マーケティング担当者にはなじみのある話をしましょう。あなたは会議に参加しています。見込み客や顧客の関心を引く方法、販売数を伸ばす方法、対象者にもっとアピールする方法を考えています。
誰かがこう言います。問題をいっぺんに解決する方法がある。メールマガジンを発行しよう!
気がつくとあなたはその担当者になっていました。開封率とクリック率が落ちないようにする必要があります。ちなみに、第1号は明日配信予定です。
大丈夫でしょうか?
かつてそんな状況に陥ったとき、私はぞっとしました。メールマガジンは一般的なメール送信手段のひとつですが、実をいえば、うまく活用するのが一番難しいものでもあります。イベントのお知らせ、アンケート、商品・サービス・業界についての情報提供、宣伝など、事業のさまざまな面についての各種コンテンツを扱うためです。
また、目的をひとつに絞ったメールと違って(つまり、製品の宣伝、過去に発行したコンテンツのダイジェスト、見込み客育成メール、注文情報を記載したトランザクションメールなどの1通のメールとは違い)、メールマガジンの内容ををCTA(コールトゥアクション)に結び付けるのは簡単ではありません。
だからといって、あきらめた方がよいという意味ではありません。うまく利用すれば、強い関心を抱いてくれる購読者の基盤を築き、さらにはその購読者たちが優良見込み客や優良な顧客になることを可能にします。少なくとも会社の熱烈な支持者が関心を持ってくれれば、彼らがビジネスの成長に一役買ってくれる可能性があります。そのチャンスは逃したくないものです。
新しいメールマガジンプロジェクトで成功を収め、既存のプロジェクトを活性化させたいと思いませんか?確実に必要な10の行動を以下に紹介します。
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読んでもらえるメールマガジンを作る10のヒント
1)検討する:そもそもメールマガジンが必要ですか?
上司から任されたプロジェクトに異議を唱えるのは少々勇気のいることだと思いますが、それでもやはり、メールマガジンがマーケティング手段として適切ではないと判断した場合は、時間を無駄にしない方がよいでしょう。
何をすべきかを見極めるには、まず調査を行います。同じ業界に、購読者の獲得に成功しているメールマガジンはありますか。そのメールマガジンにはどんな特徴がありますか。利用できるリソース(予算、時間、社内で得られるサポートなど)で、成功できそうですか?
次に、事業の目標について再確認します。会社は見込み客の数を増やそうとしていますか?営業と話をする見込み客の質が向上していますか?取引が増えていますか?顧客の維持数は増えていますか?
メールマガジンにあまり興味がない業界や、メールマガジンで達成可能なことと目標とがかみ合っていない場合は、ブログコンテンツや見込み客を育てるメールワークフロー作成など、別の作業に時間を費やした方がよいでしょう。
つまり、データを集め、(メールマガジンを成功させるにしても別の活動に取り組むにしても)行動計画を立てて、上司に話をするのです。メールマガジンを発行するという上司の意向と異なっていたとしても、成功に向けた計画を準備していることがわかれば、上司は感心するでしょう。
では、メールマガジンを発行した方がよいと判断した場合、次にどうすればよいでしょうか。
2)発行するオンラインメールマガジンの種類を決めます。
メールマガジンの最大の問題点のひとつは、事業のあらゆる面を扱うことによって、雑然として焦点の定まらない内容になりやすいという点です。製品ニュースのすぐ隣に広報の話題、ブログ記事の隣にはイベントウィークのお知らせが並べてあるのは、ある意味混乱しています。(メールマガジンであるかどうかは問わず)メールは一貫したテーマでまとまっている方がよいのです。
メールマガジンの無作為ともいえる内容を減らすひとつの方法は、特定のトピックに絞ったメールにすることです。自社について全般的に取り上げるのではなく、ひとつのテーマを掘り下げてみるとよいでしょう。
テーマを絞ったメールマガジンの好例に、BuzzFeedの『This Week in Cats(今週のネコ)』があります(他の例はなかったのか、と言われるかもしれませんが。最近子ネコを飼い始めたので、ネコのことが頭から離れません)。BuzzFeedは世の中のあらゆる話題についてWebサイトに記事を発行していますが、メールマガジンごとにテーマをひとつに絞って、たとえばこの例ではネコ好きな人を対象にしているのです。扱う分野が具体的な興味と結びついているので、Webサイト全体の内容を取り上げるメールマガジンを発行した場合よりもずっと多くのファンを獲得するチャンスが生まれました。
3)メールマガジンの内容は、ためになる情報を90%、宣伝を10%というバランスにします。
メールマガジンの購読者は製品やサービスの紹介ばかりを受け取ることを望んでいません。ビジネスのファンで、お知らせを楽しみにしている場合もあるでしょうが、注目してもらう前に努力すべきことはたくさんあります。
