Microsoft Excel(エクセル)の操作で困ったときに思い出したい法則があります。それは「何かを手動でやっているときは、きっと便利な機能を見落としている」というものです。重複データの削除、単純な計算、データの並べ替えなど、大抵の操作はボタンを1回か2回クリックするだけで実行できます。
しかし、このような便利な機能を知らない人も多いのが実情です。名前のリストを昇順・降順に整理するだけの単純な作業に膨大な時間を費やしてしまう人もいます。
幸いなことに、エクセルでは簡単な操作でデータを整理することができます。実はこの並べ替えの機能にもさまざまな種類があるのですが、皆さんはご存じでしょうか? この記事ではさまざまな並べ替えの方法をご紹介していきます。まずは基本から確認していきましょう。
並べ替え機能の使い方
- 並べ替える列や行を選択する
- [データ]タブの[並べ替え]を選択する
- 基準にする列を選択する(上下方向に並べ替えたい場合)
- [オプション]をクリックし、[列単位]を選択する(左右方向に並べ替えたい場合)
- 並べ替えの基準を選択する
- 並べ替えの順序を選択する
- [OK]をクリックする
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※このセクションでは、Microsoft Excel 2017 for Macを例にご説明します。旧バージョンのエクセルとはボタンの配置が一部異なる場合がありますが、アイコンと選択項目は同じです。
※スクリーンショットは英語版エクセルとなっていますので、日本語版でのメニューやボタン名は本文を参照してください。
1. 並べ替える列や行を選択する
エクセルでセル範囲を並べ替えるには、まずスプレッドシート上でカーソルをクリックしてドラッグし、並べ替えるすべてのセル(並べ替えの基準以外の行や列も含む)を選択します。
たとえば、列Aを基準として並べ替えるときに、列Aに関連するデータが列Bと列Cにある場合は、列Bと列Cの値が列Aのセルと一緒に移動するように、3つの列をすべて選択する必要があります。
下のスクリーンショットでは、ハリー・ポッターのキャラクターの姓(Last Name)でデータを並べ替えようとしています。このとき、対応する名前(First Name)と寮(House)も一緒に移動しなければ、並べ替えが完了したときに各列のデータの関係が崩れてしまいます。
2. [データ]タブの[並べ替え]を選択する
並べ替えるデータ全体を選択したら、上のナビゲーションバーの[データ]タブをクリックします。タブの下に表示されたオプションの中から、[並べ替え]ボタンをクリックします。ボタンのアイコンには「AZ」と表示されていますが、アルファベット順以外での並べ替えも可能です。
3. 基準にする列を選択する(上下方向に並べ替えたい場合)
[並べ替え]ボタン(上図参照)を押すと、設定ウィンドウが表示されます。このウィンドウでは、並べ替えの基準や方法を設定できます。
特定の列を基準に並べ替える場合は、[列]の下のドロップダウン(下図参照)をクリックし、並べ替えの基準にする値が含まれた列を選択します。ここでは、「Last Name」を選択します。
4. [オプション]をクリックし、[列単位]を選択する(左右に並べ替えたい場合)
列ではなく特定の行を基準に並べ替える場合は、ウィンドウ下部の[オプション]をクリックし、[列単位]を選択します。すると[並べ替え]ウィンドウがリセットされ、[列]が[行]に変わります。一番左のドロップダウンで、並べ替えの基準とする行を選択します。
今回の例では、左右方向に並べ替えても意味がないので、「Last Name」列を基準に並べ替えてみましょう。
5. 並べ替えの基準を選択する
エクセルでは、セルの値以外の特性を基準にして並べ替えることもできます。[並べ替え]ウィンドウの中央には、[並べ替えのキー]というドロップダウンが表示されます。このドロップダウンを使えば、並べ替える列や行内の各セルの特徴に基づいてシートを並べ替えることが可能です。たとえば、セルやフォントの色、セルに含まれるアイコンなどを基準として使用できます。
6. 並べ替えの順序を選択する
[並べ替え]ウィンドウの左から3番目に、[順序]というドロップダウンが表示されます。このメニューをクリックして、データを並べ替える順序を選択します。
既定ではアルファベットの昇順になっていますが、降順での並べ替えやユーザー設定リストもウィンドウで指定できます(以降でもご紹介しますが、昇順や降順での並べ替えは[並べ替え]ウィンドウを開かなくても実行できます)。ユーザー設定リストはあらかじめ用意されているものが複数ありますが、自分で作成することもできます。ユーザー設定リストで並べ替える必要がある場合とその方法については、後ほど詳しくご紹介します。
