パソコンを使用している方なら、Gmail、Google ドライブ、Google カレンダーなど、Google が提供している仕事効率化アプリケーションを一度は使ったことがあるでしょう。
Google Workspace は、Google が提供する複数のアプリケーションをビジネス向けにパッケージ化したものです。社員間、またはチーム間の業務連携をスムーズに行うための機能やセキュリティが強化されています。
なお、「Google Workspace」はもともと「G Suite」という名称でしたが、2020年10月6日に名称が変更されました。
本記事では、Google Workspace の導入方法や基本的な使い方、設定方法、活用事例などを徹底解説します。Google Workspace でチームの生産性向上を目指したい方は必見です。
Google Workspace (旧 G Suite) 基礎ガイド
Google Workspace の概要や使い方をわかりやすく解説したガイドです。添付資料のスライドは共有方法などを試すことができます。ぜひご活用ください。
- Google Workspace の概要
- Google Workspace のメリットとデメリット
- Google Workspace の導入方法
- Google Workspace の導入事例
今すぐダウンロードする
全てのフィールドが必須です。
Google Workspace(G Suite)の導入準備
Google Workspace を導入するためには、次の4つのステップが必要です。
- プランの選定
- 独自ドメインの取得
- 管理者の設定
- アドレスルールの決定
本章では、これらの手順を詳しく解説しますが、「導入は済んでいるので設定から取り掛かりたい」という方は、第3章「Google Workspace の使い方【設定方法】」へお進みください。
プランの選定
Google Workspace には次の4つのプランがあり、それぞれのプランで価格や機能が異なります。
- スタータープラン
- スタンダードプラン
- ビジネスプラスプラン
- エンタープライズプラン
利用料金や使用可能なサービスについては、次の表を参考にしてください。
料金プラン |
Business Starter【スターター】 |
Business Standard【スタンダード】 |
Business Plus【ビジネスプラス】 |
Business PlusEnterprise【エンタープライズ】 |
|
月額料金(1ユーザーあたり) |
¥680 (税込¥748) |
¥1,360 (税込¥1,496) |
¥2,040 (税込¥2,244) |
要問合せ |
|
14日間のお試し期間 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
Gmail |
Gmail ビジネス用メール |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
Google Meet |
(ビデオ会議)の最大参加人数 |
100人 |
150人 |
250人 |
250人 |
会議の長さ(最長) |
24時間 |
24時間 |
24時間 |
24時間 |
|
参加用電話番号(米国電話番号または国際電話番号) |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
デジタル ホワイトボード |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
ノイズ キャンセル・会議を録画して Google ドライブに保存 |
× |
〇 |
〇 |
〇 |
|
クラウド |
ドライブ セキュリティ保護されたクラウド ストレージ |
ユーザーあたり30GB |
ユーザーあたり2TB |
ユーザーあたり5TB |
必要に応じて拡張可能 |
100以上のファイル形式に対応 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
チームで利用できる共有ドライブ・対象グループの共有 |
× |
〇 |
〇 |
〇 |
|
Chat |
Chat チーム メッセージ |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
高機能チャットルーム(スレッド形式のチャットルーム、ゲストアクセスが可能なチャットルームなど) |
× |
〇 |
〇 |
〇 |
|
カレンダー |
共有カレンダー |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
会議室をブラウジングして予約する |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
ドキュメント、スプレッドシート、スライド |
コラボレーションによるコンテンツ作成 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
共有メモの作成 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
Google サイト ウェブサイト作成ツール |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
フォームのアンケート作成ツール |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