よくある例:私は靴が大好きで、特に気に入っている靴関連のサイトがひとつあります。自分からその会社のメーリングリストに登録しました。ところが、1日に2~3回送られてくるメールの内容はすべて買え、買え、買え、とそればかりなので、受信ボックスに送信者名が表示されるだけでストレスを感じるようになりました。ためになる内容(最近流行している靴のスタイルや、具体的なスタイルと服との合わせ方など)が含まれていたら、その会社から購入する気になったかもしれませんし、少なくともメールをまた開いたでしょう。
この会社のようになってはいけません。メールマガジンには(ほとんどの場合)自社の宣伝を入れないようにして、ためになる情報、興味を持ってもらえそうな情報、タイムリーな情報を届けることに重点を置きます。自社の製品、サービス、会社そのものについて本当にわくわくするような大ニュースがない限り、宣伝は控えます。
4)「購読」ページに情報を明記します。
メールマガジンのテーマと、内容のバランスについて決定したら、必ずその点を購読ランディングページに明記するようにします。
具体的に書きましょう。購読を検討している人に向けて、メールマガジンに記載する内容と発行頻度を具体的に伝えます。SmartBriefの例を見てみましょう。購読ランディングページにメールマガジンの内容が明記してあり、なおかつ購読を検討している人にプレビューリンクを提示しています。確認してみてください。
購読者にとってはありがたい構成です。正確に誰からメールを受け取ることになるのか、どんな内容のメールを受け取るのか、配信の頻度はどの程度なのかについて把握できます。マーケティング担当者は、情報をわかりやすく提示することで、登録を解除されてしまったり、スパムメールに分類されてしまう可能性を減らせます。
5)メールの件名を工夫します。
メールマガジンに登録してくれたとしても、受信ボックスに入ったメールを購読者が開封する保証はありません。多くのマーケティング担当者は購読者に親しみを感じてもらおうと考えて、毎日、毎週、毎月、同じ件名でメールを送信します。
しかし、それは現実的でしょうか。購読者はその件名に慣れて反応しなくなります。しかも、あっという間に。なぜでしょうか。件名を見ても、特定のメールをいまこの瞬間にクリックしようという気にならないからです。それよりも、メールマガジンには毎回別の、独創的で、関心をそそる件名を付けて送信するのがよい方法です。
このやり方がとてもうまいのがThrillistです。私が最近受け取ったメールマガジンの件名をまとめてご覧ください。
一通一通すべて開きました。この会社が考えた件名が気になったからです。メールマガジンが毎朝受信トレイに届くのはわかっていても、件名を見るとどうしてもクリックしてしまいます。
6)重要なCalls-To-Action(CTA)をひとつだけ選びます。
メールマガジンがメールマガジンらしく見える理由の一部は、コンテンツを複数に分割して複数のCTA(コールトゥアクション)を表示しているからです。だからといって、そうしたCTAをすべて平等に目立たせる必要はありません。
最優先するCTAを決めましょう。購読者に行動してもらう対象をひとつに絞るのです。残りのCTAは「もしお時間があれば」という程度の選択肢にします。クリックしてブログ見てもらうだけにせよ、友人にメールを転送してもらうだけにせよ、何をすればよいか購読者が一目でわかるようにシンプルなものにします。
以下はSecond Glassのメールマガジンです。直近のイベントであるボストンのワインパーティーを宣伝しています。カラフルで情報満載です。でも、読者に何を求めているかは一目瞭然です。イベントのチケットを購入してほしいのです。Second GlassはそのCTAを他のあらゆる情報の上に配置して、メール受信者がクリックする可能性を高めています。
7)デザインとキャッチコピーは必要最小限に抑えます。
すでに述べたように、メールマガジンはその性質上、雑然とした印象になりがちです。すっきりと美しく見えるメールマーケティングのコツが2点あります。簡潔なキャッチコピーと、十分に余白をとったデザインです。
キャッチコピーを簡潔にまとめることが重要です。実際、購読者に一日中メールを読んで時間をつぶしてほしいわけではないからです。内容をすべて読んでもらうよりも、リンクから他の場所(Webサイトやブログなど)を訪れてほしいのです。購読者は簡潔なキャッチコピーでコンテンツの雰囲気を味わえます。クリックしてさらに情報を得ようと思ってもらうには、それで十分なのです。
メールマガジンでは余白が重要です。雑然とした印象を和らげる効果があり、モバイル端末の場合はその方が適切なリンクをクリックしやすいからです。