数値順に並べ替えるには
文字ではなく数値が入力されている列がある場合は、数値に基づいてシートを並べ替えることもできます。この場合は、一番左の[列]のドロップダウンで、数値が入力されている列を選択します。すると[順序]ドロップダウンのオプションが変わり、[小さい順]または[大きい順]で並べ替えられるようになります。
7. [OK]をクリックする
[並べ替え]ウィンドウの[OK]をクリックすると、指定した条件に基づいてリストが並べ替えられます。「Last Name」の昇順で並べ替えると、ハリー・ポッターのキャラクターのリストは次のようになります。
アルファベット順に並べ替える方法
アルファベット順に並べ替えるには、まず並べ替えの基準とする列の中のセルを1つ選択します。上のナビゲーションバーにある[データ]タブをクリックすると、アルファベット順(昇順)またはその逆順(降順)に並べ替えるボタンが表示されます。いずれかのボタンをクリックすると、選択したセルが含まれる列を基準にデータが並べ替えられます。
マーケティング対象のコンタクトのリストや、ブログ記事のリストをエクスポートしたら、リスト内のデータがまったく整理されていなかったという経験はないでしょうか? そんなときは、まずリストをアルファベット順に並べ替えてみましょう。前のセクションでは[並べ替え]ウィンドウを使った手順をご紹介しましたが、実はもっと簡単な方法があります。
Macの場合
- 並べ替えたい列のセルを選択します。
- ツールバーの[データ]タブをクリックして、左端にある[並べ替え]ボタンの状態を確認してください。
- 上側に「A」、下側に「Z」が表示されていたら、ボタンを一度だけクリックします。上が「Z」、下が「A」だった場合は2回クリックしてください。
注:上側に「A」、下側に「Z」が表示されている場合、ボタンをクリックするとリストがアルファベット順(昇順)に並べ替えられることを表します。反対に、上側に「Z」、下側に「A」が表示されていれば、アルファベットの逆順(降順)に並べ替えられることになります。
Windowsの場合
- 並べ替えたい列のセルを選択します。
- ツールバーの[データ]タブをクリックします。中央に並べ替えに関するメニューが表示されていることを確認してください。
- [並べ替え]ボタンをクリックします。[並べ替え]ウィンドウが表示されます。リストに見出しがある場合は、[先頭行をデータの見出しとして使用する]がオンになっていることを確認してください。オンになっていることを確認したら、[キャンセル]をクリックします。
- 上側に「A」、下側に「Z」があり、下向きの矢印が付いているボタンをクリックします。するとアルファベット順(昇順)にリストが並べ替えられます。アルファベットの逆順(降順)に並べ替えたい場合は、上側に「Z」、下側に「A」があるボタンをクリックします。
複数の列を基準にした並べ替え
並べ替えの基準とする列は、1つだけでなく2つ以上になる場合もあるでしょう。たとえば、ブログ記事のリストを、記事が公開された月ごとに整理したい場合には、まず月別に記事をまとめてから、記事のタイトルまたはURL順に並べ替える必要が出てきます。
今回の例では、リストをまず「House」で並べ替えた後で、「Last Name」で並べ替えていきます。こうすれば、生徒を寮ごとにまとめたうえで、各寮の生徒を姓の昇順で並べることができます。
Macの場合
- 並べ替えたい列のデータをクリックします。
- ツールバーの[データ]タブをクリックして、左端にある[並べ替え]ボタンの状態を確認してください。
- アイコンの右側にある小さな矢印をクリックします。ドロップダウンから[並べ替えのユーザー設定]を選択してください。
- [並べ替え]ウィンドウが表示されます。リストに見出しがある場合は、[先頭行をデータの見出しとして使用する]がオンになっていることを確認してください。
- [並べ替え]ウィンドウには、5つの要素が表示されます。[列]の下の欄をクリックしてドロップダウンを開き、最初に並べ替える列を選択してください(例では「House」を選択します)。
- ウィンドウの左下にある「+」記号をクリックします。[列]の2行目の欄をクリックしてドロップダウンを開き、「Last Name」を選択してください。
- [順序]の欄に[昇順]と表示されていることを確認して、[OK]をクリックします。
- 見事に整理されたリストの完成です!