セキュリティと管理 |
2段階認証プロセスグループ |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
ベースのポリシー管理 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
高度な保護機能プログラム |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
セキュア LDAP |
× |
× |
〇 |
〇 |
|
データ損失防止(DLP) |
× |
× |
× |
〇 |
|
Google ボルト(データ保持・電子情報開示・監査) |
× |
× |
〇 |
〇 |
|
セキュリティセンター |
× |
× |
× |
〇 |
|
Gmail の電子署名・暗号化(S/MIME) |
× |
× |
× |
〇 |
※2021年9月時点の情報です。
どのプランを選んでも基本的なサービスは利用できますが、プランのグレードが上がるにつれて、クラウドストレージの容量が大きくなり、セキュリティが強化されます。まずは「14日間の無料お試し期間」を活用し、自社の状況に合った最適なプランを選択しましょう。
独自ドメインの取得
Google Workspace では、独自ドメインでアカウントを作成することが可能です。会社のドメインを持っていない場合は、ドメイン取得サービスを利用して新規ドメインを取得しましょう。
ドメイン取得サービスには、お名前com、エックスドメインなどがあります。
管理者の設定
Google Workspace では管理者を設定し、管理コンソールにログインすることで、ユーザーごとの設定や機能制限が可能になります。一般的には、管理部門や情報システム部門が管理者になるケースが多くなっています。
アドレスルールの策定
Google Workspace を運用する上で、メールアドレスのルールを設けておくと、組織としての統一性を育むのに役立ちます。例えば「山田太郎」さんのメールアドレスは、「taro.yamada@ドメイン名」にするといった汎用性のあるルールです。
事前にルールを設定しておくことで、新規メンバーの追加時にもスムーズに作業を進められます。
Google Workspace の申し込み方法
Google Workspace の申し込み方法は、次の2つです。
- Google から直接申し込む方法
- 正規販売代理店から申し込む方法
それぞれの手順をご紹介します。
Google 公式ページから直接申し込む方法
- Google Workspace 公式ページで以下を入力します。
- 会社(組織)名
- 従業員数
- 国
- メールアドレス
- 利用するドメイン
- 管理者名 ※自分で任意のものを設定
- 管理者のユーザー名(アドレス) ※自分で任意のものを設定
- 管理者のパスワード ※自分で任意のものを設定
- アカウント情報を確認し、支払い方法を入力します(※支払い方法は「クレジットカード」のみ)。
以上で申込みが完了し、すぐに利用開始できます。
正規販売代理店から申し込む方法
- Google から許可を受けている正規の販売代理店を、パートナー一覧より検索します。
- パートナーを選択して「パートナーに連絡」をクリックします。
- 「問い合わせ内容」を入力し、「送信」をクリックします。
打ち合わせなどを行った後、正式に申し込み完了となります。
Google Workspace の使い方【設定方法】
Google Workspace の申し込み完了後、管理者は必要最低限の設定を行う必要があります。設定の手順は次の3つです。
- ユーザーの追加
- 会社プロフィールの設定
- ドメインの確認(DNS設定)
手順1:ユーザーの追加
Google Workspace に、以下の手順で新規ユーザーを追加します。
- 管理者アカウントで管理コンソールにログインします。
- 管理コンソール内の「ユーザー」から、ユーザーに追加する組織部門を選択します。
- ページ上部にある「新しいユーザーの追加」をクリックします。
- アカウント情報(氏名、メールアドレス、電話番号など)を登録し、パスワードを設定(自動生成も可能)します。
- 「新しいユーザーの追加」をクリックし、設定完了です。
このように1件ずつ追加する方法の他に、CSVをGoogle Workspace にアップロードすることで、ユーザーを一括登録することも可能です。
手順2:会社プロフィールの設定
会社プロフィールの設定により、アカウントに自社のロゴを表示できます。また、各サービスに自社のユーザー用のカスタムURLを作成することも可能です。
手順3:ドメインの設定(DNS設定)
アカウントに関連付けられたドメインの追加や削除などの管理を行うために、ドメインの設定をして所有者であることを証明します。ドメイン設定は、言わば「本人確認」のようなものです。下記の手順でドメインの確認を行いましょう。
- ユーザー追加完了後の画面で「別の方法を選択」→「ドメインホストレコードを追加(TXTまたはCNAME)」と進みます。
- 別ブラウザでドメイン業者の管理画面にログインし、画面に表示されている「ログインできました」にチェックを入れます。
- 画面に表示されている「コントロールパネルを開きました」にチェックを入れます。
- 「ドメインに新しいTXTレコードを追加」というページで「値/応答/参照先」に入力されている文字列をコピーします。
- ドメイン業者のコントロールパネルにアクセスし、「ドメインメニュー」→「ドメインの設定操作」→「DNS/URL」の順にクリックします(ドメイン一覧に取得したドメインが表示されます)。