Tom Fishburneのブログマガジンをご覧いただくと、この知識を実際に生かす方法がわかります。メインのブログ記事は大きい1コマの漫画で、数パラグラフの導入部があり、リンクが続きます。メールマガジンの残りの部分はもっと小さくて画像の占める割合が大きいため、全体的にすっきりとして読みやすい印象を受けるデザインです。
8)画像には必ずaltテキストを追加します。
他のマーケティング活動ではビジュアルコンテンツが極めて重要であることを考えると、メールにもビジュアルコンテンツを入れたくなるのは当然のことでしょう。
ただし、メールには少々やっかいな点があります。受信者が常に画像表示を有効にしているわけではないので、画像にはある要素を必ず加える必要があります。それが、altテキストです。altテキストは、メールに画像がロードされない場合に表示される代替のテキストです。CTAを画像にしている場合は、altテキストがとりわけ重要です。画像を有効にしていない場合でも確実にクリックしてもらえるようにします。
メールマーケティングプログラムはそれぞれ異なりますが、こちらのチュートリアルをご覧いただくとメールにaltテキストを追加する方法がわかります。
9)簡単に購読解除できるようにします。
感覚的には逆のような気がしますが、アクティブできちんと関心を持っている購読者リストを維持するには、重要なことです。「当社とのコミュニケーションの手段を変更する」といったわかりづらい表現は避けます。購読解除ボタンがaltテキストのない画像で隠れないようにします。購読者リストを健全に保てるだけでなく、購読解除プロセスを明確にしておくことによって配信メールがスパムだと判断されてリストの残りの受信ボックスに届かなくなることが起こりずらくなります。
適切な実施の一例として、以下に掲載したcharity: waterのメールマガジンをご覧ください。購読解除のリンクは大文字のボールド体で表示されているので見やすく、(そうしたければ)簡単に解除できます。どうしたらメール設定を変えられるのかわからずに、フッターを隅から隅まで調べる必要もありません。
10)試行錯誤します。
これまで述べてきた内容は、メールマガジンを適切に利用するために必要な9つの行動を列挙しただけです。この後は、会社や購読者リストに最適な方法を探る必要があります。文化が異なれば好みが変わるのと同じで、メール購読者の集団が異なれば、何を好むかも変わってきます
このメールマガジンのベストプラクティスを原案として利用し、各自で試しながら秘訣を見つけてください。以下の点も試してみる価値があります。
短く、面白い件名
件名はできるだけ短くします。(その方が効果的です。)とはいえ、ちょっとしたユーモアを添えたくなることもあるでしょう。メールを受け取った人が笑顔になってくれるかもしれません。開封率やクリック率が上がる可能性もあります。以下に紹介するAirbnbの件名は気が利いています。
CTAのキャッチコピーとデザイン
読者は鮮やかで派手な色のCTAを好むかもしれないし、地味で落ち着いている方がクリックしやすいかもしれません。本当に楽しくてわくわくするような、行動志向型のキャッチコピーが好まれるかもしれないし、シンプルな「こちらをクリック」だけの方が効果的かもしれません。CTAに用いるフレーズを徹底的に試して、反応を確認します。
お手本となる例をご紹介しましょう。LitmusはメールマガジンでCTAを多用していますが、色とテキストの使い方がうまいので、とても自然で読みやすいものばかりです。
画像なし
この記事で取り上げたメールの大半には目を引く美しい画像が入っています。だからといって、画像が絶対必要というわけではありません。うまくまとめられている本文を生かすために、画像を完全に取り除いてみるのもよいでしょう。
以下のMaple Jeansによるテキスト形式のメールは、秀逸な文章を生かしている好例です。私は特にP.S.から末尾にかけての部分が気に入っています。それぞれのCTAの間に余白を増やしてモバイル機器でもクリックしやすくし、全体的に宣伝メールではない印象を受けます。
情報元:ReallyGoodEmails
送信者名
最後になりますが、重要な点です。当社が毎年ボストンで行うインバウンド(INBOUND)の運営している同僚の例です。先日、INBOUND参加者に対して、ボストンレッドソックスがシーズンホーム開幕戦を行うお祝いの特別チケットセールについて注意を促すメールを送信したのですが、送信者名を当社のCEOの犬、Romeoにしました。
確実に効果がありました。通常のINBOUNDメールを送信したときよりもメール開封率が7%高く、クリック率は2%高くなりました。御社のCEOは犬を飼っていないかもしれませんが、送信者名を工夫してみることも一案でしょう。
メールマガジン配信を成功させるコツをご存じでしたら、ぜひコメントでシェアしてください。
編集メモ:この記事は、2013年8月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Ginny Soskeyによる元の記事はこちらからご覧いただけます。