Windowsの場合
- 並べ替えたい列のデータをクリックします。
- ツールバーの[データ]タブをクリックします。中央に並べ替えに関するメニューが表示されます。
- [並べ替え]ボタンをクリックします。[並べ替え]ウィンドウが表示されます。リストに見出しがある場合は、[先頭行をデータの見出しとして使用する]がオンになっていることを確認してください。
- [並べ替え]ウィンドウには、3つの要素が表示されます。[列]の下の欄をクリックしてドロップダウンを開き、最初に並べ替える列を選択してください(例では「House」を選択します)。
- ウィンドウの左上にある[レベルの追加]をクリックします。[列]の2行目の欄をクリックしてドロップダウンを開き、「Last Name」を選択してください。
- [順序]の欄に[昇順]と表示されていることを確認して、[OK]をクリックします。
- 見事に整理されたリストの完成です!
ユーザー設定の順序での並べ替え
アルファベットの昇順や降順ではなく、月や曜日などの規則的な要素に基づいて並べ替えたい場合もあるでしょう。
そのような場合は、ユーザー設定の並べ替え順序を作成すれば、思いどおりの並べ替えが可能です(複数の列の並べ替えと同じような設定手順になります)。
生徒全員の誕生月のデータがあり、誕生月でリストを並べ替えてから、所属寮別に整理し、さらに姓の順に並べ替えるという場合を考えてみましょう。
Macの場合
- 並べ替えたい列のデータをクリックします。
- ツールバーの[データ]タブをクリックします。左端に[並べ替え]ボタンが表示されます。
- アイコンの右側にある小さな矢印をクリックします。ドロップダウンから[並べ替えのユーザー設定]を選択してください。
- [並べ替え]ウィンドウが表示されます。リストに見出しがある場合は、[先頭行をデータの見出しとして使用する]がオンになっていることを確認してください。
- [並べ替え]ウィンドウには、5つの要素が表示されます。[列]の下の欄をクリックしてドロップダウンを開き、最初に並べ替える列を選択してください。例では誕生月(Birthday Month)を選択します。
- [順序]の欄に[昇順]と表示されています。右側の矢印をクリックしてドロップダウンを開き、[ユーザー設定リスト]を選択します。
- 月や曜日など、リストの候補が数種類が表示されます。今回は誕生月で並べ替えたいので、月が列挙されているリストを選択して、[OK]をクリックする
- ウィンドウの左下にある「+」記号をクリックします。[列]の2行目の欄をクリックしてドロップダウンを開き、「House」を選択してください。
- 左下の「+」記号をもう一度クリックします。[列]の3行目の欄をクリックしてドロップダウンを開き、「Last Name」を選択してください。
- [順序]の欄が、「House」と「Last Name」の行で[昇順]になっていることを確認し、[OK]をクリックします。
- 見事に整理されたリストの完成です!
Windowsの場合
- 並べ替えたい列のデータをクリックします。
- ツールバーの[データ]タブをクリックします。中央に並べ替えに関するメニューが表示されます。
- [並べ替え]ボタンをクリックします。[並べ替え]ウィンドウが表示されます。リストに見出しがある場合は、[先頭行をデータの見出しとして使用する]がオンになっていることを確認してください。
- [並べ替え]ウィンドウには、3つの要素が表示されます。[列]の下の欄をクリックしてドロップダウンを開き、最初に並べ替える列を選択してください。例では誕生月(Birthday Month)を選択します。
- [順序]の欄に[昇順]と表示されています。右側の矢印をクリックしてドロップダウンを開き、[ユーザー設定リスト]を選択します。
- 月や曜日など、リストの候補が数種類が表示されます。新しいユーザー設定リストを作成するオプションもあります。今回は誕生月で並べ替えたいので、月が列挙されているリストを選択して、[OK]をクリックする
- ウィンドウの左上にある[レベルの追加]をクリックします。[列]の2行目の欄をクリックしてドロップダウンを開き、「House」を選択してください。
- 左上の[レベルの追加]をもう一度クリックします。[列]の3行目の欄をクリックしてドロップダウンを開き、「Last Name」を選択してください。
- [順序]の欄が、「House」と「Last Name」の行で[昇順]になっていることを確認し、[OK]をクリックします。
- 見事に整理されたリストの完成です!
