企業のマーケティング担当者にとって、どの広告を選択するか、あるいは各広告媒体をどの割合で活用するかは、非常に重要な判断となります。広告らしい広告は避け、新しいユーザーに自社ならではの価値を届けたいと考えているなら、自然な形で広告配信ができるInstagram広告に注力してみるのはどうでしょうか。
初心者でも簡単に出稿可能!Instagram広告基本ガイド
Instagram広告の掲載方法から、目標の設定、エンゲージメントの管理、成果の測定まで
- 最適なInstagram広告を作成するための詳しい手順
- パフォーマンス測定指標の確認とエンゲージメントの管理
- HubSpotが実際に学んだ知見とポイント
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ソーシャルメディア広告の成功のカギについては、「5分でわかるSNS広告!基本的な仕組み・メリット・事例を徹底解説」や、数々の統計を集めた「SNS最新動向レポート2021最新データと専門家のインタビュー付き!」などのコンテンツで紹介しています。
広告の効果を大きく左右するポイントとなるのは、作成した広告コンテンツが自然で違和感のないネイティブ広告であることです。Mobile Marketing Associationによると、ネイティブ広告は従来のディスプレイ広告と比較して、ユーザーが広告を閲覧する時間が40%長く、ブランドを覚えてもらえる確率は2倍となっています。
Instagram広告にて配信される広告は、一般ユーザーがシェアするオーガニック投稿に溶け込むようにデザインされており、ユーザー体験を損なうことなく自然な形でコンテンツを届けることができます。
この記事では、思わずクリックしてしまうような印象に残るInstagram広告を紹介し、皆様が今後Instagram広告キャンペーンを展開するうえで参考になるヒントをご紹介します。
Instagram広告の特徴
Instagram広告は、Meta社が提供している広告プラットフォームです。正確にはMeta広告として提供されており、Meta社が運営するFacebook、Instagram、Messengerなどに広告を配信できます。
Instagramのみに絞って広告を配信することも可能ですが、Meta広告は複数のプラットフォームへ横断的に広告配信できる点が強みです。
FacebookとInstagramが投稿のフォーマットで共通する部分が多いこと、AIによるターゲティングの強いサポートがあることから、興味・関心を持ってくれそうな層に絞りつつも広くリーチを伸ばすことができます。
Instagram広告では、広告用に専用のクリエイティブを作成してもよいですが、オーガニック投稿に用いたコンテンツをそのまま広告に活用することもできます。フォーマットとしてはフィード投稿の形式、リールの形式、ストーリーズの形式それぞれ揃っているので、自社の活用しやすいフォーマットでチャレンジできるでしょう。
Instagram広告について詳しく知りたい場合は、以下コラムをご覧ください。
Instagram広告に成功した企業事例7選
Instagram広告は、一般的な広告と比べて「広告的な表現よりもユーザーの視点に近いものが好まれる」という点で異なります。
Instagram広告は、フィード上に表示され、通常の投稿とほとんど違わないスタイルで表示されるため、ユーザーにとっても受け入れられやすい、違和感のない広告を作成することが重要です。
どのような広告であればユーザーが共感しやすく、「自分も参加してみたい」と思うのか、成功している7つの事例を見てみましょう。
1)ESTÉE LAUDER TURKEY
Estée Lauderは、世界150もの国と地域で愛されている高級スキンケア・化粧品ブランドです。Estée Lauderはトルコでファンデーション商品をプロモーションするために、Instagramのブランドコンテンツを活用し、地域の有名人とのコラボレーションを実施しました。
出展:Estée Lauder Turkey: Instagram広告の成功事例
ブランドコンテンツの活用に至ったのは、新型コロナウイルスによる消費者の生活・ニーズの変化を踏まえたもの。
ブランドコンテンツによって作成した広告では、Estée Lauderのブランドを冒頭から送球するもの、インフルエンサーを追いかけて最後にブランドが登場するものの2パターンを配信しました。どちらもインフルエンサーにスポットを当て、ユーザーの憧れを刺激するものだったとのことですが、後者のほうが広告想起リフトにて5.7ポイント、ブランド認知度リフトにて5.6ポイント優れた結果になったそうです。
ブランドコンテンツはこのように、新たなクリエイターによるブランドストーリーを伝えることで、新たな顧客へリーチできると期待できます。
2)CipiCipi
CipiCipiは、美容系動画ブロガーのふくれな氏が2020年7月に創設、プロデュースしている化粧品ブランド。Z世代やミレニアル世代の女性から高い支持を集めていますが、商品への関心をさらに高めるべく、Instagram Direct誘導広告を配信しました。
Instagram Direct誘導広告は、自動応答機能によりユーザーとさまざまなコミュニケーションが取れるというものです。CipiCipiでは幅広い年齢層の女性をターゲットに性格診断を受けてみるように誘導し、コンテンツビューを大幅に増加させました。
3)On
スイス発のシューズブランドである「On」は、Advantage+ ショッピングキャンペーンを実施することで、これまでと比べてなんと60%ものコンバージョン単価の削減に成功したとのこと。
Advantage+とは、広告の配置(FacebookかInstagramか、Instagramの中でもフィード投稿かリールかといった配信先)を指定せず、Meta広告のシステムに任せるオプションです。
