Webサイトの運用担当者なら、上司やクライアントからGoogleアナリティクスのレポート提出を求められる機会が多いと思います。レポートを確認する方がWebに明るくない場合、どのような内容にすれば納得してもらえるのでしょうか。
レポートに盛り込むべき項目は、当然相手の目的によって変わります。ここを念頭に置きつつ、具体的な作成方法や効率化を身につけていきましょう。
本記事では、Googleアナリティクスのレポートの作成方法のほか、おすすめのテンプレートと作成時のポイントをご紹介します。
レポート作成前に、目的を明確にする
レポートを作る前に、そもそも何のためにレポートを作るのか、目的を考えてみましょう。
- 全体を俯瞰的にチェックしたい
- ユーザー属性を把握したい
- スマホユーザーに絞ったデータを見たい
- CVの目標達成度を確認したい
- 週または月ごとのアクセス状況推移を知りたい
上司やクライアントの目的としては、よく上記のような内容が挙がってくるかと思います。彼らが何を求めるかを事前にしっかり把握しておけば、集計期間や掲載するべき数値、表示形式などが自然とわかってきます。
「コンバージョン数だけ提示すればいいと思っていたら、アクセス数や流入経路も確認したいと言われた」「全体感を把握できる数値だけあれば良かったのに、膨大なデータを盛り込んだレポートを渡されて結果よくわからなかった」ということはよくあることです。
このような事態を防ぐためにも、あらかじめ必要な情報はなんなのか、認識を擦り合わせておきましょう。
まずは「マイレポート」を使ってみよう
目的と掲載したい数値が決まったら、実際にレポートを作成してみましょう。テンプレートを使う方法もあるのですが、理解を深めるため先に自分で新規作成する方法をご紹介します。
新規で作成する場合は、Googleアナリティクスの「マイレポート」か「カスタムレポート」を利用します。まずはマイレポートの作成方法から見ていきましょう。
マイレポートの作成方法
マイレポートとは、必要な情報を選択して作成するオリジナルレポートのことです。見られるのは大まかなデータなので、全体感を把握するためのレポート作成に適しています。
では、実際にマイレポートを作ってみましょう。
1. 新しいマイレポートを立ち上げる
「カスタム→マイレポート一覧→作成」とクリックしていくと、以下のような画面が出てきます。
「空白のキャンバス」を選び、レポート名を入力したら、「マイレポートを作成」をクリックしましょう。
2. ウィジェットを配置する
次はウィジェット(グラフや表など、レポートに盛り込める項目)の配置です。レポート画面にある「ウィジェットの追加」をクリックすると、以下の画面が表示されます。
「標準」では累積のデータ、「リアルタイム」ではレポート作成時点でのアクセス状況をチェックできます。ウィジェットの種類は以下のとおりです。
- 指標
「次の指標を表示」の欄で選択したデータの数値を表示。セッション数やユーザー数を見るのに使われます。
- タイムライン
選択したデータの時間推移を表示。数値の増減を把握したい場合に使われます。
- 地図表示
地域別のアクセス状況を地図上に表示。県別にまで絞り込めます。
- 表形式
選択したデータを表形式で表示。ページごとの直帰率・離脱率を把握する際などによく使われます。
- 円グラフ
選択したデータを円グラフで表示。デバイスやチャネルの構成比をチェックするのに使われます。
- 棒グラフ
選択したデータを棒グラフで表示。時系列の推移を見たい場合などに便利です。
- カウンタ
リアルタイムの状況を表示します。
指標ごとに適したウィジェットを選び、見やすいレポート作りを心がけましょう。なお、1つのマイレポートに12個まで設置できます。
3. ウィジェットの調整をする
ウィジェットを設置し終えたら、細かな調整をしましょう。下の画像はマイレポートの表示画面です。
ここでできることには、
- 集計期間の変更
- セグメントの設定
- レイアウト変更
- ウィジェットの移動、編集、削除
- マイレポートの共有、メール添付、PDF出力
などがあります。レポート完成後の変更も可能なので、必要に応じて改良していくと良いでしょう。
カスタムレポートを活用してみよう
次は「カスタムレポート」です。
カスタムレポートとは、アクセスの詳細をチェックするのに使われるレポートのことです。マイレポートは概要把握に、カスタムレポートは詳細把握に適しており、目的に応じて使い分けましょう。
カスタムレポートの作成方法
それでは、カスタムレポートを作っていきましょう。
新しいカスタムレポートを立ち上げる
「カスタム→カスタムレポート→新しいカスタムレポート」とクリックしていくと、新規のカスタムレポートが立ち上がります。
種類・指標・ディメンションを設定する
新規のカスタムレポートを立ち上げると、下の画面が表示されます。