行の並べ替え
データが列方向(縦)ではなく、行方向(横)に並んでいる場合でも、同様の手順でデータを並べ替えることが可能です。
Macの場合
- 並べ替えたい行のデータをクリックします。
- ツールバーの[データ]タブをクリックします。左端に[並べ替え]ボタンが表示されます。
- アイコンの右側にある小さな矢印をクリックします。ドロップダウンから[並べ替えのユーザー設定]を選択してください。
- [並べ替え]ウィンドウが表示されます。下にある[オプション]をクリックしてください。
- [方向]から[列単位]を選択します。[OK]をクリックしてください。
- [並べ替え]ウィンドウには、5つの要素が表示されます。[行]の下の欄をクリックしてドロップダウンを開き、並べ替える行番号を選択してください(例では1行目を選択します)。選択したら、[OK]をクリックします。
Windowsの場合
- 並べ替えたい行のデータをクリックします。
- ツールバーの[データ]タブをクリックします。中央に並べ替えに関するメニューが表示されます。
- [並べ替え]ボタンをクリックします。[並べ替え]ウィンドウが表示されます。
- 下にある[オプション]をクリックしてください。
- [方向]から[列単位]を選択します。[OK]をクリックしてください。
- [並べ替え]ウィンドウには、3つの要素が表示されます。[行]の下の欄をクリックしてドロップダウンを開き、並べ替える行番号を選択してください(例では1行目を選択します)。選択したら、[OK]をクリックします。
条件付き書式に基づく並べ替え
条件付き書式を使って、セルの色を変えたり、アイコンを追加したり、フォントの色を変えたりする場合、その条件に基づいてデータを並べ替えることができます。
下の例では、各生徒の成績に応じてセルを色分けしています。成績が90点以上の場合は緑色、80~90点の場合は黄色です。80点未満では赤色になります。生徒を成績順に並べ替えて、成績優秀者をリストの先頭に移動する場合を考えてみましょう。
Macの場合
- 並べ替えたい行のデータをクリックします。
- ツールバーの[データ]タブをクリックします。左端に[並べ替え]ボタンが表示されます。
- アイコンの右側にある小さな矢印をクリックします。ドロップダウンから[並べ替えのユーザー設定]を選択してください。
- [並べ替え]ウィンドウが表示されます。リストに見出しがある場合は、[先頭行をデータの見出しとして使用する]がオンになっていることを確認してください。
- [並べ替え]ウィンドウには、5つの要素が表示されます。[列]の下の欄をクリックしてドロップダウンを開き、最初に並べ替える列を選択してください。例では成績(Grades)を選択します。
- [並べ替えのキー]の欄では、[セルの色]を選択します。
- 右端の[色/アイコン]の欄で緑色のバーを選択します。
- ウィンドウの左下にある「+」記号をクリックします。5~6の手順を繰り返して、追加された行の[色/アイコン]の欄で黄色のバーを選択します。
- ウィンドウの左下にある「+」記号をクリックします。5~6の手順を繰り返して、追加された行の[色/アイコン]の欄で赤色のバーを選択します。
- [OK]をクリックする
Windowsの場合
- 並べ替えたい行のデータをクリックします。
- ツールバーの[データ]タブをクリックします。中央に並べ替えに関するメニューが表示されます。
- [並べ替え]ボタンをクリックします。[並べ替え]ウィンドウが表示されます。リストに見出しがある場合は、[先頭行をデータの見出しとして使用する]がオンになっていることを確認してください。
- [並べ替え]ウィンドウには、3つの要素が表示されます。[列]の下の欄をクリックしてドロップダウンを開き、最初に並べ替える列を選択してください。例では成績(Grades)を選択します。
- [並べ替えのキー]の欄では、[セルの色]を選択します。
- 右端の[順序]の欄で緑色のバーを選択します。
- [レベルの追加]をクリックします。ステップ4~5を繰り返して、追加された行の[順序]の欄で黄色のバーを選択します。
- [レベルの追加]をもう一度クリックします。ステップ4~5を繰り返して、追加された行の[順序]の欄で赤色のバーを選択します。
- [OK]をクリックする
ここまでにご紹介した方法を使えば、あらゆる状況で思いどおりの並べ替えができるはずです。学んだことは、実際に試してみるのが一番です。データを入力し、並べ替え機能を使ってデータを整理を実践してみましょう。