また、ショッピングキャンペーンでは商品の購入につながりそうなユーザーへ優先的に広告を配信するよう調整されます。
これにより必要な作業を簡素化しつつ、高いマーケティング効果が得られたとしています。また、広告費用対効果についてはなんと4.7倍にもなったそうです。
4)NTTソルマーレ
日本ではお馴染みの電子書籍ストアである「コミックシーモア」を運営しているのが、NTTソルマーレです。NTTソルマーレでは、年末年始のニーズが高まる時期にあわせてARクリエイティブに注力したところ、大きな成果につながったとしています。
出展:NTT Solmare: Instagram広告の成功事例
ARクリエイティブが配信されたユーザーは、自身の動きに合わせて、CMでもお馴染みの漫画調のキャラクターが動く様子を楽しめます。
このユニークな広告によりブランドをより身近に感じてもらい、広告想起が2.4倍にも増加したそうです。
5)Tropicana
Tropicanaは、アメリカの代表的なジュースブランドのひとつです。当時25ドルだけ握りしめてアメリカへ渡った創始者が、誰でも気軽に手に取れるジュースを目指し、多彩なジュースをラインナップして愛されるようになっています。
出展:Tropicana: Instagram広告の成功事例
店舗での販売を原則としているTropicanaでは、店舗への来店促進になるかもしれないと仮定し、広告の配置にリールを追加。
リールを配置しない場合と比べて、費用対効果にして2.4倍、店舗売上が1.1倍増加、広告想起が4.1ポイント上昇など、オンラインでの販売がないにも関わらず目覚ましい結果となりました。
6)Zala Hair Extensions
Zala Hair Extensionsはヘアエクステンション分野でトップを走るブランドの一つです。
すでに一定の地位を確立しつつも、オンラインでも強力な戦略を打つ必要があると感じていたところ、Advantage+ ショッピングキャンペーンを追加してみたとのこと。
出展:Zala Hair Extensions: Instagram広告の成功事例
その結果、キャンペーン効率が大幅に改善し、広告費用対効果が79%も上昇、購入については1.5倍にもなったそうです。
Advantage+ ショッピングキャンペーンは機械学習によるターゲティングで入札を最低限に抑えることができ、狙いたいオーディエンスを拡大できます。この特性により、Zala Hair Extensionsは新規顧客を多く創出できたのだといえます。
7)ツヴァイ
結婚相談所として比類のない知名度を誇るツヴァイでは、結婚相手紹介サービスのさらなる新規顧客を獲得するために、ストーリーズ広告を活用。
結婚に対して本気の人に対し、答えを出したいという強い思いから、多彩な出会いの場につながるためにストーリーズ広告をチャネルのひとつとしました。
ストーリーズ広告で伝えたのは、一貫したブランドストーリー。しかし年齢や結婚歴に応じてしっかりとターゲティングを行い、ステッカーやストーリーズの仕様もトリックに落とし込んで、見た人に自然と「ストーリー」を楽しんでもらえるようにしました。
その結果、クリック率は63%上昇し、クリック単価は41%抑制されるという大きな結果につながりました。
Instagram広告の基本的な出稿フロー
Instagram広告(Meta広告)の基本的な出稿フローを知ることで、自社ではどのような広告を作成し配信できるか想像しやすくなるでしょう。
Instagram広告は大きな特徴として、広告全体が「キャンペーン」「広告セット」「広告」の3層構造になっています。
「キャンペーン」では、広告を配信するための大きな目標を定めます。また、キャンペーン全体の予算を管理することもあります。ビジネスで成果を出すには明確な目標が必要ですが、Instagram広告でも同様に、自社ブランドの認知度を高めたい、Webサイトへのトラフィックを増やしたいなどの目標を定めます。
「広告セット」は、キャンペーンの中に複数作成できます。広告セットは実際に配信する広告をまとめたもので、主に予算、スケジュール、オーディエンス(ターゲット)、出稿先を決めます。例えば、同じ目標で広告を配信する中でも、違うオーディエンスに配信して違いを見てみたいと思うかもしれません。広告セットを複数用意することで、このような柔軟な施策が可能になります。
「広告」は、実際にユーザーのもとへ配信される広告を作成するセクションです。新たに作成した魅力的な画像や動画を用いてもよいですが、自社アカウントでシェアしているコンテンツを広告として配信することもできます。
以下コラムでは、Instagram広告の出稿手順についても詳しく解説しているので、これから運用を進めたい場合はぜひ参考にしてください。
Instagram広告を活用して潜在ユーザーにリーチしよう
Instagramでは、広告も通常の投稿と同じように表示されます。そのため、通常の投稿と違和感がないように「なじませる」のがポイントです。広告色をできるだけ抑え、ユーザーの視点でクリエイティブを制作することを意識しましょう。
ブランド認知度向上を目的とした広告では、Netflixの事例のようにブランドの世界観を全面に打ち出すケースもありますが、今回ご紹介した広告のクリエイティブの事例は、いずれも広告色が薄いという共通点があります。当社HubSpotの事例でも、ブランドカラーやロゴのような広告的要素をできるだけ排除しています。自社がユーザーに提供できる価値に焦点を当て、ブランドの世界観に沿った広告クリエイティブを検討してみましょう。
Instagram広告はターゲティング精度が高く、費用対効果も高いため適切な運用によって高い効果が期待できます。何のためにInstagram広告を導入するのか、広告によって誰に何を伝えたいのかを明確にし、自社のソーシャルメディアマーケティング戦略の一環として、Instagram広告を位置づけ、企画運用してください。