各項目の解説をしていきます。
全般情報
ここには、カスタムレポートのタイトルを入力します。何のためのレポートか一目で分かる名前が良いでしょう。
レポートの内容:①名前
次に、レポートに盛り込む内容を設定していきます。
カスタムレポートでは、下のようにレポートをタブの形式で管理します。まずは、「名前」の欄にタブのタイトルを入力しましょう。
レポートの内容:②レポートの種類
名前の次はレポートの種類を決めます。それぞれの特徴は以下の通りです。
- エクスプローラ
ディメンション項目をクリックすると、さらに細分化されたディメンションのデータが表示されます。深堀りした分析をしたいならこちらを選びましょう。
- フラットテーブル
深堀りした分析はできませんが、ディメンションを一気に5つまで表示できるので、毎回エクスプローラでクリックする手間を省きたい場合に便利な形式です。
- 地図表示
地域ごとのデータを見るときに使う形式です。
レポートの内容:③指標グループ
続いて、分析する指標を選択します。
指標はセッション数や離脱率などの「数値」を表すものです。「指標グループ」は、「セッション+セッション時間」のように、複数の指標をまとめたセットと考えてください。1つの指標だけでも問題ありません。
また、指標グループは5つまで設定できます。いろいろな数値をチェックしたい場合は、上手くグルーピングして見やすくしましょう。
レポートの内容:④ディメンションの詳細
次はディメンションの設定です。
ディメンションはチャネルやユーザーなどのカテゴリを意味し、5つまで追加可能です。たとえば、ここでは「国→地域→市区町村」の順番に設定したとしましょう。
エクスプローラ形式なら、追加順に沿って掘り下げた分析ができます。特定の国の→特定の地域の→特定の市区町村という流れです。フラットテーブル形式だと3つのディメンションが一覧で表示されます。
カスタムレポートでは複数のタブを収納できるので、必要に応じて上記の操作を繰り返してください。
フィルタ
特定のディメンションだけを表示したり、逆に特定のディメンションを除外したりしたい場合はフィルタを利用しましょう。
ただし、フィルタは全てのタブに反映されます。回避できないので、フィルタが不要なタブに関しては別のカスタムレポートを作成しなければなりません。
ビュー
「このアカウントに設定されているすべてのビュー」を選択すると、同じGoogleアカウントに登録してある他のサイトにも、今回作ったカスタムレポートが適用されます。
最後に「保存」を押して、カスタムレポートの作成完了です。
テンプレートを探すなら公式ギャラリーへ
マイレポート、カスタムレポートどちらもテンプレートが多数公開されています。
そのまま利用してもいいですし、自身が作成するレポートの参考にしても良いでしょう。
Googleの公式ギャラリーでテンプレートを探してみよう
Googleの公式ギャラリーでは、世界中のユーザーが公開しているテンプレートを入手することができます。
マイレポートとカスタムレポート、それぞれ下の画像にある赤枠のボタンを押すと、ギャラリーが表示されます。気になるテンプレートはどんどんインポートしてみましょう。
レポート作成時に押さえるべきポイント
最後に、納得してもらえるレポート作りで押さえるべきポイントを2つ解説します。
何のためのレポートか、目的を明確にする
冒頭でもお伝えしましたが、レポート作成の目的を明確にすることは最重要ポイントです。
「何を把握したいのか」「どんな数値がほしいのか」は、あらかじめ上司やクライアントとすり合わせておきましょう。
確認側にとって見やすいレイアウトを心がける
2つめのポイントは、見やすいレイアウトを心がけること。
目的に沿った内容であっても、グラフや地図が小さかったり、同じ種類のデータがバラバラに配置されていたりすると、何が掲載されているのかを把握するだけでも大変です。
レポートを確認する側の目線に立ち、見た目を調整してみましょう。
テンプレートを参考にしつつ「良いレポート」を作成しよう
今回は、Googleアナリティクスのレポートについて、マイレポートとカスタムレポートの作成方法のほか、テンプレートや作成のポイントなどをご紹介しました。
マイレポートとカスタムレポートは目的に合わせて適宜使い分けましょう。
レポートを提出する相手にとってどのようなデータがあればいいのか、どのような形式であれば見やすいかを考え、テンプレートを参考により良いレポートになるよう改善していきましょう。
テンプレートのダウンロード元のサイトにはたいてい作成意図も掲載されています。どういう場面ではどういう情報が必要なのかを知る手がかりになるでしょう。もちろん、目的に合致したテンプレートがあればそのまま利用すれば効率的です。
押さえるべきポイントを意識しながらレポート作成にチャレンジしてみてください。