- 「DNS設定」のテキストエリアに「txt @ 4でコピーした文字列」を入力します(「@」の前後には半角スペースが必要です)。
- 以下5つの文字列もテキストエリアに追加し、画面下の「保存」をクリックします(ドメイン業者によって名前と値の欄の名称が異なることがあります)。
- mx aspmx.l.google.com. 1
- mx alt1.aspmx.l.google.com. 5
- mx alt2.aspmx.l.google.com. 5
- mx alt3.aspmx.l.google.com. 10
- mx alt4.aspmx.l.google.com. 10
- 残りのチェックボックスをすべてチェックして、「ドメインを確認してメールを設定」ボタンをクリックします。
ドメイン設定は、通常1時間程度で確認完了となり反映されます。
Google Workspace の使い方【活用方法】
Google Workspace は、共同作業・組織化・生産性向上・マーケティング・営業など、さまざまなニーズに応じて最適な活用方法があります。本章では、ビジネスをスマートに醸成させるための6つの活用方法を紹介します。
1. ドライブでブランドのテンプレートを作成し共有
Google Workspace のGoogle ドキュメント・スプレッドシート・スライド・フォームのいずれにもテンプレートの機能があります。そのため、手間をかけずにブランドガイドラインに沿った資料を作成できます。
自社のブランドを反映したデザインテンプレートを作成し、社内やチームでこのテンプレートを共有しましょう。共通デザインの使用を徹底することで、ブランディングにつながります。
2. フォームで収集した顧客のフィードバックを共有し改善スピードをあげる
ビジネスの成長には、成果が上がっている領域と伸びていない領域を把握して、スピーディーに改善していくことが不可欠です。そのため、顧客から収集したフィードバックをリアルタイムで社内やチームで共有することが重要です。
Google フォームで集めた顧客アンケートや市場調査、Net Promoter Score®(NPS、ネット・プロモーター・スコア)などのデータは、フォーム上で「共同編集者」として共有できるため、フィードバックの素早い反映に役立つでしょう。
3. カレンダーで新入社員が入った際の連携をスムーズにする
Google カレンダー機能は、Gmail・ドライブ・Meet とシームレスに連携できるため、チームでの作業に最適です。無料プランでも各メンバー間で共有は可能ですが、新入社員など新しいメンバーが加わった際には、有料版のGoogle Workspace が便利です。通常、新メンバーが増えるたびに都度共有が必要になってしまうところを、有料版であれば一括で操作できます。
また、チーム全員のカレンダーを1つの画面で表示できるため、連携がスムーズになります。
4. Meetで大規模なオンライン会議を可能に
Google Meet を使ってオンライン会議をする際、無料プランとGoogle Workspace では参加できる人数が異なります。無料プランでは最大100名、Google Workspace を利用すれば最大250名まで参加できます。
また、Google Workspace のミーティング設定画面では、通常の「会議URL」の他に、「ダイヤルイン番号」が表示されるため、Wi-Fiやデータ通信を使用できない場所にいるメンバーも参加が可能です。
5. 従業員のGoogle Workspace の利用状況をレポートで確認
だれもが同じようにGoogle Workspace を使用するわけではありません。管理者コンソールのレポートパネルを使用するとGoogle Workspace のツールやアプリの利用状況を把握できます。この情報に基づいてGoogle Workspace のトレーニングを効果的に行うこともできます。
また、レポートパネルにはセキュリティに関する有益な情報も含まれています。ログインに使用されたデバイスや、更新プログラムのインストールが必要なユーザーなどです。これにより、チームとデータの安全性を確保できます。
6. Google Workspace Marketplace の新しいツールを利用
Google Workspace Marketplace は業務効率を向上できるさまざまなサードパーティー製ツールとの連携が可能です。このようなツールの領域は、ビジネス、生産性、コミュニケーション、教育、公共事業など多岐に渡ります。
Zoom、Xero、Google アナリティクス、Asanaなどのアプリをダウンロードし、Google Workspace アカウントにシームレスに接続して、スプレッドシートやカレンダーなどのアプリと連携してみてください。従業員の新しいツールの使用状況に注意を払い、ツールが仕事に役立っているかを確認しましょう。
Google Workspace Marketplace のHubSpotアプリをインストールして試してみませんか。
Google Workspace で業務プロセスを改善
ここまで、Google Workspace (旧G Suite) の導入準備から、設定や活用方法などの具体的な使い方を解説してきました。Google Workspace はクラウドサービスですので、管理者の作業なしで自動的に最新版にアップデートされることも魅力の一つです。
Google Workspace を使いこなして、作業の効率化を目指しましょう。