非対面の営業手法であるインサイドセールスと、マーケティングがどう違うのか確認しておきたいという方は多いのではないでしょうか。両者には取り組む目的・果たす役割にそれぞれ違いがあるため、必要とされる取り組みも異なります。
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今回は、インサイドセールスとマーケティングの違いや両者の関係について、わかりやすく解説します。インサイドセールスとマーケティングの連携を効果的に図る方法にもふれていますので、ぜひ参考にしてください。
インサイドセールスとマーケティングの違い
はじめに、インサイドセールスとマーケティングの目的・役割の違いと、それらに伴う取り組みの相違点について解説します。
1. 目的の違い
インサイドセールスの主な目的は、見込み客の醸成と関係構築にあります。見込み客との関係が「連絡先がわかる」「連絡を取り合える」というだけでは、商談の機会を得られるとは限りません。成約確度の高い商談を設定するには、相手のニーズを把握した上で購買意欲を高めておく必要があります。このような状況を実現することが、インサイドセールス施策に取り組む大きな目的です。
一方、マーケティングの主な目的は新たな見込み客との接点創出です。顧客を創出し続けていくには、自社の商品・サービスを潜在的・顕在的に求めている相手を見つけるための仕組みを構築することが重要です。こうした仕組みをつくり、顧客を創出していくことがマーケティングに取り組む目的といえます。
2. 役割の違い
インサイドセールスが担う主な役割は、見込み客や既存顧客と連絡を取り合い、つながりを維持・強化することです。メールやチャットなどの非対面コミュニケーションツールを用いた継続的なやり取りを経て、信頼関係を構築していくことが求められています。見込み客の購買意欲が十分に高まったタイミングで商談を設定することにより、成約率を高めることが可能です。
これに対して、マーケティングには市場の選定やターゲットにリーチする手段の確立、それらの仕組み化が求められています。わかりやすく表現するなら、マーケティングが「出会い・認知」を担うのに対して、インサイドセールスは「出会ってからの関係づくり」を担うというイメージです。
3. 取り組みの違い
インサイドセールスは電話やメール、チャットといった非対面の手法を駆使し、見込み客へのヒアリングや情報提供を行います。見込み客が有益な情報を提供してくれる相手として自社を認知し、信頼を寄せてもらうことが1つのゴールといえるでしょう。
一方、マーケティングにおいては市場調査や宣伝活動、ブランディングといった活動を通じて、より多くの見込み客との接点を確保するための取り組みを行います。インサイドセールス部門が見込み客との関係構築する際、そもそも見込み客の母数がある程度確保できていなければアプローチすべき相手がいなくなってしまうからです。
インサイドセールスとマーケティングの関係
インサイドセールスとマーケティングの関係を理解するには、営業活動全体の流れを把握しておく必要があります。
【営業活動の全体像】
プロセス |
主な役割 |
担当部門 |
1.リードジェネレーション |
見込み客の創出 |
マーケティング |
2.リードナーチャリング |
見込み客の醸成 |
インサイドセールス |
3.リードクオリフィケーション |
購買意欲が高い見込み客の抽出 |
インサイドセールス |
4. 商談設定 |
アポイントの取得 |
フィールドセールス |
5. クロージング・成約 |
契約締結 |
フィールドセールス |
上記のうち、マーケティングが担う領域とインサイドセールスが担う領域を押さえておきましょう。
マーケティングが担う領域
前掲の営業プロセスのうち、マーケティングが主に担うのは「リードジェネレーション」です。市場からターゲットを選定し、ターゲット層のうち有力な見込み客となりえる相手を見つけることが、マーケティングが担う領域といえます。
ただし、インサイドセールス部門が見込み客の醸成から商談・成約までのプロセスを担うケースでは、マーケティング部門がリードナーチャリングの段階も担当することがあります。マーケティング部門がどの領域までを担当するかは、商材の特性や営業スタイルに応じて決定することが大切です。
インサイドセールスが担う領域
前掲の営業プロセスのうち、インサイドセールスが主に担うのは「リードナーチャリング」と「リードクオリフィケーション」です。見込み客とのやり取りを通じ、購買意欲が高まったリードをフィールドセールスに引き継ぐことが主な役割といえます。
ただし、商材や営業スタイルによってはインサイドセールス部門が商談やクロージング、成約といったプロセスまで非対面で実施することもあります。リードタイムが比較的短い商材や、SaaSのようにオンラインでの契約が一般化している商材に関しては、この傾向が顕著です。
インサイドセールスとマーケティングの連携を図るには
ここまで見てきたとおり、インサイドセールスとマーケティングは目的や役割、取り組みがそれぞれ異なります。しかし、両者はいずれも営業活動の一環であり、独立した工程として見なすべきではありません。インサイドセールスとマーケティングの効果的な連携を図る上で重要なポイントとして、下記の3点が挙げられます。
1. 両者の役割と業務領域を明確にする
はじめに、自社の営業活動の全体像を可視化した上で、インサイドセールスとマーケティングがどの領域を担うのかを決めておく必要があります。両者の役割と業務領域を明確にし、「何をどこまで実行しておくべきか」に関する共通認識を形成しておくことが大切です。
なお、インサイドセールスとマーケティングがどの業務領域までを担うのかは、リードが創出された経路によって異なる場合があります。たとえば、ホームページ経由で問い合わせがあった見込み客と、展示会などで名刺交換をした見込み客とでは、ファーストコンタクトの形態が大きく異なるからです。
2. 情報共有の仕組みを確立する
次に、部門を横断して情報を共有するための仕組みを構築していきます。リードの状況や進捗度合いが共有されていないと、対応の漏れや重複が発生しかねません。情報の属人化を防ぎ、効率よく共有していくには、CRMやSFAなどのツールを活用するのが現実的でしょう。
ただし、ツールさえ導入すれば両部門の連携が実現するとは限りません。どのような条件に該当するリードをインサイドセールスへ渡すのか、具体的な判断基準を明確に定めておくことが重要です。
3. KPIを共有する
マーケティング部門・インサイドセールス部門ともに、達成すべき目標を掲げて活動に取り組むことが大切です。KPI(重要業績評価指数)は部門ごとに定めるのではなく、営業活動全体を通じて設定する必要があります。まずは営業活動全体を通じて達成すべきKGI(重要目標達成指標)を決め、KGIを達成するために必要なKPIを検討するのがポイントです。
マーケティング部門・インサイドセールス部門・フィールドセールス部門がそれぞれKPIを共有することにより、お互いの進捗状況を把握しやすくなります。自部門の目標のみを追うのではなく、見込み客との接点創出から関係構築、成約に至るまでの全体像を俯瞰的に捉えるように意識しましょう。連携を意識することで結果的に自部門の成果向上につながり、売上にも貢献できる確率が高くなります。
インサイドセールスの役割を明確にして他部門との連携強化を
インサイドセールスとマーケティングの違いを適切に捉えるには、両者をそれぞれ単独の施策として捉えるのではなく、自社の場合はマーケティングとインサイドセールスでどのように役割分担をしていくべきかチーム間で認識をすり合わせする必要があります。これからインサイドセールスを導入する企業においては、組織の中で果たす役割を明確にした上で、他部門との連携を図っていくことが重要です。
今回紹介したポイントを参考に、インサイドセールスの効果を最大限に引き出す導入方法を検討してください。