の基本的な設定で配信してみましょう。